家族葬の費用は10人程度ではいくらかかる?内訳と総額の目安をご紹介
近年、遺族や親族のみで執り行われる家族葬を選ぶ人が増えています。一般的な葬儀の相場よりも費用が抑えられるといわれていますが、10人程度の葬儀の場合はどのくらいの費用がかかるのでしょうか?本記事では、10人程度で執り行われる家族葬の費用内訳や費用の目安を紹介します。
家族葬とは?
家族葬は全国的に増えてきていますが、葬儀の規模や内容に厳密な定義はありません。ここからは、一般的な家族葬の概要を解説します。
遺族や親族のみで執り行われる葬儀
一般的な家族葬は、遺族や親族などの近親者のみが出席し、一般参列者を招かない葬儀形式のことを指すことが多いです。実際に参列する人数も少なく、葬儀の規模も小さくなる傾向があります。
10人程度の家族葬の場合、遺族のみで執り行うことが多くなります。主な参列者は、故人の配偶者、子供や孫、兄弟などです。
10人程度の主な参列者
- 配偶者
- 子供
- 孫
- 兄弟
葬儀の流れは一般葬と同じ
家族葬の日程は、一般葬と同じように執り行われます。ただし、遺族の要望により、お通夜を行わずに一日葬で執り行うことも少なくありません。そのため、ここでは10人程度の一般的な家族葬の流れと一日葬で執り行う場合の流れを紹介します。
10人程度の一般的な家族葬の流れ
一般葬と同じ日程で家族葬を執り行う場合は、故人が亡くなった日に葬儀の準備を行い、その翌日に納棺の儀とお通夜を執り行います。
さらに、その翌日に葬儀を執り行い、その後に火葬するという流れが一般的です。また、火葬後に初七日法要まで執り行う場合もあります。
また、10人程度の家族葬では、通夜振る舞いや精進落としなどの会食を行わないことも多いです。遺族のみの場合が多いため、会食の席を設けずに、自宅やレストランでの食事となる場合もあります。
一般的な家族葬の流れ
- 1日目:葬儀社との打ち合わせ・準備
- 2日目:納棺の儀・お通夜・通夜振る舞い
- 3日目:葬儀・火葬・初七日法要・精進落とし
10人程度で一日葬を執り行う場合の流れ
10人程度の家族葬を一日葬で執り行う場合、お通夜は執り行わず、故人が亡くなった日の翌々日に葬儀、火葬という流れになります。納棺の儀においては、故人が亡くなった日の翌日に執り行われる場合と、葬儀の前に執り行われる場合があります。
一日葬の場合も火葬後に初七日法要を執り行う場合があります。また、精進落としを行うことはほとんどありません。
10人程度の一日葬の流れ
- 1日目:葬儀社と打ち合わせ・準備
- 2日目:納棺の儀
- 3日目:葬儀・火葬・初七日法要
10人程度の家族葬はいくらかかる?費用総額の相場や内訳
ここまでは家族葬の日程の流れを解説してきましたが、実際の費用はいくらかかるのでしょうか?ここからは、10人程度の家族葬の費用総額の相場や内訳を紹介します。
費用総額の相場は50万円~135万円程度
10人程度で一般的な家族葬を執り行う際の費用総額の相場は、50万円~135万円程度とされています。葬儀の基本料金や飲食接待費、僧侶へのお布施などが、葬儀の費用総額に含まれる主な費用です。一般的な家族葬にかかる費用の平均は、100万円程度と言われています。
費用内訳
ここからは、10人程度の家族葬の主な費用の内訳がいくらかかるか詳しく見ていきましょう。
葬儀の基本料金の相場は30万円~70万円程度
葬儀の基本料金は必ずかかる費用で、10人程度の場合でも30万円~70万円程度の費用相場となっています。葬儀社によって基本料金に含まれる内容は異なりますが、一般的にご遺体の安置費用や搬送代、葬儀場利用費や葬祭用品、葬儀社の運営費などです。
一日葬の場合は、一般的な日程で執り行われる家族葬よりも準備するものが多少減り、葬儀の基本料金も少なくなる傾向があります。一日葬の方が10万円~20万円程度低いようです。
火葬費用は葬儀の基本料金に含まれている場合もありますが、火葬場で遺族が直接支払う場合も多いため、内訳をきちんと確認しておきましょう。
一般的な葬儀の基本料金の内訳
- 安置費用
- 搬送代
- 葬儀場利用費
- 葬祭用品
- 運営費
