閉じる メニュー
葬儀を知る

火葬で"喉仏"を最後に拾うのは何故?古くから大切にされる理由を解説

火葬で"喉仏"を最後に拾うのは何故?古くから大切にされる理由を解説

火葬後は故人とゆかりの深い人たちが集まり、ご遺骨を骨壷に納めていきます。その際、喉仏は最後に拾われて骨壷の上部に大切に納められるのはなぜなのでしょうか?本記事では、火葬における喉仏の意味や古くから大切にされる理由を解説します。

東京博善のお葬式 0120-506-044 24時間365日・通話無料 お気軽にお問い合わせください 事前相談・お急ぎの方もこちらから!

仏教における喉仏とは?

火葬の後は、「骨上げ(こつあげ)」の儀式が行われます。お骨拾い(おほねひろい)や収骨・拾骨(しゅうこつ)とも呼ばれ、故人のご遺骨を骨壷に納める大切な儀式です。一般的に骨上げでは参列者が二人一組になり、骨上げ箸を使用してご遺骨を骨壷に納めて、最後に喉仏を納めます。

この場合の喉仏とは、軸椎(じくつい)と呼ばれる椎骨の上から二番目の第二頸椎のことです。一般的に喉仏と呼ばれているのは、男性の首の甲状軟骨が隆起した部分を指します。火葬における喉仏は一般的に呼ばれている喉仏とは異なり、性別関係なく存在するものです。

火葬後に喉仏が大切にされる理由

「喉仏の意味は分かったけど、なぜ大切にされているの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか?ここからは、火葬後に喉仏が大切にされる理由を解説します。

喉仏の形が仏様に似ているため

軸椎が喉仏と呼ばれるようになったのは、仏様の姿に似ていたことが理由とされています。他の骨とは異なり、輪の形状に丸い突起や平らな突起があって、仏様が座禅を組んだ姿に似ているのです。

この形から喉仏は体に宿る仏様と考えられており、古くから大切にされてきました。宗教的意味合いから仏教では喉仏が大切にされていますが、他の宗教では喉仏に対して特別な思い入れはありません。

喉仏の形が綺麗に残ると極楽浄土に行けるとされているため

喉仏が大切にされる理由には、火葬後に喉仏の形が綺麗に残ると極楽浄土に行けるとされているという説もあります。生前によい行いをすることで、喉仏に反映されるという考えがあるのです。

骨上げの方法

前述した通り、火葬後には骨上げと呼ばれる儀式が行われます。基本的に火葬場のスタッフから骨上げのやり方は指示されますが、作法やマナーなどを知っておくと慌てることなく対処できます。

骨上げは火葬後に行われる

故人が亡くなった場合、火葬は葬儀が終わってから行われるのが一般的です。そのため、骨上げは葬儀後の火葬が終わってから行われます。

ただし、東北や沖縄などの一部の地域では、葬儀の前に火葬を行う「前火葬」が一般的とされているため、骨上げも葬儀以前の前火葬の際に行われます。

骨上げの儀式は、日本独自の慣習です。海外では土葬が行われることも多く、火葬の場合でも粉砕機でご遺骨を細かくします。そのため、日本のような骨上げの儀式を行うことはありません。

骨上げには専用の箸を使用する

火葬後に行われる骨上げの儀式には、骨上げ箸という専用の箸が使われます。火葬場で用意してくれるため、遺族が揃える必要はありません。骨上げ箸は宗派や地域によって異なりますが、一般的に左右の長さが不揃いで材質は木製と竹製などの種類が異なるものを一対にして使います。

これは、非日常の死後の世界を日常の反対に捉える逆さごととし、不幸が続かないようにするという意味が込められています。また、接ぎ木でないことを表して故人との決別を意味するとも言われています。

骨上げ箸は「箸」と「橋」の意味がかかっており、「三途の川に橋渡しをして、故人があの世へ渡る手助けをする」という意味があります。

骨を拾う順番は故人と縁の深い順に行う

骨を拾う順番は故人と縁の深い順から行います。喪主から始まり、遺族、親族、親しい友人の順で行うのが一般的です。小さい子供は参加しなくても構いません。

骨上げの作法は地域や宗派、火葬場によっても異なりますが、基本的に二人一組となって一つの骨を二人で持ち上げ、骨壷に納めていきます。他にも、ひとりが拾い上げた骨を箸で相手に渡してから骨壷に納める場合もあります。

また、火葬場のスタッフが箸で持ち上げ、参列者は自分の持っている箸を添えるだけという場合もあるため、スタッフの指示に従うようにしましょう。

喉仏は喪主が拾う

骨上げは、火葬場のスタッフからどこの部位なのか説明を受けながら骨壷に納めていきます。故人の足、腕、腰、背中、肋骨、歯の順番で骨上げを行い、生前と同じ形になるようにご遺骨を骨壷に納めていきます。

