生前整理の費用は?内訳と金額の目安、安くする方法もご紹介

終活の一環として行う生前整理は、どのくらい費用がかかるかご存知でしょうか?本記事では、生前整理の内訳と金額の目安を紹介します。また、生前整理にかかる費用を安くする方法についても提案しているため、ぜひ参考にしてみてください。
生前整理とは?

昨今は終活が注目されており、終活の一環として身の回りの不要なものを整理・処分して、ものを減らす活動のことを生前整理といいます。本記事では、生前整理を行う目的や遺品整理との違いについて解説します。
生前整理をする理由
生前整理を行うのには、大きく分けて二つの理由があります。一つ目は、残りの人生をより良くするためです。生前整理を通して身の回りのものを仕分けることで、本当に大切なものだけが残ります。
自分の残りの人生において必要なものか否かを考える作業は、自分自身を見つめ直せたり、その後の人生プランを立てやすくなることにつながります。
二つ目の理由は、ご自身が亡くなった後の家族の負担を減らせることです。家財の量が多いと、処分に多額の費用がかかることもあります。生前にあらかじめものを減らしておくことで、残された家族の肉体的負担や金銭的負担を軽減できるでしょう。
遺品整理との違い
生前整理と遺品整理との大きな違いは、ご自身が主体となって行えるかどうかです。残しておきたいもの、家族に相続させたいもの、ご自身の死後に処分してほしいものなど、ほかの人には判断しにくいこともあるでしょう。しかし、生前整理をして家族に希望を伝えておけば、ご自身が亡くなった後でも対処しやすくなります。
一方、遺品整理は故人の所有物を親族で分配・処分することです。親族が集まって行うのが原則とされていますが、遠方に住んでいたりすると、スケジュールを合わせるのが難しく、なかなか進まないこともあります。
状況別|生前整理の費用相場

生前整理には、「自分で行う」「家族で行う」「業者に依頼する」の三つの方法があります。それぞれかかる費用は異なるため、ひとつずつ確認していきましょう。
1.自分で行う場合の費用相場
所有物の量が少なく大型のものがない場合は数百円~数千円程度の処分費で足りるでしょう。この金額は、生前整理に必要となるゴミ袋・軍手・粗大ゴミの回収などにかかる費用です。ただし、所有物が多いほど処分費用は高額になっていきます。
自分で行う場合の費用
- 数百円~数千円程度(処分するものの量が少ない場合)
2.家族で行う場合の費用相場
大型家具の処分のような力がいる作業が発生したり、所有物が多い場合は、家族と一緒に生前整理を行うのが安心でしょう。その場合、自分で行うときと同じように、数百円~数千円程度の費用がかかります。
搬出する量が多く、トラックをレンタルしての作業が必要な場合はレンタル料金がかかります。車種や利用時間によって料金が異なりますが、一般的に6千円~3万円程度です。さらに、不用品をゴミ処理場にトラックで持ち込む際には処分費がかかります。自治体によって料金は異なるため、事前に調べておきましょう。
家族で行う場合の費用
- 数百円~3万円程度(別途ゴミ処分費が必要)
3.業者に依頼する場合の費用相場
生前整理を業者に依頼する場合、部屋の広さによって料金が異なります。一般的な例として、下記に間取り別の費用相場を記載しているため参考にしてみてください。ただし、所有物の量によって必要な作業時間や人員、車両数も変わってくるため、目安としてください。
生前整理業者の間取り別費用相場
間取り |
費用相場 |
作業時間 |
作業人数 |
---|---|---|---|
1K/1R |
3.5万円〜 |
1~3時間 |
1~2名 |
1DK |
5.5万円〜 |
2~4時間 |
2~3名 |
1LDK |
7.5万円〜 |
2~5時間 |
2~4名 |
2DK |
10万円〜 |
2~6時間 |
2~5名 |
2LDK |
13万円〜 |
3~8時間 |
3~6名 |
3LDK |
18万円〜 |
5~10時間 |
4~8名 |
4LDK以上 |
22万円〜 |
6~15時間 |
4~10名 |
業者に生前整理を依頼する場合の見積もりに含まれるもの

