火葬時に《棺に入れるもの》はどうする?入れてはいけないもの・入れてよいもの、マナーを解説
大切な人が亡くなったとき、棺にどのようなものを入れてよいか分からない方も多いのではないでしょうか。棺には入れてよいものと入れてはいけないものがあります。花や手紙など入れてよいもの、金属製品など火葬の妨げとなり避けるべきものの具体例を挙げ、悔いのないお別れのための副葬品のマナー、選び方と注意点を分かりやすく解説します。
棺に入れるものとは?副葬品の意味
故人への手向けとして棺に納める品物のことを副葬品と呼びます。副葬品はご遺族が主体となって準備を進め、故人にゆかりのある品や愛用品を選ぶのが一般的です。
納めるタイミングに厳格な決まりはありませんが、納棺の儀式や最後のお別れとなる出棺の際に納めることが多くなっています。棺に品物を入れる慣習は古くから存在しますが、現代では火葬が主流のため、燃えにくいものや環境に配慮が必要なものなど、納める内容には一定の制限があります。
大切な方との最後のお別れを悔いなく過ごすためにも、副葬品の意味を正しく理解し、マナーを守って準備を整えましょう。具体的なおすすめの品や注意点は、本記事の中で詳しく解説します。
棺に入れてもよいもの
故人への手向けとして、棺の中へ副葬品を納めることができます。一般的には、燃えやすい素材で作られた品物や、故人が生前に愛用していた思い出の品などが選ばれます。
ただし、どのような品物であっても、大量に入れてしまうと火葬の際の燃焼を妨げたり、火葬時間を長くしたりする原因となるため注意が必要です。また、公害防止やご遺骨の保護を目的として、火葬場ごとに納められる物品のルールが細かく定められています。
棺に入れるものを選ぶ際は、事前に葬儀社のスタッフへ相談し、火葬場の規則に沿っているかを確認しましょう。マナーを守って選ぶことで、故人との最後のお別れを滞りなく進めることができます。
花
お花が好きだった故人の場合、棺に納める副葬品として検討するとよいでしょう。ここでいう花は、納棺時や出棺の間際に遺族の手で手向ける「別れ花(供花)」とは異なり、あらかじめ棺に入れておく品物を指します。
故人が生前に好んでいた種類や、大切に育てていた庭の花などを選ぶのが一般的です。複数の花を組み合わせて花束にするのも、感謝の気持ちを伝える形としてふさわしいといえます。ただし、大量の花を入れすぎると火葬の際の燃焼を妨げる可能性があるため、適量に留める配慮が大切です。葬儀社のスタッフと相談しながら、故人のイメージに合うものを選んでみてください。
手紙や寄せ書き、絵
手紙や寄せ書きは、故人へ直接言葉を届けられる大切な副葬品です。生前に大切にしていたものだけでなく、最後のお別れにあたってご遺族や友人が新たに綴ったものを納めてもよいでしょう。
手紙を書く行為は、生前には照れくさくて伝えられなかった感謝や思いを整理する機会にもなります。悲しみの中で筆を執ることは大変かもしれませんが、ご自身の気持ちが向いた際に、ありのままの気持ちを綴ってみてください。
納める際は、故人の顔まわりや手元に添えるのが一般的です。基本的にはご遺族が準備しますが、故人の親友や仕事仲間に声をかけてメッセージを集めることも、温かな手向けとなります。文字が書けない子供の場合は絵などもよいでしょう。
衣服(お気に入りの洋服や着物)
故人が愛用していた洋服や職場の制服、着物などは、副葬品として選ばれることが多い品物です。
ただし、化学繊維が含まれる衣服は、燃焼時に公害の原因となる有害物質が発生したり、ご遺骨に付着して損傷させたりする恐れがあるため、基本的には棺に入れられません。衣服を選ぶ際は、綿や麻、絹といった天然素材で作られたものを選ぶように注意しましょう。
納め方としては、故人の体の上に乗せるか、死装束の代わりに着せることも可能です。もし特定の衣服を故人に着せたいと希望する場合は、事前の準備や確認が必要になるため、あらかじめ葬儀社のスタッフへ相談しておくとスムーズに進めることができます。
故人の写真やアルバム
故人の素敵な笑顔や思い出の地での姿、お気に入りだった自分自身の写真などは、副葬品としてふさわしい選択肢の一つです。ご遺族でアルバムを開き、故人のベストショットを探す時間は、悲しみの中で心を落ち着かせるきっかけにもなるでしょう。
