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老後資金は夫婦2人で5000万円必要?その理由や安心して過ごすための貯蓄方法を紹介

老後資金は夫婦2人で5000万円必要?その理由や安心して過ごすための貯蓄方法を紹介

老後には夫婦2人で5000万円必要という説があるのをご存知ですか?老後資金として2000万円が必要という「老後2000万円問題」により、現状の貯金額を不安に思っている人も多いでしょう。本記事では5000万円の老後資金が必要な理由や資金準備の方法について説明しますので、参考にしてください。

監修者 SUPERVISOR
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士 森本 由紀

神戸大学法学部卒業。鉄鋼メーカー、特許事務所、法律事務所で勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所を設立し独立。メインは離婚業務。離婚を考える人に手続きの仕方やお金のことまで幅広いサポートを提供。法律・マネー系サイトでの執筆・監修業務も幅広く担当。

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話題になった「老後2000万円問題」

2019年(令和元年)6月に金融庁の金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書で、「老後の30年間で約2000万円が不足する」という試算が公表されました。

これは、総務省の2017年(平成29年)家計調査で、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の家計収支をみたところ、実収入よりも実支出の方が月約5.5万円多いことから計算されたものです。30年間では約2000万円の赤字となります。

ただし、これはあくまで平均的な世帯を想定した試算です。実際に必要な老後資金は、2000万円よりも多くなる場合もあります。

さらに最近では、夫婦で老後を安心して暮らすには5000万円必要とも言われています。いずれにしろ、老後はまとまった資金を準備しておく必要があるということです。

令和元年 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(金融庁)

平成29年 家計調査年報(家計収支編)(総務省)

夫婦2人の老後資金に5000万円が必要と言われている理由

ここからは、夫婦2人の老後資金に5000万円が必要と言われている理由を解説します。

年金自体がもともと少ないため

多くの方は老後は勤労収入がなくなります。65歳からは公的年金が支給されるため、年金によって生活を支えることになる方も多いでしょう。年金の額は人によって差がありますが、それほど多くもらえるわけではありません。

厚生労働省が公表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、民間企業に勤めていた人の平均年金月額は14万3965円です。

自営業者の場合には厚生年金(老齢厚生年金)がなく、国民年金(老齢基礎年金)だけになります。老齢基礎年金の平均額は5万6479円で、厚生年金がある人の半分以下です。

とはいえ年金生活になったからと言って、急に生活水準を下げるのは難しいと感じる人が多いでしょう。今まで通りの暮らしを続けるには、年金以外の老後資金を十分に用意しておく必要があります。夫婦2人で余裕のある暮らしを続けることを考えると、老後5000万円という金額は妥当といえます。

令和3年 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省)

年金自体が減るリスクがあるため

少子高齢化で年金自体が減るリスクがあることも、夫婦2人の老後資金に5000万円が必要と言われている理由の一つです。

公的年金制度は、現役世代が納める保険料で高齢者の生活を支える仕組みです。少子高齢化が進むと年金原資が不足し、給付水準が低下する場合があります。国では積立金や税金も投入し、運用しながら年金の財源を確保しています。年金が全くもらえなくなる可能性は低いですが、金額が減るリスクはあるでしょう。

年金が今の水準より減ると、ますます老後資金が足りなくなってしまいます。これから老後を迎える夫婦の不足分は2000万円を超え、2人で5000万円になる恐れがあるのです。

長生きする分の生活費が必要になるため

老後2000万円問題では、老後の期間を30年間と見積もって計算しています。しかし今後、老後期間がさらに長くなる可能性があります。毎月が赤字の状態なら、長生きするほど老後資金の不足額は増えていくでしょう。

厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳となっています。長生きする分の生活費を確保するためにも、資金が5000万円程度あると安心だと考えられているのです。

令和4年 簡易生命表(厚生労働省)

介護費用の発生に備えるため

将来介護が必要になった場合には、さらに費用の負担が大きくなります。介護費用に関しては介護保険もありますが、すべてが保険でカバーされるわけではありません。介護に備えるためには、老後資金が2000万円では不安です。

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護費用がかかっている人の月々の支払額(介護保険適用後の自己負担額)は平均で8.3万円です。また、同調査では介護期間の平均は61.1ヶ月となっています。

介護が必要となった場合、平均的には約600万円の介護費用がかかることになります。

令和3年 生命保険に関する全国実態調査(生命保険文化センター)

インフレによる物価上昇の可能性があるため

インフレになるとお金の価値が下がり、同じ金額でも買えるものが減ってしまいます。年金額が変わらない中で物価が上昇し続ければ、生活は苦しくなるでしょう。

インフレに備えようとすれば、現在の試算の2000万円では足りず、夫婦2人で5000万円程度の老後資金が必要になるとも考えられます。

【生活レベル別】夫婦2人に必要な老後資金シミュレーション

夫婦2人の生活に必要な老後資金は、どのようなレベルの生活をしたいかによって変わってきます。ここからは、夫婦2人の老後生活にいくら必要かをシミュレーションする方法をご紹介します。

老後資金の計算方法

老後の生活に必要な金額を見積もり、公的年金として受け取れる金額を差し引くと、不足する老後資金の金額を計算できます。老後の生活資金に関しては、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」を参照するとよいでしょう。

老後を2人で暮らしていく上で必要な最低金額

月23.2万円

ゆとりある生活を送るのに必要な金額

月38万円

夫婦2人の公的年金は、厚生労働省が公表している標準モデルが参考になります。これは平均的な収入で40年間勤務した会社員と専業主婦という夫婦をモデルに計算したもので、計算方法は以下となります。なお、2023年度(令和5年度)の標準モデルでは、夫婦2人の公的年金は22万4482円です。

