遠方の葬儀に香典を送るには?送り方・金額の相場・タイミングを解説
遠方で行われる葬儀に参列できない場合、香典だけ送ることは可能なのでしょうか?本記事では、遠方の葬儀に参列できない場合の香典の渡し方や金額などを解説します。記事の後半では、香典に添えるお悔やみの手紙の書き方も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
遠方の葬儀に行かないのは非常識?
訃報の連絡は突然入るため、都合がつかずに葬儀に参列できないこともあるでしょう。特に遠方での葬儀となれば都合がつかないことも多いです。遠方であることからやむを得ず、欠席という選択を取ることもあるでしょう。
葬儀に参列しないことは失礼にあたる行為に思われがちですが、遠方のため都合がつかない際にはきちんとお断りをすれば失礼にはあたりません。後日、香典を郵送し、お悔やみの気持ちを伝えましょう。
遠方の葬儀に参列できない場合の香典の渡し方
香典は葬儀に参列して直接渡すのが一般的ですが、葬儀に参列できない場合は直接渡すことはできません。では、遠方の葬儀に参列できない時はどのように香典を渡せばよいのでしょうか?ここでは香典の渡し方を3つ紹介します。
郵送する
遠方の葬儀に参列できない場合は、香典を郵送する方法があります。香典は郵送でお渡ししてもマナー違反ではありません。やむを得ず遠方の葬儀に参列できない場合、郵送で対応しましょう
郵送で渡す場合は、配達までの日数を考慮する必要があります。遠方であれば配達までに日数を要することもあります。適切なタイミングで配達してもらうためにも、訃報の連絡を受けたら早めに対応しましょう。
遠方に香典を郵送する際にはいくつか注意点があります。次の章では詳しい郵送の仕方も解説します。
代理人に渡してもらう
遠方に親戚や友人がいて葬儀に参列できる場合は、代理で香典を渡してもらう方法もあります。
遠方の知り合いが葬儀に招待されていなかったとしても、代理人として参列してもらうことは可能です。代理人は故人と面識がなくても構わないため、代理を頼める相手がいる場合は検討してみてみましょう。
なお、代理人に遠方の葬儀に参列してもらう場合は、依頼人の住所や連絡先を事前に代理人に伝えておく必要があります。当日受付で芳名する際には、代理人であることを伝えた上で香典を渡してもらいましょう。
葬儀後に弔問した際に渡す
遠方の葬儀に参列できないものの、日を改めれば弔問できる場合もあるでしょう。そうした場合は、後日弔問した時に香典を渡すことも可能です。事前にご遺族に弔問したい意向を伝え、訪問日時を決めましょう。
弔問する際には喪服を着用するのが望ましいです。葬儀に参列できなかったことのお詫びも直接伝えましょう。
遠方の葬儀に参列できない場合の香典の郵送方法
遠方の葬儀に参列できない場合は郵送で対応することも可能ですが、具体的にどのように送るのが正しいのでしょうか?ここからは香典を郵送する時の方法を解説します。
不祝儀袋に入れて送る
香典を郵送する時は、封筒に直接現金を入れるのではなく不祝儀袋に入れて送ります。不祝儀袋は直接手渡しする際に使用するものと同じもので構いません。白黒の水引の付いた不祝儀袋に包んで送りましょう。
不祝儀袋は信仰している宗教によって種類が異なります。仏教であれば蓮の花、キリスト教であれば十字架や百合の花が描かれた封筒、神道であれば白のシンプルな封筒を選ぶとよいでしょう。
お悔やみの手紙を同封する
香典を送る際には、お悔やみの手紙を同封するのが一般的です。香典だけではなくお悔やみの手紙を添えることで、より丁寧な印象を与えられます。葬儀に参列できなかったことを詫びる言葉も書き添えて、気持ちを伝えましょう。
お悔やみの手紙は一般的な手紙とは異なり、いくつかのマナーが存在します。お悔やみの手紙を書く時の注意点は本記事の後半で解説します。
弔事用の切手を使用する
香典は現金書留で送るため、切手を貼らなくても窓口で支払いをすませることが可能です。それでも切手を使用して送りたい場合は、弔事用の切手を使用するとよいでしょう。
普通切手でもマナー違反ではありませんが、華やかなデザインだと弔事にふさわしくありません。切手を貼りたい場合は、弔事用の切手を選ぶと丁寧です。
香典を郵送する場合の金額相場
香典を郵送する場合の金額は、葬儀に参列する時と同様です。通常よりも多めに包む必要はありません。香典の相場は故人との関係によって異なります。相場が知りたい方は、下記を参考にしてください。
香典の金額相場
- 両親・配偶者の両親(義父母)…3万円~10万円
- 兄弟姉妹…3万円~5万円
- 祖父・祖母…1万円~5万円
- 親族(おじ・おば)…1万円~3万円
- 友人・知人…5千円~1万円
香典を郵送する際の注意点
香典を郵送する際には、通常の手紙のようにポストに投函してはいけません。ここからは香典を郵送する際の注意点を解説します。
現金書留で郵送する
香典は現金書留で郵送する必要があります。郵便法第十七条にて、現金を郵送する際には現金書留以外では送ってはいけないと定められているためです。
そのため、現金書留用の封筒を用意して、その中に不祝儀袋を入れるようにしましょう。現金書留用の封筒は郵便局の窓口で購入できます。
現金書留の郵送方法
現金書留は郵便局の窓口から郵送できます。コンビニでは対応していないため、必ず郵便局に行って手続きをしましょう。
まず現金書留専用の封筒を購入します。次に封筒へ香典の届け先と差出人の住所、封筒に入れた金額を記載しましょう。封筒の記載ができたら指定の順番で閉じ、割り印をしながら封をします。窓口で所定の郵便料金を支払ってください。
