家族葬と密葬の違いって?意味・葬儀の流れ・費用相場・マナーなど徹底解説
「家族葬」も「密葬」も葬儀の形式の一つです。それぞれの言葉は聞いたことがあるものの、意味や違いは分からないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、家族葬と密葬の定義や違い、基本的な流れなどを解説します。
家族葬と密葬それぞれの意味
まずは、家族葬と密葬の意味について解説していきます。
家族葬とは
家族葬は、一般的に家族や親族、限られた友人のみを招いて執り行われる葬儀を意味します。家族葬は1990年代に誕生し、時代の変化に合わせて普及してきました。現在は、「大規模な葬儀は控えたい」「葬儀の費用を抑えたい」という方を中心に家族葬を選ぶ人が多いです。
密葬とは
密葬は家族葬とは違い、昔からある葬儀形式の一つです。家族や親族、親しい友人などを集めて内密に執り行う葬儀を「密葬」と呼びます。後に行われる本葬やお別れ会の前に、故人と関係が深い人のみでゆっくりとお別れしたいという場合に執り行います。
家族葬と密葬の主な違いは二つ
家族葬と密葬は、どちらも故人と近しい人のみを集めて行うという意味では似ています。しかし、この二つには明確な違いがあるため、意味を混合しないよう注意しましょう。ここからは、家族葬と密葬の意味や違いについて詳しく紹介します。
葬儀を秘密裏にしているか
家族葬と密葬の違いとして、葬儀を秘密にしているかが挙げられます。家族葬の定義は「家族や親族、近しい友人のみで行うもの」であり、内々以外には知らせずに葬儀を行うという意味はありません。
一方、密葬は家族葬と違い、「内密に行う葬儀」という意味合いが含まれています。例えば、大きな会社の社長や著名人などが亡くなった場合、参列者が多く葬儀がかなり大掛かりになります。特に芸能人の方が亡くなった場合、葬儀にファンやマスコミなどが集まることもあるでしょう。
そのため、近親者のみでゆっくりとお別れをするために密葬が執り行われるのです。密葬は「家族のみで静かに故人とお別れしたい」という理由で、他人に口外するのはタブーとされています。
家族葬の場合も、参列者以外に葬儀のことを口外するのはよしとされていませんが、密葬ほど厳密に決まっているわけではありません。密葬に参列する場合は、家族葬との違いやマナーをしっかりと踏まえておきましょう。
本葬を行うか
家族葬と密葬の大きな違いとして、本葬を行うかどうかが挙げられます。家族葬は一般葬と同じ流れで行われ、葬儀を行った後火葬するのが一般的です。
一方、密葬は家族葬や一般葬とは異なり、密葬を行った後に本葬やお別れ会を行います。密葬は「近親者のみが静かにお別れをするためのもの」で、本葬やお別れ会は「関係者のために広く行われるもの」という意味合いがあります。
密葬だけを単体で執り行うことはないという点が、家族葬との大きな違いです。
家族葬・密葬の流れ
家族葬と密葬の流れにほとんど違いはなく、一般的には同じように進んでいきます。ただし、密葬の場合は本葬やお別れ会が行われますが、家族葬では行われないという違いがあります。ここから紹介する内容を参考に、基本的な葬儀の流れと、家族葬と密葬の細かい違いをおさえておきましょう。
①納棺
故人が亡くなったら、納棺が行われます。専門のスタッフが故人のメイクや着替えなどの身支度をすませ、家族や近親者が故人とのお別れを行います。その後、スタッフや家族が棺にご遺体を納めるという流れです。
②お通夜
納棺後のお通夜では、参列者による弔問や、僧侶による読経・焼香などが行われます。お通夜終了後には、「通夜振る舞い」という食事が提供されることもあります。通夜振る舞いに案内された参列者は、弔意を表すために参加するのがマナーです。
③葬儀
お通夜の翌日には、葬儀が執り行われます。葬儀は喪主による挨拶から始まり、次に僧侶による読経、参列者による焼香の流れで行われます。焼香が終わったら僧侶による説法があり、最後に喪主の挨拶で閉式します。
④出棺
葬儀終了後は棺の中に花などを入れ、棺の蓋が閉じられます。
その後、家族や故人の友人が棺を葬儀場の外に運んで霊柩車に乗せます。故人の棺と喪主や遺族を乗せた車が火葬場へと向かいます。
⑤火葬
火葬場に到着したら、ご遺体の火葬が行われます。火葬場のスタッフに火葬許可証を渡して最後のお別れをした後、棺が火葬炉に収められます。火葬にかかる時間は、ご遺体の状態や年齢などによりますが40分〜1時間半ほどです。火葬が終わったら、喪主から順番に遺骨を拾って骨壷に収める「収骨(骨上げ)」と呼ばれる儀式を行い、終了したら火葬場のスタッフが骨壷と埋葬許可証を渡してくれます。
