法要のお供えは何が最適?金額の相場やのし紙の種類など、基本のマナーを詳しく解説
法要に招かれた際は、お供え物を持参するのがマナーです。どの程度の相場でお供え物を準備するべきなのか、何を持っていくのが適切なのか、悩んでしまう方も多いでしょう。本記事では法要のお供え物に適した品物や相場、のし紙の種類といったマナーを解説します。
法要のお供え物の選び方
まずは、法要で持参するお供え物の選び方を紹介します。
日持ちするものを選ぶ
お供え物には、日持ちするものを選ぶのがマナーです。法要のお供え物は数日間仏壇にお供えされるため、すぐに傷んでしまうものは避けましょう。また、ケーキやアイスなど冷蔵庫での保管が必要な品物も、お供え物としては不適切です。故人の仏壇にお供えできるよう、常温保存ができる品物を選んでください。
例えば、おまんじゅうや羊かんなどの和菓子や、クッキー、マドレーヌなどの焼き菓子などがおすすめです。遠方から法要に訪れる場合は、住んでいる地域の特産品をお供え物として持参してもよいでしょう。
消え物を選ぶ
お供え物には、消え物を選ぶのがマナーとされています。消え物とは、線香やロウソク、日用品などの消費して無くなるものを指し、「故人を失った悲しみが消えるように」という意味が込められています。
分けやすいものを選ぶ
お供え物には、分けやすいものを選ぶのもおすすめです。地域や家庭によっては、お供え物を参列者に配ったり、法要中のお茶請けとして出したりすることがあります。ご喪家の方が分割しやすいよう、個包装になっている品物を選ぶと親切でしょう。
おすすめの法要のお供え物
法要のお供え物の選び方が分かったところで、ここからはおすすめの品物を紹介します。「具体的に何を持っていけば良いか分からない」と悩んでいる方は、ぜひこちらを参考にしてみてください。
果物
法要のお供え物としておすすめなのが果物です。仏教において、故人の魂は丸い形をしていると考えられています。そのため、リンゴやメロン、桃といった丸い果物は、お供え物に適切だとされています。
法要が行われる時期や購入場所によっては、お供え物用の果物がセットになって販売されていることもあります。お供え物の果物の種類にルールなどはありませんが、果汁が出やすいものや傷みが早いもの、匂いが強いものなどは避けた方がよいでしょう。
お菓子
お菓子も、法要の供物として選ばれることの多い品物です。お菓子をお供え物として持参する場合は、冷蔵・冷凍保存ではなく常温で保存できるものを選ぶのがマナーです。和菓子なら最中や羊かん、せんべい、饅頭などがおすすめです。特に、小豆を使用した和菓子は昔から供物として選ばれてきたため、迷ったら小豆が使われているお菓子を選ぶとよいでしょう。
洋菓子を選ぶのなら、クッキーやフィナンシェ、マドレーヌなど、日持ちする焼き菓子を選びましょう。また、法要後に分けやすいよう、個包装になっている商品を選ぶと喜ばれます。
花
仏壇や祭壇を華やかに彩る花も、法要のお供え物としておすすめの品物です。生花でも問題ありませんが、ご喪家が花を飾るための花瓶を準備することになります。ご遺族の手を煩わせないためにも、すぐに飾れるプリザーブドフラワーや造花といったアレジメントされている花を選ぶとよいでしょう。
また、法要の種類によって適した花の種類が異なるため、注意が必要です。四十九日までの法要の場合、白い百合や菊、胡蝶蘭といった種類が好まれます。四十九日以降の法要であれば、青や赤といった色が入った花を持参しても問題ないとされています。
ロウソク・線香
法要のお供え物に何を持参するべきか迷ったら、ロウソクや線香を用意するのがおすすめです。ロウソクや線香は法要の最中だけでなく、毎日のお参りにおいても使えるため、喜ばれることが多いです。ロウソクを選ぶ際は、花の絵柄が入っているものや蜜蝋をはじめとする特別な材料でできたものを選ぶのがおすすめです。
