法事の案内に「平服でお越しください」とあったら?男女・子供別の服装マナー
いただいた法事の案内状に「平服でお越しください」と記載されていたら、どのような服装にすべきか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、法事における平服について解説します。男女・子供別に具体的な服装を紹介します。ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 法事における「平服」は普段着ではなく「略喪服」を指すこと
- 平服を選ぶ際に押さえるべき色・素材・デザインのポイント
- 男女・子供別にわかる具体的な服装と小物の選び方
- 三回忌や七回忌など、法事の時期によって変わる服装の格式
※ TPCマーケティングリサーチ(株)調べ 葬儀件数(自社施設での施行)(2024年1月〜12月)
「平服でお越しください」の意味は?
そもそも「平服でお越しください」とは、具体的にどのような意味なのでしょうか。法事における「平服でお越しください」の意味や「平服」が指すものについて解説します。
平服とは
法事の案内状にある「平服」とは、普段着のことではなく「略喪服」を指します。法要は故人を偲ぶ儀式であり、参列する際は礼節をわきまえた服装が求められます。そのため、辞書にあるようなカジュアルな服装は不適切となるため注意が必要です。
平服(略喪服)として選ぶべき基準は以下の通りです。
平服(略喪服)の基準
- 色は黒や濃紺、ダークグレーなどの落ち着いた地味なものにする
- 無地で光沢のない素材を選び、華やかな装飾は避ける
- 肌の露出を極力抑え、清潔感のある整った身なりを心がける
- 殺生を連想させる毛皮や革製品、アニマル柄のアイテムは身に着けない
「平服で」という言葉には、ご遺族が参列者に対して「あまり堅苦しくなりすぎないように」という配慮が込められています。しかし、あくまで冠婚葬祭における配慮が前提となるため、略喪服の範囲を守ることが大切です。
平服の意味はTPOで変わる
「平服でお越しください」の「平服」は、場面によって意味が異なります。辞書には「普段着」などと記載されており「カジュアルな服」を指す場合もありますが、慶事や弔事の場では適切ではありません。法事における平服は、正装よりは一段砕けた服装という意味で、普段着ではないことを覚えておきましょう。
カジュアルな服装(普段着)での参列は避ける
法事における平服とは略喪服を指すため、完全な普段着での参列は避けるのが一般的です。日常的に着ているカジュアルな服装は、故人やご遺族への配慮に欠けるとみなされる場合があります。
例えば、デニムやジーンズ、Tシャツ、短パンなどのラフなアイテムは法事には不適切です。
また、スウェット素材やパーカーといったスポーティーな服装も控えてください。ご家族のみで行う法事の場合でも、最低限のフォーマルさを保つようにします。襟付きのシャツや落ち着いた色のスラックスなど、清潔感と節度のある服装を心がけましょう。
家族のみの法事の服装については「家族のみで行う法事法要に適切な服装は?」で詳しく紹介しています。
法事における「平服でお越しください」の意味
法事の案内状で記載されることが多い「平服でお越しください」とは、「本来なら喪服が望ましい場面ですが、そこまで格式張った服装でなくてもかまいません」という意味です。法事は故人を偲ぶ儀式です。格式の程度に違いはあれどフォーマルな服装が求められます。
「平服でお越しください」は一般的に「略喪服」を指す
「平服でお越しください」の「平服」にはさまざまな解釈がありますが、一般的には「略喪服」を意味します。略喪服とは、最も格式張った「正喪服」や正喪服に準ずる「準喪服」よりも格下の喪服のことです。喪服の種類について理解を深めると、平服の基準が分かりやすくなります。
法事の服装の種類については「法事・法要の適切な服装とは?喪服の種類」で詳しく紹介しています。
喪服の種類
- 【正喪服】紋付羽織袴、モーニングスーツ、黒紋付の着物、ブラックフォーマルなど
- 【準喪服】礼服のブラックスーツや礼服のブラックフォーマルなど
- 【略喪服】地味なスーツや普段着ではないワンピースなど
「平服でお越しください」と案内状にある場合の装い
ここでは、法事で「平服でお越しください」と案内された際の服装選びについて紹介します。
法事にふさわしい地味な色を選ぶ
