遺影を処分する方法まとめ|飾る期間や保管方法、場所など整理の仕方を解説

葬儀の際に使用する遺影を自宅へ持ち帰って飾る場合、その大きさから置き場所に困ることもあるのではないでしょうか。また、これまで何十年と飾ってきた遺影の扱いが分からない方もいらっしゃるでしょう。本記事では、遺影の保管や処分の方法といった遺影の扱いについて解説します。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
遺影は処分してもよい?

お通夜や葬儀で使用される遺影は、その扱いに決まりがありません。したがって、葬儀が終わった後に遺族が遺影を処分したいと考えるのであれば、処分することも可能です。遺影は宗教的に意味のあるものではないため、処分したいと思う場合は気分を重たくすることなく処分してしまっても問題はありません。
しかし、初盆やその他の法事・法要で再び遺影を使用する可能性がある場合、少なくともその期間までは保管しておく必要があります。法事・法要は宗派などによって内容が異なるため、遺影が必要かどうか分からない場合には前もって確認しておきましょう。
遺影の処分を考えたときは、独断ですぐに処分せず、家族や親族などに相談することが大切です。処分してしまうと親族間に不和が生じる原因になることもあるため、あらかじめ話し合いをするとよいでしょう。
また、遺影を処分することが決まったものの、いつ処分したらよいか分からない場合は、遺品整理の際や法事が終わった後、あるいは結婚、引っ越しなどといった生活環境が変化するタイミングで処分を考えてみてはいかがでしょうか。
遺影はいつまで飾るもの?期間に決まりはある?

お通夜と葬儀が終わった後の遺影は、飾る期間に明確な決まりはありません。しかし、一般的には四十九日まで飾ることが多いようです。四十九日までは故人の魂がこの世にとどまるとしている宗派もあるため、四十九日までは遺影を飾るのが一般的になっていると考えられます。
四十九日まで遺影を飾る場合は、後飾りといわれる祭壇に飾ります。四十九日が終わった後にも遺影を飾り続けたい場合は、仏間や床の間に飾るのがよいでしょう。
これは、仏間や床の間が家の中でも高い位置づけにあるためです。とはいえ、仏間や床の間でなくても、リビングや寝室など自分の飾りたい場所に飾ってもかまいません。故人をできるだけそばで感じたい場合は、自分が一番長く過ごすことの多い部屋がよいでしょう。
ただし、仏壇の中に遺影を飾る行為は不適切とされているため注意が必要です。仏壇は仏様を祀る場所であり、仏壇の中には遺影を飾らないよう注意しましょう。また、仏壇の上も、仏様を見下ろしてしまう形になるため、遺影を飾るには不適切です。
どうしても遺影を仏壇付近に飾りたい場合は、仏壇の近くに台を置くなどして遺影を飾るとよいでしょう。
遺影の処分方法

遺影の処分を実行する場合、以下の三つの方法が主な選択肢として挙げられます。これらの中から、家族や親族と話し合って処分の方法を決めましょう。
神社・お寺で供養
遺影は、神社やお寺で供養をしてもらえます。供養することで気持ちも軽くなるため、遺影に特別な思い入れがある方にはおすすめの処分方法です。先祖の遺影、故人の遺影に関わらず、まずは檀家となっているお寺(菩提寺)に相談するとよいでしょう。
檀家のお寺がない場合には、その他のお寺や神社で供養してもらえる場所を探しましょう。宗派などは遺影の処分に関係ないため、どのお寺や神社でもかまいません。費用はお寺や神社によって異なりますが、大体1~5万円ほどの費用がかかります。お布施または玉串料として封筒に入れ、僧侶または神職に渡すのが一般的です。
お寺や神社によっては、供養後に供養証明書やお守りをもらえるケースもあります。それらを希望する方は、前もって供養証明書の有無を確認してから遺影の供養を依頼するとよいでしょう。
葬儀社や供養業者に処分を依頼する
故人の葬儀を行った葬儀社や、供養の専門業者に遺影の処分を依頼するのも一つの方法です。葬儀社によっては、葬儀の後に遺影の処分を引き受けてくれるサービスもあります。
葬儀から1年以上経った後でも、葬儀を行った葬儀社で遺影の処分を引き受けてくれる場合がありますが、処分だけを行ってくれる葬儀社はあまり多くありません。心配な場合は、あらかじめ相談してみるとよいでしょう。
一方、故人が愛用していた物など、遺影の他にも処分したいものがある場合は供養の専門業者に依頼するのもおすすめです。供養の専門業者はインターネットなどから申し込むことができ、手軽さが人気となっています。
ただし、他の依頼者の遺影や愛用品と一緒に供養されることが多いため、その点には理解が必要です。費用も遺影1枚が1500円程度と手頃な価格なため、費用を抑えたい方にもおすすめの方法と言えます。
自治体の規定に従って自分で処分する
自治体の規定に従って、自分で遺影をゴミとして処分する方法もあります。遺影の写真部分は可燃ゴミ、ガラスやフレームは不燃ゴミとされていることがほとんどです。念のため、自分が住んでいる自治体のゴミの分別方法を確認してから処分しましょう。
必須ではありませんが、他の家庭ゴミと同じゴミ袋に入れるのではなく、遺影だけ別のゴミ袋を用意して捨てると気持ちも少し軽くなります。故人の所有物で他にも処分したいものがある場合は、遺影と一緒のゴミ袋に入れてもよいでしょう。
また、神道の考え方では「塩には浄化作用がある」とも考えられているため、気になる方は遺影を塩で浄化してから処分するのもおすすめです。白い布や紙で遺影を包み、そこに塩をふりかけます。塩をふったあと、そのまま処分しましょう。浄化すると気持ちも軽くなることが多いため、ゴミに出すのは気が重いという方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
遺影を供養する必要性について

