会社への香典返しはいつ行えばよい?関係別に渡す時期や品物を解説

葬儀で香典をもらったら、基本的に香典返しを行います。しかし、会社から香典をいただいた場合、香典の名義によって香典返しの方法や内容が異なる点に注意が必要です。この記事では、会社への香典返しを渡す時期や品物について、関係別に詳しく解説します。
会社から香典をいただいたら

葬儀の際に故人の勤め先や取引先など、会社関係から香典をいただくこともあるでしょう。香典をいただいたら、その御礼として香典返しをするのがマナーです。ただし、会社からの香典については、香典の名義によって香典返しの対応が変わります。
香典の名義を確認する
香典の名義が会社であれば、香典返しは必要ありません。供花や弔電に関しても、お返しは不要です。上司や同僚など個人名義の場合には、香典返しを用意しましょう。
また、個人であっても単独か連名かによって、香典返しの方法が異なります。取引先の関係者から香典をいただく場合も考えられるため、香典の名義は必ず確認してください。
【関係別】会社への香典返し

会社からいただいた香典の名義ごとに、香典返しの対応が異なります。ここからは、関係者別に会社関係への香典返しの方法について詳しく解説します。
香典の名義が「会社名」の場合
会社からいただいた香典の名義が「会社名」の場合、香典返しは不要です。
一般的に、会社名義の香典は福利厚生の一環として経費扱いになります。あくまでも会社が規定に則って香典を用意しているため、遺族側も安心して受け取るとよいでしょう。
香典の名義が「会社名」と「社長の氏名」の場合
香典の名義で「会社名」と「社長の氏名」が併記されている場合、対応に注意する必要があります。社長の名前が記載されていても、会社の福利厚生費として香典を支出しているなら香典返しは不要です。
しかし、なかには社長と故人が親しい関係で、社長が個人的に香典を渡す事例も見られます。社長個人としていただいた香典には、通常通り香典返しを行ってください。なお、香典の名義が会社なのか社長個人なのか判断しかねるときには、担当部署や上司に確認するのもひとつの手段です。社長への香典返しは、いただいた香典の半額から3分の1程度を目安とします。
また、社長と直接挨拶できるようなら、忌引き休暇後の出社時に香典返しを持参するとよいでしょう。社長との面識がない場合には、忌明け後に香典返しを郵送します。香典返しを郵送する前に、香典返しを送る旨を記載したお礼状を送付しておく気遣いも大切です。
社長以外の役員の場合も、同様の対応をとるとよいでしょう。
香典の名義が「上司」「同僚」など個人の場合
会社からいただいた香典の名義が「上司」や「同僚」など個人名の場合、会社の経費ではなく、個人的な香典と考えられます。そのため、香典返しを行うのがマナーです。
なかには、送り主が分かりやすいように配慮し、会社名と個人名の両方を記載して香典を用意する方もいます。このように名義の判断に迷う香典は、中袋を確認し、中袋に個人の住所や連絡先が明記されていれば、香典も個人名義だと判断できます。
会社関係の個人に渡す香典返しには、いただいた金額の半分から3分の1程度の品物を選びましょう。
香典の名義が「社員一同」「有志」など連名の場合
会社から「社員一同」や「有志」といった連名で香典をいただいたら、個人的な香典と判断して香典返しを行います。
個人名が分かる場合は、いただいた金額を人数で割り、1人あたりの金額を確認してください。1人あたり3千円以上なら、半額から3分の1程度の香典返しを個別に用意しましょう。
1人あたり3千円未満と少額だったり、個人名が無記名で分からなかったりする場合は、まとめて香典返しを渡してもかまいません。個包装のお菓子や小分けタイプの品物は、大人数で分けられるためおすすめです。
香典の名義が「取引先」の場合
故人と関わりのあった取引先からいただく香典は、先方で交際費として計上されていることが多いです。そのため、会社名義の香典と同様に香典返しは不要と考えてください。
また、取引先の会社によっては香典返しを辞退していたり、受け取りを禁止していたりします。どうしても相手に感謝を伝えたい方は、忌明け後に取引先を訪問する際にお礼の挨拶をしましょう。差し入れとして菓子折りや贈答品を持参すれば、香典返しの代わりとなります。
取引先からの香典の名義が「個人」か「連名」の場合
取引先からいただいた香典の名義が「個人」なら、いただいた金額の半分から3分の1程度のお返しを用意しましょう。
また、取引先の「連名」名義の場合、会社の連名で香典をいただいたときと同様に対応します。取引先への香典返しについては、直接お伺いしてお礼の挨拶と併せて渡すと、相手により一層感謝の気持ちが伝わるでしょう。
会社から香典返しを辞退されたら
会社から香典をいただいた際、香典返しを辞退される場合もあります。
辞退の理由として、遺族側の負担を減らしたいという配慮や、連名の香典で1人あたりの金額が少額だという事情が挙げられるでしょう。このような場合は相手の気遣いをありがたく受け止め、香典返しをしなくても問題ありません。
もし香典返しを行わずに感謝の意を示したいのなら、忌明け後にお礼状を送るとよいでしょう。また、日持ちする個包装のお菓子や小分け飲料を配るのも、お礼の方法として有効です。
会社への香典返しはいつ行えばよいか

