孫が弔辞️(挨拶)を行う場合の例文集!文章構成や書き方、注意点も解説
孫代表として弔辞を依頼された場合、何を話そうか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、子供が孫代表として弔辞を頼まれた親御さんや、祖父母の弔辞を頼まれた20代の方に向けて、弔辞の例文を紹介します。ポイントや注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
孫による弔辞とは
そもそも、弔辞とはどんなもので、孫による弔辞はどのような役割を果たすのでしょうか。
弔辞とは
弔辞とは、葬儀や告別式で故人に対して読み上げる最後のメッセージです。ご遺族が故人と親しかった人へ依頼し、読み上げてもらいます。弔辞は、故人の人柄や功績を称え、感謝の気持ちを伝える場であるとともに、遺族や参列者が思いを共有し、故人を偲ぶための大切な機会です。
弔辞を読む目的
- 故人の生前の功績や人柄を称える
- 故人への感謝の気持ちを表現する
- 遺族と参列者が一緒に故人を偲び、別れを告げる
孫が弔辞を読む場合
孫による弔辞は、孫から祖父母への愛情と感謝を表現する手紙のようなものです。長さは3分〜5分程度、内容は孫の純粋な思いや祖父母との思い出で構成するのが一般的です。祖父母の経歴や功績よりも個人的なエピソードを重視し、家族の絆や世代を超えた愛情を感じさせる内容にしましょう。
孫による弔辞の一般的な考え方
孫が葬儀や告別式で弔辞を読む際の基本的な考え方を、三つの重要なポイントに絞って紹介します。
弔辞の内容は自分の言葉で表現する
孫による弔辞は、形式にとらわれすぎず、自分の言葉で素直な気持ちを表現することが大切です。孫自身の言葉を使うことで、自然と心のこもった弔辞になります。祖父母との思い出や感謝の気持ち、別れの悲しみなどを自分らしい言葉で伝えましょう。
孫が自分の言葉で表現するためには
- 事前に家族や親戚と相談し、エピソードを集める
- 祖父母から学んだことや影響を受けたことを整理する
- 感謝の気持ちや別れの悲しみを素直な言葉で表す
ふさわしい書き方は年齢によって異なる
孫による弔辞は、孫の年齢に応じて内容や表現方法を調整することが大切です。年齢に合わせた適切な表現を選ぶことで、弔辞が形式的なものではなく故人への真摯な思いを表すものとなります。小学生以下なら素直な感情表現、中高生や大学生は洗練された言葉遣いを心がけましょう。
年齢別の弔辞の特徴
- 小学生以下:短く簡潔な文章、素直な感情表現、思い出の描写
- 中学生・高校生:やや長めの文章、故人から学んだことの表現
- 大学生・社会人:社会的な立場での故人の影響力、将来への決意表明
弔辞を読む孫代表は年齢や交流の深さなどで決まる
弔辞を読む孫を決めるときは、年齢や故人との交流の深さなどが考慮されます。一般的に、年長の孫や故人と特に親しかった孫に依頼することが多いですが、家族の状況に応じて決定することもあるでしょう。また、複数の孫に依頼し、葬儀で分担して読み上げることもあります。
孫代表を選ぶ際に考慮されること
- 年齢:年長の孫へ依頼する
- 交流の深さ:故人と特に親しかった孫に依頼する
- 表現力:人前で話すことが得意な孫に依頼する
孫による弔辞の文章構成
孫による弔辞は、以下の四つの要素で構成されます。
孫による弔辞の文章構成
- 導入・挨拶
- 訃報を聞いたときの気持ち
- 故人との思い出
- 感謝とお別れの言葉
基本の文章構成に沿って、孫による弔辞の書き方を把握しましょう。
①導入・挨拶
葬儀や告別式の弔辞の導入部分は、孫の年齢によって表現が異なります。孫が高校生までの場合は「おじいちゃんへ」などと故人へ呼びかける表現で問題ありませんが、孫が大学生以上の場合は周囲への挨拶となる導入が必要です。