線香は商品の種類によって香りが異なり、ラベンダーやサクラなどの花の香りがするものや、沈香や伽羅などの香木を使っているものまでさまざまです。線香を持参するのなら、故人が好きだった香りを選ぶと喜ばれるでしょう。ただし、匂いが強すぎるものは相手の迷惑になる恐れがあるため、注意が必要です。
お酒
故人がお酒好きな方であったのなら、日本酒やワイン、ビールといったお酒をお供え物として持参してもよいでしょう。故人が好きだった種類のお酒や銘柄などを供物に選べば、故人のことを思い出して供養するきっかけにもなります。
ただし、地域の慣習や宗派、ご喪家の意向によっては、「お酒は避けるべき」と考えることもあるため注意が必要です。また、お供え物としてお酒を持参しても問題ない場合も、大量のお酒を持っていくのはご遺族の迷惑になってしまうため注意しましょう。
法要のお供え物として不適切なもの
お供え物として不適切な品物を持参するのはマナー違反であり、ご遺族や故人に対して失礼にあたるため注意が必要です。ここからは法要のお供え物に向かない品を紹介します。
トゲのある花
法要のお供え物として花を選ぶ場合は、トゲのある花を避けましょう。バラやアザミなどのトゲがある花は、故人の仏壇にお供えする際に怪我をしてしまう恐れがあるためです。また、毒のある花や色味が鮮やかすぎるもの、香りが強すぎるものなども、避けた方が無難です。
ただし、花の好みは人によって大きく異なります。故人がトゲのある花や色が鮮やかな花を愛していたり、親族が「故人が好きだった花をお供えしたい」と考えたりしている場合などは、バラやアザミなどを持参しても問題ないでしょう。「トゲのある花は避けるべき」というのはあくまで基本的なマナーのため、故人の好みやご遺族の気持ちを優先することをおすすめします。
殺生を連想させるもの
殺生を連想させるものは、法要に持参するお供え物には不適切です。仏教では本来殺生を禁止しており、法事や法要という場面で肉や魚といったものをお供えするのはマナー違反と考えられています。ハムやソーセージといった加工品であっても、殺生を連想させるため避けた方が無難でしょう。
また、ニラやニンニクといった強い匂いがする食べ物も、お供え物としては不向きです。これらは故人の仏壇にお供えするにはふさわしくなく、迷惑になってしまう恐れがあります。生前の故人が肉や魚、香りの強い食べ物を好んでいた場合でも、こういった食品は避けるようにしてください。
4・9の数字がつくもの
4や9といった数字に関連するものも、法要のお供え物としては不適切です。4は「死」を、9は「苦しみ」をイメージさせてしまう数字であるため、法要の場では避けるべきと考えられています。例えば、食品名に「4」という数字が入っているものや、9個入りのお菓子などは選ばないようにしましょう。
法要のお供え物の金額相場
法要に招かれてお供え物を選ぶ際、どの程度の金額が適切なのか迷ってしまう方も多いでしょう。相場にそぐわない品物を準備してしまうと、相手に対して失礼になる恐れがあります。ここからは、法要で持参するお供え物の一般的な金額を解説します。
3〜5千円が相場
法要に参加する場合のお供え物は、一般的に3〜5千円のものを準備することが多いです。お菓子やロウソク、花などを供物として持参する場合は、このくらいの金額を意識しましょう。
血縁関係にある場合は相場が高くなる
上述の通り、お供え物は3〜5千円が目安とされていますが、故人と血縁関係にある場合は相場が高くなる傾向があります。例えば両親の年忌法要の場合、1〜3万円程度のお供え物を用意することが多いです。
一方、故人の友人だったり、ほとんど面識のない遠い親戚の法要に参加したりする場合は、3〜5千円ほどの供物で問題ないでしょう。自分がどの程度の金額を出すべきか迷ったら、少し高めのお供え物を購入するのがおすすめです。
法要のお供え物の包み方のマナー
