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健康・カラダのこと

高齢者の体重を増やすのに必要な食べ物5つ!食事の改善方法や目安となる摂取量をご紹介

高齢者の体重を増やすのに必要な食べ物5つ!食事の改善方法や目安となる摂取量をご紹介

高齢者は活動量の減少によって筋肉量が減り、今まで通り食べているのに体重が減少することがあります。高齢者の痩せすぎは低栄養の原因ともなり、注意が必要です。そこで今回は、高齢者が体重を増やすのに必要な食べ物と、摂取量の目安や食事の改善方法について解説していきます。

監修者 SUPERVISOR
管理栄養士/食生活アドバイザー/フードスペシャリスト/食品衛生管理者 古山 有紀

武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
管理栄養士として病院に勤務し、患者様の栄養管理及び栄養指導に従事。
糖尿病患者や腎臓病患者を中心に、病状の進行を防ぐための食事指導を行う。食事と健康、美容に関する記事を中心に管理栄養士ライターとして活動中。

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高齢者の痩せすぎは健康を害する

高齢者になると、活動量が減少することで筋肉量が減ったり、食べる量が減ることで体重が減少したりすることがあります。病気の治療による体重管理での体重減少であれば問題ありませんが、意図せず体重が減っていくのには注意が必要です。

6ヶ月の間にもとの体重の5%以上の体重減少がある場合や4.5kg以上の減少がある場合はその原因を考え、適切に対処する必要があります。高齢者の痩せすぎは、健康を害する問題となるためです。

サルコペニアやフレイルに注意

高齢者の低栄養による健康障害を「サルコペニア」や「フレイル」と言います。サルコペニアは、加齢による筋肉量の減少のことです。人は40歳を超えると徐々に筋肉量が減っていき、60歳を超えると急激に減少します。サルコペニアは、このような筋肉量の減少によって身体機能が低下している状態です。

サルコペニアが続くと、体重減少や倦怠感、身体活動量の低下などにより身体機能に障害が出てきます。このような虚弱な状態をフレイルと言います。フレイルは介護が必要な前段階とされ、生活の質はどんどん低下していくのです。高齢者が健康でいるためには、体重を維持してサルコペニアやフレイルに注意しなければなりません。

高齢者が食べても痩せる理由

なぜ、高齢者は食べていても体重が減ってしまうのでしょうか。ここでは、高齢者の体重減少の要因を紹介します。理由を正しく理解することで、体重を増やす対策をとりやすくなります。

加齢に伴う体重減少

高齢者であれば誰でも起こりうるのが、加齢に伴う体重減少です。歳を重ねることで基礎代謝が低下し、筋肉量が減ると自然と体重も減少します。さらに加齢によって運動量が減ることで食欲が湧きにくくなり、食べているつもりでも実際には食事量が減っていることもあります。

病気による体重減少

病気が原因の体重減少も、高齢者によくあることです。特に十二指腸潰瘍、胃潰瘍といった消化器系の病気では下痢や食欲低下などの症状がみられ、短期間で大幅な体重減少が起こることもあります。病気は無意識のうちに進行する場合もあるため、急激な体重減少があった際は病院を受診しましょう。

心理的要因による体重減少

家族との離別や孤独などの精神的ストレスもまた、高齢者の体重減少の原因となります。精神的ストレスは食欲低下や消化機能の低下を引き起こし、体重が減っていってしまうのです。

高齢者が体重を増やす食事のポイント

高齢者が体重を増やすには、いくつかのポイントがあります。体重減少を防ぐためには、無理してたくさん食べればよいわけではありません。ここでは、痩せすぎによる低栄養を予防し、高齢者が体重を増やすための食事のポイントを紹介します。

