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健康・カラダのこと

親が認知症になったらどんな手続きが必要?事前準備や支援制度を紹介

親が認知症になったらどんな手続きが必要?事前準備や支援制度を紹介

親が認知症になったら、症状が本格化する前に事前準備と必要な手続きをしておくことが大切です。利用できる支援制度を把握しておけば、精神的な負担も少しは軽減できるでしょう。本記事では、親が認知症になった場合に必要な手続きや事前準備、利用できる支援制度について紹介します。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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認知症とは

親が認知症になったら、どのような手続きや対処をすればよいのか迷うことも多いでしょう。まずは認知症という病気についてよく知ることが大切です。ここでは、認知症の症状や進行について解説します。

認知症とはどんな病気?

認知症とは、脳の病気や障害により、記憶力や思考力、判断力などの認知機能が低下する状態を指します。認知症は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などを総称したものです。認知症になったら、日常生活や社会生活においてさまざまな支障が出てきます。

認知症の人に見られる初期症状

認知症になると、以下のような初期症状が現れることが多いです。

認知症の症状

  • 物忘れがひどくなる
  • 日常会話が難しくなる
  • 判断力や問題解決能力が低下する
  • 時間や場所の感覚が分からなくなる
  • 思考が混乱しやすくなる
  • 急にイライラするなど性格が変化する

このような症状が見られた場合、医療機関で診察を受けましょう。

認知症は一気に進行する

親が認知症になったら、どのくらいのスピードで症状が進行するのか心配になるでしょう。一般的に認知症は徐々に進行すると思われがちですが、周囲の環境や対応によっては、一気に進行する場合があります。以下の項目は症状が進行してしまう要因です。

認知症が進行する要因

  • 引っ越しや入院などの急激な環境の変化
  • パートナーとの死別などのストレス
  • 自分でできる家事を家族がするなどの行動機会の減少
  • ミスを激しく怒られるなどによる行動意欲の低下

このような状況になったら、症状が一気に進む可能性はあります。認知症の種類別でいうと、アルツハイマー型認知症は比較的ゆっくりと進行するものです。一方、脳血管性認知症やレビー小体型認知症は、急激に症状が悪化することもあります。

親が認知症になった場合のリスク

親が認知症になったら、さまざまなリスクが生じます。家族や介護者は、認知症に対応するための手続きや準備が必要になるため、以下の項目を確認しておきましょう。

事故や怪我の危険性がある

親が認知症になったら、症状の進行により判断力や注意力が低下します。誤って転倒することや火を使った事故を起こす、道路を安全に渡れないなど、事故や怪我のリスクが高まります。対策方法としては、ガス調理器をIH調理器に変更したり、家の中をバリアフリー化したりするとよいでしょう。

介護保険が利用できる場合、手続きを取れば所得によって1〜3割の自己負担額でてすりを付けるなどの住宅改修をすることができます。また、親が認知症になったら、ひとりで外出しようとした場合、一緒に行動するなどのサポートが必要です。介護保険の手続きを行い利用すれば、介護費用の負担も軽減できます。

体調が悪化する可能性がある

認知症になると、自分の体調の変化に気づきにくくなります。また、病気の症状や薬の副作用について正しく伝えることが難しくなるため、体調が悪化しても適切な治療が遅れる場合があります。

親が認知症になったら、定期的な健康診断や、症状の変化に注意することが必要です。

金銭の管理ができなくなる

親が認知症になったら、金銭管理が難しくなります。支出を管理できなくなったり、詐欺に遭いやすくなるリスクがあります。銀行での手続きでも、印鑑の場所や暗証番号を忘れたりすることもあります。

また、銀行側に親が認知症になったことを知られた場合、手続きができないことから預金口座を凍結される可能性があります。

親が認知症になったら、家族が預金の管理をサポートすることや、成年後見制度などの手続きを検討しましょう。

親の認知症が本格化する前に必要な事前準備

親が認知症になったら、症状が本格化する前にいくつかの事前準備や手続きを行うことが重要です。事前に準備や手続きをしておくことで、将来必要になってくる対応をスムーズに進めることができます。

家族が認知症について理解する

親が認知症になったら、家族全員が認知症についての基本的な知識を理解することが重要です。認知症は、記憶力の低下、判断力や思考力の低下など、さまざまな症状が現れます。

対処法を間違えてしまうと、認知症が急激に進行したり別の症状が現れたりする恐れも否めません。親が認知症になったら症状や対応策などについて学ぶことで、認知症の親への対応をより適切に行えるでしょう。

医療機関を受診する

親に認知症の症状が見られたら、早めに医療機関を受診しましょう。専門の医師による診察を受け、必要に応じて検査を実施して認知症かどうか診断します。認知症と診断された場合は、症状に応じた治療が行われます。

認知症と診断されたあとも、定期的に受診しましょう。自宅での生活の様子や症状について医師に伝えます。必要に応じて治療方針の見直しが行われることもあります。

地域包括支援センターに相談する

親が認知症になったら、地域包括支援センターを活用しましょう。地域包括支援センターは、高齢者が自宅で安心して生活できるように支援するための、自治体が運営している相談窓口です。認知症に関する情報提供や介護方法、介護サービスの紹介、介護保険の手続きの支援など、さまざまなサポートを受けることができます。

地域包括支援センターは各自治体に設置されています。自治体のホームページや広報誌で場所や情報を確認できます。

親の資産を確認する

親が認知症になったら、親の資産を確認して管理や成年後見制度などの手続きをすることが大切です。認知症が進行すると、今まで親が行っていた金銭管理や手続きが難しくなる可能性があります。親が認知症になったら、早い段階で親の資産状況を確認し、必要に応じて家族が管理できるように準備や手続きを進めることが重要です。