ただし、注意点として故人の遺影と同じものを選ぶことは避けるのが一般的です。また、分厚いアルバムは燃焼に時間がかかり、大量の灰が出るため火葬場によっては制限されることがあります。その場合は、特にお気に入りの数枚だけを抜き取って納めるようにしましょう。故人の歩みを振り返りながら、感謝を込めて選んでみてください。
御朱印帳
故人が御朱印を集めていた場合には、その御朱印帳も棺に入れるものとしてぜひ選んでほしい物品です。さまざまなお寺を参拝して集めた御朱印を棺に入れると、あの世で幸せになれるという考えがあるためです。あくまで俗説にはなりますが、これを信じて御朱印を集めた人もいることでしょう。
仮にその思いが故人になかった場合にも「あの世でも幸せにね」という遺族からの思いとして御朱印帳を入れるのもよいかもしれません。
お菓子などの食べ物
故人が生前に好んでいたお菓子などの食べ物は、副葬品として選ばれることが多い品物です。特に晩年は健康上の理由で食べられなかった好物などがあれば、ぜひ用意してあげましょう。故人のゆかりがあるお店を訪れてお菓子を探す時間は、思い出を振り返る大切なひとときにもなります。
納める際は、燃焼の妨げやご遺骨への付着を防ぐための配慮が必要です。缶や瓶、プラスチック製のパッケージから中身を取り出し、紙に包んだり紙皿に移したりして少量を添えるのが一般的です。迷ったときは事前に葬儀社のスタッフへ相談し、火葬場の規則に沿った形で準備を進めることで、滞りなく最後のお別れができます。
折り紙
折り紙は火葬時に燃えやすいため、棺に入れるものとして適しています。
中でも、平和のシンボルであり故人の冥福を祈る意味合いが込められた「折り鶴」を入れるのがおすすめです。ご家族やご親族だけでなく、お子様やお年寄りまで皆で折って棺に納めることができます。
ただし、折り鶴の顔の頭部分を折ることは縁起がよくないと捉えられることもある点には注意が必要です。気になる場合は頭を折らずに、そのままの状態で棺に納めるようにしてください。
お守り
故人が大切にしていたお守りも、棺に入れてよい物品の一つです。火葬できる素材で作られたお守りであれば、燃焼の妨げになる心配がありません。
中には、ご利益のあるお守りを燃やしてしまうことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、お守りを棺に納めて一緒に火葬することは「お焚き上げ」にあたるため、問題ないとされています。
ご遺族の「あの世でもお守りいただけますように」という願いを込めて納めることを検討してください。
棺に入れてはいけないもの
続いて、一般的に棺に入れてはいけないとされているものを紹介します。棺に入れるものを準備する前に、必ずチェックしておきましょう。
メガネや腕時計などの金属製・ガラス製・プラスチック製のもの
基本的に、メガネや腕時計、アクセサリー、万年筆などといった金属製・ガラス製・プラスチック製のものは棺に入れてはいけません。
金属製やガラス製のものは燃えにくく、溶けて遺骨に付着し、遺骨を損傷させてしまう恐れがあるとされています。また、プラスチック製のものは燃えにくく、公害の発生源にもなります。
故人の棺に入れるものを探しているときに見つかる多くの小物類は金属、ガラス、プラスチック製品ではないでしょうか。メガネなど故人が肌身離さず愛用していたものは、なおさら棺に入れたいという気持ちがあるかもしれませんが、大切な遺骨を損傷させる可能性があるため避けましょう。
また、特に故人が身につけていた指輪などのアクセサリー類は、棺に入れるのではなく形見分けとして遺族で分けるという方法もあります。
革靴やベルトなどの革製・ビニール製のもの
革靴やベルト、バッグ、財布などの革製・ビニール製のものについても、棺に入れるものとしては適していません。革・ビニールともに燃えにくく、公害の発生源になるためです。
また、革製品は遺骨に付着して遺骨を損傷させる恐れもあります。革製品を棺に入れることを禁止している火葬場とそうでない火葬場がありますが、たとえ禁止していない火葬場であっても、基本的には棺に入れることは避けた方がよいでしょう。
杖やゴルフクラブ、釣り竿などのカーボン製のもの
杖やゴルフクラブ、釣り竿、ラケット、バットなどといったカーボン製のものは、火葬炉設備の故障の原因となるために棺に入れてはいけないとされています。
カーボン製のものを棺に入れて火葬すると、火葬炉の設備が停止し、同時刻に火葬をしている別の火葬炉も停止してしまうことにもなりかねません。自分たちだけでなくその他多くの人を巻き込む事故になることもあるため、注意しましょう。
