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健康・カラダのこと

認知症初期の症状で《思い込みが激しい人》の対処法。原因や介護のポイントを徹底ガイド

認知症初期の症状で《思い込みが激しい人》の対処法。原因や介護のポイントを徹底ガイド

認知症の初期段階に現れる症状の一つとして、「思い込みが激しくなる」ことがあります。この記事では、認知症初期の症状の思い込みに焦点を当て、その原因と具体的な対処法、介護のポイントについて解説します。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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認知症初期の症状で思い込みが激しくなる原因

認知症初期の症状で思い込みが激しくなるのは、記憶や思考などの認知機能の低下によるものです。認知症は脳の神経細胞が徐々に損傷を受ける病気であり、特に記憶力や判断力に関わる脳の部分が影響を受けます。

初期段階では、脳は正確な情報の処理が難しくなり、誤った認識や判断を起こしやすくなります。脳が正確に動かないことが、事実と異なる強い思い込みや被害妄想を生む原因です。

認知症初期の症状がある高齢者の場合、家族が自分の財産を盗んでいるという強い思い込みを持つこともあります。実際に家族は何もしていませんが、本人の脳は混乱や認識の誤りによって、被害妄想を形成してしまうのです。

認知症初期の症状における激しい思い込みの状況は、脳の情報処理能力の低下に起因するものであり、誤った記憶や判断が原因で生じてしまいます。

認知症初期の症状による思い込みの具体例と対処法

続いて、思い込みが激しい場合の具体例と対処法を解説していきます。あくまで思い込みは認知症初期の症状の一つであるため、嘲笑ったりせず適切に対処する事が重要です。

物を取られたと訴える

認知症の初期症状の思い込みで「物を取られた」と訴える場合、記憶障害や被害妄想によることが多いです。

認知症の初期症状は、記憶力の低下や認知機能の障害により、物の置き場所を忘れることや、自分が行った行動を思い出せなくなることがあります。自分が失くしたりしまい込んでしまったりした物を他人に取られたと思い込み、訴えてくる場合があります。

認知症の初期症状の進行による不安や混乱が、このような誤解を生んでしまうのです。

例えば、日常生活において本人がメガネをいつもの場所で見つけられなかった場合、家族が盗んだと訴えることがあります。実際には、本人が別の場所に置き忘れていただけですが、記憶障害から置き場所を思い出せず、家族を疑ってしまうのです。このような場合は、なくなった物が発見できると本人も安心できるため、責め立てるのではなく一緒に探す方がよいでしょう。

現実にはないものが見える

認知症の初期症状の思い込みで、現実にはないものが見えると訴える場合、脳の神経伝達の障害によるものが多いです。認知症による脳の損傷は視覚に影響を及ぼすことがあり、現実には存在しないものが見える「幻視」が生じる場合があります。また、記憶障害や認知の変化が幻視を引き起こすこともあります。

例として、認知症の初期症状と考えられる高齢者が、浴槽の中に魚が泳いでいると訴えてくることがあります。もちろん魚など発見できませんが、認知症の症状により本人には見えているのです。このような場合も作り話だと思わずしっかり話を聞くことで、本人は安心できます。

初期の認知症の高齢者で、庭から小学生の男の子がこちらをのぞいていると訴える人もいます。近所を調べてもそのような子供は発見できないため、作り話ではなく幻視と考えられるでしょう。このように、本人が作り話をしていると考えずに、丁寧に説明すると納得することもあります。

見捨てられたと悲しんでいる

認知症初期の症状による思い込みでは、孤独感や不安感、混乱によって「見捨てられた」と感じる場合があります。認知症の症状の進行や変化に伴い、周囲の環境や人間関係を正確に認識することが難しくなります。家族や介護者が十分な注意や愛情を注いでいても、本人は見捨てられたと感じる場合も多いです。

初期症状の記憶障害により、家族の訪問や世話をされているのを忘れてしまうことも少なくありません。自分に関わってくれていないと思い込み、孤独感や不安感が見捨てられたという感覚を強める場合があります。

このような認知のゆがみと孤独感により、本人は見捨てられたと感じる場合があるため、家庭内で役割を持ってもらうことが重要です。役割を持つことで、本人が自分自身は家族や周囲の役に立っている、必要とされていると感じ、自信を取り戻せるでしょう。

嫉妬してくる

認知症の初期症状で思い込みが激しい人の場合、何かにつけて嫉妬してくる場合があります。認知症の初期症状で嫉妬してくるのは、思い込みや感情のコントロールが困難になるためです。

認知症の初期症状により、他人の行動や意図の正しい理解が難しくなります。この思い込みにより、家族や介護者の行動が自分に対する不公平や疎外感として誤って認識される場合があります。加えて、認知症は感情の調節機能にも影響を及ぼすため、嫉妬のような激しい感情をコントロールすることが困難になるのです。