相続にもかかわる、確認しておきたい資産内容

  • 預金:親が所有している銀行口座の確認と、通帳や印鑑、キャッシュカードの保管方法や場所
  • 不動産:土地や家などの不動産の所有状況
  • 株式や保険:株式や投資信託、保険など金融商品の内容
  • 負債:ローンや借金の残高と返済状況

親が認知症になったら、財産管理の手続き、相続の計画も検討しておくとよいでしょう。

親が認知症になったら必要な手続き

親が認知症になったら適切なケアとサポートを行っていくために、いくつかの手続きが必要です。特に重要なのが、介護保険の申請と成年後見制度の手続きです。

介護保険の申請をする

親が認知症になったら、必要な介護サービスを受けるために、介護保険の手続きをしましょう。まずは、親の住む地域の自治体や地域包括センターに行き、介護認定の手続きをしてください。

その後、認定調査員が自宅に訪問し、認知症の状態や日常生活の状況を調査します。調査の結果に基づいて、要介護度が決定され、要介護度に応じた介護サービスの利用ができる仕組みです。

成年後見制度の手続きを取る

親が認知症になったら、成年後見制度の仕組みを活用することで、親の財産管理や日常生活のサポートを法的に行うことが可能です。成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」があります。

任意後見制度は、親がまだ判断能力のあるうちに、将来のために後見人を指定しておく仕組みです。法定後見制度は、親の判断能力が低下した後に、家庭裁判所に申し立てを行い、後見人を選任してもらう仕組みを指します。どちらの仕組みを利用するかは、親の状態や家族の状況に応じて決定するものです。手続きは本人の所在地の家庭裁判所で行います。

親が認知症になったら利用できる支援制度

親が認知症になったら、手続きをすることでさまざまな支援の仕組みを利用できます。さまざまな仕組みを活用すると、親の支援の助けになるだけでなく家族の負担も軽減できるでしょう。

介護保険制度

介護保険制度は、65歳以上の高齢者や40歳以上65歳未満の特定疾病を持つ人が対象です。親が認知症になった場合、まず介護保険の手続きをしましょう。介護サービスを利用するには「要支援」または「要介護」の認定を受ける必要があります。

手続きをして要支援1〜要介護5になったら、1~3割の自己負担で介護サービスの利用が可能です。介護サービスは以下のような種類があります。

介護サービスの種類

  • 在宅介護サービス:自宅で生活する高齢者が対象で、訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイなど
  • 施設サービス:特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院など、介護が必要な高齢者が入所する施設
  • 福祉用具の貸与:車いすやベッドなど日常生活を支援するための福祉用具の貸与
  • 住宅改修:手すりの設置や段差の解消など、安全で快適な生活環境を整えるための補助

介護休業制度

親が認知症になったら、介護休業制度が利用できます。介護休業制度は、家族の介護が必要になった場合、手続きをして仕事を休むことができる制度です。最長で93日間の休業が可能で、3回まで分割して取得できます。手続きをすることで、休業後に介護休業給付金が支給されます。

この制度を利用するには、会社に前もって申請して手続きをすることが必要です。また、介護休業給付金を受け取るためには、休業終了後に必要な手続きを取らなければなりません。介護休業制度を活用することで、安心して親の介護に専念できます。

高額療養費制度、高額介護サービス費制度

親が認知症になったら、医療費や介護サービス費用が必要になります。高額療養費制度と高額介護サービス費制度は、医療費や介護サービス費用が一定額を超えた場合に、その超過分があとで払い戻される制度のことで、経済的負担が軽減されます。

制度を利用するには、手続きが必要になります。申請手続きや必要な書類は、保険者によって異なる場合があるため、事前に手続きの内容を確認しておきましょう。

障害者手帳

親が認知症になったら、「精神障害者保健福祉手帳」の手続きも視野に入れましょう。精神障害者保健福祉手帳とは、精神障害のある方の日常生活の支援や社会参加の機会を作る目的があります。

認知症の親が障害者手帳を取得すると、医療費の減免や公共交通機関の割引など、さまざまな福祉サービスを受けることができます。精神障害者保健福祉手帳の手続きでは、自治体の窓口で申請書を受けとり、医師に診断書を書いてもらいましょう。

親が認知症になったら、できるだけ早く介護や資産の手続きをしましょう

この記事のまとめ

  • 認知症とは、脳の病気や障害により記憶力や思考力、判断力などの認知機能が低下する病気
  • 認知症は、周囲の環境や対応によって一気に進行することがある
  • 親が認知症になったら、認知症について症状やリスクを理解することが大切
  • 親が認知症になったら資産の確認や成年後見制度の手続きもしておく
  • 親が認知症になったら介護保険の申請をする
  • 親が認知症になったら利用できる支援制度は、介護保険制度、介護休業制度、高額療養費制度などがある

親が認知症になったら、家族は動揺してしまうこともあるでしょう。どのように介護をしたらよいのか、手続きはどのようなことをすればよいのかなど、さまざまな不安が出てきます。

親の認知症が本格化する前に、資産の確認や管理方法、相続や手続きについても話し合っておくことが重要です。 

親が認知症になったら、まずは自治体が運営している地域包括支援センターへ相談に行きましょう。認知症について理解を深めつつ、介護サービスなど活用できる制度の積極的な利用に向けて、積極的に行動してください。親だけでなく自分や周りの負担も減らせるよう、親の介護保険の申請手続きをできるだけ早く進めることが大切です。

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