喪中の神棚はどうすべき?封じ方や期間・作法・正月のお供えまで解説
家族が亡くなってから、喪中の間の神棚はどうすればよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、喪中の神棚を神封じする意味や期間、封じ方や作法を詳しく解説します。喪中に正月を迎える際の注意点についても触れているため、ぜひ参考にしてみてください。
喪中の神棚を「神封じ」する意味
喪中の神棚を神封じするのは、神様を「穢れ(けがれ)」から守るためです。
神様は穢れを嫌うとされており、喪中の神棚に不浄なものを触れさせないよう、神棚を白い紙で覆って保護します。
ここでいう穢れとは、不浄だけでなく、心身の活力が低下したり悲しんだりする「気枯れ」の状態も指します。気枯れが神様に及ぶことを避けるために行うのが、神棚に白い紙を貼る神封じの儀式です。
喪中の神封じの時期や期間
喪中の神封じの時期や期間はいつ行うのがよいのでしょうか。家族が亡くなった際、慌てずに神封じを行うために、時期や目安となる期間を確認します。
神封じを行うのは家族が亡くなってすぐ
神棚の神封じは、家族が亡くなった後、できるだけ早く行うのが望ましいとされています。
具体的には以下のタイミングが一般的です。
神封じを行うタイミング
- 家族が亡くなった当日
- ご遺体が自宅に帰宅したとき
葬儀の準備や手続きで忙しい中でも、なるべく早めに対応することが大切です。
万が一、神封じが遅れてしまった場合は、気づいた時点で神様に報告して神棚を封じましょう。遅れたことを理由に忌明けを延長せず、忌明け後に神封じを解きます。
神封じの期間は約50日間
喪中の神棚の神封じの期間は、忌明けの「五十日祭」までの約50日間が目安です。ただし、神社や地域によっては30日間の場合もあります。
神道では、家族や親族が亡くなってから50日間を「忌中(きちゅう)」と呼びます。忌中の期間中は、神社への参拝や神棚を開くなどの行為を控えます。
喪中の神棚の封じ方
喪中の神棚は、故人が亡くなった際にできるだけ早く神封じを行う必要があります。 ここでは、喪中の神棚を正しく封じるための作法と手順を紹介します。
神棚の神様に家族が亡くなったことを報告する
喪中に神棚を神封じする際は、まず神棚の前に立ち、家族の誰が亡くなったかを神様に報告します。あわせて、忌中が明けるまで神棚を封じることを伝えましょう。
神道では、喪中は家族も穢れを負うとされています。そのため、神棚を封じる作業は穢れのない友人や親戚など第三者にお願いするのが理想です。ただし、お願いできる第三者がいない場合は、同居している家族が行っても問題ありません。
榊やお供え物を下げ、掃除をする
神様へ喪中のため神棚を封じることを伝えたら、神棚の榊やお供え物(米・水・塩など)をすべて下げます。神封じの期間中は、新たにお供え物を供えたり、礼拝をしたりする必要はありません。
お供え物を下げたら、神棚を軽く掃除し、埃などを取ります。このとき、神棚の中にあるご神体に触れないように注意が必要です。
神棚の掃除についても、できれば友人や親戚などの第三者が行うのが望ましいとされていますが、同居している家族が行っても問題ありません。
神棚の扉を閉じ半紙を貼る
まず、扉が付いた神棚は、掃除を終えたら扉をしっかりと閉じてください。次に、神棚の正面全体を隠すように白い紙を貼り付けます。
白い紙は半紙が一般的ですが、コピー用紙やそのほかの白い紙でも問題ありません。紙のサイズは自宅の神棚の大きさに合わせて調整してください。また、白い紙を貼るときは、マスキングテープなどで神棚を傷つけないようにすると安心です。
地域によっては、神棚の前にしめ縄を掛けている場合があります。その場合は、しめ縄の上から白い紙を貼っても問題ありません。
喪中の神棚の神封じの解き方
喪中に封じた神棚は、忌中が過ぎた忌明け後に神封じを解きます。ここでは、喪中の神棚の神封じの解き方を解説します。
半紙を剥がす
神道では故人が亡くなってから約50日後の忌明けに、神棚の半紙を剥がします。神棚やしめ縄に傷がつかないように丁寧に剥がすことが大切です。
剥がした半紙は、ほかの家庭ごみと分けて処分します。地域や神社などで特に決まりがない場合は、家庭ごみとして処分しても問題ありません。
神棚の扉を開け、掃除をする
神棚に扉がある場合は開けます。普段から扉を閉めている場合は、そのまま閉じておいても差し支えありません。
続いて神棚の内側や周辺も掃除して清めます。神封じの期間中は触れないため、埃が溜まっている可能性が高いです。ご神体に触れないように注意しながら、丁寧に埃を取りましょう。
榊やお供え物を供える
神棚の掃除を終えたら、新しく用意した榊やお供え物を神棚に供えます。
忌明けの時期が年末年始と重なる場合、正月用の御札やしめ縄を用意していたときは、掃除のタイミングで交換するとよいでしょう。
神様に再開の挨拶をする
