胃もたれのときにおすすめの食事とは?避けた方がよい食事・食材も確認しましょう
胃もたれのときに普段通りの食事をすると胃に負担がかかり、症状が悪化する場合があります。胃の不調を解消するためには食生活を改善するのが効果的です。そこで本記事では、胃もたれのときにおすすめの食事や避けた方がよい食事・食材をご紹介します。
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
管理栄養士として病院に勤務し、患者様の栄養管理及び栄養指導に従事。
糖尿病患者や腎臓病患者を中心に、病状の進行を防ぐための食事指導を行う。食事と健康、美容に関する記事を中心に管理栄養士ライターとして活動中。
胃もたれとはどのような症状?
胃もたれとは、食べた物が消化されず胃に残ることにより、食間や食事の後に胃が重く感じる症状のことです。「胃が重い、苦しい、ムカムカする」「食べ物がいつまでも胃の中に残っている感じがする」などの不快感があり、症状が重い場合には吐き気を伴うこともあります。
健康な胃は「胃酸分泌」「粘液分泌」「ぜん動運動」がバランスよく働いて、食事で摂り入れた食べ物を消化しています。胃酸は強い酸性であるため、そのまま胃粘膜に触れると胃を傷つけてしまいます。そこで粘液が中和剤となって胃酸から粘膜を守る役割を果たします。
また、ぜん動運動は、消化された食べ物を胃から十二指腸へ送り出す運動です。これらの機能が正常にはたらくことによって食べ物を消化しています。さまざまな原因によって胃酸分泌と粘液分泌のバランスが崩れたり、ぜん動運動がうまくいかないと胃に不快症状を引き起こすことになります。
胃もたれを引き起こす原因
揚げ物や肉類の食べ過ぎ
食べ物には消化に時間がかかるものとかからないものがあります。揚げ物や焼き肉などの脂質の多い肉類中心の食事は、消化に時間がかかるため胃に負担がかかり、胃もたれの原因となります。
アルコールの飲み過ぎ
アルコールの飲み過ぎは胃酸と粘液のバランスを崩します。アルコールには胃酸の分泌を増やす作用があり、適量であれば食欲増進などの効果があります。
しかし、適量を超えると胃酸が過剰に分泌され、粘液とのバランスが崩れます。また、大量のアルコールは胃の「ぜん動運動」も低下させるため、胃の働きが悪くなり胃もたれの原因となります。
加齢による胃の機能低下
加齢に伴い、胃粘液の減少、ぜん動運動の衰えなどによって、消化に時間がかかるようになります。これにより、長い時間胃に食べ物がとどまるため胃もたれしやすくなるのです。
ストレスによる自律神経の乱れ
胃の働きは自律神経によってコントロールされています。通常、交感神経と副交感神経はバランスを取り合って作用していますが、ストレスを受けると交感神経ばかりが優位になるため自律神経のバランスが崩れていきます。
ストレスが強いときに胃がムカムカしたり、食欲がわかないのは自律神経の乱れが原因のことも多く、胃もたれにもストレスが大きく関わっています。
胃もたれ時の食事のポイント
消化のよい食材を食べる
胃もたれ時には、食事で胃に負担をかけないようにすることが大切です。そのため消化のよい食材を食べるようにしましょう。消化のよい食材とは、消化に時間がかからないもの、長い時間胃にとどまらないものです。
胃に入った食べ物は2時間程度で消化され、腸に送られるとされています。しかし、脂っこい食事は消化に時間がかかり、4時間近く胃に留まるとされています。長時間食べ物が胃の中にあることは胃もたれを悪化させるため、胃もたれ時は消化のよい食事にしましょう。
調理方法を工夫する
