開眼供養のお布施の入れ方と渡し方!一般的な相場や納骨も同時に行う場合の金額もご紹介
開眼供養とは、お墓や位牌、仏壇などを購入した際に必要な仏教儀式です。開眼供養では僧侶に読経を依頼するためお布施を準備する必要がありますが、どの程度の金額を用意すればよいのでしょうか?本記事では開眼供養のお布施の目安やマナーを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
開眼供養とは
開眼供養の歴史
開眼供養は「開眼法要」や「魂入れ」「入魂式」と呼ばれることもあり、位牌やお墓、仏壇を新しく購入した際にこれらの仏具に魂を入れてもらうための儀式です。僧侶に読経してもらい魂を入れることで、礼拝や供養の対象になると考えられています。
開眼供養の歴史は奈良時代まで遡るとされており、聖武天皇によって東大寺の大仏が建立された際、大仏の眼をかき入れるという儀式が大々的に行われました。この儀式が、開眼供養の始まりと考えられています。
開眼供養を行うタイミング
開眼供養は、お墓や仏壇、位牌などの仏具を新しく購入した際に行われます。また、引っ越しの際や仏壇を別の部屋に移動させるとき、お墓の場所を移動させた際などにも開眼供養が必要です。開眼供養のみを行うこともありますが、一周忌や三回忌などの法要と合わせて開眼供養を執り行うことも多いです。
浄土真宗では開眼供養を行わない
仏教においては開眼供養を行うのが一般的ですが、浄土真宗では開眼供養は行いません。浄土真宗では「故人は亡くなった後、すぐに極楽浄土へ往生する」とされており、「故人の魂がお墓や仏壇に宿る」という考え方がないため、魂を仏具に入れるための開眼供養は必要ないのです。
ただし、仏壇を新しく購入した場合は「入仏式」「御移徙(おわたまし)」と呼ばれる儀式が行われます。これは、仏壇を開いて本尊を迎えるための準備という意味合いがあります。
開眼供養のお布施の相場とは
開眼供養を行う場合、僧侶に渡すお布施を手配する必要があります。開眼供養を執り行ったことがない場合、どの程度の費用を用意するべきか分からないこともあるでしょう。そこでここからは、開眼供養のお布施の相場について詳しく紹介します。
開眼供養のみを行う場合
開眼供養のみを行う場合、お布施の費用は3万円〜5万円とされています。寺院との関係や地域などによって相場が変わるため、事前に費用について確認しておくと安心でしょう。
納骨も同時に行う場合
開眼供養と同時に納骨を行う場合は、お布施のほかに納骨分の謝礼も必要です。相場は地域によって異なりますが、5万円〜10万円を準備しておくと安心です。状況によってはこれ以上高額になることもあるため、事前にお寺に確認しておくとよいでしょう。
その他に費用がかかることもある
開眼供養を執り行う際は、お布施以外の費用が必要になることもあります。例えば、開眼供養を行う場所まで僧侶に来ていただいた場合、交通費としてお車代を用意する必要があります。
法要後の会食に僧侶が参加しなかった場合は、御膳料が必要です。どちらも1万円が相場ですので、状況に合わせて費用を準備しておきましょう。
開眼供養のお布施の入れ方
開眼供養のお布施は、奉書紙や白い封筒などに包むのが一般的です。お布施の入れ方にもマナーがあるため、間違いのないよう事前に確認しておきましょう。
新札を包む
開眼供養のお布施には、必ず新札を入れるようにしましょう。弔事で包む香典には「慌ててお金を用意した」という意味になるように、新札ではなく古札を使うのがマナーです。しかし、開眼供養では故人を失った悲しみを表現する必要はありません。そのため、綺麗な新札を包むのがマナーとされています。
中途半端な金額は包まない
基本的に、開眼供養のお布施で避けるべき金額はありません。葬儀や法要の香典では「4」「9」などの数字や偶数は避けるべきとされていますが、お布施では問題ないと考えられています。
ただし、中途半端な金額を包むのはお寺や僧侶の迷惑になる恐れがあるため注意が必要です。例えば「15万500円」のような金額を包むのは避けて、千円単位でお布施を包むのがマナーです。
紙幣の向きを揃える
お布施の入れ方として、紙幣の向きを揃えることも一般的なマナーです。お札の向きが揃っていないと、寺院や僧侶がお金を数える際に手間がかかってしまうためです。お札の肖像画が封筒の表面に来るように、紙幣の向きを全て揃えてから包みましょう。香典のときとは紙幣の向きが異なるため、間違えないよう注意してください。
開眼供養のお布施の書き方
開眼供養のお布施を包んだ封筒には、表書きや氏名などを記載します。ここからは、開眼供養のお布施の書き方について詳しく解説していきます。
濃い墨で書く
開眼供養のお布施は、必ず濃い墨を使って書きましょう。お布施には「僧侶や寺院への感謝」という意味合いも込められているため、薄墨を使うのはマナー違反です。
金額は大字の新字体で書く
