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お金・お家のこと

持ち家ありの夫婦の老後資金はいくら必要?内訳や家の活用方法を紹介

持ち家ありの夫婦の老後資金はいくら必要?内訳や家の活用方法を紹介

持ち家がある夫婦の老後資金は、いくらあればよいのでしょうか。持ち家があれば、賃貸に住む場合とは異なり家賃を払う必要がありません。老後においても家賃分の負担は軽減できますが、それでも夫婦2人で暮らすための生活費はかかります。本記事では、持ち家ありの夫婦の老後資金について、内訳や家の活用方法とも絡めながら詳しく解説します。

監修者 SUPERVISOR
日本FP協会認定AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、貸金業務取扱主任者 荒井美亜

立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。

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持ち家ありの夫婦の老後資金はいくら必要?

老後資金 夫婦 持ち家 計算イメージ

まず、持ち家がある夫婦の場合、老後資金はいくら必要になるかを公的なデータを用いて解説します。

夫婦2人だと1ヵ月の生活費は約38万円

老後資金がどれだけ必要かを計算するために、毎月の生活費がどのぐらい必要かを考えてみましょう。公益財団法人生命保険文化センターの統計によれば、ゆとりある老後生活を送るために必要と考える最低生活費は平均で37.9万円という結果が明らかになりました。

令和4年 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?(公益財団法人生命保険文化センター)

なお、最低限の生活費を前提として考える場合は、これよりも必要な金額は下がります。総務省「家計調査報告」によれば、2023年における「65歳の夫婦のみの無職世帯」の毎月の生活費(消費支出)の内訳は以下のようになっています。

最低限の生活費を前提とした場合の1世帯あたりの毎月の生活費
項目 金額(円)
食費 72,930
住居費 16,827
水道光熱費 22,422
家具・家事用品 10,477
被服及び履物 5,159
保健医療 16,879
交通・通信 30,729
教養娯楽 24,690
その他の消費支出 50,839
合計 250,962

令和6年 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要

1世帯につき毎月約25万円といったところですが、それでもある程度まとまったお金が必要なことに変わりはありません。実際にかかる生活費は望むライフスタイルや暮らす地域によって異なるため、目安として考えてください。

毎月15万円の赤字が生じる計算

次に、毎月の収入に関するデータを紹介します。日本年金機構によれば、令和6年4月分(6月14日(金曜)支払分)からの年金額は、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)の場合230,483円となっていました。

令和6年 令和6年4月分からの年金額等について(日本年金機構)

約23万円と考えた場合、先ほどのゆとりある老後生活費のデータと照らし合わせると毎月約15万円が不足する計算になります。仮に、夫の定年を65歳とし、85歳まで生きると考えた場合、合計で3,600万円が不足する計算です。長生きした場合はより多くの老後資金が必要になります。

持ち家ならリフォーム代も必要

持ち家に住み続ける予定であれば、リフォーム代も老後の出費として考える必要があります。こまめに手入れをしていても住んでいる限りは家は傷む上に、高齢になればバリアフリー化するなどの工夫も必要になることが理由です。家を快適な状態に維持するためにも、定期的なリフォームは欠かせません。

国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」によれば、リフォーム費用の平均は137万円とのことでした。

令和6年 令和5年度住宅市場動向調査報告書(国土交通省)

余裕を持って1回あたりのリフォーム代を150万円とし、定年後に2回(10年に1回の頻度)で行ったとすると、先ほどの3,600万円に追加して300万円必要になる計算です。もちろん、大規模なリフォームを考えているなら、より費用を高く見積もる必要があります。

持ち家がある夫婦が必要な老後資金の額を把握する方法

老後資金 夫婦 持ち家 話し合いイメージ

これまで紹介してきたデータは、あくまで公的な統計に基づくものに過ぎません。実際に老後資金がいくら必要かは夫婦によって異なるため、ご自身で算出してみましょう。ここでは、夫婦2人で必要な老後資金の額を把握する方法について解説します。

①毎月の支出を把握する

最初に、家計簿をつけるなどの方法で、毎月の支出額を明確にしましょう。ただし、食費など月ごとに変動が大きい項目については、おおよその金額で問題ありません。また、できれば細かい項目まで網羅すると、より正確なデータとして利用できます。

