老後も広すぎる家に住み続けるメリットはある?住み替える場合と比較してみよう

家族との思い出が詰まった家であれば、老後も住み続けたいと考えるのが自然でしょう。しかし、広すぎる家の場合、住み続けることにはメリットがある一方、看過できないデメリットもあるため注意が必要です。本記事では、広すぎる家に住み続ける場合と住み替える場合のメリット・デメリットを比較します。
老後も広すぎる家に住み続けるメリット

老後も広すぎる家に住み続けるメリットとして、以下の3点について解説します。
老後も広すぎる家に住み続けるメリット
- 環境の変化によるストレスがない
- 子供や孫を呼びやすい
- 家族との思い出を残せる
環境の変化によるストレスがない
老後も広すぎる家に住み続けるメリットとして「環境の変化によるストレスがない」ことが挙げられます。家が広すぎると感じて手ごろな家に住み替える場合、引っ越して環境が変わることは、多かれ少なかれストレスになることに注意しなくてはいけません。
住み替えた先の環境が合わず、体調を崩す可能性もあるでしょう。しかし、老後も同じ家に住み続けるならば、少なくとも環境が大幅に変化することによるストレスはあまり感じないはずです。
子供や孫を呼びやすい
「子供や孫を呼びやすい」ことも、老後も広い家に住み続けるメリットです。
子供や孫を呼んで一緒に食事をしたり、仕事の都合で預かったりする場合は、家にある程度の広さがあるほうが望ましいでしょう。自分だけ、もしくは配偶者と自分とが暮らすだけの広さしかなかった場合、子供や孫を、なかなか自宅に呼べないのも事実です。
家族との思い出を残せる
「家族との思い出を残せる」ことも、老後も広すぎる家に住み続けるメリットの一つとして挙げられます。
たとえ家が広すぎたとしても、家族との思い出があるからという理由でそこに住み続けることを選択する人は多くいます。家に思い入れがあるなら、広すぎたり多少不便に感じたりしても、思い出を大切に住み続けることは、決して不合理なことではありません。
「環境の変化によるストレスがない」とも重なる部分がありますが、長く住み慣れた街を離れずに老後も暮らし、最期を迎えたいなら、広すぎる家でもあえて手放さないのは選択肢の一つです。
老後も広すぎる家に住み続けるデメリット

老後も広すぎる家に住み続けることには、さまざまなデメリットがあります。ここでは、具体的なデメリットとして、以下の注意点を解説します。
老後も広すぎる家に住み続けるデメリット
- 修繕費や維持費や水道光熱費がかかる
- 掃除が面倒
- 移動が大変
修繕費や維持費や水道光熱費がかかる
「修繕費や維持費、水道光熱費がかかる」ことは、老後も広すぎる家に住み続けるデメリットの一つとして考えなくてはいけません。
老後に限らず、家が広すぎる場合の弊害として考えられるのが修繕費や維持費、水道光熱費など、暮らす上でかかる費用です。たとえば、お手洗いが二つ以上ある場合、その分水道光熱費がかかります。また、家の面積が広ければ広いほど修繕費や維持費も増えていくのが一般的でしょう。
さらに、バリアフリー化に向けて工事をする際も、家が広ければ費用はかさみがちになります。具体的な金額は工事の内容や地域によっても異なりますが、面積が広ければ広いほど、工賃は高くなるのが一般的であるためです。
多くの人が、老後に収入が減る以上、無理がない範囲で節約に努める必要が出てきます。修繕費や維持費、水道光熱費があまりに高く生活を圧迫しかねない場合は、思い切って住み替えるのも、節約という意味ではプラスになり得るでしょう。
掃除が面倒
老後、広すぎる家に住むことのデメリットとして挙げられるのが「掃除が面倒」になることです。家が広すぎると、その分掃除をしなくてはいけない面積が多いため、老後に体力が必要になります。
また、広すぎる家の場合、物を捨てなくても部屋に置いたり収納したりすることができるため、溜め込みがちになる点にも注意が必要です。断捨離という意味では好ましくないため、定期的に不要なものを捨てたり、人に譲ったりすることが望ましいでしょう。
移動が大変
「移動が大変」なことも、老後広すぎる家に住み続けるデメリットの一つです。
特に家が一戸建てだった場合、老後には移動が大変になるおそれがあることに注意が必要です。特に、2階建て以上の一戸建ての場合、階段の上り下りが原因で怪我をするリスクが高くなります。場合によっては骨折やアキレス腱断裂などの深刻な怪我を負う恐れがあるため、注意しなくてはいけません。
老後に広すぎる家から住み替えるメリット・デメリット

老後に広すぎる家から住み替えることのメリット・デメリットは、住み続けるメリット・デメリットと反対と考えてみるとよいでしょう。老後に広すぎる家から住み替えるメリットとデメリットは、以下のとおりです。
老後に広すぎる家から住み替えることのメリット・デメリット | |||
---|---|---|---|
メリット | ・修繕費や維持費や水道光熱費が少なくなる ・掃除が楽になる ・移動が簡単になる |
||
デメリット | ・環境の変化によるストレスがある ・子供や孫を呼びにくいこともある ・家族との思い出は残りにくい |
結局は自分や家族の希望に合わせるのが望ましい
老後に広すぎる家に住み続けるか、それとも住み替えるかは、自分や家族の希望に合わせるのが望ましいでしょう。どちらにも一長一短があるため、自分や家族が何に重きを置いて考えるかによって、最適な方法は異なります。
そこで、以降においては「住み続ける場合」と「住み替える場合」に分けて、具体的な方法や注意点について解説します。
老後も広すぎる家に住み続ける場合にやるべきこと