会社への香典返しは、いつ行えばよいのでしょうか?通常は、四十九日の忌明け後に送る「後返し」か、葬儀当日に手渡しする「当日返し(即返し)」が、一般的な香典返しの時期です。ここからは、会社で手渡しする方法と郵送する方法に分けて、香典返しの適切な時期を解説します。
忌引き休暇後に直接手渡しする
会社への香典返しを行う時期は、忌引き休暇後の初出社時がよいタイミングだといえます。会社に香典返しを持参し、相手に直接手渡しするようにしてください。
出社後は、まず直属の上司にお礼の挨拶をするのがマナーです。続いて、香典をいただいた方や葬儀に参列した方に挨拶します。また、香典をいただいていなくても、忌引き休暇中に業務を引き継いでくれた方にはしっかりとお礼を伝える気遣いが大切です。
始業開始前に、部署全体に向けて職場復帰の挨拶をする時間を設けてもらってもよいでしょう。会社名義の香典や弔電・供花をいただいた場合、香典返しは不要ですが、このような場を借りてお礼を伝えることも可能です。
就業時間外に渡す
会社への香典返しは、始業前や休憩中、終業後など就業時間外に渡すのが一般的です。
始業前に挨拶と併せて香典返しを手渡ししておけば、スムーズに職場復帰できます。連名で香典をいただいた場合には、始業前や休憩中に香典返しを配るとよいでしょう。また、手渡しするタイミングが終業後になるなら、相手の予定に配慮して時間を作ってもらってください。
紙袋に入れて渡す
いつ会社で香典返しを行うにしても、紙袋に入れて渡すようにしてください。香典返しにはかさばらず、持ち帰りやすい品物を選ぶことが大切なポイントです。紙袋に収まり、片手で持てるくらいの大きさを意識するとよいでしょう。
掛け紙をかける
香典返しには、掛け紙をかけるのがマナーです。一般的に、弔事ではのしを添えていない掛け紙を使用します。慶事で使われるのし紙と混同しないように注意しましょう。
掛け紙の表書きには「志」と書きます。また、香典返しを手渡しする場合には、包装紙の上に掛け紙をかける外掛けが主流です。
なお、掛け紙は宗教や地域によって様式が異なります。掛け紙に印刷されている水引は、黒白結び切りが多く見られますが、関西や北陸地方などでは黄白結び切りが使われる場合もあります。
四十九日を終えた忌明け後に郵送する
タイミングや相手との関係によっては、会社で香典返しを手渡しするのが難しい場合もあります。このような場合、四十九日の法事を終えた時期に、香典返しを郵送してもかまいません。
ただし、香典返しを郵送する場合は必ずお礼状を送りましょう。お礼状は香典返しに同封するよりも、先行して送る方がより丁寧です。また、忌引き休暇後の初出社時に顔を合わす機会があれば、「後日、お返しの品を郵送にてお届けします」と伝えるようにしてください。
会社への香典返しに適した品物

会社への香典返しには、どのような品物を選べばよいのでしょうか?ここでは、会社への香典返しに適した品物を相手別にご紹介します。
個人への香典返しに適した品物
個人名義で香典をもらったら、香典返しの品物は通常通り半額から3分の1程度を目安にし、日持ちするお菓子や飲み物、普段使いしやすい日用品などを選びます。
会社から持ち帰ってもらう場合は、軽くてかさばらないものを選ぶとよいでしょう。
会社全体への香典返しに適した品物
会社や取引先から連名で香典をいただいた場合、多人数で分けられる品物が適しています。常温保存可能で個別包装されているお菓子や飲み物なら、いつでも受け取りやすく、よろこばれるでしょう。
会社への香典返しを行う時期や適切な品物を把握し、感謝の気持ちを示しましょう

この記事のまとめ
- 会社から香典をもらったら、必ず名義を確認する
- 香典の名義が「会社名」なら原則として香典返しは不要
- 香典の名義が個人、連名の場合は香典返しが必要
- 取引先から「会社名」で香典をもらった場合、香典返しは不要だが、個人か連名のなら香典返しを行う
- 会社から香典返しを辞退された場合、お礼状や差し入れを用意してもよい
- 会社への香典返しは忌引き休暇後の初出社時に、直接手渡しする
- 会社への香典返しは四十九日の忌明け後に郵送してもよい
会社から香典をいただいたら、まず香典の名義を確認し、香典返しの必要性を判断してください。香典の名義が「会社名」や「取引先の会社名」なら、基本的に香典返しは不要です。社長や上司などの個人、あるいは連名での香典には、香典返しを行います。
会社への香典返しは、忌引き休暇後の初出社時に直接手渡しする方法が一般的ですが、四十九日の忌明け後に郵送してもかまいません。いつ、どのようにして会社への香典返しを行うのか検討し、感謝の気持ちを伝えましょう。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。