お布施を渡すタイミングは?失礼にならない渡し方や準備についても解説
葬儀や法要の際に僧侶へのお礼として渡すお布施ですが、「渡すタイミングが分からない」と不安な人も多いのではないでしょうか。本記事では、お布施を渡す正しいタイミングについて解説します。渡し方のマナーや流れも紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
お布施とは
お布施とは、葬儀や法要の際に遺族からのお礼としてお寺の僧侶に渡すものです。もともとお布施は、仏教で悟りを開くための修行法のひとつでした。そのため、お布施は読経や戒名といった供養の対価というよりも、僧侶と寺院に対する感謝の気持ちだと意識しましょう。
お布施の金額に明確な決まりはなく、お寺の宗派や地域、儀式の内容によって金額の相場は変動します。お布施にいくら包めばよいのか不安な人は、周囲に相談してから用意するとよいでしょう。
お布施を渡す正しいタイミングはいつ?
ここからは、葬儀と法要それぞれの場面においてお布施を渡す正しいタイミングを解説します。
葬儀でお布施を渡す場合のタイミング
葬儀でお布施を渡す場合、タイミングは2回あります。
葬儀が始まる前のタイミング
一般的に、葬儀が始まる前のタイミングでお布施を渡すことが多いです。葬儀を始めるにあたって、先に喪主が僧侶に挨拶をします。このタイミングであれば、落ち着いて僧侶にお布施を渡すことができるでしょう。
なお、お寺から僧侶が複数人来る場合、一番地位の高い人にお布施を渡すようにしてください。お布施を渡す際に「本日は故人のために、お勤めをよろしくお願いいたします」といった一言を添えるとより丁寧です。
葬儀が終わった後のタイミング
葬儀当日はさまざまな用意や対応に追われ、僧侶への挨拶に十分な時間を取れない可能性も考えられます。葬儀前にお布施を渡すタイミングを逃してしまった場合、一連の儀式が終わってからでも問題ありません。「本日はお越しいただき、ありがとうございました」と僧侶にお礼を述べた上で、お布施を渡すとよいでしょう。
また、どうしても葬儀当日にお布施を渡すタイミングがなければ、後日お寺に出向いて渡すのもひとつの方法です。
法要でお布施を渡す場合のタイミング
葬儀を終えた後も、四十九日や一周忌などの法要が続きます。法要の際はいつお布施を渡したらよいのか、事前にタイミングを確認しておきましょう。
法要が始まる前のタイミング
法要においても葬儀と同様に、儀式が始まる前のタイミングでお布施を渡すようにしましょう。
自宅で法要を行う場合、当日に遺族が僧侶に挨拶するタイミングでお布施を手渡すとスムーズです。併せて、「本日は故人の一周忌法要でお世話になります。よろしくお願いいたします」と挨拶し、お互いに気持ちよく法要に臨みましょう。
また、お盆やお彼岸などに際して、寺院で合同法要が催される場合もあります。合同法要の当日には、受付や案内口を用意している寺院が多いため、受付のタイミングでお布施を渡す流れが一般的です。
法要が終わった後のタイミング
法要の開始前に時間の余裕がなければ、儀式がすべて終了したタイミングで渡すことも可能です。お寺と僧侶に対し、無事に法要を執り行えた感謝の気持ちを改めて伝えるとよいでしょう。
お布施の渡し方に関するマナー
お布施の渡し方についても注意するべき点があります。お布施を僧侶に直接手渡す行為はマナー違反になるため、ここから紹介するお布施を渡す方法をしっかりと押さえておきましょう。
お盆にのせて渡す
お布施をお盆にのせて渡す方法が、マナーに沿った一般的な渡し方です。この際、切手盆と呼ばれる冠婚葬祭用の小さな黒塗りのお盆を使用します。
葬儀当日に切手盆を用意できない場合、葬儀社に借りることも可能なため相談してみるとよいでしょう。お布施を袱紗から取り出して重ね、切手盆にのせて渡すのが最も丁寧です。
お布施を渡す流れは、以下の通りです。
お布施を渡す流れ
- お布施を自分の方に向けた状態で切手盆にのせる
- 切手盆を両手で持ち、僧侶側から見て正面になるよう右回りに回転させる
- 切手盆を僧侶に差し出し、お布施を受け取ったらお盆を下げる
袱紗にのせて渡す
お寺や自宅などでの法要で切手盆がない場合、袱紗(ふくさ)にのせてお布施を渡すようにしてください。
