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遺産を寄付することはできる?その方法と手続きの流れや注意点を解説

遺産を寄付することはできる?その方法と手続きの流れや注意点を解説

近年では遺産を相続する相手がいない、相続に関するトラブルを防ぎたいなどの理由から、遺産の寄付を考える方が増えていると言われています。本記事では、遺産を寄付する方法と手続きの流れについて詳しく解説していきます。遺産の寄付を検討している方は、ぜひ目を通してみてください。

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遺産を寄付する方法

遺産を寄付する方法は、大きく「本人が寄付する場合」と「相続人が寄付する場合」の2種類に分けられます。遺産の寄付を検討している方は、それぞれの方法ごとにどのような特徴があるのかチェックしてみてください。

本人が寄付をする

本人が手続きを行って特定の団体や人物に遺産を渡す方法を「遺贈」と言います。遺産を受け取る人のことを「受遺者」、遺産を寄付する人のことを「遺贈者」と呼びます。

遺産を受け取る受遺者に条件や制限などはなく、どのような相手に対しても遺産を渡すことが可能です。法廷相続人はもちろん、相続人以外の団体や親族、人に対しても遺産の寄付が行えます。また、受遺者は自分の意思で遺産の寄付を受け入れるか否かを判断できます。

本人が遺産を寄付する場合は、生前に遺言書で遺贈をすることを示しておかなくてはいけません。また、遺言を行った際に認知症などで「意思能力を欠いている」と判断された場合、遺言の効力がなくなるため遺贈ができなくなります。

遺産を受け取る受遺者は、遺贈者が亡くなった時に生存していることが条件となります。そのため、遺贈者が亡くなる前、または同時に亡くなった場合は、遺贈の効力は発生しません。

遺贈を行った場合、遺産を受け取った受遺者に相続税を支払う義務が生まれます。相続税は個人に課される税金であるため、遺産を法人へ寄付した場合はその団体に法人税が課されます。ただし、国や地方公共団体、認定NPO法人など、一部の団体に寄付した場合は税金がかかりません。

相続人が寄付を行う

亡くなった故人から遺産を受け取った相続人が寄付を行う方法もあります。遺産を受け取ると相続税を支払う義務が発生するため、遺産を寄付する場合でも原則として相続人は相続税を支払わなくてはいけません。ただし、後述する条件をすべて満たして遺産を寄付すれば、相続税が非課税になります。相続税による負担を減らすためにも、以下の条件を覚えておくとよいでしょう。

相続税が非課税になる条件

  • 相続税の申告期限までに遺産を寄付している
  • 「相続税非課税法人証明書」と「寄付した財産の明細書」を、相続税の申告時に提出している
  • 特定公益法人に遺産を寄付している
  • 受け継いだ財産の形を変えずに寄付をしている

遺産を寄付する手順

遺産を寄付する方法が分かったところで、次に遺産寄付の手順を紹介します。遺産を寄付するためにはさまざまな手続きが必要になるため、前もって確認しておくと安心でしょう。

STEP①専門家に相談する

遺産の寄付を考えているのであれば、専門家に相談することをおすすめします。遺産寄付には専門的な知識が必要になる上、注意しなくてはいけないことも多数あります。自分ひとりだけで手続きを進めてしまうと、思わぬミスや見落としが発生する可能性が高いです。司法書士や弁護士、税理士、行政書士などの遺産寄付に対応している専門家に相談しておきましょう。

STEP②寄付先を決める

次に、どこへ遺産を寄付したいか決定しましょう。寄付先によっては、寄付の受け付けを行っていない団体もあるため、前もって寄付が可能か調べておきましょう。複数の団体で迷っている方は、各団体が用意している遺贈パンフレットを取り寄せて内容を確認するのがおすすめです。

遺産の寄付先を決めたら、直接その団体へ相談に行きましょう。どのような遺産をいくら寄付する予定なのか伝えることで、話がスムーズに進みます。地方自治体への寄付を検討している方は、市町村役場の相談窓口へ行くことをおすすめします。

STEP③遺言書を作成する

遺産を寄付するには、遺贈の旨を示した遺言書の作成が必要です。遺言書の形式が間違っていたり不備があったりすると、遺言が無効になり遺産の寄付ができなくなる可能性があるため、注意しましょう。遺言書の形式としては、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

自筆証書遺言は、自分で作成して自宅で保管することになります。作成にお金もかかりませんが、自宅保管による紛失や形式の不備などに注意しなくてはいけません。

公正証書遺言は、公証役場で公証人に立ち会ってもらって作成します。公証役場にて保管してもらえる上、形式等に不備がない遺言書を作成できますが、手数料として2〜5万円ほどかかります。なるべくコストを抑えたいという方は自筆証書遺言を、確実な遺言書を作成したい方は公正証書遺言を選ぶとよいでしょう。

遺言書の作成に関してはこちらの記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらを確認してみましょう。

STEP④遺言執行者を決める

遺言執行者とは、遺言の内容を実行してもらう人のことです。遺産の相続人の中から選んでもよいですが、弁護士や司法書士、信託銀行など中立的な立場の専門家に依頼するのもおすすめです。専門家に遺言書の作成を依頼するのであれば、遺言執行者も同時に依頼するとよいでしょう。