なお、持ち家の場合は毎年の固定資産税やメンテナンス費用(マンション等の場合は管理費)、リフォーム代も織り込んで計算する必要があります。加えて、大雨や地震などの災害が起き、復旧費用が発生する可能性も考慮すると、より正確に支出額を把握することが可能です。

②毎月の収入額を調べる

次に、年金支給額を把握します。夫婦2人の場合、2人分の合計額を計算しなくてはいけません。また、iDeCoや個人年金保険などで老後資金を積み立てているのであれば、満期を迎えたときに受け取れる金額を織り込みましょう。なお、老後も給与や収入の予定がある場合は、受け取れる金額を反映させてください。

③シミュレーションする

毎月の支出と収入額が調べられたら、シミュレーションを行います。シミュレーションの際は、寿命を「80歳」「85歳」「90歳」など数パターン想定して行うとさらに効果的です。

老後の生活において実際にかかる費用はそのときになってみないと正確には分かりませんが、貯蓄や資産運用をする際の参考となるデータとして活用できるでしょう。なお、より詳しく知りたい場合は、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家にシミュレーションを依頼するのも1つの手段です。

老後資金を増やす方法は?

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老後資金を増やす方法は、大きく分けると「貯蓄する」「資産運用する」の二つです。それぞれの方法について、メリットとデメリットを解説します。

貯蓄する

銀行などの口座を使って貯蓄していくことで老後資金を増やしていく方法です。具体的には、「毎月1万円ずつ貯蓄する」など目標を決め、積立預金をしていく方法などが考えられます。この方法のメリットは以下の二つです。

貯蓄で老後資金を用意するメリット

  • 仕組みが分かりやすい
  • 元本割れを起こす可能性が非常に低い

一方で、お金を効率的に増やすことが難しいというデメリットがあります。生活防衛費(半年分の生活費)やリフォーム代など、将来必ず生じる出費に充てられる額を貯蓄し、残りは資産運用で賄うことを前提に考えてみましょう。

資産運用する

株式や投資信託など、金融商品に投資することで資産を増やし、老後資金に充てる方法です。老後資金を用意するために利用できる資産運用方法について、特徴およびメリット・デメリットをまとめたので、ぜひ活用してください。

老後資金を準備するために利用できる資産運用方法
項目 概要 メリット デメリット
株式投資 専用口座を通じ、株式市場で売買されている株式に投資し、配当益や売買益を得る 銘柄の選び方次第では得られる配当益、売買益が大きい 銘柄の選び方や売買のタイミング次第では損失が出ることがある
投資信託 投資家から集めたお金を大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品を購入し、売却益や分配金を得る プロに運用を任せられるため、知識や経験が乏しくても始められる 手数料がかかるうえに、投資信託の選び方次第では損失が出る可能性もある
NISA 少額投資非課税制度のこと。つみたて投資枠として年間120万円、成長投資枠として年間240万円の非課税枠が設けられており、最大1800万円までの投資を非課税にできる 投資で得た利益が非課税になるる 投資である以上、損失が出る可能性がある
iDeCo 個人型確定拠出年金のこと。専用口座を通じて毎月一定額の拠出金を積み立て、投資信託などの一定の金融商品を運用すれば、60歳以降に元本と運用益を受け取れる 早い段階から着実に老後資金を準備できる 金融資産の運用成績次第では損失が出る可能性がある
拠出金額の変更や60歳になるまで引き出しができない

持ち家を老後に活用する方法

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夫婦で持ち家に住んでいるなら、老後にその家をどうするかも早い段階から考えておくのが好ましいです。ここでは「老後において、持ち家をどのように活用するか」について、具体的な方法を紹介します。

リフォームをする

老後も今の持ち家にそのまま住み続け「終の棲家」にする場合、一軒家であればリフォームが必要不可欠になります。高齢になると、ちょっとした段差でつまずいたり、手すりがないとバランスを崩したりして骨折や捻挫をするのは珍しくありません。また、骨折や捻挫がきっかけで寝たきりになり、認知症を発症するリスクも考えられます。

このような背景があるため、持ち家に住み続けるためにはバリアフリー化を見据えたリフォームが必要不可欠です。福祉住環境コーディネーター資格を持つ担当者がいるハウスメーカー、建築事務所に相談してみましょう。

