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「生前契約」とは?メリット・デメリットや契約内容、進め方までまとめて解説

「生前契約」とは?メリット・デメリットや契約内容、進め方までまとめて解説

「病気や怪我をしたとき、手助けしてくれる人がいない」「自分が死んだ後の手続きを任せられる人がいない」このようなお悩みを解決できるのが、生前契約です。本記事では、生前契約のメリットやデメリット、契約内容などを詳しく紹介します。

生前契約とは

生前契約とは、適切な判断力が無くなったときや自身の死後に、身元引取や財産の管理を任せる制度のことです。身寄りがない人や、身内に負担をかけたくない人に利用されている制度で、生前事務委任・死後事務委任・任意後見契約といった内容があります。

生前契約を行うメリット

生前契約は比較的新しい制度であるため、「馴染みがない」「メリットが分からない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこでここからは、生前契約のメリットを紹介していきます。

家族の負担を軽減できる

生前契約を行うと、家族の負担を軽減できるというメリットがあります。生前契約では資産の管理や生活の補助、死後の手続きなどを第三者に代行してもらえます。さまざまな手続きをする手間を省けるため、「家族に負担をかけたくないから」と生前契約を検討する方が増えてきました。

遺産相続に関するトラブルを防げる

生前契約のメリットに、遺産相続に関するトラブルの予防が挙げられます。生前契約であらかじめ遺産相続に関する事項を決定しておくことで、あなたが亡くなった後に相続人が揉める恐れがなくなります。遺産が高額でなくても相続で揉めるケースは多いため、しっかり準備しておくと安心です。

希望に近い葬儀・供養が行える

生前契約では、葬儀の形式や供養方法など死後の手続きについての取り決めを行うことも可能です。こんな葬儀にしたい、遺骨散骨してほしいなどの希望がある場合は、生前契約を行うことをおすすめします。

生前契約を行うデメリット

生前契約にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。生前契約を検討している方は、メリットだけでなく以下のデメリットにも目を通しておくことをおすすめします。

契約履行を確認できないことがある

生前契約のデメリットに、契約履行を確認できない可能性がある点が挙げられます。例えば、認知症や病気などで契約者の判断力が衰えたり、葬儀や供養など死後に行われる内容を契約していたりした場合、契約者自身ではサービスの実施内容を確認できません。

契約者に後見人や知人、親族などがいない場合、契約通りにサービスが行われたかチェックできないのです。

契約内容が複雑

契約内容が複雑化しやすい点も、生前契約のデメリットです。生前契約の内容は、日常生活の支援や財産の管理、身元引受、死後の手続きなど広範囲に及びます。そのため内容の理解や把握が難しくなり、思った通りのサービスが受けられずにトラブルになる可能性があります。

生前契約の契約内容

生前契約の内容は、生前事務委任・死後事務委任契約・任意後見契約の3種類に分類されます。ここからは、それぞれの契約内容について詳しく解説していきます。

生前事務委任

生前事務委任とは、財産の管理や日常生活の支援など、存命中の手続きを代行してもらう制度のことです。病気や怪我をしたり判断力が衰えたりすると、これまでできていた事務作業が負担になってきます。例えば、銀行に行けずお金が引き出せない、重要な郵便物が分からないなどです。このような場合に、本人が行うのが難しい部分を代行してもらえるのが、生前事務委任です。

生前事務委任の場合は、公正証書にて契約を結ぶ必要がないのも特徴です。また、生前事務委任は次に紹介する「死後事務委任」と一緒に契約されることが多いです。

生前事務委任の内容

  • 財産の管理
  • 日常生活の支援
  • 入院や老人ホーム入居時の身元引受保証
  • 医療上の判断に関する意思表示
  • 税金や公共サービス料金の支払い

死後事務委任契約

死後事務委任とは、亡くなった後の手続きを依頼する制度のことです。死亡届や火葬許可証の提出、遺品整理など、死後に発生するさまざまな事務作業を代行してもらえます。身寄りのない人、家族や親族に迷惑をかけたくない人が契約する傾向にあります。死後事務委任では、亡くなった後に委任の内容を変更できないため注意しましょう。

死後事務委任の内容

  • 死亡届・火葬許可証の提出など、役所での手続き
  • 納骨・供養に関する手続き
  • 遺品整理
  • 病院での医療費の清算
  • 老人ホームの入居一時金の受け取り
  • 親族や知人への連絡
  • 公共サービスの清算・解約

任意後見契約

任意後見契約とは、第三者に自分の後見人になってもらうよう委任するサービスのことです。認知症などにより決断力や判断力が低下すると、お金を支払えなくなったり財産を管理できなくなったりする恐れがあります。その結果、病院などに行けずに治療が受けられなくなる可能性もあるのです。任意後見契約で財産の管理や病院との契約などを取り決めておくことで、このような事態を防げます。