老後も広すぎる家に住み続ける選択をした場合、快適に暮らすためには相応の準備をしなくてはいけません。ここでは、老後も広すぎる家に住み続ける場合にやるべきことを、具体的な方法や注意点とともに解説します。
自宅をバリアフリー化しておく
老後も広すぎる家に住み続ける予定であれば、快適に暮らせるようリフォームを施すなどしてバリアフリー化しておきましょう。住み慣れた家であっても、老後になると体の機能が衰えるため、不自由を感じるようになるのは珍しくありません。
バリアフリー化のための具体的な工事として以下のものが考えられますが、個々の家にとって最適な方法は異なるため、ハウスメーカー・工務店に相談してみましょう。
バリアフリー化工事の例
- 段差の解消
- 浴室、玄関の手すり設置
- 脱衣所に室内暖房を設置
- 階段にリフトを設置
二世帯住宅も視野に入れる
家がマンションの場合は難しいかもしれませんが、一戸建てであれば子供世帯との同居を見据えて二世帯住宅に改装するのも選択肢の一つです。リフォームでの対応が難しければ、改築も検討しましょう。
二世帯住宅ならではの注意点として「お互いに対する配慮」が挙げられます。親世帯、子供世帯と生活スタイルが違う世帯が同居する以上、互いへの配慮は欠かせません。お互いに干渉しすぎないよう間取りを工夫するとともに、生活費の扱いなど、生活上のルールを整備する必要があります。
老後に広すぎる家から住み替える際にやるべきこと

老後に広すぎる家からの住み替えを検討している場合にやるべきことや注意点について解説します。いずれも基本的なことではありますが、軽視すると後々トラブルに結びつくため十分に注意しましょう。
家族の意向を聞く
住み替えをする際は、元の家の扱いについて家族の意向を聞きましょう。子供や親類が将来その家に住みたいと考えていた場合、勝手に手放すと反感を買うおそれがあります。相続財産にもかかわってくる問題である以上、関係者の意向を聞いてから慎重に判断しましょう。
自分たちが住まずにほかの家族が代わりに住んでくれる場合は、不動産会社と売却についてやり取りをする必要もなくなります。
なお、家を譲る形で代わりに住んでもらう場合は、生前贈与の手続きが必要です。具体的には以下の流れで進めていきますが、分からない場合は不動産や相続に強い司法書士などの専門家に相談しましょう。
生前贈与の手続きの基本的な流れ
- 必要書類を集める
- 贈与契約書を作成する
- 生前贈与の登記申請を行う
住宅ローンの残高を確認する
家を売却して住み替える際は、住宅ローンの残高を確認しましょう。住宅ローンを既に完済していれば問題ありませんが、残債がある場合は注意しなくてはいけません。
まず、残債額が売却額を下回る「アンダーローン」の状態にあれば売却額で住宅ローンを完済できるため、特段問題なく売却できます。
一方、残債額が売却額を上回る「オーバーローン」の状態にあれば、売却額で住宅ローンを完済することはできません。不足額を現金で支払えるなら問題ありませんが、難しい場合は住み替えローンの利用もしくは任意売却を検討しましょう。
十分な資金があるか確認する
新たに自宅を購入して住み替える際は、十分な資金があるかを確認しましょう。老後に不動産を購入する場合、住宅ローンが組めない、もしくは組めても少額にとどまる可能性が極めて高くなります。費用のすべて、もしくは大半を現金で一括払いしなくてはいけない以上、相応の資金が必要です。
さらに、引っ越し代や家具・家電代、暮らし始めてからの修繕費・維持費などの諸費用もかかる以上、十分な預貯金があるか、ない場合は資金のめどが立つかを考えてから、具体的な計画を立てましょう。
賃貸住宅は入居を断られることもある
老後、マンションなど賃貸住宅に住み替える場合、高齢であると入居を断られる可能性があることが注意点として挙げられます。収入が減るため家賃が未回収になったり、居室内で突然死するリスクを危惧して、高齢者の入居に消極的な家主は一定数いるのも実情です。
賃貸住宅への住み替えを検討している場合は、高齢者の受け入れを積極的に行っている物件を扱う不動産会社に相談しましょう。また、サービス付高齢者向け住宅の利用も選択肢の一つです。
住み続ける場合も住み替える場合でも入念に準備しましょう

この記事のまとめ
- 広すぎる家に住み続けるメリットは「ストレスがない」「人を呼びやすい」「思い出を残せる」
- 広すぎる家に住み続けるデメリットは「費用が高い」「掃除が面倒」「移動が大変」
- 住み続ける場合は、バリアフリー化や二世帯住宅を検討する
- 住み替える場合は、家族の意向も聞き、十分な資金があるか確認する
老後に広すぎる家から住み替えるべきかどうかは、その人の置かれた状況によって異なります。自分だけでなく家族の意向も聞きながら、納得できる着地点を探ってみるとよいでしょう。
また、広すぎる家に住み続ける場合はリフォーム代、住み替える場合は引っ越し代など、どちらを選んだとしても諸経費はかかります。老後に資金が枯渇しないよう、コツコツと準備を進めましょう。