嫉妬は、不安や激しい怒り、恐怖などさまざまなマイナス感情から出てくる症状です。本人の気持ちに寄り添い、時間をかけて信頼関係を築いていく必要があります。

対人関係のトラブルが発生する

認知症の初期症状で思い込みが激しい人の場合、対人関係のトラブルを起こす可能性があります。認知機能の低下や感情のコントロールの困難さ、そして社会的スキルの衰えにより、被害妄想の感情が出現するのです。

認知症は記憶や判断力、言語能力などの認知機能に影響を及ぼします。認知症の初期症状では、他人の意図や感情を正確に理解することが難しくなり、コミュニケーションが困難になります。

感情のコントロールが困難になることで、怒りや不安などの感情が適切に表現されない場合も多いです。社会的スキルの衰えや嫌な経験をした記憶により、他人との関わりが苦手になる場合もあります。

例えば、デイサービスの利用中に悪口を言われたなどの不満を口にした場合、実際にトラブルが発見されていない場合は被害妄想と考えられるでしょう。デイサービスの管理者に、悪口を言っているという人との関係を聞き、説明してもらうことが必要です。

このような場合、デイサービス利用中には座っている席を離してもらうなど、早めの対応が必要になります。被害妄想が大きくなってくると、デイサービスへの通所を拒否することにつながります。このように、トラブルを防ぐためには関係者との距離を遠ざける対処も必要です。

思い込みの症状に対する介護のポイント

認知症の初期症状には思い込みがあり、対応する際のポイントがあります。本人の混乱や不安に対応することで、毎日安心して過ごせるでしょう。

否定しない

認知症初期の思い込みの症状においては、本人の言葉を否定せず、受け入れる姿勢が重要です。

認知症患者の思い込みは、本人にとっては現実に起こっていると認識しています。これを否定することは、本人を混乱させ、不安や怒りなどを引き起こす可能性があります。周囲に否定されると、自尊心が低下する場合もあります。思い込みをそのまま受け入れ、安心してもらうことが重要です。

共感する

認知症初期の思い込みの症状においては、本人の感情への共感が大切です。

認知症の初期症状の思い込みは、本人の現実として強く感じられています。この思い込みに対して共感することで、自分の感情が理解され、受け入れられていると感じられます。本人は安心感を得られ、家族や介護者と信頼関係を築きやすくなるでしょう。

本人の不安やストレスを軽減し、心の安定にもつながります。

一生懸命にならない

認知症初期の思い込みの症状への対応は、介護者が一生懸命になりすぎず、柔軟な対応を心がけることが重要です。認知症の初期症状の思い込みは、本人にとっては作り話ではなく現実として強く感じられています。正しい情報を説明しても、本人は納得してくれない場合も多いです。

思い込みを否定したり、現実に戻そうと強く反論したりするのはやめましょう。激しい混乱やストレスを感じることで、認知症の症状が進行する場合もあります。

本人の不安が増し、介護者との対立が生じてしまうと、介護に対する拒否が起こる可能性もあります。介護者は本人の思い込みを理解して柔軟に対応し、必要以上に一生懸命とならないことが大切です。

周囲に助けてもらう

認知症初期の思い込みの症状がある人に対する介護では、介護者がひとりで管理や対処しようとせず、家族や専門家など周囲の人たちに助けを求めることが重要です。認知症の初期症状の思い込みの対処は難しい場合も多く、介護者ひとりだけで対応するのは大きなストレスとなります。

他の家族や医療、介護の専門家など、周囲の人たちの支援を受けることで、さまざまな方法や手段が発見でき、介護者の負担軽減につながります。それぞれの役割や何を管理するのか決めるのもおすすめな方法です。

また、多くの人が関わることにより、患者の思い込みに対するさまざまな角度からの対応が可能になり、より効果的な介護が行えるようになります。認知症の症状は、初期の段階から徐々に変化していきます。早期のタイミングから、周囲に協力を求めておくとよいでしょう。

認知症初期の症状で思い込みが激しくなる原因を知って適切に対応しましょう

この記事のまとめ

  • 認知症初期の症状で激しい思い込みの原因は、記憶や判断力が低下するため
  • 認知症初期の症状での思い込みは、物を盗られる妄想や幻視、嫉妬などがある
  • 認知症初期の症状では、感情のコントロールが苦手になる
  • 認知症初期の症状の思い込みに対する対処法は、否定しないこと
  • 認知症初期の介護は、一生懸命になりすぎず、周囲に助けてもらうことも必要

認知症初期の症状で思い込みが激しくなる場合はありますが、その原因を理解し、早期から適切に対応することが大切です。認知症初期の症状における思い込みは、脳の情報処理機能の低下によって生じます。

介護者が初期症状による思い込みの原因を知り、否定せずに受け入れることで、本人の不安や混乱が軽減できるでしょう。

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