【基本マナー】仏壇の花にはタブーがある?お供えする位置や置き方、仏花の種類などを解説
仏壇に供える花の選び方にお悩みではありませんか。お供えに適した菊や胡蝶蘭などの種類から、香りの強い花やトゲのある花など避けたいものまで紹介します。四十九日までの花の色合いや奇数本で飾る理由、左右一対での置き方など、仏花を選び、供える際に知っておきたいポイントを詳しく解説します。
仏壇に花を飾る意味
仏壇にお供えする花には、大きく分けて二つの意味があるとされています。一つ目は、ご先祖や仏様への感謝を伝えるというものです。命をつないでくれたことに対する敬意や感謝を花に込め、ご先祖に自分の気持ちを伝えます。花をお供えする行為を通じて、仏教に対する信心を深める意味もあるとされています。
二つ目は、仏様の慈悲をいただくという意味です。どのような花でも時間が経てば枯れてしまうことから、花は仏教の教えである「諸行無常」を表すとされています。「諸行無常」の教えを示す花をお供えすることで、仏様に慈悲を分けていただこうと考えられています。
仏壇にお供えする「仏花」と「墓花」「供花」の違い
お供えする花は、場面によって呼び方が変わります。
「仏花」は仏壇へお供えする花全般を指しますが、「墓花」はお墓参りでお供えする花を意味し、仏花よりも大ぶりなものが選ばれます。
また「供花」はお通夜や葬儀などで故人へ送るお別れの花を指し、主に白を基調としたアレンジメントが用いられます。それぞれの用途を理解しておきましょう。
仏花(ぶつばな、ぶっか)
仏花とは、仏壇や仏間に日常的にお供えする花のことです。仏教において、供花は「香・灯明・供物・水・花」からなる五供の一つに数えられ、欠かすことのできない大切なお供え物とされています。
仏花を飾ることには、咲き誇る花の姿を通じて仏様の慈悲の心を表すとともに、命の尊さや尊厳を再確認するという教育的な意味合いも含まれています。
一般的には、仏壇の両脇に一対となるよう左右対称に飾るのが適切です。生前のご先祖や仏様へ感謝の気持ちを伝えるためのものとして、常に枯らさないよう手入れを欠かさないことが大切です。最近では、管理のしやすさから季節感を取り入れた多様な花が選ばれています。
墓花(はかばな、ぼか)
墓花とは、お墓参りの際にご先祖へお供えする花を指します。仏壇に供える仏花よりも、屋外の広い空間に飾ることを前提としているため、全体的に大ぶりでボリュームのある花束が選ばれるのが一般的です。
お供えする際は、墓石の左右にある花立へ一対になるよう飾ります。お墓は直射日光や風雨にさらされる厳しい環境にあるため、菊やカーネーション、スターチスといった日持ちのよい種類が好まれます。
また、お墓には地域ごとの慣習が強く残っている場合も少なくありません。仏壇の花と同様に、トゲや毒のある種類を避け、奇数の本数で整えるのが一般的ですが、その土地ならではの決まりがないか事前に確認しておくと安心です。
供花(きょうか・くげ)
供花(きょうか・くげ)とは、お通夜や葬儀の際に、故人へのお悔やみの気持ちを込めて送る花を指します。親族や親しい知人、仕事関係者などが供えるもののため、祭壇の両脇や式場の周囲に飾られるのが一般的です。
仏壇に日常的にお供えする仏花とは異なり、葬儀という特別な儀式の場を飾る役割も持っています。かつては籠に盛った花が多く見られましたが、近年ではスタンド形式の大きな花や、そのまま仏壇の横にも飾れるアレンジメント形式のものも増えています。
地域や宗派、葬儀の規模によって、供え方や適した花の種類に慣習があるため、手配する際は葬儀社やご遺族の意向を事前に確認しておくと安心です。
仏壇に供える花に関するマナー
仏壇に供える花には、意識するべきことがあります。ここからは仏壇の花に関して解説していきます。花を飾る前に目を通しておきましょう。
お供えの用途で色を変える
仏壇に供える花は、お供えする用途に合わせて色を変えるのが一般的とされています。お通夜や葬儀、初七日では故人がまだ成仏していないと考えられているため、「死」を意味する白を基調とした色味の花を供えるのがふさわしいです。