お供え物は買ったときの状態で渡すのではなく、きちんと包装する必要があります。お供え物の包み方のマナーをしっかりと押さえていないと、ご遺族に対して失礼にあたるため注意してください。ここからは法要のお供え物の包み方に関する基本的なマナーを解説します。
弔事用のかけ紙を使う
法要のお供え物には、弔事用のかけ紙をかけましょう。かけ紙とは、表書きや水引が印刷されている紙のことです。「のし」が印刷されている紙は法要のお供え物としては不適切なため、弔事用の表書きと水引のみが印刷されているものを使用するのがマナーです。
また、弔事用のかけ紙は、品物の包装紙の上から貼るのが一般的です。包装紙の下側にかけ紙をつけた場合、お供え物を受け取った際に誰からのものか分からなくなるためです。一目で贈答者が分かるように包装紙の上からかけ紙をかけ、名前を書きましょう。
表書き
かけ紙の表書きは、法要の種類によって異なるため注意が必要です。仏教において、「人は亡くなった後四十九日までは霊となり、極楽浄土に行けるかの審判を待つ」と考えられています。そのため、四十九日前の法要に参列する場合は、「御霊前」という表書きが適切です。
四十九日以降は、故人の霊は成仏して仏になると考えれているため、年忌法要などでは「御仏前」「御佛前」といった表書きを使用しましょう。ただし、浄土真宗では「人は亡くなった後すぐに仏になる」と考えられているため、四十九日前の法要でも「御仏前」「御佛前」を使用します。もし宗派が分からない場合は、「粗供養」「御供」を使うとよいでしょう。
水引
お供え物の水引は、「結び切り」と呼ばれる種類のものを選びましょう。結び切りは一度結ぶと解くことが難しい結び方であり、人生において繰り返したくないことに使用されます。法要は弔事の儀式の一種であるため、結び切りを使用するのがマナーです。
また、水引の色は法要の種類によって異なるため、間違いのないよう注意を払いましょう。一般的に、四十九日までの法要には白黒の水引が、四十九日以降は双銀の水引が使われます。また、三回忌以降は黄白の水引が使用されますが、色味は地域によって違うため前もって確認しておきましょう。
法要のお供え物の渡し方
お供え物の包み方だけでなく、渡し方にもマナーがあります。故人を供養する気持ちが伝わるよう、きちんとマナーを踏まえてお供え物を渡しましょう。
紙袋から出して渡す
果物やお菓子などは、紙袋に入れて持参しますが、この際、お供え物は紙袋に入れた状態ではなく、中身を取り出して渡すのがマナーです。紙袋ではなく、風呂敷にお供え物を包んで持参すると、より丁寧な印象を与えられます。風呂敷を使用する場合も、お供え物を渡すときは中身を取り出しましょう。
施主に渡す
お供え物は、施主に渡すのがマナーです。施主以外のご遺族に渡したり、故人の仏壇にお供えしたりするのはマナー違反となるため注意が必要です。
挨拶をしながら渡す
お供え物を施主に渡す際は、挨拶をしながら品物を手渡すようにしましょう。まずは「この度はお招きいただきありがとうございます」と伝え、お供え物を渡しながら「御仏前にお供えしてください」と添えます。
マナーやおすすめの品を参考に、法要のお供え物を選びましょう
この記事のまとめ
- 法要のお供え物には、日持ちするものや消え物、分けやすいものを選ぶのがマナー
- おすすめのお供え物は、果物やお菓子、花、ロウソク、線香など
- トゲのある花や香りが強すぎる花、色味が鮮やかすぎるものはお供え物としては不適切
- 殺生を連想させるものや、4・9の数字に関連するものなども避ける
- お供え物の金額は3〜5千円が相場だが、故人と血縁関係にある場合は相場が高くなる傾向にある
- お供え物を包む際は弔事用のかけ紙を使う
- お供え物は紙袋から出し、挨拶をしながら施主に手渡す
法要のお供え物は、故人を偲んでご遺族を労わるために渡すものです。法要に参列することになった場合は、前もってお供え物を準備しておきましょう。お供え物を持参する際は、金額や基本的なマナー、渡すタイミングなどをしっかりと押さえましょう。