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葬儀のあと

お彼岸団子とは?作り方から供え方まで分かりやすく解説

お彼岸団子とは?作り方から供え方まで分かりやすく解説

おはぎやぼたもちに並ぶお彼岸のお供え物として「お彼岸団子」をご存知でしょうか?実はお彼岸団子はほかのお供え物とは意味や供え方が異なります。本記事では、お彼岸団子の意味を紹介するとともに、作り方や正しい供え方についても解説します。

お彼岸団子とは?

お彼岸団子が入った皿

おはぎやぼたもちとともに、お彼岸になると多くの店舗で見かけるようになる「お彼岸団子」ですが、そもそもお彼岸団子とはどのようなものなのでしょうか。まずは、お彼岸団子とは何かについて、お供えする意味とともに解説します。

お彼岸に仏壇やお墓にお供えする団子のこと

お彼岸団子とは、お彼岸における仏壇への挨拶やお墓参りのときに仏壇・お墓へお供えする団子のことです。上新粉と塩を使って丸く成形した団子のことを指し、地域によって多少の違いはありますが、一般的な見た目は十五夜でお供えする月見団子と同じです。

日本では古くから丸い形は家庭の円満や調和、永遠の命などを象徴する形とされてきました。そのため、丸い形のお彼岸団子は故人の供養におけるお供え物にふさわしいものとして各地域で扱われています。

ご先祖への感謝・敬意を表すためのもの

お彼岸の時期にお彼岸団子をお供えするのには、ご先祖への感謝や敬意を表すという意味があります。日本では仏教が伝来するよりも前から「日々平穏無事に生活できるのは故人と、自然に宿る神様が見守ってくれているからである」という考え方があります。

そのため、お彼岸ではご先祖や自然に対して敬意と感謝を伝えてきたとされています。特に春分の日や秋分の日を含むお彼岸の期間は、農作物の収穫時期などと重なるため、ご先祖や神様からいただいた自然の恵みに感謝する意味もあるといえます。

ちなみに、米が主流になる前は里芋が日本人の主食のひとつであったことから、お彼岸へのお供えには収穫した里芋をお供えしていたとされています。しかし、里芋が入手できない時期もあったことから、里芋に見立てたものとしてお彼岸団子をお供えしたという説があります。

お彼岸団子の供え方

お彼岸団子

お彼岸団子はご先祖に対する感謝や敬意を表すためにお供えされるものであるため、失礼がないように正しい供え方を心掛けることが大切です。ここからは、お彼岸団子の供え方や供える数などについて解説します。

お供えするタイミングはお彼岸の初日・最終日が一般的

お彼岸団子はお彼岸の初日と最終日にお供えすることが一般的な供え方です。お彼岸の初日にお供えする団子は「入り団子」と呼び、この世へ遠くからはるばる訪れたご先祖をねぎらう意味があります。対して最終日にお供えするものは「明け団子」と呼ばれ、ご先祖があの世へ無事に帰れるように願いを込めるためのものです。

お彼岸は春分の日を中心とした前後3日間にあたる「春彼岸」と、秋分の日を中心とした前後3日間の「秋彼岸」の二つの期間があります。お彼岸団子をお供えするタイミングは春彼岸・秋彼岸のどちらも同じです。

しかし、春分の日や秋分の日の日付は毎年変わるため、毎年カレンダーでお供えするタイミングをチェックしておくことが大切です。

▶︎詳しいお彼岸の日についてはこちら

お供えする数は地域・家庭によって異なる

お彼岸団子をお供えする数には厳格なルールがなく、各地域や家庭によって異なるため、迷った場合は家族や菩提寺に相談して決めることをおすすめします。お供えする団子の数にはそれぞれ仏教におけるさまざまな意味が込められているため、個数と一緒に意味も理解しておくとよいでしょう。

例えば、「六」は仏教とつながりの強い数字であることから、一般的にお彼岸団子をお供えするときの数です。仏教において輪廻転生の六つの世界である「六道」を象徴する数とされており「迷いから脱して無事に成仏できますように」という願いを込めて六つのお彼岸団子をお供えすることが少なくありません。

ほかの数の意味についても以下の表にまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

団子の数

意味

六個

輪廻転生の六つの世界である「六道」を象徴する数
「迷いから脱して無事に成仏できますように」という意味でお供えされる

七個

「六道」を表す「六」の一つ上の数であることから「六道の世界を脱し、極楽浄土に行けますように」という意味でお供えされる

十個

死後の世界で行われる、極楽浄土へ行けるか否かの審判「死者の審判」の回数にちなんだ数
「故人が無事に極楽浄土へ行けるように」という意味でお供えされる

十三個

三十三回忌までの期間で故人を守る十三人の仏様にちなんだ数
「未練なく極楽浄土へ到達できるように」という意味でお供えされる

四十九個

人が亡くなってから四十九日後に成仏するとされる「四十九日法要」に由来した数
「故人が迷わず成仏できますように」という意味でお供えされる

懐紙の上に団子を乗せ、仏様が食べる向きに置くのが正しい供え方

お彼岸団子をお供えする際には、懐紙の上に積み重ねるのが一般的です。通常のお彼岸であれば、懐紙は右上の角を左手前へ斜めに折る「慶事折り」という折り方をしてから団子を乗せてください。なお、お彼岸の期間と弔事が重なっている場合には慶事折りはせず、懐紙の左上の角が手前になるように斜めに折って使うのが一般的です。

団子の置き方はお供えする数にもよりますが、一般的二段~四段に重ねるのが一般的です。六つの場合は、下段に五個の団子を丸い円になるように並べ、中央に残りの一個を乗せて二段重ねにします。

