命日にやってはいけない事って?お供え物や服装のマナーを押さえて失礼のないように過ごそう
命日とは一般的に故人が亡くなった月日を表し、遺族や親族が集まって故人のことを偲ぶ日です。命日にやらなければならないことの決まりはありませんが、やってはいけないことはいくつかあります。本記事では、命日にすることやおすすめのお供え物、やってはいけないことを紹介します。
命日とは?
命日は「祥月命日(しょうつきめいにち)」「月命日(つきめいにち)」の2種類あります。まずはそれぞれの違いを解説しますので、目を通しておきましょう。
一年に一度の「祥月命日」
命日とは一般的に祥月命日のことを指します。祥月は故人が亡くなった日の一年後からの逝去月を指し、命日は逝去日を指すため、二つを合わせた言葉が祥月命日です。
祥月命日に行われる一周忌や三回忌、七回忌などの法要は年忌法要と呼ばれます。
祥月命日を除く毎月の「月命日」
月命日とは、故人が亡くなって一か月後からの逝去日のことです。月命日は「月忌(がっき)」とも呼ばれており、毎月訪れる祥月命日以外の日を指します。一年に一度の祥月命日とは異なり、一年で11回訪れるのが月命日です。
命日にすること
命日にすることは、特に決まりはありません。住んでいる地域や宗派によって命日にすることは異なるため、ここでは一般的な例を紹介します。
祥月命日にすること
祥月命日には、故人のことを思ってさまざまな追善供養を行います。まずは、祥月命日に行われる主な供養方法を解説します。
法要を行う
年忌法要にあたる年の祥月命日は、法事法要を行うことが多いです。亡くなってから一年目の一周忌、二年目の三回忌に行い、それ以降は七回忌、十三回忌というように「三」と「七」がつく年度に行われます。一般的に一周忌と三回忌は親戚や知人を招待し、僧侶による読経と参列者による焼香を行った後に会食を行う場合も多いです。
年忌法要はいつまで行うという決まりはありませんが、一般的には三十二年目の三十三回忌で弔い上げとし、最後にすることが多いです。ただし、地域の慣習や宗派によって異なるため、不安な場合は周囲の方や菩提寺に相談するとよいでしょう。
お墓参りを行う
祥月命日には、お墓参りを行うことも多いです。祥月命日は年に一度しかないため、親族が集まりにくい場合は祥月命日より前の日に行っても構いません。
お墓参りを行わなければならないという決まりはありませんが、年忌法要を執り行わない年でも祥月命日には毎年お参りするのがよいでしょう。
卒塔婆供養を行う
年忌法要の際に、卒塔婆供養を行う場合も多くあります。卒塔婆とは、お墓のわきや後ろに立てる細長い木の板のことです。卒塔婆には、主に戒名や命日、経文や梵字、供養年月日などが記されています。
卒塔婆供養を行う場合、事前にお寺へ依頼して卒塔婆を作成してもらいます。卒塔婆の金額はお寺ごとに決まっており、1本3千円~1万円が相場です。ただし、卒塔婆を建てないお寺や宗派もあります。
月命日にすること
月命日にすることも、祥月命日と同じように決まりはありません。一般的な供養方法としてお墓参りを行ったり、お供え物を用意してご遺族や親族による焼香を行ったりします。
ただし、月命日は毎月訪れるため、お墓参りやお供え物をせずに焼香のみの場合も多いです。また、仏壇の掃除やお墓の掃除を行う家庭も多くあります。
命日にやってはいけないこと
ここからは命日にやってはいけないことを紹介します。参列者として法要に出席する際は、贈り物や服装などにも気をつけましょう。
肉・魚・酒を供える
命日にお供え物をする際に、肉や魚、酒などを供えることは避けましょう。一般的に、仏教では殺生をイメージさせる肉や魚のお供えはしてはいけないとされています。また、宗派によっては飲酒戒があり、酒を供えてはいけない場合もあるため注意しましょう。
ただし、肉や魚、酒などをお供えしてもよい宗派もあるため、お供え物をする際には故人の宗派を確認しておくとよいでしょう。
生菓子を供える
お供え物に生菓子を供えるのも避けましょう。生菓子は賞味期限が短く要冷蔵のものもあるため、遺族の負担になってしまう場合があります。そのため、お供え物を持参する際は生菓子を選ばないようにしましょう。
墓前に大きくかさばるお供え物をする
お墓参りの際に、墓前に大きくかさばるお供え物をすることも避けましょう。一般的に、お墓参りで墓前にお供えした食べ物は持ち帰らず、その場で仏様のおさがりとしていただく慣習があります。そのため、食べ切れない量のお供え物をするのは避けましょう。
万が一食べ切れなかった場合、墓前にお供え物を残すこともしてはいけません。その場に残しておくと腐敗して悪臭や害虫が発生したり、野生動物の餌になったりして墓地が荒れてしまう場合があります。墓前に飲食するスペースがない場合は、持ち帰って食べるようにしましょう。
ただし、地域の慣習や宗派によってはお供え物をその場で食べずに持ち帰る場合もあるため、あらかじめ確認するとよいでしょう。