神棚の準備を整えた後、神棚の前に立ち神様に再開の挨拶をします。挨拶の内容は、忌明けの報告や、神棚を守ってくれたことへの感謝です。
その後、今後も家族を守っていただけるよう願いを込めて礼拝も行います。
喪中の神棚の作法
喪中の神棚の扱いには、覚えておきたい作法があります。神封じは神様の清浄を保つための儀式で、神道に基づいた慣習です。仏教を信仰している家庭でも、神棚がある場合は喪中に神封じを行います。作法をしっかり踏まえておくことが大切です。
喪中の神棚に触れる人を決めておく
神道において、死は穢れとされており、故人と同居する家族も穢れを負うと考えられています。そのため、神棚を封じる作業は穢れがないとされている友人や親戚などの第三者が行うのが作法です。
しかし、現代では第三者に依頼するのが難しい場合もあり、同居の家族が行っても差し支えありません。同居の家族が行う場合は、塩で身を清めるなど神様への配慮を忘れずに行いましょう。また、神棚を封じる作業と解く作業は、誰かひとりに決めておくとスムーズに進められます。
掃除や礼拝を控える
喪中に神棚を封じている期間は、神棚の掃除や礼拝を控えます。神封じとは、神様に目隠しをして穢れに触れないようにすることが目的で、神様との交流を一時的に絶つという考え方です。
また、この期間は神棚にお供え物を供えることも控えます。万が一、半紙が剥がれた場合は、塩で身を清めて新しい白い紙を貼り直せば問題ありません。
お守りやお札は神棚の扉の中に納めておく
普段、お守りを神棚の周辺に祀っていたり、正月用にお札を準備していたりする場合は、神棚の扉の中に納めてから神封じを行いましょう。
お守りやお札は神道では清浄なものとされており、穢れが及ばないようにすることが大切です。
古いお札の交換は、忌中の期間は避け、忌明け後に行います。そうすることで、神様を穢れから守ることができます。
喪中に正月を迎える際の注意点
喪中の間、特に忌明け前の忌中に正月を迎える場合は、正月に行う行事を控えるのが一般的です。
忌中は、五十日祭までの約50日間とされています。この期間を過ぎた喪中でも、正月に関する行事は控え、静かに新年を迎えるのが望ましいでしょう。
正月飾りは控える
喪中の間は、門松・しめ縄・鏡餅などの正月飾りは控えましょう。正月飾りは、歳神様を迎えるための清浄な飾りとされ、穢れを負っている喪家が飾るのは相応しくないと考えられています。
また、喪中に正月を迎える場合は、おせち料理も控えるのが望ましいです。どうしても作りたい場合は、品数を減らす、重箱に詰めない、など簡素な印象にするよう注意しましょう。
神封じを解いてから新しいお札にする
神棚を神封じしている期間は、神棚に貼っている白い紙を剥がしたり、神棚の扉を開けたりはできません。
年末に新しいお札を授与された場合でも、忌明けするまで納めないようにしましょう。その間は、お札を清浄な場所に保管し、忌明け後に神封じを解き、掃除をしてから神棚の中に納めます。
お札は、ほこりや汚れ、湿気を避けられる場所で保管します。具体的には、以下のような場所がおすすめです。
お札を置くのにおすすめの場所
- タンスの上や本棚の上など、見下ろす位置にない場所
- 床に近すぎない、風通しのよい場所
- リビングや和室の高い位置など、人が日常的に集まり清潔に保たれた部屋
一方、以下の場所は避けてください。
お札を置くのに向いていない場所
- 台所・トイレ・洗面所など水まわり
- 寝室の枕元やテレビの横など騒がしい場
- 床や直置きになってしまう場所
保管時は、授与された際の紙袋や布をかけるなどして、丁寧に扱いましょう。
神社への参拝も控える
神棚を封じている忌中の期間は、神社への参拝も控えます。忌中に正月を迎える場合も、初詣を控えるのが一般的です。
忌中が過ぎた後は、神社への参拝は差し支えありません。ただし、喪中の間に参拝する際は、鳥居をくぐらない、松の内を過ぎてから参拝するなど、神社や地域の慣習に従うことが大切です。
喪中の神棚は作法を守って神封じしましょう
この記事のまとめ
- 神棚を封じるのは、神様を「穢れ」から守る儀式。期間は神道の忌明けの五十日祭(約50日間)まで
- 神封じを行うタイミングは、故人が亡くなった日やご遺体が自宅に帰宅したとき
- 神棚の封じ方は、神様に報告し、お供え物を下げて扉を閉め、白い紙を神棚の正面に貼る
- 作業を行うのは第三者が望ましいが、いない場合は家族が塩で身を清めてから行う
- 神封じの期間中は、神棚の掃除や礼拝を控える
- 五十日祭後に白い紙を剥がして、神封じを解いて新しい榊やお供え物を供え、神様に再開の挨拶をする
家族が亡くなったときは、なるべく早く神棚を封じ、神様が穢れに触れないよう清浄に保つことが大切です。神封じの期間は約50日間ですが地域によって約30日間の場合があるため、分からない場合は周囲や神社の方に確認し、作法に沿った神封じを行いましょう。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。