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健康・カラダのこと

認知症になった時に最後まで残る記憶とは?忘れる順番や早期発見のコツ

認知症になった時に最後まで残る記憶とは?忘れる順番や早期発見のコツ

もし認知症になってしまった場合、最後まで残る記憶はどんなものがあるかご存知ですか?本記事では、認知症になるとどのような順番で記憶が失われ、どの記憶が最後まで残るのか、具体的な事例を交えて解説します。家族や大切な人を支えるために、ぜひ最後までお読みください。

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認知症の人にとって最後まで残る記憶とは

認知症が進行している人でも、最後まで残る記憶があります。特に「意味記憶」と「手続き記憶」に関する記憶は比較的最後まで残ることが多いです。意味記憶と手続き記憶の具体例は、以下の通りです。

認知症の人にとって最後まで残る記憶

  • 意味記憶:動物や植物の名前、季節の順番といった知識に関する記憶
  • 手続き記憶:自転車の乗り方やお手玉の遊び方など学習や練習で習得した技能に関する記憶

このような記憶は長年かけて身体に染みつくため、最後まで残る傾向があります。よって家族や友人との関係も、最後まで記憶として残りやすいと言われています。

認知症の記憶障害と忘れる順番

認知症の最後まで残る記憶には個人差があります。日本人に多くみられ、認知症患者の約半数を占めるといわれているアルツハイマー型認知症の場合、以下のような順番で忘れていくことが多いです。

認知症の人が忘れていく記憶の順番

  1. 近時記憶(エピソード記憶)
  2. 即時記憶
  3. 意味記憶
  4. 手続き記憶

では、それぞれの記憶について、詳しく解説していきます。

①近時記憶(エピソード記憶)

近時記憶(エピソード記憶)とは、数分から数日間残る出来事の記憶を言います。認知症の初期段階では、近時記憶の障害が目立つことが多いです。

近時記憶(エピソード記憶)の具体例

  • 昨日の夕食に食べたもの
  • 先ほどテレビで放送されていたニュースの内容
  • 昨日訪ねてきた近所の人の名前

このように、数分から数日間前の出来事に関する記憶は、認知症の影響をもっとも受けやすいと言われています。

②即時記憶

即時記憶は、数秒から数分の間に記憶されている情報を言います。即時記憶が障害されると情報が脳に十分に伝わらなくなるため、直前に起きた出来事も忘れてしまうのです。

即時記憶の具体例

  • 今までしていた会話の内容を忘れてしまう
  • 歯科で取った次の予約の日程
  • たった今テレビで見た天気予報の内容

即時記憶が障害されているかは、医師が数字や果物の名前などの単語を言った後に、順番通り間違いなく繰り返して言えるかというテストで確認します。

③意味記憶

意味記憶とは、物や言葉の意味など一般的な知識に関する記憶です。例えば、以下のような内容です。

意味記憶の具体例

  • 東京の首都
  • 夏休みの時期

認知症になると意味記憶も次第に影響を受けますが、近時記憶や即時記憶よりは最後まで残る傾向にあります。

④手続き記憶

認知症の人に最後まで残る記憶として、手続き記憶があります。手続き記憶とは、身体が覚えている行動や技能に関する記憶です。

手続き記憶の具体例

  • 自転車の乗り方
  • ピアノの弾き方
  • 車の運転方法

手続き記憶は最後まで残る傾向があります。認知症が進行しても、長年毎朝コーヒーをいれる習慣がある人は、その順番を忘れずに行えると言われています。

認知症の見当識障害と忘れる順番

認知症には、記憶障害だけでなく見当識障害の症状も現れます。見当識障害とは、時間や場所などが分からなくなり、自分が置かれている状況を正確に認識できなくなることです。見当識障害にも、忘れていく順番があります。