法事において「平服でお越しください」と案内された際の装いは、黒やダークグレー、濃紺などの地味な色の服を選びましょう。落ち着いた装いにすることで、ご遺族の悲しみに寄り添う気持ちを示します。
柄物や光沢のあるものは避ける
法事で着用する平服は、柄や光沢のないタイプを選びます。柄物や光沢のある装いはお祝い事を連想させ、故人を偲ぶ法事にはふさわしくないと考えられているためです。
殺生をイメージさせるものは控える
毛皮のコートやクロコダイルの型押しベルトなど、生き物の毛や皮素材のものは避けましょう。仏教では生き物を殺めることを「殺生」と呼び禁じているため、故人を偲ぶ場では殺生を連想させるものを避けるべきとされています。
できるだけ肌の露出を避ける
過度な肌の露出は避けます。肌を見せる服装は故人やご遺族への無礼にあたるため、ノースリーブや半袖、肌の色が透けるシースルー素材などは避けましょう。ただし、体温調節のためにノースリーブや半袖を着用し、上からジャケットを羽織ることは問題ありません。
夏の法事の服装については「夏の法事の服装は?男女別の選び方や暑さ対策」で詳しく紹介しています。
法事で許容されるアクセサリー以外は身に着けない
法事で身に着けてもよいとされるアクセサリーは、一連パールのネックレスのほか、結婚指輪やモーニングジュエリー(ジェット、オニキスなど)なども適切です。法事はファッションを楽しむものではなく、故人を偲ぶ場であるため、それ以外のアクセサリーを身に着けるのは避けましょう。
「平服でお越しください」と言われた場合の具体的な服装
法事で「平服でお越しください」と案内された際、男性・女性・子供は具体的にどのような服装にするとよいのでしょうか。それぞれの服装や小物について解説していきます。
男性の服装の注意点
男性が法事において「平服でお越しください」と案内された際は、地味な色のビジネススーツで問題ありません。具体的な服装や小物は次の通りです。
服装(スーツ、シャツ)
白いワイシャツに黒や紺、ダークグレーなどのシンプルなスーツを合わせましょう。「平服でお越しください」の平服とは略喪服のことです。正喪服と違って黒一色の無地である必要はありません。
ただし、光沢のあるデザインや色柄物は避けましょう。また、ワイシャツに関してはボタンダウンの着用は避けます。
ネクタイ・ベルト
ネクタイやベルトは光沢のない地味な色を選びましょう。法事では光り物は避けるべきとされ、「平服でお越しください」と案内された際も同様です。
派手な柄のネクタイや大きなバックルのベルト、クロコ柄のベルトなどは避け、黒やダークグレーのシンプルで落ち着いたネクタイやベルトを身に着けましょう。
なお、ネクタイピンの着用は一般的に避けます。ネクタイピンにはネクタイが動くのを抑える役目がありますが、法事では身体を動かすことが少なく、着用の必要性がないためです。
鞄
男性は葬儀や法事において一般的に鞄を持たず、小物はポケットに入れましょう。これは、男性用の喪服にはポケットが多く、必要なものが収められるためと考えられています。
ただし、必ずしも鞄を持てないわけではありません。ポケットが膨らんで不格好に見えるなどの理由で鞄を持つ場合は、金具などの装飾がないシンプルな黒色のバッグを選びましょう。
靴・靴下
「平服でお越しください」と案内された場合の男性の靴は、金具のないシンプルな黒い革靴を選びましょう。エナメル素材やスエード素材の靴、ローファー、スニーカーはカジュアルに見えてしまうため、法事には不適切です。
靴下は黒い無地のタイプを選び、白や柄物は控えましょう。
女性の服装の注意点
女性が「平服でお越しください」と案内された際は、レディースのブラックフォーマルのような礼服ほどかしこまる必要はなく、地味な色のセットアップスーツやワンピースでかまいません。ただし、男性に比べてアクセサリーやメイクなど気を遣うポイントが多くなります。
服装
「平服でお越しください」と案内された場合、黒やダークグレー、紺といった地味な色のセットアップスーツや、ワンピース、アンサンブルを着用しましょう。
葬儀においては一般的にパンツスーツを避けるべきですが、法事で「平服でお越しください」と案内された際は、略喪服でもよいという意味ですので問題ありません。
スカートやワンピースの丈はあまりに短すぎると故人を偲ぶ場には不適切なため、ひざ下丈やふくらはぎ丈のものを選びましょう。また、スーツの場合はシャツの選び方に注意し、白ではなくジャケットに合わせて黒や紺などの目立たない色にします。