四十九日以降の法要では、白だけでなく黄色やブルー、ピンクといった色味のついた花をお供えしても構いません。四十九日前に仏壇へ白以外の花をお供えするのはタブーになるため、注意しましょう。
本数は奇数にする
仏壇へ供える花の本数は、奇数にするのが一般的とされています。奇数は割り切れないことから、「ご先祖との縁が切れない」「バランスがよい」と考えられているためです。3、5、7本のいずれかの本数になるよう、花の数を調整して準備するとよいでしょう。
生花でなくても問題ない
仏壇へ供える花は、生花でなくても問題ないとされています。昔は、「諸行無常」の教えを体現している生花をお供えすることが重要だとされていました。しかし近年は、生花ではなく造花をお供えしても問題ないとされています。ご先祖や仏様を敬う気持ちがあれば、造花をお供えしてもよいでしょう。
仏壇に供える花の位置・置き方・飾り方
仏壇へ飾る花の置き方や飾り方にも細かい決まりなどがあります。ここからは、仏壇への花の生け方を紹介します。確認しておきましょう。
左右で一対になるように飾る
仏壇に供える花は、一般的に左右で一対になるように飾ります。仏壇の左右に花瓶がある場合は、両方に同じ花束をお供えしましょう。もし花瓶が一つのみの場合は、花は左側に、ロウソクは右側に、お香は真ん中に飾るのが一般的です。
花瓶の中心に背の高い花をお供えする
花瓶の中心には、メインとなる背の高い花を配置し、その両側に低い花を挿すことで、花全体に高低差をつけることができます。高低差を意識して花を配置することで、バランスが良く、まとまりのある見た目に仕上がります。
花が開いている方を自分の方に向けて飾る
花を仏壇にお供えする際は、花が開いている方を自分の方へ向けて飾るようにしましょう。花を仏壇の方へ向ける方が多いですが、実はお参りする自分達の方へ向けるのが一般的です。これは、花を自分たちに向けることで「仏様の慈悲」を得られると考えられているためです。とても間違いやすいため、花の向きには注意しましょう。
色のグラデーションを意識して飾る
花を仏壇に飾る際は、色のグラデーションを意識しましょう。花を花瓶に挿したとき、上から下に向けて色が濃くなっていく方がバランスがよく安定して見えるとされています。上部分が薄い色、下部分が濃い色になるよう調整しながら飾ってください。
仏壇に適した花の選び方
仏壇には、どのような花をお供えしてもよいというわけではありません。ここからは仏壇に適した花の選び方を解説していきます。
長持ちする花を選ぶ
仏壇にお供えする花には、長持ちする花を選ぶのがおすすめです。すぐに枯れてしまう花だと長く花を楽しめない上、花びらがすぐに落ちると片付けの手間がかかります。仏様からの慈悲を長く受け取るためにも、なるべく花持ちのよい花を選ぶようにしましょう。また、枯れてしまったときに花びらが散りにくいものを選ぶのもポイントです。
故人が好きだった花を選ぶ
故人が好きだった花をお供えするのもおすすめです。生前故人が愛していた花を飾ることで供養につながり、故人を思い出すきっかけにもなります。特別に好きだった花がない場合は、故人が好きだった色の花をお供えしてもよいでしょう。
法要では華やかな花を飾る
四十九日法要や一周忌、三回忌などの法事の際は、一般的に派手すぎる色合いや原色に近い花は避けるのが望ましいとされています。特に一周忌では、白や淡い色合いの花を選ぶことがふさわしいとされています。花瓶は、準備する花のボリュームに合わせて適切なものを選ぶと良いでしょう。
大ぶりな花を用いることもあれば、小ぶりな花を豊富に使った花束を準備するのも良いでしょう。お花屋さんで仏花を依頼する際の費用については、供花の費用相場は5千円~2万円と幅があるため、予算や地域の慣習に合わせて検討すると良いでしょう。
仏壇にお供えするのに適した花の種類
ここからは、仏壇にお供えするのに適した花の種類を紹介します。
菊