- 火葬費用
飲食接待費の相場は10万円~30万程度
飲食接待費は、一般的に会葬礼状や会葬御礼品、飲食費などです。10人程度の家族葬の場合の費用相場は、10万円~30万円とされています。近親者のみで執り行われる場合は、会葬礼状や会葬御礼品などを準備しないことも多いです。
通夜振る舞いや精進落としを行わないことも多いですが、折り詰めを準備する場合や自宅あるいはレストランなどで食事をする場合もあります。また、火葬を待つ間や初七日法要の前などには、簡単な仕出し弁当やお茶を用意して軽食をとることも多いです。
飲食接待費の内訳
- 会葬御礼状
- 会葬御礼品
- 飲食費
お布施の費用相場は10万円~35万円程度
家族葬を執り行う際の僧侶へのお布施の費用相場は、10万円~35万円程度とされています。寺院との関係性や宗派などによってはお布施の金額が大きく異なる場合もありますが、一般葬と同様の日程で執り行われる家族葬では、一般的なお布施の費用相場と違いはないようです。
一日葬で執り行われる家族葬の場合は、お通夜を執り行わないため、お布施の金額が一般的な費用相場よりも少なめになる傾向があります。
僧侶へのお布施は、一般的に読経や戒名の授与に対するお礼に渡すものですが、寺院によって戒名の値段が決まっている場合もあるため注意しなければなりません。葬儀社や周囲の方に相談し、戒名の費用が含まれるか、いくら必要か事前に確認しておいた方がよいでしょう。
また、僧侶にかかる費用には、お車代や御膳料が別途必要になる場合もあります。家族葬では会食を行わないことが多いですが、その場合でも僧侶に御膳料を渡した方がよいでしょう。お車代と御膳料どちらも平均5千円~1万円程度必要です。ただし、折り詰めを用意する場合は、御膳料を渡す必要はありません。
10人程度の家族葬の費用を抑える方法
10人程度の小規模な家族葬であっても、100万円程度と高額になることが多くなります。ここからは葬儀の費用を少しでも抑えるための方法を紹介します。
複数の葬儀社に見積もりを依頼する
家族葬を執り行う際は、複数の葬儀社に見積もりを依頼するのがよいでしょう。葬儀社によって、基本料金に含まれる内容や費用が異なります。そのため、10人程度で家族葬を執り行う場合のプランの内訳を事前に確認して、比較検討するのがおすすめです。
しかし、故人が亡くなってから複数の葬儀社に依頼するのは難しい場合もあります。もしものときに備えて複数の葬儀社で検討を進め、10人程度では費用がいくらかかるか把握しておけば、適正な価格で家族葬を執り行えるでしょう。
飲食接待費をかけない
10人程度の家族葬では、飲食接待費をかけないことで費用を抑えられます。前述した通り、遺族のみで家族葬を執り行う場合には、会葬礼状や会葬御礼品は必要ありません。
また、10人程度であれば会場を利用せずに自宅で食事を振る舞ったり、折り詰めを用意するなどで費用を抑える方法もあります。
補助制度を利用する
家族葬を執り行った後は、補助制度を利用して補助金をきちんと受け取ることによって、葬儀費用の負担を軽減できます。加入している健康保険の種類によって、補助制度の申請先が異なります。
故人が社会保険や共済組合などに加入していた場合は、故人の勤務先に申請すると、扶養家族が「埋葬料」という形で補助金を受け取れます。
自営や無職、専業主婦の場合、国民健康保険に加入しているため各自治体へ申請すると、葬儀の喪主に対して「葬祭費」という形で補助金が支払われます。
▼補助制度
健康保険の種類 |
申請先 |
補助金 |
---|---|---|
社会保険 共済組合 |
勤務先 |
埋葬料 |
国民健康保険 |
各自治体 |
葬祭費 |
10人程度の家族葬を執り行う際の注意点
ここまでは、10人程度の家族葬の費用相場や、費用を抑える方法を紹介してきました。その他にも注意しておきたい点があるため、確認しておきましょう。
葬儀社のプランによっては追加料金が必要な場合もある
家族葬のプランは葬儀社によって内容が異なるため、別途で追加料金が発生する可能性もあります。安くすむことをアピールしている格安の家族葬プランでは、最小限の項目だけを載せている場合があるため注意が必要です。見積もりを取り寄せて、費用の内訳をきちんと把握しておきましょう。
