友人の葬儀で弔辞️(挨拶)を行う際の例文集!構成や注意点も解説
友人の葬儀や告別式で弔辞を依頼されたとき、どんな内容を話すすべきか迷うものです。本記事では、友人への弔辞を任された方に向けて、例文や構成、注意点を詳しく解説します。心に響く弔辞を作成するためのポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
友人による弔辞とは
最初に、弔辞とはどのようなもので、友人による弔辞にはどのような意味が込められているかについて紹介します。
弔辞とは
弔辞とは、葬儀や告別式で故人を追悼する言葉のことです。弔辞を読む人は、ご遺族の依頼によって決まります。内容は、故人との思い出や故人への感謝の気持ち、生前の功績や人柄についてです。つまり、「故人と親しかった人が読むお別れの手紙」と考えるとよいでしょう。
友人が弔辞を行う場合
弔辞は同僚や恩師、親族にも依頼されることがありますが、ご遺族や参列者にとって新たな故人の一面を知ることができるのは、やはり友人からの弔辞です。プライベードで故人と親密な関係を築いた友人は、個人的なエピソードを語ることで故人の人柄のより深いところを伝えることができます。
故人と関係が深い場合
故人と関係が深い友人が語るとよいのは、より詳細なエピソードや思い出です。故人との深い絆を感じさせる言葉は、ご遺族や参列者の心に響く弔辞となります。友人として共に過ごした時間を振り返り、故人の人生における出来事を伝えましょう。
具体的には次のような内容を含めて、故人との深い絆が伝わる内容にするのがおすすめです。
故人と関係が深い友人の弔辞の内容
- 初めて出会ったときの印象
- 一緒に乗り越えた困難や挑戦
- 互いに成長し合った経験
- 人生の節目で共有した喜びや悲しみ
- 生前の故人から受けた影響や学んだこと
友人として弔辞を依頼された場合
ご遺族から友人として弔辞を依頼された場合、やむを得ない事情がない限り引き受けた方がよいでしょう。人前でスピーチをしたり、文章を書いたりするのが苦手で、断りたいと思う方もいるかもしれません。しかし、弔辞は故人への最後のメッセージであり、ご遺族の意向を尊重することが弔意の表明につながります。
下記の手順を参考に友人への弔辞の準備を進めて、心のこもった内容にしましょう。
友人が弔辞を依頼された場合の準備手順
- ご遺族と連絡を取り、弔辞に込めてほしい内容や注意点を確認する
- 故人との思い出や印象的なエピソードを整理する
- 弔辞の構成を考え、下書きを作成する
- ご遺族に内容を確認してもらい、必要に応じて修正する
- 読み上げの練習をし、時間を調整する
友人への弔辞の構成
友人への弔辞は、故人との関係や思い出を中心に構成します。葬儀や告別式での弔辞を依頼されたら、以下の基本的な構成を参考に文章を作成しましょう。
弔辞の基本的な構成
- 導入・挨拶
- 訃報を受けたときの心境
- 故人のエピソード
- 現在の心境
- お別れの言葉
上記の基本構成を踏まえつつ、自分らしい表現や言葉を用いることで、友人への思いが詰まった弔辞を作成できます。
構成①導入・挨拶
まずは、導入として弔辞を始める際の挨拶です。ご遺族への敬意を表し、弔辞を読む立場を明確にします。例えば、「友人◯◯さんのご霊前に謹んでお別れの言葉を申し上げます」のような言葉で始めるとよいでしょう。
構成②訃報を受けたときの心境
故人の訃報を聞いたときの驚きや悲しみを率直に伝えます。自分の心情を素直に伝えることで、ご遺族や参列者と悲しみを共有できます。例えば「突然の訃報に、言葉を失いました」や「信じられない思いで一杯です」といった文章です。
構成③故人のエピソード
故人のエピソードを語るときは具体性が重要です。詳細な思い出を語ることで、故人の人柄や魅力を共有できます。例えば、「◯◯さんは、周りの人を笑顔にする朗らかさを持っていました」といった故人の性格を示す文章で始めて、具体的なエピソードにつなげるとよいでしょう。
構成④現在の心境
友人を失った悲しみや、故人への感謝の気持ちを表現しましょう。具体的なエピソードを語った上で現在の心情を率直に伝えると、故人との絆や深い愛情が伝わります。例えば「毎日顔を合わせていた◯◯さんがいないと、寂しくてたまりません」といった文章です。
構成⑤お別れの言葉
