喪中期間にお年玉を渡すのはマナー違反?注意点や表書きの書き方も解説
喪中の期間は、お正月の飾りをはじめ、さまざまな行動を控えるのが一般的です。そんな喪中期間に、お年玉を渡してもよいのか迷っている方もいるのではないでしょうか。本記事では、喪中期間のお年玉について、注意点や表書きの書き方などを分かりやすく解説します。
喪中の期間について
喪中とは、故人を亡くした家族が死を悼んで喪に服す期間で、故人から2親等の範囲の親族が対象です。喪中の期間は故人との関係によっても異なりますが、一般的には3ヵ月~13ヵ月とされています。慶事や派手な行事などは避け、控えめな生活や行動をして過ごします。
具体的に避けるべき事柄は、結婚式の参列やお正月飾り、新年の挨拶、家の新築・改築、旅行、宴会などです。ただし現代では考え方の多様化により、喪中期間であっても故人が亡くなる前から決まっていた事柄については行ってもよいなど、状況に応じて柔軟に対応しても問題ないでしょう。
なお、喪中と似ている言葉に忌中がありますが、忌中は仏教では四十九日法要までの49日、神道では五十日祭までの50日の期間です。
忌中は喪中と同様に故人の死を悼む期間で、仏教では、忌中は故人の魂の行き先が定まるまでの期間、神道では死の穢れを広げないように行動を慎む期間とされています。
喪中の期間にお年玉を渡すのはマナー違反?
喪中に控えるべきこととして、お正月飾りや新年の挨拶などがあります。「お年玉もマナー違反にあたるのでは」と考える方は少なくないでしょう。しかし、子供たちの楽しみを考えると、どうすべきか迷ってしまいますよね。以下では、喪中にお年玉を渡すのがマナー違反かどうか、お年玉の由来も交えながら分かりやすく解説します。
本来は喪中期間にお年玉を渡すのは避けた方がよい
結論からいうと、喪中にお年玉を渡すのは避けた方が無難です。喪中期間のお年玉を避けた方が無難とされる理由は、お年玉の由来にあります。
そもそも、お正月には歳神様(年神様)が家に訪れ、その一年の幸福や健康、豊作などをもたらすとされています。お正月飾りとして知られる門松やしめ飾り、おせち料理、鏡餅などは、歳神様をお迎えするためのものです。
中でも鏡餅は歳神様を迎えるための依り代であり、その鏡餅を家長が家族に分け与え、それぞれが食べることによって歳神様の魂を取り込み、一年の幸福や健康にあやかれると考えられてきました。現代ではお金を配ることが主となり、対象も主に子供に限定されています。
上記のことから、お年玉にはお祝いの意味が込められているため、喪中ではお年玉を渡すのは避けるほうが無難です。
とは言え、喪中だからといって絶対に渡してはいけないというわけではありません。親同士やご親戚と話すなどして、ご家庭で判断しましょう。
現代は名目を変えて渡せば一般的には問題ない
近年では、喪中であっても、子供たちの気持ちに配慮する形で金品を渡す場合も見られます。お祝いの意味合いを避け、あくまで気遣いとして渡すのであれば、一般的には大きな問題とされない場合もあります。
ただし、家族や親族の考え方によって判断が分かれるため、あらかじめ相談した上で対応するのが安心です。
喪中期間に渡すお年玉の表書き
喪中の期間にお年玉を渡そうと思った場合は、相手側の気持ちや、周囲の親戚への配慮として、お年玉の名称を変えて渡してみましょう。
例えば、ポチ袋の表書きにはお年玉と書かずに「お小遣い」や「書籍代」「文具代」などと記すのがおすすめです。または「○○くん(ちゃん)へ」などと名前を記しても、相手が違和感を抱かずに受け取れるでしょう。
お小遣いなどの名目でお年玉を渡す際には、なぜお年玉という名目ではないのかを子供に話して渡すことで、喪中のことを知るきっかけにもなります。
喪中期間に渡すお年玉の注意点
本来であれば喪中期間のお年玉は避けるほうが無難ですが、喪中にお年玉を渡す場合はいくつかの点に注意する必要があります。
喪中期間であることを踏まえ、故人を失った家族や親戚の気持ちに配慮すること、そして年に一度のお年玉を楽しみにしている子供たちの気持ちも大切です。そのためにも、事前にマナーや注意点をしっかり確認しておきましょう。
無地のシンプルなポチ袋を選ぶ
喪中にお年玉を渡す場合、ポチ袋は無地のシンプルなものを選びます。
シンプルなポチ袋を選ぶ理由は、お正月のお祝いの印象をできるだけ無くすためです。年末年始には豪華なポチ袋が販売されますが、喪中の場合はできるだけシンプルなものを探してみましょう。
