報恩講のお布施の金額相場は?表書きの書き方やお金の入れ方も解説
報恩講とは浄土真宗独自の法要であり、仏徒にとって大切な仏事の一つです。報恩講に参加する場合、お寺や僧侶にお布施を納める必要があります。本記事では、報恩講のお布施の相場がいくらなのかをはじめ、包み方や書き方などのマナーについて解説します。
報恩講とは
報恩講とは、浄土真宗の教えを伝えた親鸞聖人の命日をご縁として行われる浄土真宗独自の仏事です。親鸞聖人に感謝するため、浄土真宗の仏徒がお寺に集まって法話を聞きます。地域や宗派によっては、報恩講を「お取越」「お引上」と呼ぶこともあります。
報恩講が行われる期間は、宗派によって異なります。例えば、浄土真宗本願寺派では、明治6年に太陽暦(新暦)が採用された関係で、親鸞聖人の旧暦の命日である11月28日を新暦に合わせた1月16日までの7日間に渡って報恩講を行います。真宗大谷派では現在も旧暦が採用されている関係で、報恩講が行われるのは11月28日までの7日間です。
報恩講のお布施の金額相場
報恩講はお寺で営まれる仏事であるため、参加者は僧侶へのお布施を準備する必要があります。報恩講のお布施の金額は、千円~3千円が相場です。お寺によって金額が異なる場合があるため、寺院に張り出されている掲示を確認しておきましょう。
お布施は、報恩講の法要が始まる前にお寺の受付で渡します。お布施を渡した後に着座し、阿弥陀様の前で合掌するという流れです。
報恩講のお布施の表書きや裏書きの書き方
僧侶に渡す報恩講のお布施には、表書きや裏書きなどの記載が必要です。書き方のマナーがきちんと守れていないと、お寺や僧侶に対して失礼になってしまいます。こちらでは報恩講のお布施の表書きや裏書きの書き方を詳しく解説するため、不安な方は目を通してみてください。
濃い墨を使って書く
報恩講のお布施の袋に表書きや氏名を書く場合は、濃い墨の毛筆や筆ペンを使うのが基本的なマナーです。葬儀や四十九日法要など渡す香典には薄墨を使うため、お布施にも薄墨を使うと考えている方もいるでしょう。しかし、報恩講のお布施は僧侶や親鸞聖人への感謝を伝えるものであり、悲しみを意味する必要はありません。薄墨を使うのはかえって失礼になるため、注意が必要です。
表書きの書き方
報恩講のお布施を包む際は「お布施」や「御布施」、「御法礼」などの表書きを使用します。お布施を包む封筒や奉書紙の表面中央に、大きめの文字で表書きを書きましょう。このとき文字が潰れたり、滲んだりしないよう注意してください。
氏名の書き方
表書きを書いた下には、お布施を包んだ人の氏名を記入します。名字や名前のみではなく、フルネームで書くのがマナーです。ただし、家族で報恩講に参加する場合は「〇〇(名字)家」と書いても問題ありません。
中袋の書き方
中袋があるタイプの封筒を使う場合は、中袋に包んだ金額とお布施を包んだ人の氏名、住所を書きます。まず、表面に包んだ金額を漢字で書きましょう。算用数字や漢数字だと、数字が改ざんされる恐れがあるため、壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)を使います。例えば、報恩講のお布施として3千円を包んだ場合は「金参仟円也」と記載します。お寺の僧侶が確認しやすいよう、読みやすい文字で書くようにしてください。
中袋の裏面には、氏名と住所を記載しましょう。中袋の左下部分に、右から郵便番号と住所、氏名の順番で書きます。郵便番号や番地などの数字は漢数字で書きましょう。中袋も筆ペンや毛筆で書くのがマナーですが、筆の扱いに慣れていないと文字が潰れてしまう可能性があります。中袋を書く際は確認のしやすさを優先し、万年筆やボールペンを使っても構いません。ただし、鉛筆や消せるボールペンを使うのは避けてください。
裏書きの書き方
中袋があるタイプののし袋を使う場合、外袋の裏書きには何も記載しません。封筒や奉書紙に中袋がついていなかった場合は、裏書きに包んだ金額と住所、氏名を書きましょう。裏書きの右側に包んだ金額を、左側に住所と氏名を記入します。中袋と同様に、裏書きに包んだ金額を書く際は、壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)を使いましょう。
報恩講のお布施の入れ方
ここからは、報恩講のお布施の入れ方について解説していきます。何にお布施を入れたらよいか分からない、お布施を包むときのマナーを知りたいという方は、参考にしてみてください。
封筒に封はしない
報恩講のお布施を入れた封筒や袋には、封をしないのがマナーとされています。途中でお金が落ちてしまわないか不安になり、のりやテープ、ホッチキスなどで封をする方もいるでしょう。しかし封がされていると、お寺の係員がお布施を開封する際に手間がかかってしまいます。