胃もたれ時は、調理方法も工夫しましょう。調理方法によって消化にかかる時間が変わってきます。蒸す、茹でるなど油を使わない調理方法であれば胃への負担は少なくなります。一方で揚げる、炒めるなど油を使った料理は消化に時間がかかるため、胃もたれのときには避けた方がよいでしょう。
調理方法を工夫する
胃もたれ時は、調理方法も工夫しましょう。調理方法によって消化にかかる時間が変わってきます。蒸す、茹でるなど油を使わない調理方法であれば胃への負担は少なくなります。一方で揚げる、炒めるなど油を使った料理は消化に時間がかかるため、胃もたれのときには避けた方がよいでしょう。
食事の前に白湯を飲む
白湯は、水を一度沸騰させてから冷ました物で、胃に負担をかけない飲み物です。白湯には胃の働きをよくする効果や消化を促す作用があるため、胃もたれの解消が期待できます。ただし、温度が高すぎると胃に刺激を与えてしまうため、40℃以下に冷ましてから飲むようにしましょう。
よく噛んでゆっくり食べる
よく噛んで食べることで胃の負担を軽くすることができます。きちんと咀嚼することで、口の中で食べ物が細かくなり消化されやすくなるだけでなく、消化酵素を含む唾液がたくさん分泌されるため、胃の負担が軽くなります。
また、ゆっくり食べることで食べ物が胃に送られるスピードを遅くすることも大切です。急に大量の食べ物が胃に送られると、胃は急いで仕事をしなければならないため負担が大きくなります。ゆっくり食べることは胃の負担を減らすことにつながります。
胃もたれ時に避けるべき食事
揚げ物
揚げ物に使われる油は消化に時間がかかるため、胃の中に食べ物が長時間留まることになります。また、油は胃のぜん動運動をさまたげるため、胃もたれするときには揚げ物の多い食事は避けましょう。
香辛料、酸味の強い物などの刺激物
スパイスや唐辛子などの香辛料、酢やレモンなど酸味の強い食品は胃に刺激を与えるため、胃もたれのときには避けましょう。また、柑橘系のジュースや炭酸飲料も胃の中を酸性に傾けるため、控えた方がよい食品です。
食物繊維の多い野菜や海藻類、きのこ類
ごぼうやれんこんなど食物繊維が多く含まれる野菜や海藻類、きのこ類は人の消化酵素では消化できないため、胃の負担が大きくなります。食物繊維は、胃で消化されずにそのまま大腸に送られて腸内環境を整える働きがあるため、胃の調子がよいときには進んで食べたい食品ですが、胃もたれのときには控えましょう。
胃もたれ時におすすめの食事
胃もたれ時におすすめの主食
胃もたれ時の主食には、柔らかくて消化がよく胃に負担がかからないお粥やおじや、うどんなどが適しています。うどんと同じ麺類でも、中華麺やスパゲティは製造過程で油が使われているため胃もたれ時は避けましょう。
胃もたれ時におすすめの主菜
胃もたれ時にたんぱく質などのおかずを摂る場合、脂質の少ない食材を選ぶのがポイントです。肉類では赤身肉や鶏むね肉、ささみ肉などは胃への負担が少ない食材です。魚では白身魚や鮭は良質なたんぱく質で栄養補給ができ、胃もたれ解消にも役立ちます。
また、豆腐や納豆などの大豆製品も消化しやすく、胃もたれ時でも食べやすい食品です。とくに豆腐は口当たりもよく、温めて湯豆腐にするとより胃への負担が軽減されるためおすすめです。
おすすめの食材
- 赤身肉、鶏むね肉、ささみ肉
- 白身魚、鮭
- 豆腐、納豆などの大豆製品
- 半熟卵
胃もたれ時におすすめの副菜
胃もたれ時の副菜は、水分が多く消化しやすい野菜や口あたりのよい料理がよいでしょう。野菜は、消化酵素や胃もたれ解消に効く栄養素を含むキャベツ、白菜、大根などがおすすめです。柔らかく煮込んだスープにすると食べやすいでしょう。
胃で消化された食べ物は腸へ送られるため、消化吸収をスムーズにするためには腸の調子を整えることも大切です。胃もたれ時でもさっぱりしていて食べやすいヨーグルトは、牛乳を発酵させた発酵食品であるため消化もよく、整腸作用もありおすすめです。