喪主の自宅に送る
香典は、喪主の自宅に送るのが一般的です。葬儀会場に直接送る方法もありますが、会場によっては受け取り対応をしていないこともあります。確実に受け取ってもらうためにも、喪主の自宅に郵送すると安心です。
自宅の住所が分からない場合は、葬儀会場に送っても問題ありません。その際には受け取り対応をしているか事前に電話で確認しましょう。
葬儀の2~3日後までに送る
遠方のご遺族へ香典を送るタイミングは、葬儀の2~3日後までに送るのが望ましいです。香典を送るタイミングが遅くなると、先方が香典返しの準備を終えてしまっている可能性があります。余計な手間を増やさないためにも、みんなが香典を送るタイミングに合わせて郵送するようにしましょう。
遠方の葬儀会場に直接郵送する場合は、お通夜もしくは葬儀当日に合わせて届くように手配します。
お悔やみの手紙の書き方
遠方のご遺族に香典を送る際には、お悔やみの手紙を添えるのが一般的です。ここでは遠方のご遺族へお悔やみの手紙を送る場合のマナーや注意点を解説します。
白無地の縦書き便箋に書く
遠方のご遺族へお悔やみの手紙を書く際には、どのような便箋を用いればいいのか迷ってしまう方もいるでしょう。お悔やみの手紙は白無地の縦書きの便箋を使用するのが一般的です。横書きの便箋は不適切なため避けましょう。
便箋の枚数は1枚に留めてください。これは不幸が重なることを連想させないようにという意味が込められています。便箋1枚で収まるように手紙の内容を簡潔にまとめましょう。
薄墨の筆ペンで書く
遠方のご遺族へお悔やみの手紙を書く際は、薄墨の筆ペンを使います。薄墨の筆を使う理由は、涙で墨が薄くなったことを想起させるためです。実際に筆で書くのは手間がかかるため、弔事用の薄墨の筆ペンを使用すると便利です。
筆の扱いに慣れていない方や、亡くなった日から49日以上が経った法要で香典を郵送する場合などは濃いインクを使っても問題ありません。ボールペンや万年筆など、使い慣れている文具で手紙を書きましょう
地域によっては薄墨の筆は使わないこともあります。遠方のご遺族に送る場合は、その地域でのしきたりを確認しておくと安心です。
時候の挨拶は不要
一般的な手紙は時候の挨拶から始まりますが、お悔やみの手紙では時候の挨拶は必要ありません。「拝啓」や「謹啓」なども用いずに本文から書き始めましょう。
なお、お悔やみの手紙では「追伸」も使用しません。不幸が重なることを連想させてしまうため、追伸でメッセージを書き足すのはやめましょう。
忌み言葉を避ける
遠方のご遺族に送るお悔やみの手紙では、忌み言葉を避けるようにしましょう。忌み言葉とは、不幸が重なることを連想させる言葉や死を連想させる言葉です。
たとえば、「くれずれも」「たびたび」「ときどき」など同じ言葉が繰り返される重ね言葉は弔事では避けるべき忌み言葉として扱われています。そのほかにも、「続いて」「再び」「また」など続き言葉は不幸が続くことを連想させます。また、「死亡」「急死」「ご存命中」などの直接的な言葉も避けるべきです。
何が忌み言葉に該当するか確認し、遠方の方へのお悔やみの手紙では使用しないように注意しましょう。
お悔やみの手紙の例文
遠方の方へ送るお悔やみの手紙では、故人へのお悔やみの言葉や葬儀に参列できなかったことへのお詫びの言葉、香典を同封してあることなどを記載します。具体的にどのような文面が適切なのか知りたい方は、下記の例文を参考にしてください。
例文
東博太郎様のご訃報に接し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
突然の報せに驚きが隠せません。
ご家族の皆様のご心痛 お察し申し上げます。
本来であればご葬儀に参列し ご焼香させていただくところですが、
遠方のためお手紙のみとなりましたことお許しください。
心ばかりではございますが、御霊前に供えていただきたくご香典を同封いたしました。
どうぞお受け取りください。
略儀ではありますが 書面をもちまして 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
注意点としては、お悔やみの手紙には句読点を使わないことです。文節を区切らないことは、葬儀が滞りなく終わることを連想させるためです。
すべての文節を続けて書くと読みづらいため、文章を区切りたい時はスペースを入れて対応しましょう。
遠方の葬儀に参列できない場合は香典を郵送しましょう
この記事のまとめ
- 遠方の葬儀はきちんとお断りをすれば失礼には当たらない
- 遠方の葬儀に参列できない時は香典を送ることも可能
- 遠方への香典の送り方は、郵送、代理人に依頼、弔問した際に渡すなどの方法がある
- 遠方のご遺族に香典を郵送する際には、自宅もしくは葬儀会場宛に送る
- 遠方のご遺族へ渡す香典は、不祝儀袋に入れて、お悔やみの手紙を同封する
- 遠方のご遺族へ渡す香典の金額は、葬儀に参列する場合と変わらない
- 遠方のご遺族へ香典を郵送する時は、現金書留で送る
葬儀が遠方で開かれる時は参列するのが困難ですが、香典とお悔やみの手紙を送って対応することも可能です。香典を送るタイミングは、葬儀後2~3日後までが望ましいです。遠方の葬儀に参列できないと分かった時点で、早めに対応をしましょう。
香典と一緒に送るお悔やみの手紙は、便箋一枚でまとめる必要があります。故人へのお悔やみの言葉や遠方の葬儀に参列できないことへのお詫び、香典を同封していることなどを書き添えましょう。