エネルギーをしっかり摂る

高齢者が体重を増やすためにも、まずはエネルギーをしっかり摂ることが必要です。必要なエネルギーが摂取できていないと、体重は減っていきます。

エネルギーをしっかり摂るためには、主食、主菜、副菜の揃ったバランスのよい食事を摂ることが大切です。食事で十分な量が食べられない場合には、補食を取り入れて不足分を補ったり、カロリーの高い食べ物を積極的に取り入れてエネルギーを満たしたりする方法もあります。

例えば、パンにバターを塗る、サラダにマヨネーズをかける、ノンオイルドレッシングではなくオリーブオイルと塩で食べるなど、脂質の多い食べ物を取り入れることで摂取カロリーを上げられるでしょう。

良質なたんぱく質を摂る

たんぱく質は体を構成する栄養素であり、高齢者が体重を増やすのに欠かせません。たんぱく質は、20種類のアミノ酸からできています。そのうち9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、人の体内では合成できません。そのため、食べ物から摂取する必要があります。

必須アミノ酸を多く含む食べ物は、肉類、魚介類、乳製品、卵、大豆製品などです。これらの食品は必須アミノ酸をバランスよく含み、体内での利用効率がよいたんぱく質です。体重を増やすためにたんぱく質を摂取する際には、このような良質な食べ物を選びましょう。

補食を取り入れる

高齢者が体重を増やすには、食事をしっかり摂ることが重要です。しかし、食欲がなかったり一度にたくさんの量を食べられなかったりする場合もあります。そんな時は、補食を取り入れてカロリー不足にならない対策をとりましょう。補食は、時間を決めず食べたいと思った時に食べる方法で構いません。

補食には、栄養補給ができる食べ物を取り入れるとさらに効果的です。補食を上手く利用して、食事の不足分を上手く補いましょう。高齢者の補食におすすめの食べ物を下にまとめていますので、参考にしてみてください。

補食におすすめの食べ物

  • たんぱく質を補う食べ物:牛乳、チーズ、卵豆腐、小魚など
  • ビタミンを補う食べ物:果物、野菜スティック、100%果汁ジュースなど
  • 水分を補う食べ物:ゼリー、牛乳、果汁ジュース、果物など

高齢者が体重を増やすのに必要な食べ物5つ

高齢者が体重を増やすために必要な食事のポイントは、バランスの整った食事を必要な量だけ食べることです。ここでは、バランスのよい食事の中でも特に効率的に栄養素を補給できる食べ物を紹介します。

①たんぱく質を多く含む食べ物

たんぱく質を多く含む食べ物には、肉、魚介類、卵、乳製品、大豆製品などがあります。毎食、これらの食べ物の中から1品以上を食べるように意識するとたんぱく質が補給でき、高齢者が体重を増やすのに役立つでしょう。

たんぱく質を多く含む食べ物の中には、脂質も多い食べ物もあります。脂質の摂り過ぎは生活習慣病の原因にもなるため、できる限り脂質の少ないたんぱく質源を選ぶのがおすすめです。良質なたんぱく質を含む食べ物をまとめましたので、参考にしてみてください。

たんぱく質を多く含む食べ物

  • 肉類:鶏ささみ肉、鶏むね肉、豚ヒレ肉、牛もも肉
  • 魚介類:いわし、あじ、まぐろ赤身、かつお
  • 乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト
  • 豆類:豆腐、厚揚げ、高野豆腐

②適度な炭水化物

炭水化物は活動のエネルギー源になる栄養素です。ご飯、パン、麺類などから毎食摂取するようにしましょう。ただし、食べ過ぎてしまうと血糖値を上げたり肥満の原因になったりするため、適正量を守って食べるのが理想的です。

高齢者が1日に必要な炭水化物量は、男性、女性ともに1日の摂取カロリーの50~65%程度です。目安としては、1日にご飯3杯分程度となります。ご飯1杯分は、うどん1玉や6枚切りの食パン1枚に置き換えることができます。上手く調整しながら食べましょう。

