分骨証明書はどこでもらえる?発行に必要な書類や手続きの流れなどを詳しく解説
分骨を行う際に必要な分骨証明書はどこで発行できるのか知っていますか?本記事では、分骨証明書が必要な場面や、発行方法などを解説します。分骨証明書に関する注意点も詳しく解説していますので、分骨の予定がある方はぜひ目を通してみてください。
分骨証明書とは
分骨証明書とは、遺骨を2つ以上に分けて埋葬を行う時に必要になる書類です。分骨とは、故人の遺骨を2ヶ所以上に分けたり、別々の場所で弔ったりすることをいいます。
分骨証明書には、亡くなった人の名前や命日、本籍、性別、住所、分骨後の埋葬地、分骨理由などの情報が記載されています。分骨証明書は、分骨した遺骨をお墓や納骨堂に納めたり、散骨を行ったりする際に提出を求められる場合があります。
分骨証明書が必要になる場面
ここからは、分骨証明書が必要になる場面について解説します。
遺骨を2ヶ所以上の場所で埋葬するとき
分骨証明書は、遺骨を2ヶ所以上のお墓などに埋葬するときに必要です。そもそも遺骨を埋葬する際は、寺院や霊園に埋葬許可証を提出します。その際、埋葬許可証は1体につき1枚しか発行されません。一度提出した埋葬許可証は返却されず、コピーは正式な書類として認められない決まりとなっています。
よって、遺骨を2ヶ所以上に埋葬する場合は、分骨した数だけ分骨証明書を発行してもらい、その分骨証明書を寺院や霊園に提出することで遺骨を埋葬をすることができます。では、どのような場合に遺骨を2ヶ所以上の場所で埋葬するのか、このあと説明します。
遺骨の一部を永代供養する場合
遺骨を2ヶ所以上の場所に埋葬する場面として、遺骨の一部を永代供養するときが挙げられます。永代供養とは、遺族や子孫に代わって霊園や寺院などが遺骨を供養・管理することです。分骨した遺骨の一部をお墓や納骨堂に納めて、残った遺骨を永代供養したいときは、分骨証明書が必要です。
遺骨の一部を散骨する場合
お墓や納骨堂に大部分の遺骨を納めて残った遺骨を散骨したい場合にも、遺骨を2ヶ所以上の場所に埋葬することになるため分骨証明書が必要な場合があります。
依頼する業者によっては分骨証明書がないと散骨を断られてしまう場合があります。故人や遺族の希望で分骨した遺骨を散骨する場合は、分骨証明書を用意しておきましょう。
分骨前のお墓に遺骨を戻すとき
分骨した遺骨を分骨前のお墓に戻すときにも分骨証明書が必要です。一度分けた遺骨を元のお墓に戻したい場合、その遺骨が事件性のないものであると証明しなくてはいけません。管理が厳しい霊園や寺院などでは、分骨証明書がないと「事件性が否定できない」として遺骨の受け入れを拒否される場合があります。分骨前のお墓に遺骨を戻すときも、分骨証明書を用意しておきましょう。
手元供養を行うとき
分骨した遺骨を手元供養する場合も、分骨証明書が必要になることがあります。遺骨を手元に置いておくだけであれば分骨証明書は必要ありません。しかし、ネックレスやプレートなどの手元供養品を作る場合は、遺骨に事件性がないか確認するために業者から分骨証明書を求められることがあります。分骨証明書が提示できないと手元供養品の製作ができなくなる可能性もあるため、業者に確認しておきましょう。
分骨証明書の申請方法
ここからは、分骨証明書の申請方法について詳しく解説します。
火葬場で発行してもらう
火葬場で分骨する際は、火葬場で分骨証明書を発行してもらいます。火葬を行う前に分骨をすると決めている場合は、葬儀社や火葬場のスタッフに分骨を希望する旨を伝えておきましょう。前もって分骨をすると伝えておけば、火葬後の遺骨を収骨する際にスムーズに対応してもらえます。
霊園や寺院で発行してもらう
一度お墓に納めた遺骨を後から分骨する場合は、遺骨を納めている霊園や寺院で分骨証明書を発行してもらいます。
墓地がある霊園や寺院に分骨をしたい旨を伝え、遺骨を取り出します。遺骨が納められているカロートは非常に重く素人が動かすのは危険なため、石材店に依頼するのがおすすめです。管理者に立ち会ってもらい遺骨をお墓から取り出した後に、分骨証明書を受け取ります。
市区町村役場で発行してもらう
火葬が終了した後、遺骨を納骨する前に分骨を行う場合は市区町村役場で分骨証明書を発行してもらえます。また、一度発行してもらった分骨証明書を失くしてしまった際も、市区町村役場で再発行の手続きが可能です。ただし、東京都の民営の火葬場で火葬を行った場合は、火葬場で発行してもらえます。
手続きの流れ
- 事前に分骨証明申請書を準備する