孫による弔辞は、素直に思いを伝える最後のメッセージですが、大学生以上の年齢になると、葬儀や告別式の弔辞の場にふさわしい挨拶が期待されます。例えば、「敬愛する祖父の葬儀に際し、孫を代表してご挨拶申し上げます」のように始めるとよいでしょう。
②訃報を聞いたときの気持ち
導入・挨拶後は、祖父母の訃報を聞いたときの驚きや悲しみを率直に表現しましょう。別れに接した時の心情を素直に伝えることで、親族や参列者と悲しみを共有できます。
例えば「知らせを聞いたとき、私は言葉を失いました。突然の別れに、まだ実感がありません」といった内容です。
③故人との思い出
祖父母との具体的なエピソードや思い出を語ります。楽しかったことや、教えてもらったことなど、故人の人柄が伝わるような内容を選びましょう。
例えば「祖父は毎年夏休みに、私たち孫を海へ連れて行ってくれました。波の音を聞きながら、祖父が語ってくれた昔話は、今でも昨日のことのように覚えています」のように具体的に話すことで、故人との思い出を親族や参列者と共有できます。
④感謝とお別れの言葉
最後に述べる祖父母への感謝の気持ちと別れの言葉は、年齢に応じて選びましょう。小学生や中高生までなら「ありがとう」「大好きだよ」「さようなら」といった親しみやすい言葉を用いてもよいですが、大学生以上の場合は参列者に配慮した言葉も必要です。
例えば、「これをもって、祖母へのお別れの言葉といたします」など、聞き手に配慮して、弔辞の終わりをわかりやすく伝える一言を添えましょう。
年代別に見る孫の弔辞の例文集
ここからは、孫の弔辞の例文をポイントとともに紹介します。例文を参考に、年代別の書き方のポイントをつかみ、弔辞の準備をしましょう。
小学生以下が読む弔辞の例文
【導入・挨拶】おばあちゃんへ
【訃報を聞いたときの気持ち】おばあちゃんにお別れをしないといけないと思うとさみしいです。
【故人との思い出】おばあちゃんが作ってくれたプリンは世界一おいしかったよ。休みの日、一緒に公園で遊んだこと、楽しかったな。おばあちゃんに教えてもらった折り紙、今でも上手に折れるよ。
【感謝とお別れの言葉】もうおばあちゃんに会えないのはさみしいけど、ぼくはずっとおばあちゃんのことを忘れません。天国でも笑顔でいてね。おばあちゃん、大好きだよ。
ポイント
- 簡潔で素直な表現を使う
- 具体的な思い出を入れる
- 感謝の気持ちを素直に伝える
- 短い文章で構成し、読みやすくする
- 故人との日常的な交流を中心に描写する
構成の流れに沿って考えていきますが、基本的には本人の表現を尊重します。会話を通じて具体的なエピソードを一緒に思い出しながら、内容を決めていくとよいでしょう。
中学生・高校生が読む弔辞の例文
【導入・挨拶】おじいちゃんへ
【訃報を聞いたときの気持ち】突然の別れに、まだ実感がありません。
【故人との思い出】おじいちゃんは僕にとって、人生の大切な教訓を教えてくれた恩人です。
小さいとき、毎週一緒に釣りに行ったことは、今でもはっきりと覚えています。早朝に起きるのが苦手な僕を優しく起こしてくれました。釣り糸を垂らしながら、なかなか魚が釣れない僕に「忍耐強さが大切だ」と教えてくれました。その言葉は今でも僕を励ましてくれます。
また、おじいちゃんの温かい笑顔と誰に対しても親切に接する姿は、僕のお手本でした。困っている人を見かけるとすぐに声をかけるおじいちゃんは、僕にとってのヒーローです。
おじいちゃんから学んだ忍耐強さや優しさを忘れずに、これからもがんばります。おじいちゃんの孫でよかったです。
【感謝とお別れの言葉】おじいちゃん、安らかにお眠りください。本当にありがとうございました。
ポイント
- より洗練された言葉遣いを使用する
- 具体的なエピソードと学んだことを織り交ぜる
- 感謝の気持ちをより詳細に表現する
- 故人の教えが現在の自分にどう影響しているかを述べる
- 将来への決意を含める
素直な気持ちや思いを述べることは小学生と同じですが、祖父母から学んだことや、教えをどうやって活かすのかが含まれている点が異なります。
