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お金・お家のこと

親の土地に家を建てるメリット&デメリットは?譲渡の方法や必要な対策なども合わせて解説

親の土地に家を建てるメリット&デメリットは?譲渡の方法や必要な対策なども合わせて解説

親の土地に家を建てる場合、一見メリットが多いと思われがちですが、実はデメリットも多くあります。場合によってはトラブルにつながることもあるため、事前に必要な対策をしておきましょう。本記事では、親の土地に家を建てる際に知っておきたいことを紹介します。

監修者 SUPERVISOR
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士 森本 由紀

神戸大学法学部卒業。鉄鋼メーカー、特許事務所、法律事務所で勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所を設立し独立。メインは離婚業務。離婚を考える人に手続きの仕方やお金のことまで幅広いサポートを提供。法律・マネー系サイトでの執筆・監修業務も幅広く担当。

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親の土地に家を建てるメリット

まず、親の土地に家を建てるとどのようなメリットがあるのかを紹介します。

土地代が安くすむ

家を建てるためには土地が必要です。宅地の値段は、場所によって差があるとはいえ高額です。親の土地を利用できれば、土地代を安くすませることができます。

また、親の土地であれば無償で借りたり譲ってもらえる可能性が高いです。有償で借りる場合や売ってもらう場合でも、一般的な相場よりも安くしてもらえる場合が多いでしょう。

住宅ローンの審査に通りやすくなる

住宅を購入するときには、住宅ローンを利用することが多いでしょう。住宅ローンは、借りる人の収入や不動産の評価額を総合的にみて融資をするかの審査がされますが、融資額が少なければこれらの審査条件もゆるくなります。

親の土地を利用できる場合、土地代が安くすむ場合が多いため住宅ローンの融資額も少なくてすみます。よって、住宅ローンの審査に通過しやすくなるのも親の土地に家を建てるメリットの一つです。

親の土地に家を建てるデメリット

ここからは、親の土地に家を建てる際に事前に確認しておきたいデメリットを紹介します。

相続トラブルになる

兄弟姉妹がいる場合、親の土地に家を建てると、親が亡くなった後に相続トラブルになることがあります。親の土地については、兄弟姉妹全員に相続する権利があるためです。

例えば、下記のような場合で考えてみましょう。

家族構成:父、母、長男、次男の4人家族
最初に父が亡くなり、父の相続時に父名義の実家の土地・建物を母が相続
母名義の土地上の建物を取り壊し、長男が母名義の土地を借りて自分名義の家を建てて住んでいる

母が亡くなった場合、母の相続時には長男、次男の2人が相続人となります。母の財産が長男の家の敷地になっている土地しかなければ、長男と次男は遺産分けでトラブルになる場合があります。

担保が必要になる

親の土地に家を建てると、担保が必要になるのもデメリットの一つです。住宅ローンを利用する場合、担保として不動産に金融機関の抵当権が設定されます。親の土地を借りて家を建てる場合には、親の土地と新築する建物の両方に抵当権を設定する必要があります。もし、親が借入をしていて土地に別の抵当権が設定されている場合は、住宅ローンを組むのが難しくなります。

親の土地に抵当権を設定した場合、住宅ローンの返済ができなければ、親の土地が競売にかけられてしまう危険性もあります。また、親が住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者になるよう求められる場合があります。親の土地に抵当権を設定すれば、親にも負担が発生してしまうのです。

ローンを返済するまで親名義のままになる

親の土地を借りて家を建てる場合、住宅ローンを利用するには親の土地に抵当権を設定する必要があります。土地に抵当権を設定した際、住宅ローンの返済が終わるまでは土地の名義の変更ができません。そのため、名義を変更する予定がある場合は、住宅ローンを組む前に手続きをしておくとよいでしょう。

なお、住宅ローンを完済する前に親が亡くなった場合、名義が相続人に変更となるのが一般的です。この場合、他に相続人がいれば全員に親の土地を相続する権利があります。土地に抵当権が設定されていれば相続時のトラブルになることも考えられるため、注意しましょう。

離婚時にトラブルになる

親の土地に家を建てて住んでいた夫婦が離婚する場合、財産分与で問題が起こることがあります。離婚する際には、夫婦の財産を分ける財産分与を行います。財産分与の対象となるのは夫婦が婚姻期間中に築いた財産のみであるため、親の土地は財産分与の対象外となり、分けられるのは建物のみです。

不動産の財産分与では、売却して売却代金を分けるという選択肢があります。しかし、土地と建物はセットで使うものであるため、建物だけを売るのは現実的に困難です。土地を一緒に売る場合でも、事前に親の承諾を得る必要があります。

親の土地に家を建てる方法

親の土地に家を建てる場合、親から土地を借りる方法と親から土地を譲渡してもらう方法があります。どちらも有償の場合と無償の場合があるため、ここからはそれぞれのパターンについて解説します。

親から無償で土地を借りる

親の土地を借りる場合は、地代などを払うことなく無償で借りることが多いでしょう。無償で土地を借りる場合、法律的には使用貸借契約が締結されていることになります。なお、親にお金を払っていてもその金額が親の負担する固定資産税等相当額以下であれば、使用貸借の範囲内です。

親から無償で土地を借りると、贈与税などの税金がかからないのがメリットです。親の方にも収益がないため、親に所得税などもかかりません。

ただし、親が亡くなって相続が発生したときには土地は相続財産となり、相続税がかかります。使用貸借の場合には後述する賃貸借の場合と異なり、相続税の評価額は下がりません。むしろ、相続税の負担は大きくなってしまう恐れがあります。