スイカやメロンなど水分を多く含んだ果物
スイカやメロンなどといった水分を多く含んだ果物についても、燃えにくく燃焼の妨げになることから棺に入れるものとしては適していません。
それでも、故人の大好物だった場合など、どうしてもスイカやメロンを棺に入れたいときには、小さく切った1切れであれば入れてもよいでしょう。そのときにも、必ず葬儀社に了承をもらうことが大切です。
紙幣や硬貨などの「お金」
お金を棺に入れることは避けてください。かつて土葬が主流だった時代には、三途の川の渡し賃として六文銭などの硬貨を入れる慣習がありました。
しかし、火葬が主となった現代において、金属でできた硬貨は燃えずに残ってしまうため棺には入れられません。
また、紙幣は燃えやすいものの、本物のお金を燃やすことは法律で禁止されており処罰の対象となります。どうしても入れたい場合は、紙にプリントされた六文銭などを選ぶことをおすすめします。
棺に入れるもののマナー
棺に入れるものには、いくつかのマナーがあります。葬儀社や火葬場、遺族とのトラブルを避け、気持ちよく故人を送るためにも、ぜひ意識しておきましょう。
存命中の人が写っている写真を棺に入れることは避ける
棺に入れるものとして故人の写真を紹介しましたが、存命中の人が写っている写真やアルバムは棺に入れないのが一般的です。あくまでも迷信ではありますが、存命中の人の写真を棺に入れて火葬することで「あの世へ連れていく」と考える人もいるため、トラブルに発展してしまう恐れがあります。
故人とのお別れの場にトラブルを持ち込まないためにも、棺に入れるものとして写真を準備する際には十分気を付けましょう。
分厚い書籍など燃えるのに時間がかかるものは事前に許可をとる
厚みのある書籍やアルバムは燃焼に時間を要し、多くの灰が生じます。故人が読書家であった場合など、書籍を棺に入れたいと希望される場合は少なくありませんが、事前に葬儀社や火葬場へ確認し、許可を得ることが重要です。
一部の火葬場では、厚みのある書籍やアルバムの副葬品としての納棺を制限している場合があります。その際には、数ページを抜き出して納めるなどの方法を検討しましょう。
入れてよいか判断できないものは葬儀社に相談する
棺に入れるものを準備しているときに、入れてよいものなのかどうか、自分たちで判断ができないこともあるでしょう。その際には自己判断で棺に入れることは避け、必ず葬儀社や火葬場に予め相談しましょう。
ペースメーカーや入れ歯を使用していた場合は事前に相談する
故人がペースメーカーや入れ歯を使用していた場合は、必ず事前に葬儀社や火葬場の担当者に伝えてください。
ペースメーカーを入れたまま火葬を行うと、炉の中で爆発する恐れがあり大変危険です。火葬場での取り外しはできないため、事前に伝えることで安全確保に向けた適切な対応を取ってもらえます。
また、入れ歯には金属が使われており、燃え残りが発生する可能性がある点にも注意が必要です。
一般的に、入れ歯は取り外してから火葬するよう指示されます。自己判断せずに相談してください。
入れてはいけない副葬品があるときの対応方法
写真を撮って棺に入れる
棺に入れてはいけないとされるものをどうにかして棺に入れたいときには、写真にして棺に入れるのも一つの方法です。メガネや結婚指輪など、故人が特に愛用していたものを棺に入れられないことは、遺族の心残りにもつながりかねません。
そういった心残りを防ぐためにも、写真は有用です。本物を入れることができないときには、ぜひこの方法で準備してみてください。
祭壇に飾る
棺に入れられないものは、祭壇に飾るという方法もあります。故人と一緒に火葬することは叶わなくても、祭壇に飾ることができれば遺族の心もいくらか落ち着くでしょう。
また、遺族ではなく友人が祭壇に思い出の品を飾りたいときには、ご遺族に了承を得てから飾ることも基本です。遺族とトラブルにならないよう配慮しましょう。
火葬するまで故人のそばに置く
故人が生前愛用していたスーツやかばんなど、燃えにくい素材や大きなサイズの物品は棺の中へは入れられない場合があります。これらの品は、告別式や出棺の直前まで故人のそばに置くことで、ご遺族の温かい思いを届ける方法の一つとなり得ます。本物を棺に入れられない場合でも、故人への思いを形にする方法は他にもあります。例えば、思い出の品を祭壇に飾ったり、写真に撮って棺に入れたりすることが推奨されています。