STEP⑤寄付の実行

遺贈者が亡くなった後、遺言執行者は故人の意思に従って寄付の実行を行います。遺言書を開示し、その内容に従って受遺団体の意思を確認して財産を寄付します。

遺産を寄付する際の注意点

遺産を寄付する際は、寄付先への確認や遺贈の方法などいくつかのポイントに注意しなくてはいけません。思わぬトラブルにつながる恐れもあるため、こちらの注意点を参考にしてみてください。

相続人の遺留分に配慮する

寄付する金額を決定する際は、相続人の遺留分に配慮しましょう。遺留分とは、故人が亡くなった際に法定相続人が受け取れる最低限の遺産のことです。例えば、「遺産を全て団体に寄付する」と遺言書に記してしまうと、相続人が受け取る遺産がなくなります。

遺留分制度は法で定められているため、ここで相続人が遺留分を受け取る権利を主張した場合、寄付先の団体とトラブルになる恐れもあります。このようなトラブルが起こらないよう、相続人の遺留分に配慮しながら寄付する金額を決めることが大切です。

寄付先に受け取りの可否を確認する

遺贈は本来、遺言者の意思だけでできます。しかし、遺贈寄付の場合には、事前に寄付先に受け取ってもらえるか確認しておくべきでしょう。寄付先は、どのような財産でも受け取れるわけではありません。不動産などは受け取ってもらえない可能性もあるため、事前に確認が必要です。

包括遺贈ではなく特定遺贈をする

遺産を寄付する際は、「包括遺贈」ではなく「特定遺贈」を選ぶようにしましょう。包括遺贈とは、遺産の割合を決めて遺贈をする方法のことです。包括遺贈で遺産を寄付すると、資産だけでなく借金などの負債も寄付されてしまいます。

一方、「特定遺贈」では遺産の種類と金額を指定して遺産を寄付できるため、負債を寄付する心配がありません。資産だけでなく負債も持っている場合、特定遺贈で寄付することを検討してみてください。

現物寄付には注意

現金ではなく現物資産を寄付しようと考えている場合、みなし譲渡課税が発生する恐れがあるため、注意が必要です。みなし譲渡課税とは、株式や不動産など含み益(値上がり益)がある資産に対する税金です。原則みなし譲渡課税は、遺産を寄付された受遺者ではなく、法定相続人が支払うこととなります。相続人が「みなし譲渡課税が発生する」と知らなかった場合、思わぬトラブルに発展する恐れがあるため注意しましょう

みなし譲渡課税の納税者は、あらかじめ遺言書で包括遺贈を指定しておくことで受遺者に変更することができます。相続人の負担を軽くしたい場合は、弁護士や寄付先と相談しつつ、包括遺贈を検討しましょう。また、なるべく税金を抑えたい場合は、現物を現金化した上で遺産を寄付(清算型遺贈)を選ぶのがおすすめです。

遺産の寄付先の選び方

「遺産は自治体や団体に寄付したいけれど、寄付先はどこにしよう」と考える方もいるかもしれません。ここからは、寄付先の選び方について紹介していきます。

寄付が非課税になる団体を選ぶ

どこへ遺産を寄付するか迷っている方は、寄付が非課税になる団体を選ぶのがおすすめです。寄付が非課税になればより多くの金額を寄付先に遺贈することができます。

国や地方公共団体、認定NPO法人、特定の公益法人への寄付は非課税の対象団体です。

貢献したい地域で選ぶ

どのような地域に貢献したいか考えて寄付先を決めるのもおすすめです。現在住んでいる自治体や思い入れのある国、発展途上の地域など、あなたが支援したいと感じる団体を選んでみましょう。

興味のある分野に寄付する

遺産寄付先を選ぶ際は、興味のある分野について検討してみてはいかがでしょうか。例えば、貧困問題の支援や教育支援、難民支援など、活動内容や支援対象は団体によって異なります。あなたの興味と団体の活動内容が合うか考えれば、納得できる寄付先が見つかるでしょう。

寄付先の活動実績で選ぶ

寄付先の活動実績や寄付金の使われ方も、どこに遺産を寄付するか決める際に注目したいポイントです。実績のある団体や、歴史のある法人であれば、寄付した遺産がしっかりと活動に役立つと期待できます。

方法や手順を確認してから遺産の寄付を検討しましょう

この記事のまとめ

  • 遺産を寄付する方法は、本人が寄付する方法と相続人が寄付を行う方法の2種類に分けられる
  • 現物寄付を行う際は、みなし譲渡課税に注意が必要
  • 寄付する金額を決める際は、相続人の遺留分に配慮する
  • 寄付先に遺産の受け取りが可能か、前もって確認しておく
  • 貢献したい地域や興味のある分野、寄付先の実績で寄付先を選ぶのもおすすめ

遺産を寄付する手段としては、「本人が寄付する方法」と「相続人が寄付する方法」の2種類があります。遺産の寄付には法的な手続きが必要になるため、遺贈を検討している方はやり方や流れ、注意点などを押さえておくと安心です。今回紹介した内容を参考にしつつ、遺産の寄付方法や寄付先などを検討してみてください。

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