火葬に必要な時間はどのくらい?一般的な流れから待機時の過ごし方、火葬場でのマナーを解説
一般的な火葬にどれくらいの時間がかかるのかを知っていますか?火葬に必要な時間を把握しておくと、故人との最後のお別れに備えることができます。本記事では、火葬に必要な時間の目安について解説します。火葬の一般的な流れや待機中の過ごし方、マナーなども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
火葬に必要な時間はどれくらいなのか
火葬に参列したことがない場合、火葬にどのくらい時間がかかるのかイメージしにくいでしょう。火葬にかかる時間を事前に把握しておくと、当日のタイムスケジュールが決めやすくなります。
火葬にかかる時間は1~2時間
火葬にかかる時間の目安は、1~2時間とされています。ご遺体が燃焼されてからお骨が冷えるまでにかかる時間が、40分から1時間半ほどかかります。火葬そのものにかかる時間に加え、火葬の前後に行われる納めの式や収骨などの時間を含めると、2時間ほどかかることもあります。
葬儀のタイムスケジュールを決める際は、火葬場に2時間ほど滞在すると考えておくとよいでしょう。
火葬の時間が決まるポイント
火葬にどれくらいの時間がかかるかは、故人の体格、副葬品の種類、火葬炉の種類の三つの要素で決まります。体格がよかったり火葬炉の能力が低い場合は、火葬に1時間以上かかることもあります。以下に火葬の時間が決まる三つの要素について詳しく解説しましたので、目を通しておきましょう。
故人の体格
火葬にどれくらいの時間がかかるのか決まる要素に、体格が挙げられます。一般的にご遺体の重量が影響しやすく、体が大きいほど時間がかかります。また、若い方よりもお年寄りの方が火葬の時間は短くなり、大人よりも子供の方が早く火葬が終わる傾向にあります。
ただし、体の小さな子供や赤ちゃんを火葬する場合、通常の火力だと遺骨が残らなくなる可能性が高いです。通常の火葬炉を使用し、火力を調節して遺骨を残す場合は、大人の火葬よりも時間がかかることもあります。また、脂肪が多いご遺体の場合、火葬炉の温度調節が必要になるケースがあるため、通常よりも時間がかかりやすいと覚えておきましょう。
副葬品の種類
故人の棺の中に入れた副葬品の種類によって、火葬にかかる時間が変動します。副葬品を何も入れていない場合や、副葬品が手紙や服などの燃えやすいものの場合は、火葬時間に影響はありません。
一方、分厚い本やアルバム、ぬいぐるみ、布団などは燃えにくく、燃焼した後は大量の灰が出てしまうため、火葬に時間がかかる原因となります。また、メガネや指輪などの金属の副葬品は冷めるのに時間がかかるため、火葬時間も長引きます。火葬時間をなるべく短くしたいのであれば、燃えやすい副葬品を選びましょう。
また、燃えないものや有毒ガスを発生するもの、爆発する危険性のあるものは棺の中に入れられません。その他、カーボン製品など火葬炉の故障や緊急停止を招く恐れがあるものも棺には入れられないため、注意しましょう。火葬場によっては、分厚い本やアルバム、ぬいぐるみなども禁止されていることがあるため、事前に火葬場に確認をしておくと安心です。
火葬炉の種類
火葬にかかる時間は、火葬炉の種類によっても変わります。火葬炉には「台車式」と「ロストル式」の二つの種類があります。
台車式とは、棺を乗せた台車を火葬炉に入れてご遺体を火葬する方法のことです。日本国内ではこの台車式の火葬炉が主流であり、9割の火葬場が台車式となっています。台車式は上面と側面から棺を炎で包み込み、ご遺体を燃焼させるのが特徴です。ロストル式に比べると火力が弱いため時間はかかりますが、その代わり遺骨の形が残りやすく主要な部分のお骨が見つかりやすいとされています。
ロストル式は、高い火力でご遺体を火葬できるのが特徴です。炉内の炎が棺を包み込むような構造になっているため、焼きムラが出にくく短時間で火葬が終わります。ただし、火力が強いため遺骨が崩れやすいという側面もあります。日本でロストル式の火葬炉を採用している火葬場は1割ほどとなっています。
一般的な火葬の流れ
そもそも「葬儀には参列したことがあるけれど、火葬には参列したことがない」「火葬がどのような流れで行われるか分からない」という方もいるのではないでしょうか。そこでここからは、一般的な火葬の流れを紹介していきます。
一般的な火葬の流れ
- 出棺
- 火葬場へ向かう
- 火葬許可証の提出
- 納めの式
- 火葬
- 収骨
- 埋葬許可証の受け取り
出棺
葬儀が終わると、ご遺体が入った棺を火葬場まで出棺します。ご遺族や参列者、葬儀社のスタッフなど6〜8人で棺を運んで移動させ、会場の外の霊柩車や寝台車に乗せます。棺は頭側から入れるのが基本ですが、「故人が自宅に帰ってきてしまわないように」と足側から入れることもあります。