ここまでは、生前整理にかかる費用相場を紹介しましたが、ここからは、生前整理を業者に依頼する場合の料金には何が含まれているのか、またそれをご自身や家族で行った場合の目安はいくらなのかについて紹介します。
生前整理業者の費用の内訳
- 仕分けにかかる費用
- 処分にかかる費用
- 車両のレンタル費用
- 人件費
- 掃除に必要なものの費用
①仕分けにかかる費用
生前整理における仕分けとは、所有物を一つひとつ確認し、必要なものと不要なものに分ける作業です。ご自身や家族で行う場合、この費用はかかりませんが、業者の費用内訳には、一般的に仕分けにかかる費用も含まれています。また、プロに依頼すると、仕分けだけではなく梱包や書類の探索まで行ってくれることも多いです。
② 処分にかかる費用
処分にかかる費用とは、不用品を処分するのにかかる費用のことです。業者はゴミを無料で捨てることができず、ご自身や家族で生前整理を行う場合でも大量の不用品がある場合には、ゴミ回収業者へ依頼して引き取ってもらう費用が必要です。また、家電製品を処分する場合には、別途リサイクル料金がかかることがあります。
自分や家族で行う場合は?
- ゴミ回収業者:9千500円~(依頼する場合)
- 粗大ゴミ:1点につき、200円~2千500円程度
- 家電リサイクル料金:990円~5千600円程度
③ 車両のレンタル費用
不用品を搬出するための車両代です。不用品の搬出を自分や家族で行う場合でも、トラックなどの車両をレンタルすることがあるでしょう。
トラックのレンタル料金は乗用車よりも比較的高く、搬出する場所によっては駐車場代がかかる場合もあります。
自分や家族で行う場合は?
- 2tトラック:6千円~3万円程度
④人件費
生前整理を業者に依頼すると人件費が発生します。所有物の量や作業量によってはスタッフの人数を増やす必要があるため、その分人件費は高くなります。また、家族や親族に片付けを手伝ってもらった場合、人件費はかかりませんが、謝礼を渡したり食事を振る舞ったりすることもあるでしょう。
⑤掃除に必要なものの費用
生前整理を業者に依頼した場合、部屋の掃除に必要なものはすべて持参してくれるため、自分で準備する必要はありません。ただし、自分や家族で行う場合は、掃除道具やゴミ袋、軍手やスリッパなどが必要になるでしょう。
自分や家族で行う場合は?
- 掃除道具:数百円~3千円程度
- ゴミ袋:数百円~千円程度
生前整理にかかる費用を安くする方法

ここまでは生前整理に必要な費用を紹介してきました。以下では生前整理の費用を安く抑える方法をご提案します。
複数の業者に見積もりを依頼する
生前整理を業者に依頼する場合、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。サービスの内容や料金はそれぞれ異なるため、きちんと確認することが大切です。見積もりを取らずに依頼してしまうと、想定していた項目が入っておらず、思わぬ追加料金が発生する可能性もあります。
生前整理アドバイザーに依頼する
生前整理業者に依頼する前に、生前整理アドバイザーを利用するのもよいでしょう。生前整理アドバイザーとは、整理する際のアドバイスをしてくれるサービスです。アドバイスのみのため、実際に作業するのは自分自身となります。
そのため、費用を抑えたいけれど、自分だけでは生前整理が進まないという場合におすすめの方法です。アドバイスに沿ってご自身でできることを進めれば、業者に依頼する作業内容が減るため、全てお任せするよりも費用を抑えられるでしょう。
生前整理アドバイザーの費用
- 1時間:3~5千円程度
買取サービスを活用する
生前整理する際に、所有物が多い場合は買取サービスを活用するのがおすすめです。まだ使えるものや、不用品の中で価値のあるものがあれば、買取依頼することで生前整理にかかる費用に充てられます。
また、買取を実施している生前整理業者を選ぶと、自分で依頼する手間が省けたり、見積もり料金から差し引いてくれたりするため便利です。
フリマアプリに出品する
買取業者では引き取ってもらえない品物や自分には不要なものでも、フリマアプリに出品すると売れる場合があります。例えば、現在市販されていないものは、付加価値がついて高額で取引されることもあるでしょう。そのため、自分が使わないものでも、捨てる前にフリマアプリに出品してみることをおすすめします。
生前整理で不用品処分以外にしておくとよいこと