炭水化物を多く含む食べ物

  • ご飯
  • パン
  • 麺類:うどん、スパゲティ、そばなど
  • いも類:じゃがいも、さつまいも、里芋、長芋など

③良質な脂質を含む食べ物

脂質は少量でも高カロリーのため、高齢者が体重を増やすのに便利です。しかし、脂質であればなんでもよいわけではなく、良質な脂質を選ぶことがポイントです。脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。体によいとされているのは不飽和脂肪酸のため、体重を増やす場合も不飽和脂肪酸を積極的に摂るようにしましょう。

不飽和脂肪酸を多く含む食べ物

  • えごま油、オリーブオイル、亜麻仁油、ごま油などの植物油
  • イワシ、サバ、サンマなどの青魚

④ビタミンを多く含む食べ物

ビタミンは、三大栄養素の働きをスムーズにする役目を果たす栄養素です。摂取した栄養素を効率的に利用して、高齢者が体重を増やすのために必要になります。ビタミンは13種類あり、それぞれ脂溶性と水溶性に分けられます。野菜や果物などの食べ物に加えて、動物性食品にも含まれるものです。

ビタミンを多く含む食べ物

  • 卵、アーモンド、うなぎ、カボチャ、納豆、ほうれん草、小松菜、ほうれん草、きのこ(脂溶性ビタミン)
  • 野菜、果物、玄米、レバー、海藻類(水溶性ビタミン)

⑤ミネラルを多く含む食べ物

ミネラルは体内に微量しか存在しませんが、体や酵素の構成成分や調整役として重要です。体内では合成できないため、食べ物から摂る必要があります。普通に食事がとれていれば不足することはありませんが、カルシウムと鉄は高齢者に不足しやすい栄養素のため、意識して摂りましょう。

ミネラルを多く含む食べ物

  • 牛乳、乳製品、大豆製品、魚介類(カルシウム)
  • レバー、貝類、赤身の肉、赤身の魚(鉄)

高齢者が体重を増やすための食事改善方法

高齢者が体重を増やすためには、食事の取り方を改善する必要があるでしょう。ここからは、高齢者が体重を増やすための改善方法を紹介します。必要な食べ物を積極的に取り入れながら、以下の内容を意識してみてください。

食事摂取量を把握する

体重を増やすためには、実際に自分が食べている量を把握しておくことも大切です。食事量が把握できていなければ、十分なのか不足しているのかもわかりません。まずは1日の食事を記録して、どれくらいの量を食べているのか確認してみましょう。

活動量を把握する

食事だけでなく、活動量を把握することも必要です。食事をしっかり食べているけれど体重が減るのであれば、消費カロリーに対してエネルギーが足りていないのかもしれません。活動量を把握することで、食事内容を改善できるでしょう。

特に、運動習慣のある高齢者の方が体重を増やすためには、一般的な高齢者よりも摂取カロリーを増やす必要があります。そのため、自身の活動量を把握することをおすすめします。

病気、常用薬の影響を確認する

食事内容を改善したり、対策しているのに体重が増えない場合には、病気や常備薬が要因になっている可能性もあります。そのような時には、病院を受診して医師に相談するようにしましょう。

高齢者が体重を増やすのに必要な食事の目安量

高齢者が体重を増やすためには、必要な量の食事をきちんと摂ることが大切です。ここでは、高齢者に必要なエネルギーとたんぱく質の目安量について解説します。体重を増やすための食事例も紹介しますので、参考にしてみてください。

必要なエネルギー量とたんぱく質量

男性も女性も、活動量によって必要なエネルギー量が変わってきます。活動量に応じた食事を摂ることが、体重を増やす対策になります。

高齢者が1日に必要なエネルギー量
高齢者が1日に必要なエネルギー量

身体活動量

座っていることがほとんど

座っていることが多いが、立ち仕事や買い物、軽い運動をする

移動や立ち仕事が多い、活発な運動習慣がある

男性

2,050キロカロリー

2,400キロカロリー

2,750キロカロリー

女性

1,550キロカロリー

1,850キロカロリー

2,100キロカロリー

また運動量が多い高齢者では、男性、女性ともに体重×1.2g程度のたんぱく質が必要です。体重60kgの人であれば、体重60×たんぱく質1.2g=72gが適正量ということになります。一方、腎機能障害や疾患がある場合はたんぱく質の摂り過ぎによって症状が悪化する場合があるため、必要量は主治医に確認してください。

