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健康・カラダのこと

認知症は何歳からが多い?物忘れとの違いや発症を予防する方法を解説

認知症は何歳からが多い?物忘れとの違いや発症を予防する方法を解説

認知症は何歳からの発症が多いかご存知ですか?認知症は単なる物忘れとは異なり病気であるため、発症しやすい年齢が気になる方も多いでしょう。本記事では、年齢別の認知症発症率や物忘れとの違いを解説します。認知症を予防するための生活習慣も紹介しますので、認知症について理解を深めたい方は参考にしてみてください。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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認知症とは

認知症とは、脳の損傷や障害により、記憶力や判断力、理解力、学習能力などの認知機能が低下する疾患の総称です。まずは、認知症の症状や物忘れとの違いについて解説します。

認知症の症状

認知症は、大きく中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分けられます。それぞれ症状や問題が異なるため、確認しておきましょう。

認知症の中核症状

  • 物忘れがひどくなる(記憶障害)
  • 時間や場所が分からなくなる(見当識障害)
  • 理解力や判断力が低下する
  • 仕事や家事、趣味、身のまわりのことができなくなる

行動・心理症状(BPSD)

  • 徘徊や失禁、自傷や他害
  • 幻覚や妄想、作り話
  • うつや不安、焦燥
  • 意欲の低下や亢進

認知症の中核症状に対しては内服薬などが処方されますが、行動・心理症状に対しては、初期の段階は薬物を使用しない治療が多いです。環境を整えたり、介護者にケアの方法を学んでもらったりとさまざまな対応をします。

それでも症状のコントロールが難しい場合には、薬での治療をするといった流れが一般的です。

物忘れとの違い

単なる物忘れは加齢に伴う生理的な現象であり、日常生活に支障をきたすほどではありません。認知症ではいくつかの認知機能の障害があり、日常生活に著しい支障が出てきます。

物忘れが軽度であれば、認知症ではなく年齢に伴う記憶力の低下である可能性が高いです。しかし、物忘れが次第に重度化してほかの認知機能障害も現れてきたら、認知症を疑う必要があります。

認知症は早期発見と適切な治療が重要であるため、症状が進行する前に専門医の診断を受けることをおすすめします。

認知症は何歳からが多い?

認知症は高齢者の疾患と思われることが多いですが、何歳でも発症する可能性があります。ここからは、認知症は何歳からの発症が多いのか、年齢別の有病率を見ていきましょう。

65歳以上の有病率

65歳以上の認知症の有病率は以下のとおりです。

年齢

男性

女性

全体

65歳〜69歳

1.5%

1.6%

1.5%

70歳〜74歳

3.4%

3.8%

3.6%

75歳〜79歳

9.6%

11.0%

10.4%

80歳〜84歳

20.0%

24.0%

22.4%

85歳〜89歳

35.6%

48.5%

44.3%

90歳以上

42.4%

71.8%

64.2%

令和4年 「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進②(参考資料)」(厚生労働省)

この表を見ていくと、男性と女性の有病率は79歳まではそれほど大きな男女差は見られません。しかし、80歳からは徐々に男性より女性の有病率が高くなっていくのが分かります。

18歳~64歳の有病率

2017年度〜2019年度に行われた、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業による調査では、18歳〜64歳の認知症の人口10万人当たりの有病率は50.9人、若年性認知症の総数の推計は3.57万人という結果が出ています。

令和2年「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)

また、少し古いですが2009年に厚生労働省から公表されたデータでは、年代別の有病率が出ています。

人口10万人あたりの認知症有病率
人口10万人あたりの認知症有病率

年齢

男性

女性

総数

推定患者数

18歳~19歳

1.6人

0.0人

0.8人

0.002万人

20歳~24歳

7.8人

2.2人

5.1人

0.037万人

25歳~29歳

8.3人

3.1人

5.8人

0.045万人

30歳~34歳

9.2人

2.5人

5.9人

0.055万人

35歳~39歳

11.3人

6.5人

8.9人

0.084万人

40歳~44歳

18.5人

11.2人

14.8人

0.122万人

45歳~49歳

33.6人

20.6人

27.1人

0.209万人

50歳~54歳

68.1人

34.9人

51.7人

0.416万人

55歳~59歳

144.5人

85.2人

115.1人

1.201万人

60歳~64歳

222.1人

155.2人

189.3人

1.604万人

18歳~64歳

57.8人

36.7人

47.6人

3.775万人

平成21年「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び 厚生労働省の若年性認知症対策について」(厚生労働省)

若年性認知症の場合、何歳かは関係なく女性より男性の方が発症率が高くなっているのが特徴です。

若年性認知症とは

若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症のことを指します。日本の18歳〜64歳の人口10万人当たりの有病率は、50.9人です。

若年性認知症患者はその発症年齢により本人や家族が直面する社会的、経済的な問題が高齢者の認知症と異なります。働き盛りの年齢で発症するため、仕事の継続や子供の養育などの問題に影響することが多く、適切な診断やサポートが重要です。