体の骨が収骨された後に頭蓋骨を入れ、最後に喪主が喉仏を拾って、骨壷に納めるのが一般的です。

東日本では、すべてのご遺骨を収骨する全収骨が行われており、喪主が喉仏を納めた後に、火葬場のスタッフが細かいご遺骨やご遺灰をすべて集めて収骨します。

西日本では部分収骨が行われている

前述した通り、東日本ではご遺骨をすべて骨壷に納める全収骨を行うのが一般的ですが、西日本ではご遺骨の一部を納める部分収骨が多いのが特徴です。ただし、それぞれの地域で骨上げの作法や骨壷に納める部位にも違いがあります。

たとえば、喉仏や歯などの主要なご遺骨のみ収骨する場合や、足から頭までのご遺骨の3分の1程度と喉仏を収骨する場合があり、地域によってさまざまです。

収骨の順番は東日本と同じように足から始まり、順番に体の上に向かっていきます。残されたご遺骨は火葬場のスタッフによって集められ、供養されます。

このように、東日本と西日本で収骨するご遺骨の量が異なるため、骨壷のサイズも異なります。東日本では6〜7寸サイズが主流ですが、西日本では3~5寸が使われることが多いです。

喉仏は火葬後に綺麗に残るのか

一般的に、男性だけにある喉仏と呼ばれている部分は軟骨でできているため、火葬後は焼失してしまいます。しかし、軸椎は男女どちらにもあり、軟骨でもないため、焼失せず残る可能性が高い部分です。

また、骨密度が高い人ほど喉仏が綺麗に残りやすいといわれています。年齢を重ねるにつれて骨密度が下がる傾向にあるため、若い人は比較的喉仏が綺麗に残ります。ただし、性別や病歴などによっても異なるため、一概にはいえません。

火葬後に喉仏が見当たらない場合は、割れている可能性もあります。喉仏は輪の形状で中が空洞の骨です。そのため、割れている場合はカーブを描いている骨が喉仏の可能性が高く、他の骨との区別もつきやすいでしょう。

火葬後の喉仏の分骨について

火葬後の骨上げでは、分骨が行われる場合もあります。分骨とは、ご遺骨を二つ以上の骨壷に分けて収骨し、別々の供養先に納めることです。複数のお墓に納めたいときや、ご遺骨の一部は手元に置いておきたいという場合に行われます。

また、地域や宗派によっては分骨が一般的とされている場合もあります。どのような場合に分骨がされるのか以下にまとめましたので、目を通してみてください。

浄土真宗は分骨することが多い

浄土真宗では、骨壷を二つ用意して喉仏を分骨することがあります。一つは喉仏以外のご遺骨を納める大きめの骨壷で、一般的に故人のお墓に納骨されます。もう一つは喉仏のみを納める小さな骨壷で、東本願寺または西本願寺に分骨するためのものです。

ただし、必ず分骨しなければいけないわけではありません。京都まで行くのが難しい場合は、分骨をしないことも多いです。

また、分骨してもお寺に納骨せず手元供養にして、三回忌や七回忌などの法事法要の際に故人のお墓に納骨する場合もあります。

西日本の一部の地域は喉仏を手元供養する慣習がある

前述したように西日本は部分収骨が行われていますが、その中でも宗教的に大切にされている喉仏は手元供養する慣習があります。手元供養は故人とのつながりを感じられるため、遺族の意向にもとづいて行われます。

手元供養で使用されるのは小さめの骨壷で、仏壇に納められるのが一般的でした。近年ではさまざまな供養方法があり、ミニ仏壇やメッセージプレートなどの置き型の種類を選択する人も増えてきています。

また、ペンダントやキーホルダーのように持ち運びができる種類や、ぬいぐるみの中に入れるものもあります。

分骨する場合は事前に手続が必要

分骨する場合、火葬が行われる前に葬儀社や火葬場のスタッフに分骨する旨を伝える必要があります。また、ご遺骨を二つ以上の供養先に納骨する場合、埋葬する際に分骨証明書や分骨用の火葬証明書が必要です。

手元供養する場合、分骨用の書類は必要ありません。ただし、供養先を決めていない場合や、のちに納骨する可能性がある場合はその際に書類が必要になるため、事前に発行してもらいましょう。

喉仏の意味を理解し、宗派や地域に倣った供養をしよう

この記事のまとめ

  • 喉仏とは、軸椎(じくつい)と呼ばれる第二頸椎のこと
  • 喉仏が大切にされるのは、軸椎の形が仏様に似ているためといわれている
  • 骨上げ箸が使われるのは、三途の川に橋渡しをして故人があの世へ渡る手助けをするためといわれている
  • 骨を拾う順番は故人と縁の深い順に行い、最後の喉仏は喪主が拾う
  • 東日本は全収骨、西日本は部分収骨が多い
  • 地域や宗教・宗派によっては、分骨が行われている

本記事では、火葬後の喉仏が大切にされている理由や骨上げについて解説しました。地域や宗派が異なっても、喉仏を大切にしていることは同じです。骨上げのやり方や収骨する部位などは異なりますが、一般的な作法やマナーを踏まえておくことで急な場面でも対応しやすくなります。

それぞれの宗派や地域に倣って、故人を偲びながら、大切に骨上げを行いましょう。

SHARE この記事をSNSでシェアする