高齢者が1日に必要なたんぱく質量
高齢者が1日に必要なたんぱく質量

身体活動量

座っていることがほとんど

座っていることが多いが、立ち仕事や買い物、軽い運動をする

移動や立ち仕事が多い、活発な運動習慣がある

男性

60g

60g

体重×1.0~1.2g
(60~72g)

女性

50g

50g

体重×1.0~1.2g
(50~60g)

高齢者はフレイル予防のため、十分なたんぱく質が必要です。そのため、ほとんどを座って過ごす場合でも、軽い運動をする場合と同程度のたんぱく質が必要です。

体重を増やすための1日の食事例

高齢者が体重を増やすためにはどのような食事を摂ったらよいのか、1日の食事の具体例を紹介します。主食がご飯でもパンでも、主食、主菜、副菜のそろった食事を心がけると理想的なバランスになります。

朝食

パン食の場合

  • トースト (6枚切り食パン1枚、バター小さじ1)
  • スクランブルエッグ
  • バナナヨーグルト
  • スライストマト
  • オレンジジュース

上記の例では、スクランブルエッグ、ヨーグルトでたんぱく質を補給します。バナナ、オレンジジュースはビタミンが豊富で、たんぱく質を効率的に体に取り入れる手助けをしてくれます。ご飯食の場合でも、納豆や豆腐、焼き魚など、たんぱく質の多いおかずを必ず摂るように心がけましょう。

昼食

定食スタイルの場合

  • ご飯 (茶碗軽く1杯120g程度)
  • 白身魚のフライ
  • ひじき煮
  • 小松菜と揚げの浸し
  • じゃがいもと玉ねぎとわかめの味噌汁

この例では、魚を主菜にしてたんぱく質を補給しています。小鉢料理では、カルシウム豊富な小松菜などの野菜を取り入れています。昼食は、うどんや丼物で簡単にすませることも多いでしょう。そのような時には、うどんであれば肉うどん、丼物であれば親子丼や鉄火丼など、たんぱく質の多い食べ物を摂るようにしてください。

夕食

主食、主菜、副菜のそろった食事

  • ご飯 (茶碗1杯120g程度)
  • 肉じゃが
  • ほうれん草のごま和え
  • 五目豆
  • えのきと麩のお吸い物

上記の例は、肉が主菜の献立です。夜は消化機能の働きがゆっくりになるため、消化吸収のよい食材や調理方法を選びましょう。副菜では、豆や麩などたんぱく質の補給になる食材も加えています。ご飯が食べにくい時には、主食をお粥やうどんにするのもよいでしょう。

高齢者は十分なエネルギーとたんぱく質を摂って体重を増やしましょう

この記事のまとめ

  • 高齢者の体重減少は健康を害する要因となるため注意が必要
  • 高齢者は痩せすぎを防ぐことが低栄養の予防につながる
  • 高齢者は食べていても痩せることがあるため、体重や食事量、活動量を把握して体重を増やす必要がある
  • 体重を増やすためには、エネルギーとたんぱく質をしっかり摂る
  • たんぱく質、脂質、炭水化物を中心にビタミン、ミネラルを含む食べ物をバランスよく食べることで体重を増やす

高齢者は食事を工夫して痩せすぎを予防し、低栄養による生活の質の低下を避ける対策が必要です。体重を増やすために必要な食べ物をバランスよく取り入れて食事を改善することで、健康を維持していきましょう。

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