十三個や四十九個などの大量の団子を用意する場合は、折った懐紙の先に積んだ団子の角が合うようにピラミッド型に配置するのが一般的です。置く向きについては、仏様が食べる向きに置くのが一般的です。折った懐紙のうち平らな面を仏様側(=仏壇やお墓の方)、尖った面をお供えする人の方へ向けましょう。

仏壇への供え方は宗派によって異なる

仏壇へお彼岸団子をお供えする際には、仏教の各宗派によって置く位置が異なる点には注意しましょう。例えば真言宗の場合は最上段には本尊の大日如来を置くため、お彼岸団子は本尊より下段になるように配置するのが一般的です。仏壇にお供え物のスペースがない場合は、別途供物台を準備しておくのもよいでしょう。

お彼岸団子の作り方

お彼岸団子とお茶

お彼岸団子はお彼岸の時期になると和菓子屋などで見かけますが、中には自分で作ったものをご先祖へお供えしたいという人もいるでしょう。ここからは、お彼岸団子の作り方について紹介します。材料は同じですが、作り方によって難易度や食感が異なるため、自分が作りやすい方法を実践してみるのもよいでしょう。

茹でる場合のお彼岸団子の作り方

茹でて作るお彼岸団子は工程が少ない上、片手鍋があれば短時間で作れるため料理が苦手な人でも実践しやすい作り方です。成形もしやすいですが、茹でる時間が少ないと団子の外側と内側で生地にムラが出てしまうこともあるため注意しましょう。

茹でる際のポイントとしては、団子が水面に浮かび上がってきたタイミングで掬い上げることです。茹で時間が長すぎると生地が固くなるため、1分を目安に様子を見ながら茹でると適度な弾力があるお彼岸団子が作れます。

茹でる場合のお彼岸団子の作り方

  1. ボウルに上新粉(200 g)を入れる
  2. 水(120 ml)を少しずつ加えながら、粉とよく混ぜ合わせる
  3. 生地がまとまったら、少量手に取って丸める
  4. 鍋に水を入れて沸騰させたら、丸めた生地を入れて茹でる
  5. 茹で上がった団子を掬い取り、冷水で素早く冷やす

蒸す場合のお彼岸団子の作り方

より本格的なお彼岸団子を作るのであれば、蒸し調理による作り方がおすすめです。茹でる作り方に比べて手間はかかりますが、生地にムラができにくく強い弾力があることから市販の団子のような仕上がりになります。より柔らかく仕上げたい場合は、お好みで甘酒やはちみつを加えるのもおすすめです。

蒸す場合のお彼岸団子の作り方

  1. ボウルに上新粉(200g)を入れる
  2. お湯(120ml)を少しずつ加えながら粉と水を混ぜ合わせる
  3. 生地がまとまったら、耳たぶ程度の固さになるまでこねる
  4. まな板の上に生地を棒状に伸ばして置く
  5. 必要な個数分カットし、一つひとつ手で丸めて耐熱皿に乗せる
  6. 皿に入れた状態で蒸し器に入れ、十分程度蒸す
  7. 蒸し器から団子を取り出し、少し乾燥させる

お彼岸団子に関するよくある質問

お彼岸団子とおはぎ

お彼岸団子は地域や家庭によって供え方が少しずつ異なるため、実際にお供えする際にはさまざまな疑問点が発生することもあるでしょう。ここからは、お彼岸団子に関するよくある質問について紹介します。

お供えした後のお彼岸団子はどうする?

お供えしたお彼岸団子については、仏壇から下げて食べるのが望ましいです。お彼岸の初日にお供えした団子は春分の日または秋分の日に新しいものに取り換え、それまでお供えしていた団子は食べるのが一般的です。

お供え物を食べることはご先祖からの恩恵を受ける意味があり、お彼岸団子を食べることでご先祖や仏様とのつながりを強く感じられるとされています。仏壇から下げたお彼岸団子はそのまま食べるだけでなく、焼き団子にしたりみたらしのタレをかけて食べたりなどアレンジしても差し支えありません。

おはぎ・ぼたもちとの意味の違いは?

お彼岸団子と同じく、お彼岸の代表的なお供え物としておはぎ・ぼたもちがあります。どちらもご先祖への感謝を伝えるためのものですが、お彼岸団子はこの世へ訪れたご先祖をいたわる意味があるのに対して、おはぎ・ぼたもちは邪気払いの意味を含んでいるという違いがあります。

おはぎやぼたもちに使われる小豆は、太陽や血液などの生命を象徴する赤色であることから、古くから邪気を払う神聖な食材と考えられていました、ちなみに、おはぎとぼたもちは同じ和菓子ですが、おはぎは萩をに由来することから秋のお彼岸に、ぼたもちは牡丹の花に由来することから春のお彼岸に使われる名称です。

お彼岸団子を作ってご先祖に感謝を伝えましょう

お彼岸団子とススキ

この記事のまとめ

  • お彼岸団子はご先祖への感謝・敬意を表すためのもの
  • お供えするタイミングはお彼岸の初日と最終日が一般的
  • 団子の数は六つが一般的だが、家庭・地域によって異なる
  • 団子は折った懐紙の上に二段~四段に重ねてお供えする
  • お彼岸団子は茹でる・蒸すの二つの作り方がある

お彼岸団子は自然やご先祖への敬意を込めてお供えされるものであり、作り方もシンプルであるため自宅でも簡単に手作りのものをお供えできるでしょう。各家庭や地域のやり方に合わせた個数と供え方で、ご先祖へ感謝を伝えましょう。

監修者 SUPERVISOR
1級葬祭ディレクター 志岐 崇

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。

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