なるべく相手の負担を減らすためにも封をせずに袋や封筒、奉書紙に包みましょう。
新札を包む
報恩講のお布施の入れ方として、新札を包むというマナーが挙げられます。葬儀やお通夜の香典を包む際は「突然のことだったため、急いでお札を準備した」ことを表すために、古札が使用されます。葬儀・お通夜の場で新札を包むのはマナー違反であるため、報恩講のお布施にも古札を使うのではと考える方も多いでしょう。
しかし、報恩講のお布施は親鸞聖人や僧侶に対する感謝を表すもののため「急いで準備した」ことを表す必要はありません。お布施は前もって準備しても構わないものであり、綺麗なお札の方が感謝の気持ちが伝わりやすいという理由から、新札を使うのが一般的です。
新札の用意が間に合わなかった場合は、古札を使っても構いません。ただし、汚れていたりシワが多かったりするお札を報恩講のお布施として渡すのは、マナー違反になるため注意しましょう。やむを得ず古札を使う場合は、僧侶や親鸞聖人に感謝が伝わるようになるべく綺麗なお札を選んでください。
お札の向きを揃える
報恩講のお布施の入れ方として、お札の向きを揃えるというマナーもあります。お札の向きがバラバラの状態だとどの紙幣が入っているのか分かりにくく、お布施の計算に時間がかかってしまいます。複数枚の紙幣を入れる際は向きを揃え、お布施を数えやすい状態にしておきましょう。
肖像画が封筒の表面にくるように入れる
紙幣を袋や封筒に入れる際は、肖像画が中袋・外袋の表面にくるように包みましょう。紙幣の肖像画が裏向きになっている状態は「悲しみで顔を伏せる」ことを意味します。葬儀やお通夜の香典では肖像画が裏向きになるように包むのがマナーですが、報恩講のお布施ではふさわしい包み方ではありません。香典と同じ方法で包まないよう、注意が必要です。
お札の枚数をなるべく少なくする
報恩講のお布施を準備する際、お札の枚数をなるべく少なくするのがマナーです。例えば5千円を包む場合、千円札5枚ではなく5千円札1枚を準備しましょう。また、お布施には小銭は使用できないため、全額紙幣で用意してください。
報恩講のお布施の渡し方
ここからは、報恩講のお布施の渡し方について解説していきます。「報恩講に参加するのが初めて」「お布施はどうやって渡すべきか分からない」という方は、ぜひ目を通してみてください。
寒色系の袱紗に包んで持参する
報恩講のお布施は、寒色系の袱紗に入れてお寺に持参するのがマナーです。藍色や深緑、青色などの色味の袱紗を使用しましょう。オレンジや赤、黄色など暖色系の袱紗は慶事用であり、報恩講では使用できないため注意が必要です。
法要の前後で渡す
報恩講のお布施は、法要が始まる前後に渡します。お寺で行われる報恩講に参加する場合は、法要前に受付でお布施を渡すのが一般的です。自宅で報恩講を行う場合は、お勤めが始まる前に渡しても終わった後に渡しても構いません。
お礼を伝えながら渡す
報恩講のお布施を渡す際は、お礼を伝えるようにしましょう。無言のままでお布施を渡すのは、お勤めを行う僧侶やお寺に対して失礼にあたります。必ず「本日はよろしくお願いいたします」「本日はありがとうございました」などの言葉を添えながら、お布施を渡してください。長々とお礼を伝える必要はなく、一言簡潔に挨拶するだけで問題ありません。
また、お布施を包んだ奉書紙や封筒をそのまま手渡すのはマナー違反となります。袱紗からお布施を出したら表書きの文字が相手から読める向きにして、袱紗の上に封筒を乗せて渡すようにしましょう。
報恩講に参加する場合は、お布施の金額やマナーを踏まえておきましょう
この記事のまとめ
- 報恩講とは、親鸞聖人に感謝するために行われる浄土真宗のお勤め
- 報恩講のお布施の金額相場は、千円〜3千円ほどとされている
- 報恩講のお布施の表書きには濃い墨を使用し、「御法礼」や「御布施」と書く
- 報恩講のお布施の袋に包んだ金額を書く際は、改ざんを防ぐために旧漢字を使う
- 報恩講のお布施は、奉書紙か白い封筒、袋などに入れる
- 報恩講のお布施の入れ方として、封筒に封をしない、紙幣の肖像画が表面にくるように入れるなどのマナーがある
- 報恩講のお布施を渡す際は、袱紗から取り出してお礼を言いながら渡す
報恩講は親鸞聖人の命日近くに行われる仏事であり、浄土真宗の仏徒にとって大切なお勤めです。報恩講に参加する場合、僧侶や親鸞聖人への感謝の気持ちとしてお布施を準備します。お布施を渡す際は相手に失礼のないよう、しっかりとマナーを踏まえておく必要があります。本記事で紹介したお布施の相場や、書き方などのマナーを参考にして、報恩講に参加しましょう。