浄土真宗はお盆の法要を行わない?仏壇の飾り方や過ごし方について解説
仏教においてはお盆の法要を執り行うのが一般的ですが、浄土真宗ではお盆をどのように過ごすのでしょうか。本記事では、浄土真宗におけるお盆の過ごし方や仏壇のお供え、飾りなどを詳しく解説していきます。浄土真宗のお盆では行わないことと合わせて参考にしてみてください。
浄土真宗ではお盆の法要は行わないのか
浄土真宗は、他の宗派と教えが異なる部分が多くあります。一般的に仏教ではお盆の時期にお盆法要が行われますが、浄土真宗ではどのように過ごすのでしょうか。まずは、浄土真宗ではお盆の法要を行うのかについて解説します。
浄土真宗には「追善供養」の概念がない
浄土真宗においては、「追善供養」という概念はありません。他の宗派では、この世でよい行いをして故人の冥福を祈ることを「追善供養」といいます。お墓参りや仏壇の掃除、お盆法要などは、この追善供養の一種とされています。
しかし、浄土真宗では「亡くなった人はすぐに成仏して仏様になる」と考えられています。そのため、お盆は追善供養のためではなく「ご先祖や故人に感謝を伝えるための日」とされています。
法要を行うこともある
浄土真宗ではお盆を「歓喜会(かんぎえ)」と呼び、法要を行うのが一般的です。歓喜会はご先祖への感謝を行う日とされており、僧侶を自宅に招いて仏法を聞かせていただいたり、寺院で開催されている法話会に参加したりします。
浄土真宗のお盆の過ごし方
浄土真宗は他の宗派とお盆の捉え方が異なるため、どのように過ごせばよいのか悩む方もいるのではないでしょうか。そこでここからは、浄土真宗でのお盆の過ごし方について詳しく紹介します。
自宅で法要を行う
自宅に僧侶を招いて法要を行うこともあります。特に、故人が亡くなって初めて迎える初盆では、自宅に僧侶を迎えて読経を依頼することがほとんどです。お盆の時期は法話会や法要などで僧侶が多忙になるため、自宅での法要を検討している場合は前もって依頼しておきましょう。
法話会に参加する
浄土真宗でのお盆の過ごし方として、法話会に参加することが挙げられます。法話会とは年間行事の一つで、仏様に感謝の気持ちを伝えたり僧侶の説法を聞いたりするために行われます。
法話会に参加することで、ご先祖への感謝を深めるだけでなく、自分がこの先どのように生きていくかを学べます。非常に大切なお勤めであるため、お盆をどう過ごすか悩んでいる方は法話会への参加を検討してみてください。
お墓参りをする
お墓参りも、お盆の時期に行うことの一つです。お墓参りは他の宗派でも行われますが、浄土真宗と他の宗派では目的が異なります。浄土真宗では、亡くなった人はすぐに成仏して仏様のいる極楽浄土へ行けるとされています。そのため、他の宗派とは異なり「お墓に故人の魂が宿っている」という教えはありません。一般的にお墓参りは故人の成仏を願って行われますが、浄土真宗ではお墓参りにこのような追善法要の意味合いはないとされています。
その代わり、お墓は阿弥陀様への信仰を深めて門徒と仏様の縁を結んだり、旅立った故人を思い出したりする場所と考えられています。仏様とこの世にいる人たちとの縁をつなぎ、信仰心を深めるためにお墓参りを行います。
お墓参りではお墓周辺の掃除をしたり、墓石をきれいに洗ったりします。墓石を洗うときは必ず水を使用し、洗剤は使わないようにしましょう。洗剤を使うと墓石に空いている小さな隙間に洗剤が入り込み、カビや傷みの原因になるためです。また、お墓掃除の後は水気を拭き取ると綺麗な状態が長持ちするでしょう。
仏壇の掃除をする
浄土真宗におけるお盆の過ごし方として、仏壇の掃除も挙げられます。最初に仏壇に手を合わせ、これから掃除を行う旨を仏様に報告します。次に仏壇の中に入っている仏具を全て取り出し、仏具を一つひとつ丁寧に磨きます。仏具の配置に不安がある方は、掃除前に仏壇の写真を撮り見直せるようにしておきましょう。
仏具の掃除が終わったら、仏壇の内側と外側を柔らかい布で拭き上げます。最後に仏具を全て元の位置に戻し、手を合わせて掃除が終わった旨を報告すれば完了です。可能であれば、仏壇の掃除はお盆が始まる前日までにすませておくとよいでしょう。
仏壇を飾り付ける
浄土真宗では、お盆に仏壇の飾りつけをします。法名軸や打敷、白い和ロウソクなど、他の宗派とは異なる仏具が必要になるため、前もって準備をしておきましょう。仏壇の飾り方については、この先で詳しく解説します。
お供え物を準備する
浄土真宗のお盆でも、他の宗派と同じくお供え物を準備します。浄土真宗では、白い丸餅と仏花の2種類をお供えするのが一般的です。本願寺派では、これらのお供え物に加えて果物やお菓子なども一緒にお供えします。
同じ浄土真宗でも宗派や地域によって用意するべきものが異なるため、何が必要なのか前もって確認しておきましょう。
浄土真宗のお盆の仏壇の飾り方
浄土真宗では、お盆の時期に仏壇の飾りつけを行うのが一般的です。特に、自宅に僧侶を招いて法要を行う場合は、仏壇の飾りつけをするのが一般的とされています。どのように仏壇を飾り付ければよいのか分からない方は、こちらで紹介する方法を参考にしてみてください。
五具足をおく