菊は邪気を払う効果があるとされており、仏花として最もポピュラーな種類です。花持ちがよく長くきれいな姿を楽しめる上、枯れるときに花びらが散らばりにくいのが特徴です。品種によって花の咲き方やサイズなどが異なるため、故人の好みや雰囲気に合わせた花を選べるのも嬉しいポイントです。
カーネーション
仏壇にどの花を飾ろうか悩んでいるのなら、カーネーションを選んでみてはいかがでしょうか。「無垢で深い愛情」という花言葉を持つ白いカーネーションが特におすすめです。
法要の際には白だけでなく、オレンジや黄色、ピンクなどのカーネーションを組み合わせて華やかな印象にするのもよいでしょう。カーネーションは花持ちがよく暑さにも強いため、お盆など夏の時期にも長期間飾っておけるのもポイントです。
スターチス
スターチスも、仏壇に適した花として知られています。暑さに強いため、過酷な環境でもきれいな状態が長持ちします。仏壇へのお供えにはもちろん、お盆のお墓参りでの供えにも最適です。色の種類が豊富なため、さまざまな色を組み合わせて華やかな印象に仕上げることが可能です。
胡蝶蘭
胡蝶蘭は、仏壇に供える花としても適しています。上品さと高貴さを兼ね備え、花持ちが良いため、お手入れが難しい環境でも美しい状態を長く保つことができます。
トルコキキョウ
トルコキキョウも、仏壇へのお供えに適した花です。落ち着いた雰囲気を持つ花で、単体で飾るのもよいですし他の花と組み合わせて飾ることも可能です。夏の暑さに強いのも特徴で、気温が高くても花がすぐ枯れる心配がありません。普段のお供えとしてはもちろん、お盆の時期のお供えやお墓参りにも最適です。
仏壇ではタブーとされている花
仏壇にお供えする花には、避けるべき種類や気を付けたいポイントが存在します。一般的にタブーとされるのは、トゲのある花や香りが強すぎるもの、毒性を持つ植物です。これらは殺生を連想させたり、お参りする人の妨げになったりするため、仏花のルールとして控えましょう。
また、ツルが絡みつく様子が成仏を妨げるとされるツル科の植物や、死を連想させる縁起の悪い名前の花もふさわしくありません。ご先祖を敬う気持ちを大切にするためにも、こうした不適切とされる特徴を正しく理解しておくことが大切です。迷った場合は、お花屋さんに相談しながら、仏教の教えや慣習に沿った適切な花を選ぶようにしてください。
香りが強い花
香りが強い花を仏壇にお供えするのはタブーとされています。香りが強すぎる花をお供えすると、他の家族や親戚から不快に思われる恐れがあるためです。
バラ、ユリ、カサブランカ、オミナエシ、キンモクセイなどは特に香りが強いため、仏壇にお供えするのは避けましょう。
ツル科の花
クレマチスや朝顔、スイートピーなどのツル科の花をお供えするのも避けましょう。ツル科の花は「ツルが故人に絡み、極楽浄土へ行くのを妨げる」ことをイメージさせるためタブーとされています。
トゲがある花
トゲがある花は怪我や殺生をイメージさせることから、仏壇へのお供えには不向きです。故人が好きだったとしても、バラなどをお供えするのは避けた方が無難でしょう。
縁起が悪い名前の花
「死人花」のように、縁起が悪い名前の花をお供えするのもタブーです。死人花はまたの名を「彼岸花」ともいい、「死」をイメージさせるため縁起がよくないとされています。
毒を持つ花や食べられる花
毒を持つ花を仏壇へお供えすることは、ご先祖様に毒を捧げることにつながるためタブーとされています。
代表的なものとして、水仙やスズラン、チューリップなどが挙げられます。見た目が美しくても、お花屋さんで選ぶ際は毒性がないか確認しておくと安心です。
また、人が口にする野菜や穀物など食べられるものを花の代わりにお供えするのも、縁起が悪いと考えられることがあるため一般的には適していません。
お彼岸に供える花については「お彼岸に供える花の選び方」で詳しく紹介しています。
仏壇の花を長持ちさせるお手入れ方法
仏壇にお供えした花を美しい状態で少しでも長く保つためには、日頃の適切なお手入れが欠かせません。
ちょっとした工夫を取り入れるだけで、花の持ちは大きく変わります。ここでは、花を長持ちさせるための具体的な方法や工夫について解説します。
こまめな水替えと茎の斜め切り
