香典袋はどれを使う?種類の違いや表書きの書き方などを徹底解説
香典袋は、故人の宗派や包む金額などによって、どの種類を使うべきか変わります。本記事では、香典袋の種類の違いや使い分ける方法などを詳しくご紹介します。表書きの書き方や香典の渡し方といったマナーも解説するため、ぜひ参考にしてください。
香典袋にはさまざまな種類がある
香典袋にはさまざまな種類があり、水引の形や色、封筒の柄、包みなどが異なります。基本的に、弔事においては結び切りもしくはあわじ結びの水引を使用するのがマナーです。この2つの結び方は簡単にほどけないため、「もう二度と不幸を繰り返さないように」との意味が込められています。水引の色や封筒の柄、表書きなどは、故人や遺族の宗教・宗派、地域、包んだ金額などによって変わるため注意が必要です。
金額別|香典袋の種類の使い分け
ここからは、包む金額別の香典袋の使い分けについて解説します。包む金額と香典袋の格が釣り合うように注意しながら、香典袋を選びましょう。
1万円未満
友人・知人や会社の人の葬儀では、香典の金額が1万円未満であることもありえます。香典の金額が1万円未満の場合は、水引が印刷されているタイプの香典袋を選びましょう。中でも5千円未満の場合は黒白の水引きを選び、それ以上であれば藍銀の水引きでも問題ありません。
香典袋には本物の水引が付属しているタイプもありますが、これは1万円以上の香典を包む際に使用します。本物の水引がついた香典袋に3千円ほどの香典を包むのは、マナー違反となるため注意してください。
1万円~5万円
兄弟や祖父母が亡くなった場合や自身が30代以上で親族(おじ・おば)が亡くなった場合、1万円〜5万円ほどを包みます。1万円〜5万円を包むのであれば、本物の水引つきを選びましょう。中でも3万円以上を包む場合は、双銀のあわじ結びの水引を選びます。
5万円~10万円
自分の親が亡くなった場合や自身が30代を超えていて兄弟が亡くなった場合、5万円以上を包む場合があります。5万円以上の香典を包む際は、金額に合わせて豪華な香典袋を使用するのがマナーです。中金封の香典袋を選びましょう。水引は双銀で、あわじ結びのものを使ってください。
10万円以上
自身が50代以上で自分の親が亡くなった場合、10万円以上を包むのが相場です。10万円以上なら大金封もしくは特大金封のものを選ぶとよいでしょう。水引は双銀で、あわじ結びのものを使ってください。また、厚みのある高級和紙で作られているものを選ぶなど、香典袋の素材にもこだわりましょう。
宗教別|香典袋の種類の使い分け
どの種類の香典袋を使用するかは、故人の宗教によっても異なります。宗教によって「使ってもよい香典袋」と「使うべきではない香典袋」があるため、間違いのないようしっかり確認しておきましょう。
仏式
仏式のお通夜や葬儀の場合は、白黒の水引がついている白無地の香典袋を選ぶのが基本です。仏式の場合のみ、蓮の花が描かれている香典袋も使用可能です。お通夜や葬儀で渡す香典袋の表書きには、「御香典」「御霊前」「御香料」などが使えます。四十九日以降は「故人は現世を離れて仏様になる」と考えられているため、「御仏前」を使用します。
浄土真宗
仏教の中でも浄土真宗のみ、表書きのルールが異なります。浄土真宗では「故人は亡くなった後すぐに仏様になる」と考えられており、霊の存在は認められていません。そのため、お通夜や葬儀で渡す香典袋の表書きには「御霊前」は使わず、「御仏前」を使用します。また、「故人を成仏させてくれた阿弥陀如来へのお供物」という意味を込め、「御供」を使用することもあります。
キリスト教
キリスト教の場合、水引がついている香典袋は使用しません。ユリや十字架が描かれている封筒か、無地の封筒に香典を包みます。蓮の花が描かれているものは仏教でしか使えず、キリスト教の葬儀には不適切なため注意してください。
また、表書きは宗派によって異なります。故人やご遺族の宗派がカトリックである場合は、「御霊前」や「御花料」「御ミサ料」と書きます。プロテスタントの場合は、「御花料」「忌慰料」と書きます。故人がどちらの宗派に属しているのか分からない場合は、どちらの宗派でも使える「御花料」と書くとよいでしょう。
神道
神道の葬儀では、双銀の水引がついており、絵が描かれていない白無地の香典袋を使用します。水引のない白無地の封筒を使用しても問題ありません。表書きには、「御榊料」や「御霊前」「御玉串料」「御神饌料」などを使用します。
宗派が不明な場合
宗派が分からない場合は、白無地かつ白黒の水引がついているベーシックタイプの香典袋を選ぶのがおすすめです。表書きには、さまざまなシーンで使える「御香料」「御霊前」を使用するのがおすすめです。ただし先述した通り、浄土真宗においては「御霊前」は使用できません。表書きに悩んだら、あなた自身の宗教で使っている表書きを書いて対処しましょう。