見当識障害で忘れる順番

  1. 時間
  2. 場所
  3. 人間関係

それぞれどのようなことを忘れてしまうのか、ここからは、具体的に説明します。

①時間

認知症になると時間に関する見当識障害が現れ、現在の年月日や時刻を把握する能力が低下します。

時間に関する具体例

  • 今日が何月何日か忘れる
  • 現在の時間が分からなくなる
  • 朝と夜の区別がつかなくなる

見当識障害が進行すると、季節の認識も分からなくなるため、夏なのにダウンジャケットを着るといった行動が見られます。

②場所

認知症になると、方向感覚が低下していきます。今いる場所が分からなくなるため、出かけていても自宅に戻れなくなるといった症状が現れます。

場所に関する具体例

  • 自宅に帰る道が分からなくなる
  • スーパーの中で迷子になる
  • 自宅のトイレやお風呂の場所が分からなくなる

場所や方向が分からなくなると、迷子になる確率も高くなってくるため、ひとりでの外出は注意が必要です。方向感覚の低下に加えて徘徊傾向にある場合は、靴や持ち物に名前を書いたり、近所の人に見かけたら知らせて欲しいとあらかじめ伝えたりして対策しましょう。

③人間関係

認知症になり見当識障害が現れると、人間関係に対する認識が不明確になります。ただし時間や方向に比べると、人間関係の記憶は最後まで残ることが多いです。

人間関係の具体例

  • 人の名前が分からなくなる
  • 自分の名前が分からなくなる
  • 自分の子供が誰か分からなくなる

見当識障害では、遠い親戚やあまり会わない友人の顔から忘れていくことが多いです。症状が進行すると、毎日会っている家族の名前や顔も分からなくなります。ただし、関係の深い長年連れ添った配偶者の顔や名前は、最後まで記憶に残ることが多いでしょう。

認知症の症状の種類

認知症は、脳に機能障害が起こり徐々に記憶力や判断力が失われていく病気です。それ以外にも、不安や焦りといった症状も現れます。認知症の症状は大きく二つに分けられます。

ここからは、それぞれの症状について詳しく解説します。

中核症状

中核症状は、認知症なら誰にでも起こる症状です。日常生活に大きく影響を与えるため、早期に発見し、適切な対応が求められます。

認知症の中核症状

  • 記憶障害:物の名前や人名など物忘れがひどくなる
  • 見当識障害:年月日や時刻、季節などが分からなくなる
  • 理解・判断力の障害:物事の理解に時間がかかる
  • 実行機能障害:物事を計画的に考えて効率的に行えなくなる
  • 失語:言葉がうまく使えなくなる
  • 失認:麻痺していることを理解できないなど、状況が正しく理解できなくなる
  • 失行:ズボンを頭に通してしまうなど、以前できていた動作が行えなくなる

このような中核症状に対して、家族や介護者は具体的な対応方法を知り、適切にサポートすることが認知症の人の生活の質を向上させることにつながります。

行動・心理症状(BPSD)

認知症の行動・心理症状(BPSD)は周辺症状とも呼ばれ、中核症状を基本として行動や心理症状となって現れます。適切な対応やリハビリによって、症状が改善する場合もあります。

認知症の行動・心理症状(BPSD)

  • 不安・抑うつ:認知症が進行するとできないことが増えるため混乱し、気分が落ち込むことがある
  • 徘徊:見当識障害や記憶障害からひとりで歩き回ることがある
  • 物取られ妄想:自分が置き忘れたことを忘れ、人に盗まれたと思い込むことがある
  • せん妄:時間や場所が分からなくなり、幻覚や興奮症状が現れることがある
  • 暴力・暴言:不満や不安が大きくなると、暴力をふるったり暴言を吐くことがある
  • 帰宅願望:今おかれている状況が分からず、自宅に帰りたいと訴えることがある

認知症の行動・心理症状は多様であり、本人に合った対応が求められます。医師や介護専門職に相談して、冷静に対処し本人の気持ちに寄り添うことが大切です。

認知症の早期発見のコツ

認知症は早期発見ができます。「もしかして認知症かも?」という兆候を見逃さずに、適切に対応することで症状の進行をゆるやかにできます。ここでは、早期発見のコツを三つに分けて紹介します。

定期的に会話をする

認知症の疑いがあるかどうかは、本人との会話から気付くことが多いです。例えば、何度も同じ話を繰り返したり、つじつまの合わない言動をし始めたりすることで認知症を疑うことがあります。