親から有償で土地を借りる

有償で土地を借りる場合、土地の賃貸借契約(借地契約)となります。借地契約では地主に対し、地代のほか契約締結時に権利金を支払うのが一般的です。

権利金とは借地権を設定することの対価として支払われる一時金で、借地契約が終了しても返還はされません。権利金の相場は、更地の価格の60~90%程度となります。

親から有償で土地を借りている場合、地代のみを払っているのか、地代と権利金の両方を払っているのかで贈与税の課税が分かれます。地代と権利金を払っていれば贈与税は非課税ですが、地代のみを払っている場合には権利金相当額が贈与とみなされ、贈与税が課税される場合があります。

地代のみを払っている 権利金相当額が贈与とみなされ、贈与税が課税される場合がある
地代と権利金を払っている 贈与税非課税

親に権利金や地代を払う場合には、そのお金は親の所得となり、親の方には所得税や住民税が発生します。

なお、親が亡くなった場合、土地は親の財産なので相続税がかかります。ただし、宅地に借地権が設定されている場合には、借地権の評価額を差し引くことができるため宅地の評価額が下がります。その結果、相続税の負担は抑えられることになります。

親から無償で土地を譲り受ける(贈与)

親から土地を譲り受けると、土地は自分のものになるため自由に使えます。ただし、無償で財産を譲り受けると、贈与税がかかる点に注意しましょう。また、不動産を譲り受けたときには、不動産取得税も課税されます。なお、親の所得は発生しないため、親には税金はかかりません。

贈与税の課税対象となる場合、暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらかを選択できます。一度、相続時精算課税を選択すると暦年課税には戻せないため、どちらを選ぶかよく考えて手続きしましょう。

それぞれの概要は下記のとおりです。

暦年課税制度 毎年贈与を受けた額から基礎控除額110万円を差し引いた金額に課税される制度
相続時精算課税制度 親子間などの贈与に2500万円の非課税枠を設け、相続発生時に相続税・贈与税を合わせて精算する制度

なお、親から土地を譲り受ける場合には親から子への名義変更が必要となり、名義変更の際は登録免許税がかかります。登録免許税は、親と子供のどちらが支払っても問題ありません。

親から有償で土地を譲り受ける(売買)

親から土地を購入し、家を建てるという選択肢もあります。土地を売買した場合は、通常は贈与税の課税対象ではありません。ただし、親子間の売買では、売買価格を一般的な相場よりも安く設定することが多いでしょう。この場合、一般的な相場との差額が贈与とみなされ、贈与税がかかる場合があります。

親の方には、譲渡所得税が発生することがあります。譲渡所得税とは、譲渡所得が発生したときに課税される所得税と住民税を合わせたものです。親が不動産を手に入れたときの価格や売買の経費を差し引いて譲渡益が発生している場合、親に譲渡所得税がかかります。

なお、贈与の場合と同様、子供には不動産取得税や名義変更の際の登録免許税もかかります。

親の土地に家を建てる際のトラブル対策

ここからは、親の土地に家を建てる際のトラブル対策について紹介します。

名義変更を検討する

土地を親名義にしたまま家を建てると、相続時にトラブルになる場合があります。親が亡くなったとき、他に相続人がいる場合は事前に土地の名義変更することを考えましょう。

土地の名義変更をするには、親から土地を売ってもらう方法があります。売買の場合、売買代金の設定により課税されるかどうかが変わります。事前に名義変更するなら、専門家に相談しながら方法を検討するのがおすすめです。

なお、土地の名義変更をするには、売買以外に生前贈与という方法があります。生前贈与については、後述します。

遺言書を書いてもらう

土地を親名義のままにする場合、親に遺言書を書いてもらうのがおすすめです。相続が発生した際、遺言書があれば遺言書に従って手続きが行われます。そのため、親の土地に家を建てる場合は事前に親と相談し、土地を自分に相続させるという遺言を残してもらう方法もよいでしょう。

生前贈与してもらう

親から土地を生前贈与してもらえば、相続時のトラブルを予防できます。土地が自分名義になれば、住宅ローンも組みやすくなります。

生前贈与をすれば贈与税がかかります。一方、生前贈与により相続財産を減らせるため、相続税を抑える効果があります。将来確実に値上がりする土地であれば、生前贈与により贈与時に税金を払った方が節税になるでしょう。

ただし、相続開始前一定期間の生前贈与は相続税の課税対象になります。従来は相続開始前3年以内の贈与が相続税の対象に含められていましたが、令和6年1月1日から相続開始前7年以内の贈与に変更になります。節税のために生前贈与をするなら、早めに実行するのがおすすめです。

【参考】令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

親の土地に家を建てる際はデメリットも理解しておきましょう

この記事のまとめ

  • 親の土地に家を建てるメリットは、土地代が抑えられることや住宅ローンの審査に通りやすくなること
  • 親の土地に家を建てるデメリットは、相続トラブルや親に負担が生じる恐れがあること
  • 親の土地に家を建てる場合、①無償で土地を借りる、②有償で土地を借りる、③無償で土地を譲り受ける(贈与)④有償で土地を譲り受ける(売買)方法がある
  • 親の土地に家を建てるなら、名義変更や遺言書、生前贈与で対策しておくのがおすすめ
  • 生前贈与は、相続開始前一定期間の生前贈与は相続税の課税対象になり、令和6年1月1日からは相続開始前7年以内の贈与が対象になる

親の土地に家を建てると、土地代が安くすんだり住宅ローンの審査に通りやすくなったりします。一方、親の土地に家を建てることで、将来的に相続トラブルにつながる恐れもあります。親の土地に家を建てるなら、デメリットを知った上で親に遺言書を書いてもらうなどの対策をしておきましょう。

◆兄弟関係での相続トラブルや対策についてさらに知りたい方は、訳アリ物件買取プロの下記記事も参考にしてください。

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