建て替える

ある程度予算に余裕がある場合は、リフォームではなく建て替えも視野に入れてみましょう。土地の広さに余裕があるなら、子供世帯との同居を見据えて2世帯住宅にすることも検討する余地があります。

ただし、子供など同居していない家族に持ち家への思い入れがあった場合、無断で建て替えるのはトラブルのもとになるため、事前の相談は必須です。また、建て替えるのはリフォームに比べ多額の資金が必要になるため、資金計画は綿密に行わなくてはいけません。

2世帯住宅にする前提で家を建て替える場合「親子リレーローン」といって、将来は親から子へと引き渡す形で2世帯に渡り返済を行う形で住宅ローンを組めます。夫婦だけで住むつもりで家を建て替えるなら、リバースモーゲージ型の住宅ローンも検討しましょう。

リバースモーゲージ型の住宅ローンとは、建て替える持ち家を担保にして融資を受ける住宅ローンのことです。契約者の生前は利息のみを支払い、契約者が亡くなった際に以下のいずれかの方法で返済を行います。

契約者が亡くなった際のリバースモーゲージ型住宅ローンの返済方法

  • 相続人が一括返済をし、持ち家を引き継いで住む
  • 相続人が一括返済をせず、持ち家を売却して返済に充てる

売却して住み替える

今の持ち家が広すぎると感じる場合は、あえて売却し、便利かつコンパクトな家に住み替えるのも一つの方法です。ただし、子供などほかの家族がいる場合は、意向を聞いてから進めましょう。「建て替える」の章でも触れましたが、持ち家に思い入れがあった家族とトラブルになる可能性があるためです。

元の家を賃貸住宅として貸し出すこともできる

持ち家から住み替える場合も、家を完全に手放すのではなく、賃貸住宅として貸し出し、収益を得る方法も考えられます。ただし、老朽化が進んでいるならリフォームをしてから貸し出すのが望ましい上に、借り手がつかないと収益も得られません。賃貸住宅としての需要が見込めるかを考えた上で行うことが望ましいです。

リバースモーゲージを検討する

リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら自宅を担保にお金を借りられるシニア向けの制度です。契約者の死亡後は、自宅を売却して元本を一括返済できます。住み慣れた自宅に住み続けることができるうえ、月々の支払いはローンの利息部分のみとなるため負担が少ない点がメリットです。

しかし、一般的にリバースモーゲージは融資限度額が定められています。長生きをしてローンの受取総額が融資限度額に達した場合は、その後の融資が途絶え、自宅も失うというデメリットもあります。

リースバックを検討する

リースバックとは、持ち家などの不動産を売却し、その上で賃貸借契約を結んで住み続ける不動産売買契約の一種です。持ち家の住宅ローンに残債がある状態だったとしても、売却価格で一括返済できれば利用できます。

所有者が自分から購入者に移るため、住宅ローンの返済義務もなくなるのが大きなメリットです。また、持ち家にはそのまま住み続けられるため、引っ越しをする必要もありません。

ただし、家賃を払い続ける必要があるため、相応の収入や資産がないと現実的には厳しい方法であるのも事実です。さらに、事業者によってはマンションなどの集合住宅の買取には対応していないことがあるため、事前の確認は必須となります。

自分たちに老後資金はいくら必要かを把握して、老後資金の準備を始めましょう

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この記事のまとめ

  • ゆとりある老後生活を送るために必要と考える生活費は平均月38万円
  • 持ち家ありの夫婦に必要な老後資金は人それぞれ
  • 試算例として、65歳から85歳までの20年間で3,600万円が不足
  • 事前にシミュレーションをし、必要な金額を求める
  • 貯蓄や資産運用で老後資金を増やすことが重要
  • 持ち家は夫婦の意向に応じて活用する

老後資金がいくら必要になるかは、個々人の置かれた状況やライフスタイルによって異なるため一概にはいえません。ただし、可能な限りは多めに見積もっておくと、余裕のある老後を送れます。加えて、元気なうちは働いたり、資産運用を続けたりすることで、老後資金が減るスピードを遅くする取り組みも有効です。

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