高齢の親などと離れて暮らしている場合には、定期的に電話をかけてみましょう。いつもと様子が違う話し方をしていた場合には、早期の対応をおすすめします。

かかりつけ医に相談する

もしかして認知症かもと思ったら、かかりつけ医への相談をおすすめします。いつも本人だけで受診している場合には、家族や介護者も一緒についていきましょう。本人の目の前で話しにくいようなら、医師の診察が終わって本人が席を外してから話してもよいです。

また家族から直接本人に認知症の疑いについて話した場合、話を受け入れてもらえない場合があります。信頼している医師からの話であれば、受け入れやすいという人も少なくありません。

物忘れ外来に相談する

認知症を早期発見する場合、物忘れ外来を受診することもおすすめです。物忘れ外来なら、認知症を専門とする医師が診察するため、より詳しく診てもらえるでしょう。

本人が受診を拒否する場合、家族や介護者だけでも対応してもらえる場合はあるため、病院に電話して確かめてみましょう。

認知症が進行しやすくなる原因

認知症は穏やかに進行すると思われがちですが、人によっては急激に進行する場合があるため注意は必要です。認知症が進行しやすくなる原因は以下の五つです。

それぞれ、詳しく解説していきます。

考えることが少ない

認知症の症状が出始めると、本人が考えて行動・判断することが少なくなってしまいます。事故や危険から本人の身を守るため、本人や家族が行動を制限しようとすることが要因です。

脳を使わないことでどんどん認知機能が低下するため、過度に制限せず、できることは自身で行ってもらいましょう。家庭内の簡単な役割を任せてみるのも一つの方法です。

環境が変化する

認知症になると、環境の変化についていけないことがあります。入院や引っ越しをした場合、今まで親しんでいた環境から大きく変化するため、上手に対応できずに混乱する人も多いです。

環境の変化によって、近所の友人や知人との交流が減り、会話が少なくなって閉じこもり気味になることもあります。会話の減少は認知症の進行にも影響するため、入院や引っ越しは慎重に検討しましょう。

ストレスが多い

ストレスが多い場合も、認知症が進行しやすくなる原因となります。認知症の人におかしな言動や失敗が多い場合は、叱ってしまうこともあるでしょう。本人はなぜ怒られたのかは忘れてしまっても、怒られて悲しくなったという感情は最後まで残っています。

認知症の人を責めたり叱ったりしてストレスを与えないようにすることが大切です。

運動不足になっている

運動不足の状態は、認知症が進行しやすくなる原因と言われています。認知症の人がひとりで外に出ると危ないと考えて、自宅へ閉じこめることはおすすめしません。また、運動不足により下肢の筋力が低下すると、少しの段差などで転倒して骨折する恐れも出てきます。

運動不足解消のため、認知症の人と家族で一緒に散歩するのもおすすめです。家族の負担が大きいなら、デイサービスなど介護施設に通うと体操やレクリエーションで身体を動かすことができ、認知症の進行を抑えることにつながります。

生活習慣病にかかっている

糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、認知症の進行に大きく影響すると言われています。適切な治療を受けることにより、認知症を発症してからも進行を抑えられる可能性があります。

生活習慣病にかかっている場合、定期的に受診をして医師の指示に従い治療しましょう。

認知症になったときに最後まで残る記憶は意味記憶や手続き記憶

この記事のまとめ

  • 認知症になっても、意味記憶と手続き記憶は最後まで残る傾向にある
  • 認知症の見当識障害により、時間・場所・人間関係の順番で分からなくなる
  • 認知症の症状には、中核症状と行動・心理症状(BPSD)がある
  • 認知症は早期に発見することが重要
  • 認知症が進行しやすくなる原因には、環境の変化やストレスなどがある

認知症が進行しても、意味記憶や手続き記憶は最後まで残る傾向にあります。認知症になったとしても、適切な対処を行い大切な人を支えていきましょう。本記事で紹介したように、認知症の記憶の仕組みを理解し、早期発見のコツを実践することが重要です。ぜひ、家族や友人と一緒にこれらの対策を取り入れてみてください。

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