法事での平服として、女性のパンツスーツの着用は一般的です。動きやすいため、お手伝いをする場合やご高齢の方にも適しています。
色は黒やダークグレー、ネイビーなどの落ち着いた色を選びましょう。パンツコーデのインナーやトップスには白シャツではなく、黒のカットソーやブラウスなどを合わせます。
ジャケットを着用し、肌の露出を抑えるのがポイントです。パンツスタイルであってもワイドパンツなどで、カジュアルになりすぎないよう、きちんとした印象を心がけてください。
平服としてワンピースを選ぶ際は、スカート丈と袖のデザインに注意が必要です。スカートの丈は、着席時にも膝が隠れるふくらはぎ程度の長さを目安にしましょう。
短い丈はカジュアルな印象を与え、法事の場にはふさわしくありません。また、ノースリーブや半袖など、肌の露出が多いデザインも避けるのが一般的です。
夏場などで半袖のワンピースを着用する場合は、上にジャケットや黒のカーディガンを羽織ります。レース素材などは控えめにし、無地で透け感のない落ち着いたデザインを選びましょう。
アクセサリー
法事で許容されるのは、一般的に結婚指輪とシンプルなパールまたは黒いオニキスやジェットのアクセサリーで、「平服でお越しください」と案内された場合も同様です。パールは涙の象徴とされ、オニキスやジェットはヨーロッパで喪服に合わせるアクセサリーとして知られています。
注意したいのがアクセサリーのデザインです。たとえ結婚指輪やパールであっても、派手で目立つデザインであれば避けた方がよいでしょう。例えば、ネックレスは二連や三連ではなく一連タイプを選び、金や銀の金具がついているものやカジュアルに見えるロングタイプは避けます。
また、イヤリングやピアスは不要ですが、身に着けるのであれば一粒のパールがついたタイプがおすすめです。
鞄
鞄は光沢や飾りのない小さな黒の布製鞄を選びます。法事の鞄は、数珠や袱紗(ふくさ)を持ち歩くために使うものです。
一般的には小ぶりの鞄を一つだけ持っていくことが望ましいですが、サブバッグが必要な場合はシンプルで黒いものを選びましょう。
靴・ストッキング
葬儀や法事ではシンプルで光沢のない黒のパンプスに無地の黒いストッキングを合わせますが、「平服でお越しください」と案内された場合も同様です。地味な装いに合う靴を選び、できるだけ肌を見せないようにするためにストッキングを身に着けます。
靴は布やポリエステル、合成皮革、本革などの素材を選び、3~5センチの高すぎないヒールのついたパンプスがおすすめです。ヒールなしの靴はカジュアルな印象を与えてしまうため適切ではありません。また、ストッキングは厚手・柄物・ベージュなどは控え、黒の薄手を選びます。
髪型・メイク・ネイル
髪型は、清潔感があり、お辞儀をした際に顔にかからないようまとめるのが一般的です。長い場合は耳より下の低い位置で一つに結び、短い場合も耳にかけて顔周りをすっきりさせましょう。
メイクやネイルについても、以下の点に注意してください。
メイクやネイルの注意点
- メイクはベージュ系を基調としたナチュラルメイクにする
- ラメ入りの化粧品や、太いアイライナーの使用は控える
- 口紅は派手な色を避け、艶を抑えたマットタイプを選ぶ
- ネイルは原則として控え、どうしても残る場合は黒い手袋で隠す
法事は故人を偲ぶ大切な場です。平服の案内があってもカジュアルになりすぎないよう、控えめで整った身なりを心がけることが大切です。
子供の服装の注意点
子供の平服は、一般的に学校の制服を着用すれば問題ありません。制服は子供の正装とされているためです。保育園児や小学生などで制服がない場合は、地味な色のシンプルな服を選びましょう。
服装
子供の服装については、指定がない限りは制服の着用が適切です。制服がない場合は、白シャツに黒やダークグレーのジャケット、ズボン、スカートなどを着用することをおすすめします。「平服でお越しください」という指定は、略礼服を指すことが一般的であり、普段着とは異なります。
靴・靴下
「平服でお越しください」と案内された場合でも、葬儀や法事にふさわしい履物を選ぶことが大切です。学校指定のローファーやシンプルな黒い革靴が良いでしょう。スニーカーは、大人、子供に関わらず避けるのが一般的です。金具やリボンなどの装飾については、派手すぎるものでなければ問題ありません。
葬儀や年忌法要によって変わる服装のマナー
服装は、葬儀や法事の種類によって変わります。礼節を持って参加できるようにあらかじめ把握しておきましょう。