棺を霊柩車に乗せたら、喪主が参列者に向けて挨拶を行います。ほとんどの参列者は火葬には参列せず葬儀後に解散となるため、喪主が遺族を代表して葬儀に参列してもらったことへのお礼を述べます。その後、喪主が故人の位牌を、故人との関係が深い遺族が遺影を持って霊柩車に乗り込み、火葬場へ向けて出棺します。
火葬場へ向かう
故人の棺を乗せた霊柩車や寝台車が火葬場に向けて出棺した後、火葬に参加する人も移動を開始します。喪主や故人の家族は、棺を乗せた霊柩車に乗って火葬場へ移動します。霊柩車に乗らない親族や僧侶、故人の友人などは、マイクロバスやハイヤーなどで火葬場へ向かうのが一般的です。
家族葬や一日葬など、参列者が少なく小規模の葬儀の場合は、自家用車で火葬場へ向かうこともあります。葬儀場と火葬場が一体化している施設では移動の必要がないため、参列者の負担の軽減にもつながり便利です。
火葬許可証を提出する
火葬場に到着したら、スタッフに火葬許可証を提出します。火葬許可証を忘れると火葬が執り行えなくなるため、忘れないよう注意が必要です。火葬許可証を忘れるのが心配な場合は、葬儀屋のスタッフに預けておきましょう。
納めの式
納めの式とは、仏教での故人とお別れをするための儀式です。祭壇に故人の遺影と位牌を飾り、僧侶による読経が行われます。参列者による焼香や、棺を開けて故人と最後の対面を行うこともあります。故人とお別れをする最後の機会ですので、流れを押さえておきましょう。
納めの式の流れ
- 火葬炉の前に棺を安置し、焼香台を準備します。
- 僧侶による読経が行われます。
- 喪主、ご遺族、親族、故人の友人の順番に焼香台へ向かい、焼香をします。
- 棺の小窓を開け、故人とお別れをします。
- 火葬炉へと参列者全員で見送ります。
火葬
納めの式が終わると、棺が火葬炉に納められて火葬が始まります。火葬のボタンは火葬場のスタッフが押すことが多いですが、喪主やご遺族が押すこともあります。火葬中は、参列者は別室で待機します。
収骨
火葬が終わるとスタッフから案内があり、火葬炉の前に集合して収骨を行います。収骨とは、火葬が終わった後のお骨を箸で拾い、骨壷に納める日本独自の習慣です。収骨は「骨上げ」とも呼ばれ、「故人を現世からあの世に橋渡しする」という意味が込められています。
収骨は2人1組となり、それぞれが竹製の箸を使用して遺骨を挟み、骨壷へ納めていきます。収骨は故人と関係が深い人から順番に行われることが多く、一般的に喪主、ご遺族、親族、故人の友人の順番で進めます。「故人があの世に辿り着けますように」と願いを込めながら、収骨を行いましょう。
埋葬許可証を受け取る
収骨が終了した後は、火葬場のスタッフから埋葬許可証を受け取ります。埋葬許可証は故人の遺骨をお墓へ納める際に必要な書類であるため、失くさないようきちんと保管しましょう。埋葬許可証は、実際には提出した火葬許可証に火葬執行印が押されたものです。遺骨を2箇所以上で埋葬したい場合は複数の火葬証明書が必要になるため、事前に依頼しておきましょう。
火葬中の待ち時間の過ごし方とマナー
火葬が行われている間は待ち時間となりますが、どのように過ごせばよいのでしょうか。ここからは、火葬中の待ち時間の過ごし方やマナーを解説します。事前に確認しておきましょう。
ロビーで過ごす
火葬を待っている間は、ロビーで待機することが多いです。指定された場所に集まり、故人との思い出を話しながら過ごしましょう。ロビーに飲食できる場所があれば、そこで軽食や飲み物をとることも可能です。
休憩室で待機する
火葬場の休憩室で火葬が終わる時間を待つこともあります。休憩室にはお菓子や飲み物などが用意されているため、飲食をしながら待機しましょう。
撮影は控える
お通夜や葬儀が行われる斎場内では撮影ができますが、火葬場は原則撮影が禁止されています。他の参列者に配慮し、撮影は控えるようにしましょう。
静かに過ごす
火葬の待機時間中は、なるべく静かに過ごすのがマナーです。火葬場は公共施設であり、他のご喪家も多く集まる場所です。周囲の迷惑にならないよう配慮しましょう。
火葬にかかる時間や流れを押さえておきましょう
この記事のまとめ
- 火葬にかかる時間は1~2時間であり、故人の体格や副葬品の種類、火葬炉の種類によって変動する
- 一般的に火葬は、①出棺②火葬場への移動③火葬許可証の提出④納めの式⑤火葬⑥収骨⑦埋葬許可証の受け取りの流れで行われる
- 火葬が行われている間はロビーや休憩室で待機する
- 火葬場での撮影はマナー違反であるため控える
- 火葬場には他のご喪家も集まるため、なるべく静かに過ごす
火葬にかかる時間は1~2時間とされており、副葬品や火葬炉の種類、体格などによって変動します。火葬にどれくらいの時間がかかるのかや、一般的な火葬の流れを事前に知って準備をしておくことで、落ち着いて故人とのお別れができるでしょう。
また、火葬が行われている間は他のご喪家の迷惑にならないようマナーを守って過ごすことが大切です。今回紹介した火葬にかかる時間や流れ、過ごし方のマナーなどを参考に、故人とのお別れに備えましょう。