香典袋の書き方やマナー
香典袋の外袋や中袋には、氏名や住所、表書きを書きます。これらの書き方には細かくマナーが決まっているため、ご遺族に失礼のないよう事前に確認しておきましょう。
外袋
香典袋の外袋には、表書きと参列者の氏名を書きます。外袋の表面の上段中央に、大きく表書きを記載しましょう。次に、表書きの下段に香典を包んだ参列者の氏名を書きます。
中袋
香典袋の中袋には、氏名と住所、包んだ金額を記入します。中袋の表面には包んだ金額を縦書きで「金参萬圓也」のように記載しましょう。このとき、数字の漢字は、壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)を使います。これは、数字の改ざんを防ぐためとされています。
中袋の裏面の左側には、住所と氏名を記入します。基本的には筆ペンや毛筆を使いますが、ボールペンを使っても問題ありません。
表書きは薄墨で書く
香典袋に書く表書きや氏名は、必ず薄墨を使って書きましょう。これは「故人の訃報を聞き、涙で文字が滲んでしまった」「十分に墨をする時間がなかった」という意味が込められています。
連名の場合は書き方に注意
複数人で香典を包む場合、人数によって名前の書き方が異なるため注意が必要です。3人までの場合は、右から順に立場が上の人の氏名を記載します。立場の違いがない場合は、右から五十音順に氏名を記入しましょう。
4人以上で香典を包む場合は、代表者名を書き、「 外一同」または、団体名を書き、 「一同」と書くのが基本です。また、香典を包んだ人の氏名を書いた別紙を包みの中に入れるのが基本です。
香典袋の包み方
ここからは、香典の包み方に関するマナーを解説します。
お札の向きを揃えて包む
香典袋にお金を包む際は、お札の向きを揃えるのがマナーです。向きが揃っていないと、ご遺族がお札を数える際に手間がかかってしまうためです。また、香典袋の表面に対し、お札の肖像画が裏向きになるように入れましょう。これはお札を裏向きに入れることで顔を伏せているように見せ、悲しみを表すのが目的とされています。
古札を包む
お通夜や葬儀で包む香典には、必ず古札を使用しましょう。新札を包むと「故人の訃報に備えて、事前にお金を準備していた」という印象を持たれてしまうためです。もし古札を準備できない場合は、新札を真ん中で一度折り曲げてから包みましょう。
袱紗に包んで持参する
お通夜や葬儀に参列する場合、香典袋は袱紗に包んで持参するのがマナーとされています。香典袋を直接バッグに入れて持ち歩くのは、故人やご遺族に対して失礼になります。また、香典袋が汚れたり破損する恐れがあるため、必ず袱紗に入れて持ち運んでください。
お通夜や葬儀の香典を包む袱紗には、グレーや紫、紺色、深緑色など寒色系のものを選びましょう。オレンジや赤といった明るい色の袱紗は慶事で使うものであり、弔事では使えないため注意してください。
香典の渡し方
香典の書き方や包み方とあわせて、香典の渡し方に関するマナーも確認しておきましょう。
受付時に渡す
香典は、お通夜や葬儀の受付時に渡すのが基本です。受付で記帳を済ませた後、係の人へ香典袋を渡しましょう。受付が設けられていない場合は、ご遺族や喪主に直接手渡します。
香典袋の向きを変えて渡す
香典を渡す際は、香典袋の向きに注意しましょう。相手から見て封筒の表書きが読めるよう、向きを変えて渡すのがマナーです。香典を袱紗から取り出した後、反時計回りで袋を回転させてから渡しましょう。
両手で香典袋を渡す
香典袋を渡す際は、必ず両手を添えてください。香典袋を片手で差し出すのは、相手に失礼になるため避けましょう。また、香典を渡す際に袱紗は香典袋の下に重ねるか、受付台に置いておきます。
お悔やみの言葉は手短に伝える
香典を渡す際はご遺族や受付係にお悔やみの言葉を述べますが、長々と挨拶をするのは避けましょう。「この度はご愁傷さまです」「この度はお悔やみ申し上げます」など簡単に挨拶し、すぐにその場を離れます。
香典袋の種類や書き方に関するマナーを事前に押さえておきましょう
この記事のまとめ
- 香典袋にはさまざまな種類があり、包む金額や宗教によって使うべき種類が異なる
- 香典袋の外袋には、薄墨で表書きと参列者の名前を書く
- 香典を包む際は古札を準備し、お札の向きを揃える
- 香典袋はそのまま持ち歩かず、袱紗に包んで持参する
- 香典を渡す際は香典袋の向きを変え、両手を添えるのがマナー
香典袋にはさまざまな種類があり、包む金額や宗教などによって使うべき種類が異なります。どの香典袋を使うべきか迷ったら、本記事で紹介した香典袋の選び方を参考にしてみてください。また、香典の書き方や包み方、渡し方などのマナーもしっかりと押さえておきましょう。