おすすめの食材・料理
- 温かいスープ
- 茶碗蒸し
- 蒸し野菜
- ヨーグルト
食べ過ぎによる胃もたれへの対処
たんぱく質を食べ過ぎた場合
たんぱく質の摂り過ぎで胃もたれしている場合、たんぱく質分解酵素を含んだ食材を食べることで胃もたれを軽減できます。たんぱく質分解酵素は、たんぱく質をアミノ酸に分解する働きがあります。そのため、たんぱく質分解酵素を摂取することで消化がスムーズになり、胃もたれの解消につながります。
果物に含まれていることが多いため、ヨーグルトと混ぜてデザートとして食べる方法がおすすめです。
たんぱく質分解酵素を含む食品
- キウイフルーツ
- イチジク
- 梨
- パパイヤ
炭水化物を食べ過ぎた場合
ご飯やパン、麺類などの炭水化物の多い食事を食べ過ぎたときには、でんぷんを分解する酵素を含む大根や山芋がおすすめです。大根や山芋に含まれる「アミラーゼ」という酵素は、でんぷんの消化を助けるため、炭水化物を食べ過ぎたときに摂ると胃もたれ解消に役立ちます。
ただし、アミラーゼは熱に弱い性質があるため、なるべく生で摂るようにしましょう。
胃もたれ時に食事以外の生活面で気をつけること
胃もたれのときは食事に気をつけることが重要です。しかし健康な胃は、食事に限らず普段から規則正しい生活を送ることで保たれます。ここでは、胃もたれ時に食事以外で注意する点を解説します。
ストレスをためない
先述したように、ストレスは自律神経を乱し胃の不調を招く原因となります。日頃からストレスをためない生活を心がけましょう。適度な運動を取り入れる、趣味を持つなどして、ストレスを発散しましょう。
飲酒は控えめに
「酒は百薬の長」ということわざがある通り、適量のお酒は胃酸の分泌を促し食欲を増進する効果があります。しかし、大量の飲酒は胃の負担となり、健康を害するリスクとなるため、飲酒は控えめにしましょう。
また、量が少なくても空腹時の飲酒は危険です。食事を摂らず、胃が空っぽの状態でお酒が入ると、アルコールが直接胃の粘膜に触れるため、強い刺激となり胃に与えるダメージが大きくなります。アルコールを飲む際は、先に食事をとってから飲むとよいでしょう。
生活リズムを整える
起床や食事を決まった時間にすることで、身体のリズムも整います。特に、一定の間隔をあけて食事をすることで胃を休ませることができるため、胃の健康維持に効果的です。
胃の不調が長期間続く場合は早めに医療機関へ
食べ過ぎや飲み過ぎなど胃もたれの原因はさまざまです。しかし、食事や健康に配慮した生活をしていると、胃の状態は改善してくることがほとんどです。それにも関わらず胃の不調が長期間続き、回復の兆しがない場合は病気の可能性もあります。いつもと違うと感じた場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
胃もたれ時は、刺激物などを避けて消化のよい食事を摂りましょう
この記事のまとめ
- 胃もたれとは、食べた物が消化されずに胃に残ることで感じる不快感
- 胃もたれの原因は、さまざまな理由によって胃酸分泌、粘液分泌、ぜん動運動のバランスが崩れること
- 胃もたれ時は消化のよい食事にする
- 胃もたれ時は香辛料などの刺激物やアルコール、食物繊維の多い食事は控える
- 日頃から規則正しい生活を送り、胃もたれしにくい体をつくる
胃もたれは、さまざまな原因によって胃の健康が損なわれることで起こる症状です。普段から暴飲暴食を避け、胃に負担のかからない食事を摂ることが大切です。
胃もたれになったときには、今回紹介した内容を参考にして、消化の悪い食べ物や刺激物は避け、胃に優しい食事を摂るようにしましょう。