任意後見契約の内容は、介護・生活面の手配と財産管理の2種類です。介護や生活面の手配では、生活費の送金や老人ホームとの契約、入院などを管理してもらえます。財産管理では、銀行口座や不動産の管理、年金や税金の支払いなどを代行してもらえます。任意後見契約は本人と裁判を行った人や破産者など、法律で相応しくないと定められている方以外であれば、誰でも契約できるのが特徴です。

生前契約の費用

生前契約を行う上で気になるのが、費用面ではないでしょうか。契約内容によって必要な金額が変わるため、事前の確認が必要です。ここからは、生前契約で発生する費用について解説していきます。

生前事務委任の費用

生前事務委任は、契約する相手によって費用が異なります。信頼できる知人や親族と契約を結ぶ場合は、約1万5千円を公証役場で支払い、報酬は個人間で話し合って決定します。行政書士に契約を依頼したり、書類の作成を頼んだりした場合は、月額で約4万円かかります。また、司法書士と契約を結ぶ場合は、月額10万円ほどを報酬として支払う必要があることを覚えておきましょう。

死後事務委任契約の費用

死後事務委任契約は、契約内容によって費用が異なります。ここでは、行政書士と契約して死後事務委任を依頼した場合の費用の目安を紹介します。こちらは行政書士へ支払う金額であるため、葬儀社への支払いや火葬費用などが別途でかかることを覚えておきましょう。

死後事務委任契約の費用 内訳
契約内容 費用
死亡時の対応 約15万円
葬儀関連の対応 約10万円
遺品整理 約5万円
身分証明書の返還 1件につき約1万円
埋葬・供養の代行 約10万円
入院費の清算 1件につき約2万円
退職手続き 約5万円
公共サービスや税金の解約・清算 1件につき約2万円
SNSの削除 1件につき約1万円
SNSでの死亡通知 1件につき約3千円
知人への連絡 1件につき約千円

任意後見契約の費用

任意後見契約の費用も、専門家に依頼するか身内に頼むかによって異なります。行政書士や弁護士などの専門家に任意後見契約を依頼する場合、月額5万円ほどかかります。友人や身内などに依頼する場合は、公証役場での手数料として約1万5千円を支払い、報酬は個人間で決定します。

生前契約の進め方

生前事務委任や死後事務委任など、生前契約の内容によって手続き方法や手順が異なります。それぞれの契約方法について解説していきますので、生前契約を検討している方はぜひ目を通してみてください。

生前事務委任の場合

1.委任する内容を決める

まず、依頼人に委任する内容を決めます。生前事務委任で依頼する内容は、生活・療養介護、財産管理、生活支援業務の3種類に分けられます。

生前事務委任での依頼内容
生活・療養介護 ・日常生活支援
・介護保険の契約締結・変更
・介助等の代理
・介護保険を含む、公的社会福祉サービス受給手続の代理・代行
・生活、療養介護にかかる費用の支払い行為
財産管理 ・金融取引の代理・代行
・不動産の維持・管理
・ローン・クレジットなどの債務返済行為
生活支援業務 ・医療機関への入院契約の代理・代行
・老人ホーム等居住型施設への入居手続代理・代行
・緊急時の連絡
・緊急時における居宅への立ち入り及び付帯する管理事務行為

2.信頼できる人に依頼する

契約したい内容が決まったら、信頼できる人に依頼しましょう。自身の生活や財産に関する重要な手続きを頼むことになるため、契約の際は念入りな話し合いが必要です。

事務作業の中には手続きが煩雑なものや手間がかかるものも多数あるため、依頼者に手続きを行える時間や体力があるかどうか、しっかり確認しておく必要があります。身近な人に依頼できない場合は、行政書士や弁護士など専門家に依頼することをおすすめします。

3.報酬を決める

生前事務委任を知人などに依頼する際は、報酬を決める必要があります。金銭に関する部分で確認不足や不備があると、トラブルになるため注意しましょう。家族に依頼する場合は無償でも問題ありませんが、委任した人の相続分を多くするなどの配慮は必要です。

4.記録を残すと安心

生前事務委任では、記録を残すようにしましょう。何をいつ、どのような形で行ったのかしっかりと記録しておき、依頼主と受託者の両方が確認できるようにしておきます。記録を残すことで、後々のトラブルを予防できるでしょう。

死後事務委任の場合

1.委任する範囲を決める

死後事務委任を行う際は、まず委任する範囲を決めましょう。あなたが亡くなった後の連絡や葬儀に関すること、遺品整理など、死後事務委任に盛り込む内容は広範囲に渡ります。また、依頼する内容が増えるごとに費用も高額になっていきます。自身の死後、どういった契約や手続きが必要になるかを入念に検討しましょう。

