「終活川柳大賞2025」発表!選ばれた受賞作品を紹介
 
              人生の締めくくりに関するさまざまな思いを言葉に込める「終活川柳大賞」2025年度の受賞作品が、9月11日に発表されました。本記事では「終活川柳大賞2025」の大賞作品・受賞作品を紹介します。川柳を通した終活観の傾向も解説しているため、ぜひ目を通してみてください。
終活川柳大賞とは
 
          「終活川柳大賞」は、葬儀やお墓の準備、財産・人間関係などの身辺整理といった、人生の終わりに向けたさまざまな準備や活動を指す「終活」をテーマに、五・七・五の川柳を募集されました。
終活川柳に使えるキーワードは葬儀をはじめとした終活に直接関するものだけでなく、介護やセカンドライフなどといった残りの人生をよりよく生きるための活動なども含まれているのが特徴です。ひとり5作品まで応募可能で、大賞・受賞作品に選ばれた作者には、JTB旅行券などの賞品が贈呈されます。
なお、「終活川柳大賞2025」には全国から3,442句の作品が寄せられ、東京都江東区で開催された「エンディング産業展2025」の川柳大賞発表会にて大賞・受賞作品が発表されました。
受賞作品の紹介
「終活川柳大賞2025」の発表会ではプレゼンテーターとして椿鬼奴さんが登場し、大賞と優秀賞、佳作やユーモア賞に加えて「椿鬼奴賞」として椿鬼奴さんが選んだ作品も発表されました。ここからは、各受賞作品を紹介するとともに、作品ごとの選考理由も解説していきます。
大賞作品
 
      「終活川柳大賞2025」の大賞作品は「終活で 気づく後悔 築く愛」です。人生を締めくくる準備である終活を通して過去の自分の行動や考え方などの反省点に気付き、新しい愛や関係を育んでいこうとする前向きな姿勢が美しくまとめられている点が高く評価されました。
特に注目すべき点は、同音異義語を用いた美しい表現です。後悔に「気づく」と愛を「築く」の二つを掛けることで人の心情と行動を重ね合わせ、心の変化や表現の広がりを美しく表しています。人生の終盤を迎える中で深まっていく内省と、これからは後悔しない未来を創造しようとする力強さを感じられる作品です。
優秀賞
 
      優秀賞は「終活が 生き甲斐になり 寿命延び」です。終活は「人生の終わりを見据えた準備」という意味から、後ろ向きなイメージを持たれやすい傾向にあります。しかし、この作品では終活を「残された人生を充実させるための生きがい」という前向きなものとして捉えており、独特な視点が高く評価されました。
これまでの終活とは真逆の表現により、自身の人生の締めくくりを嘆くのではなく、終活を通して生きる意味を見出し、終盤も充実した人生を送ることの大切さを感じさせる作品です。
特別賞(椿鬼奴賞)
 
      「終活川柳大賞2025」のプレゼンテーターである椿鬼奴さんが選ぶ特別賞「鬼奴賞」に輝いたのは「書き残す 妻への感謝と パスワード」です。選考理由として、近年の個人情報のデジタル化に伴うパスワード管理の重要性と、家族への気持ちがバランスよく表現されている点にあります。
作品を選んだ椿鬼奴さん自身がアナログからデジタルへの移行期にあたる世代であるためか、夫婦間で「どちらかが先に亡くなった後のパスワード管理問題」が話題に上がっており、作品自体がタイムリーな内容だったそうです。終活の在り方の変化を感じさせるとともに、さり気なく大切な人生のパートナーへの愛情を伝えている作品です。
佳作
 
      「終活川柳大賞2025」の佳作には、上記の三作品が選ばれました。同じ「終活」をテーマとしつつも、人間関係や断捨離、老後の生活という違った観点から三者三様の表現で体験や考え方をまとめています。
「それぞれが 終活披露 古希の会」は、同年代の人との交流を通してそれぞれの「終活」の考え方を共有する様子を「古希の会」という場面で表現されています。古希(七十歳)を迎え、人生の締めくくり方を考える人同士だからこそ「終活」の話が新たなコミュニケーションのきっかけになることを感じさせます。
「物捨てて 思い出拾い 時間旅行」は、断捨離に伴う持ち物の選別を通して、それぞれに秘められた当時の思い出や気持ちと向き合う様子を「時間旅行」という美しい表現でまとめられた作品です。
「物価高 終活止めて 就活に」は、近年の物価高に伴い、年金だけでは生活の維持が難しいことに悩むシニア世代の様子が伝わってきます。また、「終活」と「就活」を掛けたことにより、生き方の変化を強調しています。自身の「終活」を取り巻く環境が、新しい人間関係の構築や考え方の変化につながることを感じさせる作品です。
ユーモア賞
 