平常時の仏壇の飾りは三具足ですが、お盆や法要では五具足にするのが基本です。五具足とは、花瓶一対、ロウソク立て一対、香炉の5つの仏具のことです。まず仏壇の中に「前卓(まえじょく)」と呼ばれる卓を設置し、上に「打敷(うちしき)」という布を被せます。青か白、金のいずれかの色で、かつ夏用の打敷を使います。打敷を敷いたらその真ん中に香炉、外側に花瓶一対とロウソク立て一対を並べて飾ります。
ただし、仏壇のサイズが小さく五具足が置けない場合は、三具足でも問題ありません。また、本願寺派と大谷派で飾り方が異なるため、宗派ごとの飾り方を把握しておきましょう。
白いロウソクを準備する
浄土真宗のお盆では、仏壇に白いロウソクを飾ります。ロウソクは僧侶を自宅に招いて法要を行う際に使うため、法要当日までに準備をしておきましょう。どのようなロウソクでもよいというわけではなく、先が太く白色の和ロウソクを使います。
仏花を飾る
仏壇には、仏様へのお供え物として仏花を飾ります。枯れやすい花だと、お盆の期間中花が持ちません。枯れた花をお供えし続けるのは仏様に対して失礼にあたる上に見栄えもよくないため、なるべく花持ちがよいものを選ぶのがポイントです。どの花をお供えするか迷ったら、菊やカーネーションなどを選ぶとよいでしょう。
トゲのある花や毒を持つ花などは、攻撃的な印象を与えるため避けるべきとされています。また、ツル科の植物や香りが強すぎる花も仏花にはふさわしくありません。アザミやバラ、彼岸花、アサガオなどはお供えしないよう注意が必要です。
お餅を供笥(くげ)に乗せてお供えする
浄土真宗では仏壇にお餅をお供えしますが、このときに使うのが「供笥(くげ)」と呼ばれる仏具です。供笥の形状は宗派によって異なり、大谷派は八角系、本願寺派は六角形のものを使うのが一般的です。供笥の柱に穴がある方を正面に向けて設置し、お餅を乗せてお供えしましょう。
仏飯をお供えする
仏壇にかけられている掛け軸の前には、仏飯をお供えします。仏飯は朝に準備してお供えし、昼には下げるのが習わしです。本願寺派では仏飯に加え、羊羹や落雁などのお菓子や季節の果物をお供えするとよいとされています。
浄土真宗のお盆の法要で準備するもの
お盆の法要を自宅で行う場合、いくつか準備しておくべきものがあります。ここからは浄土真宗のお盆の法要で必要なものを紹介しますので、ぜひ目を通してみてください。
お布施
浄土真宗でお盆の法要を行う場合は、僧侶に渡すお布施を準備しましょう。お布施の金額は5千〜1万円ほどを目安に包みますが、初盆法要の場合は金額が上がり、3〜5万円ほどが相場となります。
お車代
お盆の法要を自宅で行う場合は、お車代を準備しておきましょう。お車代とは、寺院から自宅までの交通費として僧侶にお渡しするお金のことです。距離によって金額の目安は異なりますが、5千〜1万円ほどで準備することが多いです。
御膳料
お盆の法要の後に開催される会食に僧侶が参列されない場合、御膳料をお渡しします。会食の内容によって相場は異なりますが、5千〜1万円ほどを目安に包むのが一般的です。会食を行わない場合や僧侶が会食に参加する場合は、御膳料は必要ありません。
浄土真宗のお盆で行わないこと
浄土真宗のお盆には、「故人の追善供養」という意味合いはありません。そのため、他の宗派では行うことでも浄土真宗で行わないことがあります。ここからは、浄土真宗のお盆では行わないことを解説していきます。
迎え火・送り火
浄土真宗のお盆では、お盆初日と最終日に行う「迎え火・送り火」は行いません。浄土真宗では「お盆に故人があの世から帰ってくる」という考えはないため、迎え火や送り火で目印を作る必要はないのです。
精霊棚
他の宗派では追善供養として、仏壇の周りに精霊棚を用意します。しかし、浄土真宗では精霊棚は必要ありません。
精霊馬・精霊牛
ナスやキュウリを使って作る精霊馬・精霊牛も、浄土真宗では用意しません。精霊馬・精霊牛は、あの世から故人が行き来しやすいように作るものです。浄土真宗では「お盆に故人が帰ってくる」という概念はないため、精霊馬・精霊牛は作りません。
提灯飾り
他の宗派では、お盆に提灯飾りをして故人を迎えます。しかし、浄土真宗ではお盆に提灯を飾らないのが一般的です。ただし、仏壇飾りの延長として白の提灯を飾る地域もあるため、前もって確認しておきましょう。
浄土真宗のお盆の法要のあり方を押さえて、ご先祖に感謝しましょう
この記事のまとめ
- 浄土真宗においては追善供養の概念がなく、お盆はご先祖、仏様に感謝するための期間である
- 浄土真宗では、お盆にはお墓参り、仏壇の掃除、法要などを行って過ごす
- 仏壇の飾り方として、打敷を敷く、白いロウソクを準備する、仏花を飾る、お餅や仏飯をお供えするなどが挙げられる
- 浄土真宗のお盆の法要では、お布施やお車代、御膳料を準備する
- 浄土真宗のお盆では、お送り火や精霊棚の設置、精霊馬・精霊牛、提灯飾りなどは行わない
浄土真宗のお盆は「故人を供養するための日」ではなく、ご先祖や仏様に感謝するための期間とされています。他の宗派とはお盆の捉え方が異なるため、過ごし方や対応も少なからず異なります。本記事で紹介した浄土真宗のお盆にやることや用意するもの、やらないことを参考にして過ごし方を考えてみてください。