生花を長持ちさせるには、毎日水替えを行って花瓶の中を清潔な状態に保つことです。特に夏の暑い時期は水が傷みやすいため、こまめな交換を心がけましょう。
また、水を替えるタイミングで茎の根元を少し斜めに切ることで、断面積が広がって花が水分を吸い上げやすくなります。
花瓶の水に浸かってしまう部分の葉っぱはあらかじめ取り除いておくと、バクテリアの繁殖を抑え、水が腐るのを防ぐことができます。
定期的なお手入れで、長く美しい花をお供えしましょう。
プリザーブドフラワーを活用する
毎日のお手入れが難しい場合や、長期間家を空ける際には、プリザーブドフラワーをお供えするのも一つの方法です。
プリザーブドフラワーは本物の生花に特殊な保存加工を施したもので、水替えの手間が一切かかりません。
長持ちする上に、花粉が落ちたり枯れたりする心配がないのも大きな利点です。
近年では仏壇用にアレンジメントされた商品も多く販売されており、造花とは違った自然な美しさを長く楽しむことができます。
他家の仏壇へ花を持参する際の気を付けたいポイント
知人や親戚の家へ弔問に訪れる際、仏壇にお供えする花を持参することもあるでしょう。相手のご遺族に負担をかけず、失礼のないように振る舞うことが大切です。
ここでは、他家の仏壇へ花を持参する際に気をつけたいポイントや、訪問時の渡し方について解説します。
訪問先での仏花の渡し方
仏花を持参して弔問に訪れた際は、玄関先での挨拶時にご遺族へ手渡すのが一般的です。その際、四十九日までは「御霊前にお供えください」、四十九日を過ぎている場合は「御仏前にお供えください」と一言添えるようにしましょう。
もしご遺族から案内されて自分で直接仏壇にお供えする場合は、花が開いている方を仏壇の方に向けてそっと置きます。
花粉や水滴で部屋を汚さないよう、運搬時や手渡す際にも十分な配慮が必要です。
仏花に関するよくある質問(FAQ)
仏花に関してよく寄せられるご質問に、専門的な視点からお答えします。仏壇にお供えする花は、形式よりも故人やご先祖を敬う気持ちが大切です。仏花を供える際の作法や注意点を理解した上で、それぞれの家庭の状況に合わせて供養を行いましょう。
Q. 造花はダメですか?
A. 仏壇に造花をお供えしても問題ありません。かつては命の尊さを表す生花が理想とされていましたが、近年は共働きや高齢化などのライフスタイルの変化により、手入れの負担が少ない造花やプリザーブドフラワーを選ぶ方が増えています。夏場に生花がすぐに傷んでしまう時期だけ造花を利用するなど、状況に応じて使い分けるのも一つの方法です。
Q. お墓に供える墓花と仏花は種類を変えるべきですか?
A. 仏壇の花とお墓の花は同じ種類で問題ありませんが、環境に合わせて選ぶのが一般的です。お墓は屋外にあり直射日光や雨風にさらされるため、仏壇用の花よりも茎が太く、より日持ちのよい種類が好まれます。また、お墓では花瓶のサイズに合わせて全体的にボリュームのある華やかな花束を用意すると、見た目のバランスがよくなります。
マナーを踏まえた上で仏壇に花をお供えしましょう
この記事のまとめ
- 仏壇にお供えする花には、ご先祖への敬意や感謝を表したり仏様への信仰を深めたりする意味がある
- 仏壇にお供えする花は用途によって色を変え、本数は奇数にする
- 仏壇に花をお供えする際は、左右で花が一対になるようにし、花瓶の中心には背の高い花を挿す
- 花は開いている方を自分に向けて飾るのが一般的
- 仏壇に飾る花には、長持ちのする花や故人が好きだった花を選ぶ
- 仏壇へのお供えには、菊、カーネーション、スターチス、胡蝶蘭、トルコキキョウがおすすめ
- 香りが強い花、ツル科の花、トゲがある花、縁起が悪い名前の花は仏壇へのお供えには不適切
仏壇にお供えする花には、故人やご先祖を供養したり仏様の慈悲を受け取ったりする意味があります。花の置き方や位置、お供えに適した種類の花などを理解した上で、仏壇に花をお供えしましょう。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。