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数珠(念珠)の正式な持ち方とは?宗派ごとの違いや扱い方などを紹介

数珠(念珠)の正式な持ち方とは?宗派ごとの違いや扱い方などを紹介

仏式の葬儀や法要において、必ず必要になる数珠(念珠)ですが、宗派によって数珠の種類や持ち方が異なります。本記事では、数珠(念珠)の種類や正しい持ち方を宗派別に紹介します。数珠の扱いに関する注意点も解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

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数珠(念珠)とは

数珠の持ち方 数珠のイメージ

仏式での葬儀や法要で必要な「数珠(念珠)」は、さまざまな意味や役割を持つ仏具です。具体的な持ち方を解説する前に、まずは数珠が持つ意味や起源について紹介します。

数珠(念珠)を持つ意味

数珠(念珠)は、正しい作法で心を込めて合掌できるように葬儀や法要の読経の際に使われています。もともとはお経や念仏を唱えた回数を数えるカウンターのような役割も持っていました。

また、葬儀や法要に数珠を持参するのは、持ち主を守る厄除けの意味もあります。仏教において人間には百八の煩悩があるとされ、数珠に使われている珠の一つひとつが煩悩を司る仏様であると考えられています。身につけることで数珠の珠が持ち主の煩悩を祓うとされていました。

お守りであるとともに、葬儀や法要にて仏様とのつながりを示す仏具であることから、現代の仏式の法事では持参することが一般的なマナーとされています。

数珠(念珠)の起源

数珠(念珠)の起源は古代インドにおける「お祈りの回数を玉を使って数える」というヒンドゥー教徒の習慣にあるとされています。ヒンドゥー教の教えが仏教を通して日本国内にも伝わり、現代のように読経の際には数珠を持つという考え方が定着しました。

現在では一般的な持ち物とされる数珠ですが、昔は高級品として扱われており、貴族や住職をはじめとした一部の人しか持てませんでした。しかし、仏教にて数珠を持つという考え方が庶民の間でも広がるうちに、一般的に持たれるようになったとされています。

数珠(念珠)の種類

数珠の持ち方 数珠のイメージ

数珠(念珠)といってもさまざまな種類があり、参列者の宗派や性別によって葬儀や法要に持参する数珠が異なります。ここからは数珠の種類について紹介します。

数珠(念珠)の種類は二つ

数珠の種類は、略式数珠と本式数珠の二つに分かれており、数珠に使われる珠の数だけでなく、使用する際の作法や持ち方も異なります。それぞれの特徴や使うシーンなどを確認しておきましょう。

宗派問わず使える「略式数珠」

略式数珠は本式数珠に比べて珠の数が少ないのが特徴で、片手での持ち方を想定していることから「片手数珠」とも呼ばれている数珠です。全ての宗派で使える種類であるため、始めて数珠を購入する場合や、急な葬儀・法要への参列時などは略式数珠を用意する人が多くいます。

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宗派によって違う「本式数珠」

本式数珠は略式数珠に比べて長いのが特徴です。また、それぞれの宗派に合わせて作られた正式なものであることから「正式数珠」とも呼ばれています。

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宗派によって以下のように珠の数や房の形、持ち方も異なるため、購入の際には自身の宗派のものを選びましょう。

宗派 数珠(念珠)の形状 珠の数
浄土宗 一般的に使われる数珠は「日課数珠」と呼ばれており、二つの輪から構成されているのが特徴。珠の数が男性用と女性用で異なる。
二つ目の輪には銀輪につながった梵天の房が付いている。
男性用:主玉27個と主玉20個
女性用:主玉40個と主玉27個
浄土真宗 男性は紐房を多く使った略式数珠を使うことが一般的。珠の大きさは10mm~18mmのものを使用している。
女性用の数珠は108個の珠と「四天玉」という四つの珠で構成されており、男性用に比べて長いのが特徴。
男性用:22個〜18個の主玉
女性用:主玉108個、四天玉4個、親玉2個
日蓮宗 親玉から「数取玉」という小さな玉がある五つの房が付いているのが特徴。 主玉108個、四天玉4個、親玉2個、弟子玉20個、露玉4個、数取玉10個、浄名玉1個
真言宗 108個の珠と2個の親珠、4個の四天玉から構成されている。
数珠をつなぐ糸は厄除けとして赤色のものを使う場合がある。
主玉108個、四天玉4個、親玉2個
天台宗 そろばんの玉に似た平たい形状の珠が特徴。
房部分には梵天と露と呼ばれる玉が付いている。
主玉108個、四天玉4個、親玉1個、平玉か弟子玉20個、丸玉10個、露玉2個