最後に、弔辞を終えることを告げ、故人へ語りかけるように感謝と別れの言葉を述べましょう。「これをもって惜別の言葉といたします。◯◯さん、長い間本当にありがとうございました。どうか安らかにお眠りください」といった言葉で締めくくります。
関係別に見る友人への弔辞の例文集
友人といってもさまざまな関わり方があり、故人との関係によって弔辞の内容や表現が異なります。以下の関係別の例文を参考に、友人として弔辞を作成しましょう。
家族ぐるみで仲のよかった友人への弔辞の例文
家族ぐるみの付き合いがあった友人への弔辞では、家族との思い出も交えながら、故人の人柄や家族愛を伝えましょう。
【導入・挨拶】職場の同僚であり、友人でもある◯◯さんのご霊前に、謹んでお別れの言葉を申し上げます。
【訃報を受けたときの心境】突然の訃報に、驚きと深い悲しみでいっぱいです。こうしてお別れをいわなければならないことが、まだ信じられません。
【故人のエピソード】◯◯さんとは家族ぐるみのお付き合いをさせていただき、楽しい思い出がたくさんあります。特に毎年の家族旅行では、◯◯さんの明るい笑顔と気配りに心が和みました。
◯◯さんは、家族を何よりも大切にする方でした。お子様の運動会や発表会には必ず参加し、熱心に応援する姿が印象的でした。また、奥様への愛情も深く、結婚記念日には必ずプレゼントを用意されていました。そんな◯◯さんの姿は、私たち夫婦にとってもよい手本でした。
仕事面でも、◯◯さんの誠実さと熱意は周囲から高く評価されていました。困難な局面でも決して諦めず、常に前を向いて進む姿勢に、私も何度も励まされました。
【現在の心境】そんな◯◯さんがこんなにも早く旅立ってしまうなんて、寂しくてたまりません。しかし、◯◯さんから学んだ多くのことを胸に刻み、前を向いて進んでいこうと思います。
【お別れの言葉】名残惜しいですが、お別れのときがきました。◯◯さん、長年お付き合いいただき、本当にありがとうございました。心から友人◯◯さんのご冥福をお祈りいたします。
学生時代の友人への弔辞例文
学生時代の友人への弔辞では、若かりし頃の思い出や、その後の人生における友情の深まりを語りましょう。
【導入・挨拶】友人として◯◯君のご霊前に、謹んでお悔やみ申し上げます。
【訃報を受けたときの心境】大学時代からの友人である◯◯君の突然の旅立ちに、言葉を失っています。共に夢を語り、励まし合ったあの頃が昨日のことのように思い出されます。
【故人のエピソード】◯◯君との出会いは、大学1年生の春でした。同じサークルに入った私たちは、すぐに意気投合し、かけがえのない友情を育んでいきました。◯◯君の明るさと行動力は、周囲の人を惹きつけ、サークル活動を大いに盛り上げてくれました。
特に忘れられないのは、三年生の夏に一緒に挑戦した富士山登山です。頂上を目指す途中、私が体調を崩したとき、◯◯君は自分の荷物に加えて私の荷物も背負い、励まし続けてくれました。そのときの◯◯君の優しさと強さは決して忘れません。
社会人になってからも、◯◯君の前向きな姿勢は変わりませんでした。仕事で壁にぶつかったときも、どんな困難も乗り越えられると信じ、常に新しいチャレンジを続けていました。その姿に私は勇気づけられました。
【現在の心境】◯◯君が突然旅立ってしまい、私は今、大きな喪失感でいっぱいです。しかし、◯◯君から学んだ「諦めない心」と「人を思いやる気持ち」を胸に、明日から前を向いて進んでいこうと思います。
【お別れの言葉】これをもって、追悼の言葉といたします。◯◯君、長年の友人としてそばにいてくれて、本当にありがとう。どうか、安らかに眠ってください。
職場の友人への弔辞例文
職場の友人への弔辞では、仕事上の功績や人柄、同僚としての思い出を中心に語りましょう。
【導入・挨拶】◯◯さんのご逝去を悼み、友人としてお別れの言葉を申し上げます。
【訃報を受けたときの心境】同じ部署で10年間、共に働いてきた友人◯◯さんの訃報に接し、深い悲しみに包まれています。
【故人のエピソード】◯◯さんは、常に前向きで、困難な局面でも冷静に対応する素晴らしい同僚でした。
◯◯さんとの出会いは、私が会社に入社した日にさかのぼります。新入社員だった私に、一つ年上の◯◯さんは親切に仕事の進め方を教えてくださいました。その後も、困ったときいつも相談に乗ってくださるのは◯◯さんでした。