遺影は、絶対に供養してから処分しなければならないわけではありません。前述した通り、遺影に宗教的な意味はないため、供養せずに処分しても大丈夫です。
しかし、遺影に開眼供養を行っている場合には、閉眼供養が必要になってくるため注意しましょう。遺影に開眼供養を行うことは稀ですが、心配な場合は檀家のお寺に確認することをおすすめします。先祖の遺影などははっきりしないこともあるため、その場合は供養してから処分すると気持ちも軽くなります。
遺影をそのまましまっておく際の保管方法と保管場所

遺影を処分することなく、そのままの状態でしまっておきたいときには、写真の劣化をなるべく防ぐような状態で保管する必要があります。ここからは、保管方法と保管場所について確認していきましょう。
遺影の保管方法
遺影に日光などが当たってしまうと、色あせてしまう恐れがあります。また、遺影にほこりが積もってしまう状況も避けたいところです。これらを防ぐためにも、布で包んだり、箱に入れたりして保管しましょう。箱に入れる際には、遺影が破損しないように緩衝材を詰めることをおすすめします。
遺影の保管場所
遺影を保管する際は、カビや色あせを防止するためにも、湿気のない冷暗所で保管するとよいです。法事などで取り出す機会が度々ある場合は、取り出しが容易な場所に保管することをおすすめします。
遺影の置き場所に困っている際の保管アイデア

「遺影を処分するのは気が引けるけど、かといって遺影を置く場所もない」と困っている方もいらっしゃるでしょう。そのような場合の保管アイデアをいくつか紹介します。
遺影を小さなサイズにリサイズして保管する
まずおすすめしたいのが、遺影を小さなサイズに作り直して保管する方法です。サイズを小さくすると、置き場所を広く確保する必要がなく、持ち運びたいときにも便利です。
リサイズした後は、他の写真と同じようにフォトフレームに入れて飾ったり、アルバムにしまったりできます。自分で遺影をパソコンに取り込み、小さいサイズで印刷することもできますが、専門業者にリサイズを頼むことも可能です。
遺影をデジタル化して保管する
続いておすすめしたいのが、遺影をデジタル化してデータとして保管する方法です。データとして保管すると、置き場所や保管場所に困ることもありません。また、データを簡単に渡せるため、親族など誰もがいつでも遺影を見ることができるという利点もあります。
データが破損してしまう恐れもあるため、取り扱いには注意が必要ですが、法事などで再度遺影が必要になったときは印刷して写真に戻すことができるため、おすすめしたい方法の一つです。
暮らしにあわせて遺影の保管・処分を決めよう

この記事のまとめ
- 遺影は扱いに決まりがないため、飾り続けても処分してもかまわない
- 法事や法要で使う可能性がある場合は遺影は処分せず保管しておく
- 遺影は四十九日まで飾るのが一般的
- 遺影の処分方法には、①神社・お寺で供養する方法、②葬儀社や業者に供養を依頼する方法、③自分で処分する方法がある
- 遺影を神社・お寺で供養・お焚き上げする場合は、まず檀家のお寺に相談する
- 葬儀を行った葬儀社では、遺影の供養を受け入れてもらえる
- 遺影だけではなく故人の遺品も供養してもらいたいときは、供養業者がおすすめ
- 遺影を処分する際は供養が必須ではないが、開眼供養を行っている場合は閉眼供養をしなくてはならない
- 遺影をそのまま保管したい場合は、湿気の少ない冷暗所で保管する
- 遺影の置き場所がない場合は、リサイズするかデータとして保管する
結婚や引っ越しなど、私たちの暮らしが変化するタイミングが少なからずあるでしょう。そのときに、置き場に困るといったさまざまな理由によって、遺影を処分したいと考えることは何も悪いことではありません。
遺影を処分したい場合は「家族や親族も納得する方法で処分する」ということを大切にして、処分方法を検討するとよいでしょう。困ったときには、檀家となっているお寺や葬儀社に相談してみるのもおすすめです。