封筒に包んだお布施の金額を記載する際は、壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)を使います。これは、第三者が金額を書き換えたり改ざんしたりするのを防ぐためです。5万円を包んだ場合は「金 伍萬圓也」、10万円を包んだ場合は「金 拾萬圓也」と書きます。
表書き
封筒の表面には、包んだ目的を意味する表書きを記載します。濃い墨の毛筆または筆ペンを使い、「御布施」または「お布施」と縦書きで記入しましょう。すでに表書きが印刷されている封筒を使っても構いません。表書きの下部分には、施主のフルネームもしくは「〇〇家」と記載してください。
中袋
中袋とは、お金を包むための袋のことです。中袋の表部分には、縦書きで包んだ金額を書き込んでください。裏面には、寺院がお布施を管理しやすいように施主の名前と住所を記載します。中袋も毛筆や筆ペンで記載するのが好ましいとされていますが、筆の扱いに慣れていない場合はボールペンを使っても問題ありません。
裏面
中袋のある封筒を使った場合、裏面には何も書きません。中袋のない封筒を使用した場合は、裏面左下に施主の氏名と住所、入れた金額を記載します。
開眼供養のお布施の渡し方
お布施には、書き方だけでなく渡し方にもマナーがあります。先述した書き方とあわせて確認しておきましょう。
挨拶をしながら渡す
開眼供養のお布施は、挨拶をしながら渡します。無言でお布施を差し出すのは僧侶に対して失礼にあたるため、「本日はよろしくお願いいたします」「遠方よりお越しくださってありがとうございます」などと声をかけながら渡しましょう。
時間があるときに渡す
開眼供養のお布施は、時間があるときに渡しましょう。開眼供養が行われる前でもよいですし、法要が終わったタイミングで渡しても問題ありません。法要前に渡す場合は、最初に僧侶へ挨拶をするのと同時にお布施を渡します。
僧侶が準備に追われて慌ただしくしている場合は、開眼供養が終わって落ち着いたタイミングで渡すのがよいでしょう。
切手盆や袱紗に乗せて渡す
開眼供養のお布施を僧侶に渡す際は、切手盆や袱紗に乗せるのが一般的なマナーです。切手盆とは、仏事の際に使用する黒い小さなお盆のことです。
袱紗からお布施を取り出したら、切手盆や袱紗の上に封筒を乗せます。次に、表書きが僧侶から見て読めるよう封筒の向きを変え、お礼を述べながらお布施を差し出します。直接お布施の封筒を手渡しするのはマナー違反となるため、避けてください。
開眼供養を行う流れ
ここからは、開眼供養を執り行う流れを紹介します。開眼供養前にどのような準備や手配が必要なのか解説していますので、施主となる方は事前に確認しておきましょう。
お墓や仏壇を準備する
開眼供養は、お墓や位牌、仏壇などに魂を入れる儀式です。そのため、開眼供養を行うお墓や仏壇などを最初に準備して置かなくてはいけません。お墓の開眼供養を行う場合は、法要前に墓地を綺麗に掃除しておきましょう。
日程を決める
お墓や仏壇、位牌の準備ができたら開眼供養の日程を決めます。開眼供養では僧侶にお経を読んでもらうため、寺院と相談しながら日程調整を行いましょう。
参列者に連絡をする
開眼供養を執り行う日時が決まったら、参列者に連絡をしましょう。開眼供養を行う一ヶ月前までには案内状を出し、2週間前までに参加可否の返信をもらえるように手配してください。
引き出物を準備する
開眼供養が終わった後、参列者に引き出物を渡す必要があります。ひとりあたり2〜5千円ほどの予算で、食器やタオル、お菓子などを準備しましょう。
食事の手配をする
開眼供養の後に参列者を招いて会食を行う場合は、そちらの手配も事前にすませておきましょう。自宅や法要会場で会食を行うのであれば、弁当や仕出し料理を準備します。料理店やレストランなどに移動する場合は、会場までの交通手段も同時に決めておくようにしてください。
お供え物を準備する
開眼供養を行う前に、供物を準備しておきましょう。供物には、故人が好きだったお菓子や果物、お茶、コーヒーなどが適しています。また、供物と合わせて供花も購入しておくとよいでしょう。法要当日に供物や供花を手配するのは慌ただしくなってしまうため、前日までには準備を整えておくことをおすすめします。
相場やマナーを踏まえて開眼供養のお布施を準備しましょう
この記事のまとめ
- 開眼供養とは、お墓や仏壇、位牌に魂を入れるための儀式
- 開眼供養の費用相場は、開眼供養のみを行うか納骨も行うかによって異なる
- 開眼供養のお布施には新札を用意し、紙幣の向きを揃えて包む
- 開眼供養のお布施は濃い墨で書く
- お布施は切手盆や袱紗に乗せ、挨拶をしながら渡す
開眼供養とは、お墓や仏壇、位牌などに魂を入れる儀式です。開眼供養のみを行う場合と、他の法要を同時に行う場合とではお布施の相場が異なるため、事前に確認しておきましょう。本記事で紹介したお布施の入れ方や渡し方などのマナーについても確認しておき、僧侶や寺院に失礼のないよう開眼供養の儀式を行いましょう。