男性用・女性用でデザインが違う場合もある

数珠には男性用と女性用があり、使われている珠の大きさや房の色などがそれぞれ異なります。例えば略式数珠の場合、女性用は6~8mm前後、男性用は10~12mm前後の大きさの珠が使われることが一般的です。

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一般的な略式数珠の持ち方

数珠の持ち方 手を合わせる様子

宗派を問わず使える略式数珠だからこそ、急な葬儀・法要でも失礼のない持ち方で参列できるようにしておくことが大切です。ここからは、一般的な略式数珠の持ち方を解説します。

合掌時は左手に数珠かける

合掌時には、略式数珠を左手にかけるのが基本的な持ち方です。一説によると、仏教において左手は仏様がいる清浄な世界、右手は人間が住む不浄の世界を表すとされており、左手に数珠をかけ、合掌時に両手を合わせることで、持ち主の煩悩や不浄を清められるとされています。

左手の親指以外の4本の指が数珠の輪に通るように、人差し指と親指の間にかけるのが正式な持ち方です。なお、葬儀・法要中は常に略式数珠を出しておくのが作法です。葬儀・法要の前後は数珠袋などに入れて持ち歩き、数珠を裸の状態で持ち歩くのはよくないとされています。

読経・焼香時は左手に持つ

読経・焼香時も略式数珠は左手に持っておきましょう。葬儀や法要で読経を座って聞いている間は左手で持った状態で膝の上に置きます。焼香の順番がまわってきた際には数珠の房を下にした状態で前に歩み出ます。右手で抹香をくべている間、数珠は左手にかけておきましょう。

▶焼香の作法について詳しく知りたい方はこちら

【宗派別】本式数珠(念珠)の正式な持ち方

数珠の持ち方 数珠を持ちながら手を合わせる様子

宗派によって作りが異なる本式数珠を正しい作法で使えるように、あらかじめ宗派に合わせた持ち方を把握しておきましょう。ここからは、本式数珠の正式な持ち方について宗派別に解説します。葬儀や法要へ参加する前に、自分が信仰する宗派の持ち方を確認しておきましょう。

浄土宗の持ち方

浄土宗における合掌時の本式数珠の持ち方は、長い数珠を二重にし、両手の親指にかけて両手を合わせます。その際、房は手前に垂らし、数珠の中心となる大きな珠(=親玉)を親指で押さえるようにするのが正しい持ち方です。

念仏を唱える際には、房が付いていない方の輪を左手の親指と人差し指の間にかけます。房が付いた方の輪は人差し指と中指の間にかけ、数珠を握った状態で念仏を唱えるのが正しい持ち方です。

浄土真宗の持ち方

浄土真宗では男性用と女性用で数珠のデザインが大きく異なることもあり、持ち方も全く違う点には注意しましょう。男性の場合、片手で使える略式数珠を使うことが一般的であるため、合掌時は房が下になるようにそのまま両手に数珠をかけて行います。

女性用の数珠は、宗派によって合掌する際の持ち方の作法があります。西本願寺派では長い数珠を二重にして房が下になるように両手へかけるのが正式な持ち方です。東大谷派の場合は、数珠を二重にしたら房を左側へ垂らし、揃えた親玉を両手の親指で挟みます。