⑥本葬【密葬の場合】
家族葬の場合は火葬までで一通りの流れは完了ですが、密葬の場合は後日本葬が行われます。
一般の参列者向けの葬儀
密葬は身内のみで秘密裏に行われる葬儀ですが、本葬は一般の参列者向けに開催されます。本葬は密葬に比べて参列者が多いため、儀式の時間が長くなるのが一般的です。
密葬での本葬は、「お別れ会」や「偲ぶ会」という名目で行われることも多いです。故人と親しかった人による弔辞や追悼スピーチのほか、演出度が高い内容で行われることもあります。
家族葬・密葬の費用相場
ここからは、家族葬と密葬の費用の違いについて解説していきます。
家族葬は一般葬よりも安くすむことが多い
限られた身内のみで行う家族葬の場合、参列者が少ないため費用が安くなることが多いです。一般葬の相場は100万円~200万円なのに対し、家族葬の相場は60万円~150万円と50万円程度の費用を削減できます。お通夜や葬儀を行わない直葬だと、さらに費用が抑えられます。
密葬は費用の負担が多くなる
密葬の場合、家族葬とは違い費用の合計負担額が大きくなることが多いです。密葬では葬儀を2回に分けて行うため、その分費用が高くなる傾向にあります。
密葬そのものにかかる費用は葬儀の形式や規模などにもよりますが、数十万円~100万円とされています。
家族葬・密葬に関するマナー
家族葬・密葬を執り行う場合や参列する場合は、事前にマナーを踏まえておきましょう。
参列者は香典は基本的に持参する
家族葬・密葬へ参列する場合、香典を持参するのが一般的です。年齢や故人との関係に合わせて、適切な金額の香典を準備しましょう。ただし、ご遺族が香典を辞退されている場合は無理にお渡ししないのがマナーです。
参列者は喪服を着用する
家族葬や密葬では、一般葬と同じく喪服を着用します。男性はブラックのフォーマルスーツ、女性は黒のワンピースやアンサンブルなどを選びましょう。アクセサリーや時計などは着けず、控えめな服装を意識してください。
密葬の場合、参列者は口外しない
家族葬とは違い、密葬には「訃報を受けたことや参列することを口外しない」というマナーがあります。密葬は「他の人に知られたくない」という遺族の考えの元、限られた身内のみで行われる葬儀です。招待されていない人に密葬のことを伝えるとご遺族に迷惑がかかる恐れがあるため、十分注意してください。
家族葬・密葬を行う際の注意点
ここからは、家族葬・密葬を行う際の注意点を紹介します。
家族葬
家族や親族に相談しておく
家族葬を行う場合、家族や親族に相談しておきましょう。家族葬は一般葬よりも規模が小さくなるため、場合によっては参列をお断りする方も出てきます。トラブルにならないよう、事前に相談して理解を得ておきましょう。
家族葬に慣れている葬儀社に依頼する
家族葬を行う場合は、依頼する葬儀社に注意が必要です。家族葬は厳密な定義がなく、一般葬よりも行う人が少ないため、葬儀社によっては家族葬に慣れていない場合もあります。納得できる葬儀にするためにも、家族葬の執り行い実績のある葬儀社へ依頼することをおすすめします。
密葬
密葬を行う旨を家族に相談する
密葬を検討している場合、前もって家族に相談しましょう。密葬は他の葬儀と形式が大きく異なるため、場合によっては反対される可能性があります。親族とのトラブルを防ぐためにも、前もって周囲に密葬について理解してもらいましょう。
情報が漏れないよう注意する
密葬では、参列をお願いする方以外へ情報が漏れないよう注意が必要です。密葬の情報が広まってしまうと、多くの方が参列に訪れることになりかねません。喪主・参列者ともに、密葬に関する情報を漏らさないよう注意してください。
本葬を行わない場合は弔問対応が必要になる
身内だけの密葬の後には本葬を行うのが一般的ですが、場合によっては本葬を行わないこともあります。本葬やお別れ会などを行わない場合は、後に訃報を知った方からの弔問や香典を受けることになることを知っておきましょう。
家族葬と密葬の違いを知った上で葬儀内容を検討しましょう
この記事のまとめ
- 家族葬は家族や親族、近しい友人のみで行う葬儀であり、密葬は近親者のみで秘密裏に行われる葬儀
- 家族葬と密葬の違いは、「葬儀を秘密にしているか」と「本葬を行うか」の二つ
- 家族葬・密葬は、①納棺②お通夜③葬儀④出棺⑤火葬の流れで行われる
- 密葬の場合は本葬が行われる
- 密葬は葬儀を2回に分けて行うため費用の負担額が大きくなる
- 密葬では、参列者は訃報や参列することを口外してはいけない
家族葬と密葬は意味が混同されがちですが、それぞれの違いや費用、流れなどを押さえた上で、どのような葬儀を執り行うか検討してみてください。