お正月シーズンに販売されるポチ袋には、あらかじめ「お年玉」という表書きが印刷されているものが多いため、お正月用以外のポチ袋から選ぶと、表書きも自分で書くことができます。
シンプルすぎるポチ袋だと、子供に喜ばれないかもしれないと感じる場合もあるかもしれません。その場合、薄い紫色や薄い青色など、パステルでカラフルなポチ袋を選ぶのも一つの方法です。
お正月用以外のシンプルなポチ袋を使うことによって、お年玉を受け取った子供の親にも「喪中であることは意識しながらも子供たちを喜ばせたい」という想いも伝わるでしょう。
お祝いの言葉を言わずに渡す
喪中では新年の挨拶を行わないため、お年玉を渡す際も、「あけましておめでとう」などのお祝いの言葉は控えましょう。
代わりに「今年もよろしくね」や「○○ちゃん(くん)の好きな物に使ってね」、「今年も元気いっぱいに過ごしてね」などと言葉をかけると、子供も笑顔で受け取ってくれるはずです。無言で渡すのではなく、せっかくお年玉を渡すからこそ、心のこもった言葉を添えて渡すとよいでしょう。
渡す時期をずらすのも方法の一つ
喪中のお正月にお年玉を渡すことに気が引ける場合は、お年玉を渡す時期を少しずらすのも一つの方法です。具体的には「松の内」の期間を過ぎてから渡すようにしましょう。
関東では1月7日まで、関西では月15日までが「松の内」にあたります。この期間は慶事が多く、お正月ムードが続く傾向にあります。「松の内」を過ぎると世間のお祝いの雰囲気も落ち着き、お年玉を渡してもお年賀とは捉えにくいため、お年玉を渡しやすくなるでしょう。
普段から頻繁に会える子供であれば、こちらの方法も検討してみてください。
相手が喪中のときに気をつけたいお年玉のマナー
自分ではなく、相手が喪中のときに気をつけたいお年玉のマナーを紹介します。大切な人を亡くし、悲しみに包まれている相手に不快な思いをさせないためにも、以下の点に配慮しましょう。
子供や孫が喪中の方にお年玉をねだらないようにする
喪中でなくとも気をつけるべき事ですが、自分の子供や孫が喪中の方にお年玉をねだらないように注意が必要です。
お正月の時期に喪中の方に会う機会がある場合は、事前に「お年玉をねだるのはマナー違反」であると伝え、あわせて喪中についても教えてあげるとよいでしょう。
難しく話すのではなく「これから会う○○さんは大切な人とお別れしたばかりだから、新年の挨拶もできないし、△△くんにお年玉を渡したくてもあげられないんだよ。△△くんは○○さんにお年玉ちょうだいって言わないように気をつけようね」などと分かりやすく伝えるのがおすすめです。
喪中の方にお年玉を渡すときには了承をもらう
喪中の子供にお年玉を渡したい場合は、いきなり渡すのではなく、事前に子供の親へ了承を得ることが大切です。
喪中であることを理解し、「子供にお年玉を渡したい」という気持ちや、表書きやポチ袋にも配慮していることをお話しておけば思いも伝わりやすいはずです。
もし、断られた場合は無理に渡さず、その年は気持ちに寄り添って見守ることに専念しましょう。そして、喪が明けた翌年のお正月に、前年の分を含めて少し多めに包むのも一つの方法です。
喪中期間のお年玉は名称に気をつけて渡しましょう
この記事のまとめ
- 喪中とは故人の死を悼む期間のことで、期間は3ヵ月~13ヵ月
- お年玉にお祝いの意味があるため、本来は喪中にお年玉を渡さない方がよい
- 現代ではお年玉でなく、お小遣いなどの名称で渡すことが多い
- 喪中にお年玉を渡す場合は、ポチ袋のデザインや表書きなどに注意する
- 喪中にお年玉を渡したい場合、松の内の時期を外して渡すのも方法の一つ
- 相手が喪中の場合、子供がお年玉をねだらないようにする
お年玉には新年を祝う意味が込められているため、本来であれば喪中の期間にお年玉を渡すのは避けた方が無難です。しかし、子供や孫のためにどうしてもお年玉を渡したいという方は多いでしょう。
その場合は、お年玉としてではなく、おこづかいや書籍代としてお金を渡したり、シンプルなポチ袋を使ったりといった工夫をすることで、喪中であってもお年玉を渡しやすくなります。
あらかじめ喪中の親戚や子供の親に確認した上で、柔軟に対応しましょう。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。