日蓮宗の持ち方

日蓮宗における数珠の持ち方は、房を下に垂らした状態で数珠を二重にして左手にかけておくのが正式です。合掌の際には左手にかけた状態でそのまま右手を合わせて合掌をします。

唱題や回向の際には、三つの房が付いている方の輪を左手の中指にかけ、一度ひねってからもう片側を右手の中指にかけるのが正しい持ち方です。房は外側に垂らしたまま手を合わせましょう。

真言宗の持ち方

真言宗の場合、親玉が上になるように数珠を二重にして左手へかけ、房ごと握るように持つのが一般的な持ち方です。合掌する際は数珠を両手の中指にかけて両手を合わせます。

房の位置は外側(手の甲側)または内側(手のひら側)といったように、流派によって持ち方が少し異なる点には注意しましょう。また、合掌時には数珠をかけた両手で数珠を軽く擦って音を鳴らします。

天台宗の持ち方

天台宗の場合は、数珠を二重にして左手へかけ、房を手の甲側に垂らした状態で握るのが一般的な持ち方です。合掌する際には、両手の人差し指と中指の間に数珠をかけ、房を下に垂らした状態で手を合わせます。

禅宗(曹洞宗・臨済宗)の持ち方

曹洞宗・臨済宗のような禅宗系では、房を下に垂らした状態で数珠を二重にして左手へかけて握るのが正しい持ち方です。合掌の際には数珠を二重にし、左手の親指と人差し指の間にかけた状態で合掌を行います。合掌時も数珠の房は下に垂らします。

数珠の扱い方の作法に関する注意点

数珠の持ち方 透明な数珠のイメージ

宗派によって数珠の形や持ち方が異なりますが、全ての宗派において共通する注意点もあります。ここからは、数珠の扱い方に関する注意点を解説します。実際に参列する際に故人やご遺族に対して失礼のないように、あらかじめ確認しておきましょう。

数珠の貸し借りは避ける

実際の葬儀や法要では、数珠の貸し借りは避けるべきとされています。仏教において数珠は持ち主のお守りであるとともに分身でもあると考えられているため、ほかの人と数珠の貸し借りは行わないようにしましょう。

数珠の用意が間に合わなかった場合や、キリスト教徒で数珠を持っていない場合などは数珠なしで参列しても問題ありません。

ファッション用の数珠の使用は避ける

近年は数珠を模した厄除けブレスレットなども存在していますが、実際の葬儀や法要ではファッション扱いの数珠の使用は避けましょう。

ファッション扱いの数珠の中には、珠の数やデザインなどの点で仏式の持ち方・仕様に対応していないものもあります。そのため、葬儀や法要などの正式な場において、ファッション用の数珠を正式な数珠の代わりとして使うのは避けましょう。

離席時も数珠はしっかり持っておく

葬儀や法要では、離席時も数珠をしっかり持っておきましょう。数珠は持ち主を守る厄除けの意味があるため、読経や焼香時にはもちろん、お手洗いなどで席を離れる際にも持っておきましょう。離席する際には数珠をポケットやバッグなどに入れておきます。

正式な数珠の持ち方を踏まえて、葬儀や法要へ参列しましょう

数珠の持ち方 数珠を持って手を合わせる様子

この記事のまとめ

  • 数珠には念仏を唱えた回数を数えたり厄除けとしての意味がある
  • 数珠には略式数珠・本式数珠の二つの種類がある
  • 略式数珠は左手にかけて合掌し、焼香時は左手に持つ
  • 本式数珠は宗派によって正しい持ち方が異なる
  • 葬儀・法要時は数珠の貸し借りや、ファッション用の数珠の使用は避ける

数珠は宗派によって種類や持ち方が異なります。正式なマナーを知っておくことでお悔やみの気持ちをより丁寧に故人やご遺族へ伝えられるでしょう。本記事で紹介した数珠の持ち方・扱い方を踏まえて、葬儀や法要へ参列しましょう。

監修者 SUPERVISOR
1級葬祭ディレクター 志岐 崇

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。

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