大学生・社会人が読む弔辞の例文
【導入・挨拶】祖父〇〇の葬儀に際し、孫代表として一言ご挨拶申し上げます。
【訃報を聞いたときの気持ち】本日、このようにお別れの言葉を述べることになるとは、夢にも思いませんでした。
【故人との思い出】祖父は、私たち孫が困ったときに導いてくれる存在でした。
小学生で初めてテニスの試合に出たとき、祖父が遠方から駆けつけてくれたことを鮮明に覚えています。不安でいっぱいだった私に、祖父は「自信を持って」と励ましてくれました。その言葉が私を後押しし、初めての大会で準優勝を勝ち取りました。
また、大学受験の際は、「自分を信じなさい」という祖父の言葉が私の支えとなりました。その後も困難に直面したときは、このときの言葉を思い出して自分を奮い立たせています。祖父から受け継いだ困難に立ち向かう勇敢さは、私の人生の宝物です。
【感謝とお別れの言葉】おじいちゃん、本当にありがとう。おじいちゃんからもらった言葉を大切に、立派な社会人になります。これからも、私のことを見守ってください。これをもって、祖父への最後の言葉といたします。
ポイント
- より成熟した視点で故人との関係を振り返る
- 成長してからの経験も踏まえた内容を含める
- 故人の教えや影響を具体的に述べる
- 導入と終わりに参列者への挨拶文を入れる
- 堅苦しくなりすぎないように留意する
小学生や10代と比べると、大人としての視点や表現が求められる点が異なります。ただし、かしこまりすぎると堅苦しい印象を与えるため、バランスに注意しましょう。
孫による弔辞の注意点
最後に、孫が弔辞を読む際に注意するべき内容を三つ紹介します。
忌み言葉は使用しない
忌み言葉とは、不幸や死を連想させる言葉のことで、弔辞を読むときは使用を避けるべきとされています。周囲の悲しみを増長させ、縁起が悪いと考えられているためです。死や生を直接表現する言葉を避け、下記のように言い換えましょう。
避けるべき忌み言葉と言い換えの例
- 「死ぬ」→「お別れする」「旅立つ」
- 「生きていたとき」→「元気だったころ」
重ね言葉は使わない
「重ね重ね」や「次々」といった重ね言葉を弔辞で使うのは避けましょう。不幸が重なるイメージを与える可能性があります。
避けるべき重ね言葉の例
- 重ね重ね
- 次々
- ますます
- たびたび
- 幾度も
宗教上適切でない言葉の使用を避ける
仏教では当たり前に使える言葉も、他の宗教では使用できない場合があります。事前に確認をとった上で、弔辞を準備しましょう。故人の宗教に配慮し、尊重する姿勢が大切です。
例えば、仏教では「成仏」という言葉を使いますが、キリスト教では該当する言葉がありません。キリスト教では、亡くなった方は「天に召される」と考えられています。
孫の弔辞の長さは2分〜3分を目安にする
弔辞の長さに厳密な規定はありませんが、目安はひとりあたり2分~3分程度です。弔辞は複数の方が読み上げることもあるため、長すぎると儀式の進行を圧迫し、聞き手の集中力が低下します。
文字数は年齢や読むスピードによってさまざまです。大人が話す標準的な速度は、1分間に300字〜350字といわれているため、2分〜3分の間にどれだけ話せるかを考えながら決めていくとよいでしょう。
弔辞では孫として感じている素直な気持ちを表現しましょう
この記事のまとめ
- 孫による弔辞は経歴や功績よりも個人的なエピソードを重視する
- 弔辞は感謝や思い出を伝える機会である
- 弔辞を読むときは、年齢に応じた表現を心がける
- 弔辞の内容には、具体的なエピソードを加える
- 忌み言葉や重ね言葉は避ける
孫による弔辞は、単なる形式的な挨拶ではありません。故人の人生を振り返り、最後に孫として感じている素直な気持ちを表現する場です。祖父母との思い出や感謝の気持ち、別れの悲しみなどを、自分らしい言葉で伝えましょう。