葬儀から三回忌までの服装
葬儀や法事に呼ばれたら、三回忌までは準喪服を着用します。三回忌までは僧侶を呼んで読経を依頼するためです。ただし、「平服で」と案内された場合は略喪服を選ぶようにしましょう。なお、喪主は三回忌まで正喪服を着用しますが、最近は弔事の簡略化により準喪服を着用する場合もあります。
三回忌の服装については「三回忌の服装は?家族のみの場合やマナー、持ち物」で詳しく紹介しています。
七回忌以降の服装
七回忌以降は、平服つまり略喪服で参加できます。法事では、回を重ねるごとに家族や親族のみで集まることが多くなり、服装が簡略化されるためです。ただし、カジュアルになりすぎないように注意しましょう。
法事の回忌については「法事では何回忌まで親戚を呼ぶ?」で詳しく紹介しています。
お別れ会・偲ぶ会の服装
お別れ会や偲ぶ会の服装を選ぶ際は、招待状の内容に従いましょう。お別れ会や偲ぶ会は葬儀ではないため、会の主催者がふさわしい服装を決め、案内状に記載することが多いです。「平服でお越しください」と記載されている場合は、法事と同じように略喪服を選ぶとよいでしょう。
平服に関するよくある質問(FAQ)
法事の服装に関するよくある疑問について、専門的な視点からお答えします。
Q. スニーカーは許容されますか?
A. 法事でのスニーカー着用は、たとえ「平服」の指定であっても大人の方は避けるのが一般的です。スニーカーはカジュアルな印象が強く、略喪服の範疇から外れてしまうためです。
法事の靴選びのポイント
- 男性は黒のシンプルな革靴、女性は光沢のない黒のパンプスを選ぶ
- 子供の場合は、黒や紺などの華美ではないスニーカーであれば許容される
歩行が困難な場合や怪我などの事情がある場合は、黒一色の目立たないものを選びましょう。
Q. タイツはOKですか?
A. 法事でのタイツ着用は、冬場の寒い時期や三回忌以降の平服指定であれば容認される傾向にありますが、一般的にはストッキングです。
タイツやストッキングの選び方のポイント
- 正式な場では、肌がうっすらと透ける20デニール程度の黒いストッキングを着用する
- 厚手のタイツはカジュアルな印象を与えるため、避けるのが無難
- どうしても着用する場合は、リブ編みやラメ入りのものは避け、無地の黒を選ぶ
Q.女性で紺色やストライプ柄は大丈夫ですか?
女性が法事で平服を着用する場合、紺色の無地であれば問題ありませんが、ストライプ柄は避けるのが一般的です。法事における平服は「略喪服」を指すため、お洒落さよりも慎み深さが優先されます。
服装を選ぶ際の具体的なポイントは以下の通りです。
法事の服装選びのポイント
- 色は濃紺やダークグレー、黒などの落ち着いた無地を選ぶ
- ストライプやチェックなどの柄物は、カジュアルな印象を与えるため控える
- 素材は光沢のないものを選び、サテンやラメ入りは避ける
「平服」という言葉はあっても、あくまで故人を偲ぶ儀式の場であることを忘れないようにしましょう。ストライプ柄はビジネスの印象が強く、弔事の場では目立ってしまう可能性があるため、無地の装いで参列するのが最も安心です。
Q.夏の平服の注意点は?
夏の法事でも、過度な露出を控えることが一般的です。
夏の平服のポイント
- 女性はノースリーブや半袖のワンピースを着用する場合、ジャケットやカーディガンを羽織る
- 男性は、ジャケットの下に半袖のワイシャツを着用しても問題ありませんが、法要中はジャケットを着用する
- 素材については、ポリエステルなどのフォーマルに見える素材を選ぶ
「平服でお越しください」の意味を正しく理解して適切な服装を選びましょう
この記事のまとめ
- 法事の「平服でお越しください」とは、普段着でもよいという意味ではない
- 法事で「平服でお越しください」と案内されたら、一般的に略喪服を着用する
- 男性は地味な色のビジネススーツを着用する
- 女性は地味な色のワンピースを着用し、アクセサリーの選び方やメイクの仕方に注意する
- 子供は制服または地味な色の服装を着用する
「平服でお越しください」の案内は、初めて見ると普段着と勘違いされることがありますが、平服の意味や法事の服装を把握しておくと服装選びにも困りません。故人に哀悼の意を示すために、言葉の意味を理解して法事にふさわしい服装を選びましょう。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