ここまでは、生前整理で不用品を処分する際にかかる費用を紹介してきました。ここからは、不用品の処分以外にしておくとよいことを紹介します。
財産目録の作成
生前整理で不要なものを片付けた後は、財産目録を作成しておきましょう。すべての財産を一覧にしておくことで、ご自身が亡くなった後に家族が把握しやすくなります。
財産目録は自分でも作成できますが、預貯金や不動産などのプラスの資産だけでなく、負債も記載しなければなりません。そのため専門家に依頼することをおすすめします。費用相場は依頼先によって異なりますが、財産が多ければ高くなると考えましょう。
財産目録の依頼先と費用相場(別途財産調査費が必要な場合がある)
- 弁護士:5~10万円程度
- 税理士:3~10万円程度
- 司法書士、行政書士:2~7万円程度
デジタル情報の整理
生前整理の際には、デジタル情報の整理もしておいた方がよいでしょう。近年、インターネットはかなり身近になり、さまざまなインターネットサービスを利用している人が多いでしょう。
月額料金がかかるサービスを利用している場合、亡くなった後でも家族が知らずに料金を払い続けてしまう可能性もあります。そのため、自分が登録しているインターネットサービスの一覧表を作ることをおすすめします。このとき、IDやパスワードなど、退会や登録解除に必要な情報を記載しておくことが大切です。
そのほか、見られたくないものや不要なデータ、不要なSNSのアカウントなどを削除しておくことも重要です。残された家族が対応に困るものは生前に処分しましょう。また、自分でデジタルデータの整理ができない場合は、業者に依頼することもできます。費用相場は内容によって金額が異なるため、下記を参考にしてみてください。
デジタルデータ整理の費用相場
- パソコン本体の廃棄処分:8千円程度
- Windowsパスワード解除:2万円程度
- パソコン内のデータ移行:8千円~1万2千円程度
- インターネット上のID/PASSの調査:1万5千円程度
- パソコンの初期化:2万円程度
- スマートフォンのパスワード解除:2万円程度
エンディングノートの作成
生前整理の一環としてエンディングノートを作成しておくと、残された家族は決めごとや手続きを進めやすくなるでしょう。上述した財産や個人情報だけでなく、自分が亡くなった後の葬儀やお墓に関する希望も伝えられます。
書き方や記載内容についてのルールはないため、どのようなものに書き記しても問題ありませんが、書き方に迷う場合には市販のエンディングノートを利用するのがおすすめです。書き残しておいた方がよい項目があらかじめ記載してあるため、悩まずに書き進められます。
ただし、エンディングノートには遺言書のような法的効力はないため、場合によっては別で遺言書を作成する必要があります。その場合、エンディングノートには遺言書の存在や場所を記載しておくとよいでしょう。
エンディングノートの購入費用
- 市販のエンディングノート:500円~2千円程度
生前整理の準備を少しずつ始めていきましょう

この記事のまとめ
- 生前整理は、身の回りの不用品を処分する活動
- 生前整理は、残りの人生をより良くする、ご自身が亡くなった後の家族の負担を軽減するのに役立つ
- 生前整理は、自分だけで行う方法と、家族と一緒に行う方法、業者に依頼する方法の三つの方法がある
- 生前整理業者に依頼する場合は、複数社に見積もりを依頼する
- 不要な物は、処分する前に買取サービスやフリマアプリを利用するとよい
- 生前整理と合わせて、財産目録の作成、デジタルデータの整理、エンディングノートの作成をすると家族の負担をより軽減できる
生前整理をすることで、自分が亡くなった後の家族の負担を軽減できるだけでなく、残りの人生を前向きに考えるきっかけになります。生前整理を業者に依頼する際には、複数社から見積もりを取って、納得のいく生前整理を行いましょう。