棺に入れるものを迷ったときには
棺に入れるものがない、または入れるものを迷った際に指針となる考え方や選び方を紹介します。
故人の好きだったものを入れる
棺に入れるもので迷ったときには、故人の好きだったものが何かを考えるとよいでしょう。
すぐに好きなものが思い浮かばない場合には「兄は毎週必ず図書館に行っていたな」「父は時間があるとよく水彩画を描いていたっけ」など、故人がどのような生活を送っていたかを思い出すことで手がかりが見つかります。
故人を表すものを入れる
故人といえば○○と連想するくらいに、故人を象徴するものを棺に入れるのもおすすめです。仕事のものや趣味のもの、よく着ていた衣服など、さまざまなものを考えてみましょう。遺族だけで考えるのではなく、故人の友人などに聞いてみると、遺族目線では思い浮かばなかった候補が挙がる可能性もあります。
故人が入れてほしいと言ったものを入れる
生前に故人が入れてほしいと言っていたものは、是非棺に入れるものとして検討しましょう。
生前に故人から希望のものを聞けていなかったとしても、エンディングノートなどに記載がある可能性もあります。故人がエンディングノートを残している場合には、棺に入れてほしいものの要望が書かれていないか確認してみましょう。
棺に入れるタイミング
副葬品をいつ入れるのか、棺に納めるタイミングに、厳格な決まりはありません。一般的には、納棺の儀式から出棺直前までの間に行われます。
具体的には、お通夜の前に行われる納棺の儀で、ご遺族が故人の周りに思い出の品を添えるのが最初の一歩です。その後、お通夜や葬儀の最中も棺は閉じられていますが、最後のお別れとなる「別れ花」の儀式において、お花と一緒に手紙や愛用品を納めることができます。
これが故人の体に直接触れられる最後の機会となるため、最も一般的なタイミングといえます。火葬場に到着した後は、原則として棺を開けることはできないため、必ず出棺するまでに準備を整えておきましょう。
副葬品に関するFAQ
副葬品について、ご遺族からよく寄せられる質問をまとめました。最後のお別れの際に迷いやすい具体的な品物について、火葬のルールやマナーの観点から解説します。
Q.タバコは棺に入れてもよいですか?
A.愛用していた銘柄のタバコを数本添える程度であれば、一般的に問題ありません。ただし、ライターなどは爆発の危険があるため、絶対に入れないでください。
Q.お酒が好きだった場合、棺に入れる方法はありますか?
A.お酒は、ビンや缶のままでは破裂やご遺骨への付着の恐れがあるため、紙パックの少量のものを選ぶか、脱脂綿に含ませて口元を潤してあげる「末期の水」のような形をとるのが一般的です。
Q.手紙を入れる場合、封筒は必要ですか?
A,封筒に入れたままでも問題ありませんが、燃え残りや灰を少なくするため、できるだけ薄い紙質のものを選び、ビニール製の袋などは外して納めるようにしてください。
棺に入れるものはマナーを守って選びましょう
この記事のまとめ
- 故人への手向けの品として棺に入れるもののことを、副葬品という
- 棺に入れてもよいものには①花②手紙・寄せ書き③衣服④故人の写真⑤御朱印帳⑥お菓子などがある。いずれも大量には入れず、火葬場に確認をしてから入れる
- 棺に入れてはいけないものには①金属製・ガラス製・プラスチック製のもの②革製・ビニール製のもの③杖やゴルフクラブ、釣り竿などのカーボン製のもの④水分を多く含んだ果物などがある
- 棺に入れるもののマナーには①存命中の人が写っている写真を避ける②分厚い書籍など燃えるのに時間がかかるものは事前に許可をとる③入れてよいか判断できないものは葬儀社に相談するなどのマナーがある
- 入れてはいけない副葬品があるときには①写真を撮って棺に入れる②祭壇に飾るなどの方法で対応する
- 棺に入れるものを迷ったときには①故人の好きだったもの②故人を表すもの③故人が入れてほしいと言ったものを入れる
棺に入れるものは、マナーを守って選ぶことが大切です。金属製やガラス製、カーボン製など、入れてはいけないとされているものは必ず避けましょう。棺に入れるもので分からないことがあれば、葬儀社や火葬場に相談すると安心です。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。