葬儀形式に関する意向をきちんと伝える
家族葬には厳密な定義がなく葬儀社によって内容が異なるため、葬儀形式に関する意向はきちんと伝えることが大切です。
「10人程度の家族葬でも華やかにしたい」「家族だけ静かに見送りたい」など、どのような葬儀にしたいかを明確に伝えましょう。
家族や親族の了承を得る
家族葬を選択する際は、事前に家族や親しい親族の了承を得るようにしましょう。葬儀に対する価値観は人それぞれ異なるため、喪主や遺族のみで決めてしまわないように注意しなければなりません。特に、10人程度で執り行う場合は親族でも参列できない人がでる可能性もあるため、家族葬にする理由をきちんと説明することも大切です。
参列者の範囲に迷ったときは参列をお願いする
10人程度の家族葬の場合、参列者の範囲に迷うことも多いはずです。限られた人のみが参列する家族葬ですが、今後の対人関係の影響を考えて、迷っている場合は参列をお願いするのがよいでしょう。
訃報は葬儀後に送る
家族葬を執り行う場合には、訃報を葬儀後に送るようにします。訃報が親族や友人などに広まると、10人程度で執り行うのが困難になってしまうこともあるでしょう。
確実に少人数で葬儀を執り行いたい場合は「家族葬で執り行いました」という報告とともに、葬儀後に訃報を送るようにします。万が一、事前に送らなければならない場合は、「近親者のみで執り行います」ときちんと明記して参列をお断りする旨も伝えましょう。
10人程度の家族葬を執り行う際の費用以外のメリット・デメリット
10人程度の家族葬の注意点を踏まえた上で、費用以外のメリットやデメリットも把握しておきましょう。
メリット① 故人や遺族の希望を取り入れやすい
10人程度の家族葬の場合、故人や遺族の希望を取り入れやすくなります。10人程度の家族葬であれば、ひとりずつお別れを惜しむ時間をつくることも可能でしょう。
また、不要なものを省き、こだわりのある葬祭用品をグレードアップするなどの調整も図りやすくなります。
メリット② 遺族の体力的・精神的負担を低減できる
一般的に葬儀は故人が亡くなってから、すぐに準備を始めて3日以内に終わらせることが多いです。その間、遺族は慌ただしい日々が続き、さまざまな手続きに追われます。
10人程度の家族葬では、一般参列者への対応がなくなるため、故人とゆっくり過ごす時間も長くなるのがメリットです。遺族の体力的にも精神的にも負担の低減につながります。
デメリット① 葬儀後に対応すべき項目が増える
10人程度の家族葬は簡易的に行えるため、一般葬より葬儀の準備や当日の対応が減ります。しかし、葬儀に参列できなかった方への対応や連絡、自宅に弔問に来る方の対応などが発生する可能性もあるでしょう。その場合は、一般葬よりも葬儀後の対応が増える場合もあります。
デメリット② 参列者の限定には注意が必要
10人程度の家族葬において、参列者を限定する際は注意しなければなりません。故人との関係性によっては、参列できなかった方とのトラブルに発展する可能性もあります。
また、地域性や社会的立場によって、一般葬を勧められることもあるでしょう。事前に周囲の理解を得てから、家族葬を執り行うことをおすすめします。
家族葬は故人や家族の希望に合った費用で執り行いましょう
この記事のまとめ
- 家族葬の費用総額の相場は、50万円~135万円程度
- 葬儀の費用には、葬儀の基本料金・飲食接待費・僧侶へのお布施が含まれる
- 事前に複数の葬儀社に見積を依頼し検討しておくことで費用を押さえることができる
- 近親者のみのため、飲食接待費をかけないことも多い
- 参列者が限定されるが、迷った場合はお呼びする
10人程度で執り行う家族葬は、近親者のみで故人との最後の時間をゆっくり過ごせます。ただし、葬儀の内容や葬儀にかかる費用は葬儀社によって異なるため、故人や遺族の希望を叶えられるように葬儀社の検討を早めに始めるのがおすすめです。家族葬のメリットやデメリットもきちんと理解し、故人を静かに見送りましょう。