お布施はあらかじめ袱紗に包んでおき、僧侶に渡すタイミングで取り出すのが正しいマナーです。また、取り出したお布施をそのまま手渡すのではなく、袱紗をたたんでお盆の代わりにします。切手盆を使用するときと同じく、お布施が僧侶から正しく見える向きに持った上で差し出しましょう。
弔事のタイミングで用いる袱紗は、紺色や深緑色、灰青色などの暗い色が適しています。紫色の袱紗であれば、弔事と慶事のどちらでも使用可能です。
弔事の袱紗の包み方
弔事では、袱紗の色だけでなく包み方にもマナーがあります。お布施を袱紗に包む手順は、以下の通りです。
弔事における袱紗の包み方
- 袱紗をダイヤの形になるように広げる
- お布施を入れた奉書紙や封筒を中央よりやや右側に置く
- 右側から下、上、左の順に袱紗を折ってお布施に被せる
上記のように左開きで袱紗を開ける状態でお布施を包み、僧侶に渡すタイミングで取り出してください。お布施を渡す正しいタイミングと方法を押さえておくと、葬儀や法要の際に慌てず対応できます。
お布施を渡す際に注意したいマナー
お布施を渡すタイミングのほかにも、気をつけるべきマナーがあります。ここからはお布施の包み方から表書きの書き方まで詳しく解説しますので、目を通しておきましょう。
お布施の包み方
お布施は「奉書紙(ほうしょし)」と呼ばれる和紙で包むか、白無地の封筒に入れて渡すようにしましょう。
奉書紙
奉書紙を使う場合、お布施を中袋に入れた上で包んでいきます。奉書紙のツルツルした面が表、ザラザラした面が裏です。
奉書紙の裏面を広げ、中袋を真ん中より左側に置きます。そこから左、右、下、上の順で奉書紙を折り、お布施の中袋に重ねてください。
白封筒
お布施は、奉書紙の代わりに白い封筒に入れて渡すことも可能です。
白封筒には、無地のものか「お布施」と印字されているものを使います。ただし、郵便番号欄のある白封筒は選ばないようにしてください。また、白封筒にお布施を入れる場合、中袋は使用せず裏面に住所や金額を記載します。
お布施の入れ方
奉書紙の中袋や白封筒にお布施を入れるタイミングで、お札の向きと角を必ず揃えてください。また、お布施には新札を用意するのが一般的なマナーです。
お札の肖像画が描かれている面を、奉書紙や白封筒の表面にあたるようにして入れます。また、肖像画の部分は奉書紙や白封筒の上側に来るようにしましょう。お布施の入れ方を整えることで、より丁寧な印象を与えるだけでなく開封時にお寺側が中身を確認しやすくなります。
お布施の表書きの書き方
お布施の奉書紙や白封筒には表書きをして、裏面にも必要事項を記入します。お布施を渡すタイミングで正しい表書きが僧侶に見えるよう、書き方を確認しておきましょう。
奉書紙の書き方
お布施に奉書紙を使う場合、奉書紙の中央上部に「お布施」と表書きします。その下にお布施を渡す喪主の氏名、あるいは「〇〇家」という家名を書きましょう。
また、中袋の左下部分に喪主の氏名と住所、電話番号を記入します。表書きが家名となっている場合、裏面には氏名を書くと相手に分かりやすくて親切です。お布施の金額は、アラビア数字ではなく漢数字の旧字体を使用しましょう。
表書きや裏書きには原則として濃墨を用い、記入間違いや漏れがないように気をつけてください。
白封筒の書き方
白封筒の場合も表面の中央上部に「お布施」と書き入れますが、すでに印刷されている封筒の場合は書き入れる必要はありません。下部に喪主の氏名か家名を書きましょう。
封筒の裏面に喪主の氏名や住所、お布施の金額を記入してください。漢数字は旧字体にして濃墨を使う点も奉書紙と同様です。誰からのお布施であるのか、僧侶がどのタイミングでも確認できるように配慮して表書きを書きましょう。
お布施を正しいタイミングで渡すことで僧侶に感謝を伝えましょう
この記事のまとめ
- お布施は、葬儀や法要の際に僧侶に渡すお礼のしるし
- 葬儀や法要でお布施を渡すタイミングは、葬儀が始まる前か終了後
- お布施は奉書紙や白封筒で包み、切手盆か袱紗にのせて渡す
- お布施を入れるタイミングでお札の向きを揃えておく
- 奉書紙や白封筒には、濃墨で「お布施」の表書きや必要事項の裏書きをする
葬儀や法要を行う際、お布施を渡すことによってお寺と僧侶に感謝を伝えられます。お布施は葬儀や法要が始まる前に渡すのが一般的ですが、儀式の開始前に十分な時間が取れない場合は終了後でも問題ありません。
お布施を渡す正しいタイミングとマナーを理解し、落ち着いて葬儀や法要に臨みましょう。