棘のある花・香りの強い花・鉢植えの花をお供えする
花を贈り物とする場合、バラやアザミは棘が殺生を連想させるため、供花には向いていません。
また、香りの強い花を贈るのも一般的にやってはいけないとされています。これは、仏前のような狭い空間では香りがこもってしまい、遺族や参列者に迷惑をかける場合があるためです。また、仏様は香りを召し上がるという考えもあり、強すぎる香りは苦手とされています。
鉢植えの花は自宅用であればよいとされる場合もありますが、お供えには向いていません。鉢植えは生きている状態のため、葉や枝が落ちたり枯れたりと管理が難しいことも挙げられます。
華やかな服装や匂いの強い香水をつける
命日の法要をする際は、華やかな服装や匂いの強い香水をつけるのもやってはいけないことです。一般的に、法要では地味で控えめな服装にするのが望ましいとされています。法要は故人を偲ぶ場であるため、華やかな服装や目立つ服装は避けましょう。
また、匂いの強い香水は、香りの強い花と同様にご遺族や参列者に不快な思いをさせる恐れがあります。香水などをつける場合は控えめな香りにするのがよいでしょう。
命日におすすめのお供え物
ここまでは、命日にやってはいけないことでお供え物や食べ物を紹介してきました。ここからは命日におすすめのお供え物を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
旬の果物
命日のお供え物には旬の果物がおすすめです。季節感があり、その時期に収穫される栄養価の高い果物のため、故人を偲ぶ気持ちを表現するのに適したお供え物と言えるでしょう。
一般的に、丸くて日持ちする果物がよいとされています。傷みやすいものや酸味の強いものなどは避けた方がよいでしょう。
賞味期限が長いお菓子
命日のお供え物には、賞味期限が長いお菓子を選ぶのもおすすめです。和菓子なら羊羹や饅頭、せんべいなど、洋菓子ならクッキーやマドレーヌ、カステラなどがよく選ばれます。遺族の家族構成や年齢層を考慮して、適したお菓子を選びましょう。
また、地域によってはお供え物を親族や線香を上げにきてくれた方に振る舞う慣習があります。そのため、お供え物は分けやすいものや個包装のものなどにすると喜ばれるでしょう。
日持ちする花
命日の供花は、日持ちする花を選びましょう。故人の好きだった花がよいですが、好みが分からない場合は白・黄・青・紫などの花が望ましいとされています。
また、命日の供花にはフラワーアレンジメントもおすすめです。ご遺族に花の管理の手間を取らせることなく、そのまま供えられるため喜ばれるでしょう。
供花におすすめの和花
- 菊
- リンドウ
- キンセンカ
- グラジオラス
供花におすすめの洋花
- リリー
- カーネーション
- アジサイ
- ガーベラ
線香
遺族に家族が少ない場合や、一人暮らしをしている場合は、線香をお供え物にするのもおすすめです。お菓子や果物などが重なってしまうと、消費しきれないこともあるでしょう。
線香には、煙が立たないものや香りが弱いものなどさまざまな種類があるため、ご遺族の環境を考慮して選ぶようにしましょう。
命日の服装マナー
前述した通り、命日には地味で目立たない服装が望ましいですが、実際には何を着用すればよいのでしょうか?ここからは、一般的な命日と年忌法要に分けて服装を紹介します。
平服や普段着でよい
月命日や毎年の祥月の場合は、平服や普段着を着用しても問題ありません。ご遺族のみ、または親しい親族のみの場合、僧侶の読経や会食はせずにお墓参りのみ行うこともあるでしょう。
ただし、明るい色や露出の多い服装などは避け、地味な色合いにするなどの配慮は必要です。
年忌法要の際の遺族は準礼装、参列者は略礼装
年忌法要で僧侶に読経を依頼した場合や、会場を借りて行う場合などは服装マナーに注意する必要があります。法要の際、遺族は準礼装、参列者は略礼装にするのが一般的です。参列者はご遺族よりも格式の高い服装にならないよう注意しましょう。
ただし、ご遺族の意向によって平服でよいとされる場合もあります。この場合、ご遺族の意向に従うのがよいでしょう。
命日はマナーを踏まえたお供え物や服装で故人を偲びましょう
この記事のまとめ
- 毎年の命日は、祥月命日(しょうつきめいにち)と呼ぶ
- 毎月の命日は、月命日(つきめいにち)と呼ぶ
- 年忌法要は、一周忌、三回忌までは大きく行われることが多い
- 命日に肉・魚・酒・生菓子などを供えてはいけない
- 棘のある花・香りの強い花・鉢植えの花もお供えするのは避ける
- 命日のお供え物は、旬の果物や賞味期限が長いお菓子、日持ちする花が望ましい
命日にやることに決まりはありませんが、お供え物や服装などではやってはいけないことがあるため、あらかじめマナーを知っておくことが大切です。故人を偲ぶ気持ちをきちんと表現できるように、本記事で紹介したやってはいけないことを覚えてマナーを踏まえた振る舞いをしましょう。