      「終活川柳大賞2025」のユーモア賞に選ばれた三作品は、終活に関するさまざまなシーンを現代らしい表現でまとめられています。
「遺影には 盛れた写真を 使ってね」という作品は、死後の葬儀の要望を親しみやすい表現でまとめています。人生の最期を迎えるときにも、自分らしさを大切にしたいという前向きな心が感じられます。
「終活を 終えて推し活 若返り」は、終活が一段落ついた人のセカンドライフについてまとめられた作品です。夢中になれる推しを見つけ、若い頃のように生き生きとした毎日を過ごす様子が目に浮かびます。
「むかし恋 いまは介護の 夫婦風呂」は、老後を迎えた夫婦の様子を表現している作品です。同じお風呂という場面でありながら、恋人や夫婦として二人で仲よく過ごしていた若い頃と、入浴のための介護の一環として一緒に過ごす現在を比較しています。年月の流れに伴う関係の変化を感じさせる作品です。
終活川柳から見える世代別の「終活観」
 
          作者によって異なる観点から「終活」についての思いを綴る「終活川柳大賞」だからこそ、作品を通して終活観の変化が垣間見えます。ここからは、終活川柳から伺える世代別の終活観を解説します。
若い世代は親の終活やデジタル整理がテーマ
若い世代が作る終活川柳は、親の終活をテーマにした作品が多い傾向にあります。現在終活を進めている親の姿を通して、人生の締めくくり方について考えたり、毎日を生き生きと過ごす親の姿を客観的に見つめたりして、自身の終活に対する思いを表現する人が少なくありません。
また、若い世代はパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器にも多く触れていることも、終活川柳の内容に反映されています。自分や親に関する写真や書類の電子化や、端末に保存されたパスワードやファイルの整理整頓など、暮らしの中での終活の形や向き合い方が少しずつ変化している様子がうかがえます。
シニア世代は家族や感謝をテーマにした作品が多数
客観的な視点を含む若い世代に対して、シニア世代は家族や感謝をテーマとしている作品が多い傾向にあります。終活は人生を締めくくる準備期間であるとともに、人間関係やモノをはじめとした自身を取り巻く全てを見つめ直す機会でもあります。
終活に伴う身辺整理で過去の思い出と再会したり、これまで気付けなかった家族・友達のありがたみを実感したりする人も少なくありません。普段は伝えられない家族への感謝や、これまでお世話になった人やこれから出会う人との縁を大切にする気持ちが作品に反映されています。
終活は「死の準備」から「生き方を整える活動」へ
 
          デジタル化やライフスタイルの多様化などといった社会の変化に伴い、終活自体の考え方・イメージも変化しつつあります。ここからは、終活川柳を通して見える終活の現在について解説します。
終活のテーマはお金・健康・人間関係まで広がる
終活川柳に投稿される作品は「終活」をテーマとしつつも、近年は葬儀やお墓などに関するものだけでなく、お金や健康、人間関係といったジャンルまで広がっています。その背景には、コロナ禍の経験やライフプランの多様化などがあるといえるでしょう。
自分の生き方や人とのつながりを見つめ直す動きが高まったことで、「終わりの準備」というよりも、「これからの人生をよりよく生きるための活動」として前向きにとらえる人が増えている様子が、作品の傾向から感じられます。
言葉で心を整える「終活川柳」の魅力
終活川柳は、五・七・五の限られた文字数で自身の思いを表現するからこそ、自分自身の新たな可能性・発見につながるのが魅力といえます。言葉を工夫しながら磨いていく過程で、今の自分の気持ちやこれまでの歩みを見つめ直し、これからの生き方や人との関わりを考えるきっかけにもなります。
エンディング産業展で広がる「前向きな終活」
 
          「終活」に対する考え方が前向きに変化していく中で、近年は終活をテーマとしたイベントも開催されています。ここからは「終活川柳大賞2025」の発表会の会場にもなった展示会「エンディング産業展」について紹介します。
展示会の概要
「エンディング産業展」は、葬儀や供養、相続をはじめとした業界関係者が集まる、日本最大級のエンディング産業専門展示会です。会場には終活に関する最新技術やサービスが一堂に会し、2025年度の展示会では163社の出展企業と1万3千名以上もの来場者が集まりました。
展示だけでなく経営戦略や集客、グリーフケアなどといった終活に関する専門セミナーも開催されています。多彩な出展企業と来場者による活発な情報交換を通して、次世代のエンディング産業を創出する場として注目されています。
終活を通じた社会的意識の変化
終活に伴う社会的意識の変化は個人だけでなく、企業にも波及しています。「エンディング産業展2025」には、葬祭事業者だけでなく、異業種からの参入を検討している企業も多数参加しました。終活に対する価値観の変化に伴い、社会全体で「生き方」を見直す機会を創出する動きが見られます。
言葉がつなぐ、終活の新しい形
 
          この記事のまとめ
- 「終活川柳大賞」は「終活」をテーマとした川柳から大賞作品を決める企画
- 2025年の大賞には「終活で 気づく後悔 築く愛」が選出された
- 優秀賞には「終活が 生き甲斐になり 寿命延び」が選出された
- 若い世代は親の終活やデジタル整理に関するテーマが多い
- シニア世代は終活を通した人間関係・感謝の気持ちを表現した作品が多い
生き方や人生と向き合い、短い言葉に思いを詰め込む「終活川柳」は、終活の在り方を考える上で有効な手段といえるでしょう。本記事で紹介した受賞作品も参考にしながら、一度自分にとっての終活を川柳で表現してみてください。
 
    2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
 
 
 
 
 
 
 
 
               
               
               
               
               
               
               
               
              