特に印象に残っているのは、三年前の大型プロジェクトです。タイトなスケジュールの中、◯◯さんのリーダーシップのもと、チーム全員が一丸となって取り組みました。プロジェクトが成功したのは、◯◯さんの緻密な計画力と柔軟な対応のおかげです。
また、◯◯さんはプライベートでも温かい人柄でした。共通の趣味のバレーボールでは、いつも場を和ませる存在で、皆から愛されていました。
【現在の心境】友人の◯◯さんが旅立ち、今、職場は大きな喪失感に包まれています。しかし、◯◯さんから学んだチームワークや向上心を胸に、これからも仕事に励んでいきたいと思います。
【お別れの言葉】◯◯さん、長年、本当にお世話になりました。どうか天国で安らかにお眠りください。心からご冥福をお祈りして、最後のご挨拶とさせていただきます。
友人への弔辞の注意点
友人への弔辞を書く際は、以下の点に注意しましょう。適切な表現を用いることで、故人へ敬意を表し、ご遺族や参列者の心に響く弔辞となります。
忌み言葉を避ける
葬儀の場では、縁起が悪いとされる「忌み言葉」を避けることが大切です。忌み言葉を使うと、大切な人を失って悲しみの中にいるご遺族を傷つける可能性があります。例えば、「苦しい」「大変」「消える」といった言葉は不幸を連想させるため避けたほうがよいでしょう。
重ね言葉を避ける
「重ね言葉」は、葬儀の場では不適切とされます。不幸が重なり、縁起が悪いと考えられているためです。例えば、「次々」「重ね重ね」「度々」「時々」などの表現は避けましょう。
生死を直接的に表現する言葉を避ける
「死ぬ」「生きる」といった生死に関する直接的な表現は避けましょう。言葉の印象が強すぎて、葬儀や告別式の場にふさわしくありません。故人やご遺族へ配慮して、「逝去される」「旅立つ」「生前」「元気な頃」などの婉曲的な表現に置き換えるのがマナーです。
宗教上ふさわしくない表現を避ける
故人の信仰する宗教に配慮し、適切な表現を選びましょう。宗教に応じた表現を知ることは、生き方や考え方を尊重することにつながります。
例えば、仏教以外の方に「ご冥福をお祈りします」とはいいません。キリスト教では「安らかな眠りをお祈りします」、神道では「ご愁傷さまでした」と表現します。
3分〜5分で話せるボリュームに収める
弔辞の妥当な長さは3分〜5分程度で、原稿用紙でいうと1.5枚程度です。あまりに長すぎると葬儀全体のスケジュールに影響し、内容も十分に伝わりません。逆に短すぎると味気ない弔辞となってしまいます。事前に読み上げて時間を確認しておきましょう。
弔辞の長さを調整するポイント
- 重要なエピソードを二つ〜三つに絞る
- 一つのエピソードは100字〜200字程度で簡潔にまとめる
- 導入と締めくくりは短めにする
- 読み上げ練習を行い、適切な間を取る
弔辞は保管されるため丁寧な文字で書く
弔辞は丁寧な文字で書くことが大切です。読み終わった弔辞は、ご遺族によって大切に保管されます。読みやすい文字で、心を込めて書きましょう。
丁寧な文字で書くためのポイント
- 文字の大きさを揃える
- 行間を適切に取る
- 誤字脱字に注意する
- 墨字で書く場合は、練習を重ねてから清書する
内容の重複に気をつける
弔辞を依頼されているのが複数人の場合、予め打ち合わせを行って話の重複を避けましょう。参列者に似通った内容を何度も聞かせるより、故人の異なるエピソードを紹介した方がさまざまな思い出に触れる充実した時間となります。
正しい経歴を把握する
故人の経歴に間違いがないかを事前に確認しましょう。故人やご遺族に対して失礼のないように、正しい情報に基づいて故人のエピソードを紹介することが大切です。
構成や例文、書き方を踏まえて友人への弔辞を作成しましょう
この記事のまとめ
- 友人による弔辞は、ご遺族や参列者にとっての新たな故人の一面を知る機会になる
- 友人への弔辞では、故人との思い出を具体的に語る
- 言葉遣い、長さに注意し、丁寧に作成する
- 弔辞に適切ではない表現を避ける
弔辞は故人への最後のメッセージであり、友人の思い出をご遺族や参列者と共有する場です。故人との絆や故人から学んだことを伝えることで、前を向いて生きていこうとする勇気を与えられます。弔辞に適した構成や注意点を踏まえて、参列者全員の心に長く残る弔辞にしましょう。