夫婦2人の公的年金の計算方法

  • 夫婦2人の公的年金=2人分の老齢基礎年金+1人分の老齢厚生年金

退職金を老後資金に充てる場合には、退職金を充てても不足する額を計算します。

令和4年 生活保障に関する調査(生命保険文化センター)

夫婦2人の老後の最低日常生活費の場合

まず、2023年度の標準モデルをもとに、老後に必要な最低限の生活費からいくら不足するかを計算してみます。

月の不足額の計算方法

  • 月23.2万円(最低日常生活費)−月22万4482円(公的年金)=7518円

年間の不足額の計算方法

  • 月7518円(月の不足額)×12ヶ月=9万216円

つまり30年間では約270万円、40年間では約360万円の不足となります。

毎月の最低生活費をまかなうだけでも、公的年金では不足すると考えた方がよいでしょう。少なくとも数百万円の老後資金は必要です。介護にも備えようとすれば、さらに多くの資金を用意しておかなければなりません。

夫婦2人のゆとりある老後生活費の場合

次に、ゆとりある生活を送るのに必要な生活費からいくら不足するかを計算してみます。

月の不足額の計算方法

  • 月38万円−月22万4482円(公的年金)=15万5518円

年間の不足額の計算方法

  • 月15万5518円(月の不足額)×12ヶ月=186万6216円

つまり、30年間では約5600万円、40年間では約7465万円の不足となってしまいます。

なお、老後もゆとりある生活をしたいと考える人は、もともとの給与水準も高く、年金額や退職金も多めであることが予想されます。実際の不足額は少ないかもしれませんが、ある程度のまとまった資金が必要なことは確かです。少なくとも5000万円程度の老後資金を準備しておいた方がよいでしょう。

夫婦2人が老後を安心して過ごすための貯蓄方法

夫婦2人の老後生活に必要な資金は、生活レベルによって変わります。ここからは夫婦2人の老後資金を作る方法について説明しますので、計画的に用意をしておきましょう。

老後のライフプランを考えて早期から貯金を始める

まず、老後どのような生活を送りたいかを早期の段階で考えてみましょう。老後のライフプランによって、必要な資金額が見えてきます。なるべく費用をかけずに暮らしたいという人もいるでしょう。一方で旅行なども楽しみたいと考える人もいるはずです。

介護が必要になるかどうかは予測できませんが、介護費用は用意しておくと安心です。民間の介護保険に加入して準備する方法もありますが、保険料の負担が発生するためメリット・デメリットを比較して検討しましょう。

老後に必要な資金が明確になったら、なるべく早くから貯蓄を始めるのがおすすめです。長期的な積立を行う場合には、投資も活用するとよいでしょう。

iDeCoで積立する

老後資金を準備するために活用できる制度がiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoに加入した場合、毎月掛金を積み立てて自分で選んだ商品で運用します。iDeCoでは通常の資産運用でかかる税金がかからないため、お金を効率よく増やせます。

iDeCoに加入中は掛金が全額所得控除の対象になるため、毎年の所得税や住民税も軽減できます。60歳まで資産の引き出しができないため、確実に資金形成ができる点もメリットです。

新NISAを活用して資産運用

NISAとは、一定額までの投資にかかる税金が非課税になる「少額投資非課税制度」のことです。2024年1月からは、従来のNISAのメリットを拡充した新NISAがスタートしています。新NISAを活用して老後資金を貯める方法もおすすめです。

新NISAでは、従来の一般NISAに対応する成長投資枠と、従来のつみたてNISAに対応するつみたて投資枠の二つの枠が用意されています。つみたて投資枠を利用して長期間積立投資を行えば、リスクを抑えながら着実な資産形成ができるでしょう。

個人年金保険に加入

個人年金保険は、一定期間保険料を払い込み、契約時に決めた年齢になったら年金を受け取れる保険です。民間の保険会社で取り扱いされており、自営業の人などが公的年金を補う目的で加入します。個人年金保険料控除により、税金が安くなるメリットもあります。

リバースモーゲージを利用

老後資金がどうしても不足する場合、持ち家がある人ならリバースモーゲージを利用する方法があります。リバースモーゲージは、自宅に住みながら自宅を担保にお金を借りられる仕組みです。生存中は返済がないか利息のみの返済となり、亡くなった後に自宅を売却して残りの借金を返済します。

ただし、リバースモーゲージを利用すると相続人に自宅を残せないデメリットもあります。あらかじめ家族と話し合ってから利用を検討しましょう。

夫婦2人で老後を安心して過ごすためには5000万円の資金計画を立てましょう

この記事のまとめ

  • 高齢夫婦無職世帯では毎月約5.5万円の赤字が生じるため、30年間で2000万円の老後資金不足となる
  • 年金が減るリスクや介護費用、インフレへの備えを考えると老後資金は5000万円程度用意しておくと安心
  • 必要な老後資金は生活レベルによって変わるが、年金だけでは最低日常生活費もやや不足する恐れがある
  • 老後にゆとりある生活を送りたいなら、年金以外に5000万円以上は必要
  • 老後資金はiDeCoやNISAによる積立投資を活用して準備するのがおすすめ

老後に安心して生活するには年金だけでは不十分なので、計画的に貯蓄をしておく必要があります。夫婦2人の場合は5000万円程度の資金を用意しておくと安心ですので、まずは夫婦でライフプランを話し合って投資を活用しながら長期間積立をし、資金を準備する方法を考えてみましょう。

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