- 市区町村役場で受付し、身分証明書や分骨証明申請書を提示する
- 故人の火葬日や命日などの情報が合っているか確認してもらう
正しく情報を伝えられないと書類の発行に時間がかかってしまうため、前もって必要な持ち物や情報を調べてから申請手続きを行うのがおすすめです。
分骨証明書の申請に必要なもの
分骨証明書を発行してもらう際は、主に以下の四つを準備しておく必要があります。スムーズに分骨証明書に関する手続きを進めるためにも、何が必要なのか把握しておきましょう。
発行依頼書・申請書
火葬場で分骨証明書を発行してもらう際は、発行依頼書を提出する必要があります。葬儀社や火葬場のスタッフに案内してもらい、必要事項を記入していきましょう。市区町村役場で分骨証明書を発行してもらう場合は、「分骨証明申請書」の提出が必要です。
印鑑
分骨証明書を発行してもらう際には、印鑑が必要です。書類に押印する箇所があるため、分骨を依頼する方の印鑑を準備しておきましょう。印鑑がないと手続きが進められず、その日のうちに分骨証明書を発行してもらえなくなる恐れがあるため、忘れないよう注意が必要です。
身分証
身分証も、分骨証明書を発行してもらう際に必要なものの一つです。特に、市区町村の役場で分骨証明書を発行してもらう際は、手続きを行う人の身分証の提示を求められることが多いです。運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの身分証を準備しておきましょう。
発行手数料
分骨証明書の発行にあたっては、発行手数料が必要です。どこに書類の発行を依頼するかによって費用は異なりますが、1通数百円ほどがかかります。お墓に一度納骨した遺骨を取り出して分骨したい場合は、石材店に墓石の移動を依頼する費用が必要です。石材店によって変わりますが、依頼費用は2万円〜3万円ほどとされています。
分骨証明書に関する注意点
ここからは、分骨証明書に関する注意点を解説していきます。
余裕をもって申請手続きを行う
分骨を行うことが決まっている場合、余裕をもって分骨証明書の申請手続きを行いましょう。分骨証明書の発行にどのくらいの時間がかかるのかは、自治体や依頼先によって異なります。火葬場で手続きをする際はすぐに書類をもらえることが多いですが、市区町村の役場で手続きをする場合は書類発行までに1週間以上かかるところもあります。
申請したらすぐに書類がもらえるとは限らないため、分骨が決まったら早めに申請しましょう。
紛失しないよう注意する
分骨証明書を発行してもらったら、紛失しないよう注意が必要です。分骨証明書を失くしてしまうと、お墓や納骨堂への納骨、散骨、手元供養品への加工などを断られてしまう恐れがあります。もし失くしてしまっても再発行は可能ですが、書類が手元に届くまでには1週間ほどかかります。供養や納骨のスケジュールが変更となり、故人や遺族の希望に沿えなくなる恐れがあるため、大切に保管しておきましょう。
また分骨証明書は遺産や権利などに関係する書類ではないため、保管場所を共有していてもトラブルにはなりません。分骨証明書を発行したら、親族間で書類を保管している場所を共有しておき、紛失を防ぎましょう。
万が一、分骨証明書を紛失してしまった場合でもスムーズに再発行の手続きができるよう、故人の命日や火葬を行った日などの情報をしっかりと記録しておくことも重要です。
分骨前に家族と話し合っておく
分骨を行う場合は、事前に家族と相談しておくことをおすすめします。民法では、祭祀継承者は分骨に関することを決めて実行してよいとされていますが、分骨に対して快く思わない親族とトラブルになる恐れがあります。祭祀継承者だからと周りに相談せずに分骨を決めるのは避け、周囲と話し合いながら分骨を検討しましょう。
分骨を希望する場合は事前に分骨証明書を準備しておきましょう
この記事のまとめ
- 分骨証明書とは、遺骨を2つ以上に分けて埋葬を行う時に必要になる書類
- 具体的には、複数のお墓に埋葬するとき、遺骨の一部を永代供養や散骨するときなどに必要
- 分骨証明書は、火葬場、霊園・寺院、市区町村役場などで発行してもらう
- 証明書を発行してもらう際は、発行依頼書・申請書や印鑑、身分証、発行手数料を準備する
- 分骨証明書は余裕を持って申請し、紛失に注意する
分骨証明書とは、遺骨を複数の場所で埋葬・供養する際に必要となる書類です。スムーズに納骨・供養を行うためにも、必ず分骨証明書を発行してもらった上で分骨を行いましょう。本記事で紹介した分骨証明書の申請方法や必要なものを参考に、手続きを進めてください。