2.死後事務委任契約書を作成する

依頼内容が決まったら、死後事務委任契約書を作成しましょう。この契約書は、公証役場にて公証証書として作成するのがおすすめです。公証証書で作成をすることで「自分の意思で死後事務委任契約をした」と証明できるため、役所の手続きがスムーズに行えます。また、死後事務委任を依頼された人が死後事務を行う際、他の親族や相続人とトラブルになる可能性も低くなります。

任意後見契約の場合

1.任意後見受任者を決める

まずは、将来任意後見人となってくれる「任意後見受任者」を決定します。任意後見受任者は、あなたの財産管理や生活の支援など重要な仕事を行う人であるため、信頼できる人を選定する必要があります。家族や知人のほか、弁護士や司法書士などの専門家などに依頼することも可能なので、誰に任意後見受任者を依頼するかしっかり検討しましょう。

2.契約内容を決める

任意後見受任者を決めたら、次に契約内容を決定します。この先の人生やライフプランを考え、どのように、何を支援してもらいたいかを決めていきましょう。例えば、「自宅を引き払って施設に入りたい」「介護保険を使って在宅ケアを受けたい」など、希望をもとに契約内容を決めていくのがおすすめです。また、任意後見受任者の報酬や経費についても検討しておきましょう。

3.契約の締結・公正証書の作成

任意後見契約は、生前事務委任や死後事務委任とは異なり、公正証書で作成することが法律で決められています。校正証書とは、法務省に属する「公証役場」という場所で作成する文書で、高い証明力を持ってます。契約内容が決まったら公証役場へ行き、証書を作成しましょう。公正証書の作成方法や必要なものは、以下の通りです。

公正証書を作成する方法

  1. 契約内容をまとめた原案と必要な書類を、公証役場に提出します。
  2. 公証人が作成した任意後見契約の原案を確認します
  3. 公正証書の作成日時を予約します。
  4. 本人と任意後見受任者が、公証人の面前で契約内容を確認し、署名・押印します。

公正証書作成に必要な書類

  • 任意後見契約と代理権の範囲の原案
  • 任意後見受任者の実印、印鑑証明書
  • 本人の戸籍謄本、実印、印鑑証明書、住民票

4.後見登記の依頼

任意後見契約を締結した後、公証人は後見登記依頼を行う必要があります。登記された内容が書面になったものを「登記事項証明書」と呼び、任意後見人が銀行や役所での手続きを行う際の証明書となります。登記事項証明書の内容を確認したい場合は、法務局本局で取得することが可能です。

生前契約を行う際の注意点

生前契約は、存命中やあなたの死後の重要な手続きを依頼するものであるため、契約時にはさまざまな点に注意が必要です。無用なトラブルを防ぐためにも、以下の注意点を参考にしてみてください。

支払いが可能かしっかり確認する

生前契約を行う際は、支払いが可能か確認する必要があります。専門家と契約したり、生前契約のサービスを利用したりする場合、手数料や月額の費用などがかかります。想定していた以上に費用がかかる可能性もあるのです。利用期間から必要な費用を計算し、本当に支払いが可能かを確認しましょう。

前受金の管理方法を確認する

事業主と生前契約を行う場合は、前受金の管理方法を確認しましょう。ほとんどの場合、契約内容の履行のための費用として、前もってお金を預けることとなります。しかし、事業主が倒産してしまった場合、預けたお金が返ってこない可能性があります。事業主に生前契約を依頼する場合は、前受金の管理方法を確認しましょう。

契約の見直しや解約ができるか確認する

生前契約から時間が経つと、内容の変更や解約が必要になることもあります。生前契約を依頼する際は、契約後に契約内容の見直しや解約が行えるかチェックしておくと安心です。

手順や注意点を参考に、生前契約を進めましょう

この記事のまとめ

  • 生前契約とは、適切な判断能力を失ったときや自身の死後に、身元引受や財産の管理などを第三者に任せる制度のこと
  • 生前契約には、家族の負担を軽減できる、遺産相続のトラブルを防げるなどのメリットがある
  • 一方で、自身では契約履行を確認できない、契約内容が複雑であるといったデメリットもある
  • 生前契約の契約内容は、生前事務委任、死後事務委任、委任後見契約の3種類に分けられる
  • 生前契約の際は、支払いが可能かどうかや前受金の管理方法、契約の見直しや解約ができるか確認する

生前契約を行うことで、認知症などで判断力が低くなった際や自身の死後に、必要な手続きを代行してもらえます。家族の負担が軽減できる、遺産相続のトラブルを防げるなどのメリットがある一方、デメリットもあるため本当に契約が必要なのか見極める必要があります。今回紹介した生前契約の内容や手続き方法などを参考にしながら、生前契約について検討してみてください。 

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