若年性認知症の原因

若年性認知症の原因はさまざまありますが、原因別に以下のような種類に分けられます。

原因別若年性認知症の種類

  • アルツハイマー型認知症:脳の神経細胞が損傷し、記憶や判断力が低下する
  • 血管性認知症:脳梗塞や脳出血などにより、脳の血流が低下して認知症が引き起こされる
  • 前頭側頭型認知症:前頭葉や側頭葉の萎縮が原因で、人格や行動の変化が起こる
  • 頭部外傷による認知症:交通事故や転落などで受けた頭部外傷が原因となる
  • レビー小体型認知症:レビー小体と呼ばれるたんぱく質の異常沈着により発症する
  • アルコール関連障害による認知症:アルコールを多量に飲み続けることで引き起こされる

若年性認知症の症状

若年性認知症の疾患は、認知症の種類によって以下のような症状があります。

認知症の種類

初期症状

アルツハイマー型認知症

・物忘れ

・怒りやすくなる

・片付けが苦手になる

・時間や場所の感覚が衰える

・趣味などへの興味が薄れる

・匂いに鈍くなる

血管性認知症
(障害が生じた血管の場所により症状が異なる)

 

・物忘れ

・感情のコントロールが難しくなる

・記憶力、理解力、計算力などの障害

・嚥下機能の低下

・排尿障害

・歩行障害

・運動麻痺

抑うつ症状

前頭側頭型認知症

・身だしなみに無頓着になる
・同じ行動・言動を繰り返す
・社会性が低下する
・人格が変化する
・非常識な行動をする
・失語
・感情移入や共感ができない

頭部外傷による認知症

・歩行時にふらつく
・記憶力が低下する
・注意力・集中力の障害
・言語障害
・尿失禁

レビー小体型認知症

・幻視
・妄想
・軽度の物忘れ
・抑うつ症状
・レム睡眠期行動異常症
・すり足、小股で歩く
・転倒や失神を繰り返す

アルコール関連障害による認知症

・注意力・記憶力が低下する
・感情のコントロールができない
・歩行時のふらつき
・手が震える
・作り話をする
・場所や時間がわからなくなる

若年性認知症患者は仕事や家庭生活に大きな影響を及ぼすため、早期発見と適切な治療が重要です。認知症の疾患や症状の進行が気になる場合は、専門医の診断を受けることをおすすめします。

認知症を予防する方法

認知症を予防するためには、以下の予防法の実践が大切です。現代の医学では、認知症は発症すると治療をしても進行を抑えることしかできません。そのため、認知症を予防することが重要です。

認知症を予防する方法

  1. 適度な運動を行う
  2. 人とコミュニケーションを取る
  3. 生活習慣病を予防する
  4. バランスのよい食事を摂る
  5. 聴力の低下に気を付ける

ここからは、一つずつ確認していきましょう。

①適度な運動を行う

運動は認知症予防に非常に効果的なため、適度に体を動かすようにしましょう。有酸素運動は脳の血流を促進し、酸素や栄養分の供給を高めます。また、脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌を促し、新しい神経細胞の生成と再生を助けます。

運動の際は、ウォーキングや水泳など、少し息が上がる程度の強度がよいとされています。さらに筋力トレーニングやストレッチなど、無理をせずゆっくり時間をかける運動を取り入れるのもおすすめです。

②人とコミュニケーションを取る

人間関係を構築し会話や交流を続けることで、脳は活性化されます。高齢になっても新しい知識を得たり、考えを言語化したりする作業は認知機能を刺激します。

また、人とのつながりは精神的な支えにもなり、うつ病のリスクやストレスを軽減できます。家族や友人との会話に加え、地域の活動やサークルなどに参加するのも効果的でしょう。

③生活習慣病を予防する

糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病は、脳血管障害や神経変性を招き、認知症のリスクを高めます。生活習慣病を予防するには、食事と運動が鍵となります。

適度な運動に加え、食物繊維の多い食事、塩分塩や飲酒を控えるなどの生活習慣が重要です。喫煙も控えましょう。定期的な健康診断で状況を確認し、必要に応じて治療を受けることも大切です。

④バランスのよい食事を摂る

脳の健康維持には、さまざまな栄養素が関係しています。緑黄色野菜に豊富なビタミンやミネラル、魚介類の不飽和脂肪酸、きのこ類のビタミンDなどを組み合わせて摂取しましょう。ブルーベリーやアボカドなど、抗酸化作用のある食品も認知症予防によいとされています。

また、加工食品や糖分の多い食品は、認知症のリスクを上げるといわれています。なるべく控えるのがよいでしょう。

⑤聴力の低下に気を付ける

聴力の低下は、社会的な孤立を招きます。高齢になり十分なコミュニケーションが取れないと、認知機能の低下につながる恐れがあります。定期的に聴力検査を受け、問題がある場合は専門医に相談しましょう。

軽度の難聴であれば、補聴器の使用が有効でしょう。初期の段階であれば治療できる可能性があります。高齢だから聴力に問題があっても仕方がないとすませるのではなく、医師に相談してみましょう。

認知症予防のために、健康的な生活を送りましょう

この記事のまとめ

  • 認知症の症状は中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分けられる
  • 認知症の中核症状には薬物療法が行われる
  • 認知症は80歳を超えると20%以上の人が発症する
  • 64歳以下に発症する若年性認知症は女性より男性が多い
  • 認知症を予防するには、適度な運動・健康的な食事・社会とのつながりが大切

認知症は誰もが発症する可能性のある疾患です。しかし、健康的な生活習慣を意識することで、何歳からでも認知症の発症リスクを下げることができます。運動や食生活、社会参加など、それぞれができる範囲で認知症の予防を実践していきましょう。

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