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健康・カラダのこと

見当識障害とは?せん妄との症状の違いや予防方法、家族の対応法も紹介

見当識障害とは?せん妄との症状の違いや予防方法、家族の対応法も紹介

見当識障害とは、認知症の中核症状の一つで、時間や場所が分からなくなる状態です。今回は、見当識障害の種類やせん妄との違い、予防方法について解説します。見当識障害について気になっている人は参考にしてみてください。

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見当識障害とは

見当識障害とは認知症の中核症状の一つで、自分が今どのような状況にいるのかを正しく認識する能力が低下する症状です。見当識障害が起こると、時間や場所、人間関係の認識が難しくなります。例えば、朝と夜の違いが分からなくなり、深夜に「もう朝だから仕事に行かなきゃ」と言い出すことがあります。

見当識障害は認知症や脳の病気などが原因となり、日常生活に大きな影響を及ぼすため、初期症状のうちに気付き適切な対応をすることが重要です。

見当識障害の種類

見当識障害には、以下の3種類があります。

①時間の見当識障害

時間の見当識障害とは、年月日や時間、季節の把握ができなくなることを指します。

時間の見当識障害の例

  • 今日が何月何日か分からなくなる
  • 朝と夜の区別がつかなくなる
  • 今の季節が分からなくなる

時間の見当識障害では季節の違いが分からなくなることがあるため、真夏に厚手のコートを着て外出しようとするなどの行動が見られます。また、夕方なのに「お昼ごはんを食べていない」と何度も言うなども症状の一つです。

時間の把握ができなくなるため、長時間待つことや予定の時間に合わせての準備などが難しくなるでしょう。

②場所の見当識障害

場所の見当識障害とは、自分がどこにいるのかや、行きたい場所への道が分からなくなることを指します。

場所の見当識障害の例

  • いつも通っている近所のスーパーで迷う
  • 家の中でトイレの場所が分からず、間に合わずに失禁してしまう
  • 帰り道が分からずに歩き回り、疲れて道端にしゃがみこむ

場所の見当識障害がある場合、ひとりでの外出は危険が伴います。徒歩では行けないような遠い場所に行こうとすることがあるため注意が必要です。

警視庁の調査によると、2022年に認知症やその疑いがあり行方不明になった人は18,000人以上です。行方不明者の99%は1週間以内に発見されていますが、事故などで亡くなってしまった事例もあります。外出しようとするそぶりを見せた際は一緒に出かけるなどの対応が必要です。

引用元:令 和 5 年  令 和 4 年 に お け る 行 方 不 明 者 の 状 況(警視庁)

③人の見当識障害

症状が進んでくると、人の見当識障害が現れます。人の見当識障害とは、自分の年齢や周囲の人との関係が分からなくなる障害です。

人の見当識障害の例

  • 自分の子供に「あなたは誰?」と尋ねる
  • 鏡に映った自分の姿と兄弟姉妹の違いが分からない
  • すでに亡くなっている母親が心配していると言い出す

人の見当識障害の初期症状では、知り合ったばかりの人に、毎回「はじめまして」とあいさつすることが多いです。症状が進んでくると、徐々に長年の付き合いのある家族や兄弟姉妹のことも分からなくなり、別の人と間違えることもあります。すでに亡くなっている人のことをまだ生きているように話すことも、症状の一つです。

人の見当識障害を無理に訂正をしようとすると余計に混乱するため、本人の話をじっくりと聞いてあげるとよいでしょう。

見当識障害とせん妄との違い

見当識障害とせん妄で似たような症状が現れることはありますが、原因や経過は違います。

見当識障害とは、主に認知症や脳の病気による持続的な症状であり、時間や場所、人の認識が難しくなることです。せん妄とは急性の意識障害で、体調不良や薬の副作用、環境の変化などによって引き起こされます。せん妄は一過性のため、原因が取り除かれると回復することが多いです。

見当識障害とせん妄の特徴の違いを、項目別に確認しておきましょう。

見当識障害とせん妄の違いとは
見当識障害とせん妄の違いとは

見当識障害

せん妄

主な原因

アルツハイマー型認知症

急性疾患、投薬、手術、入院など

発症の仕方

ゆっくり

急激

主な症状

記憶障害

暴言、幻覚、妄想

日中の症状の変動

大きな変化はない

変動あり(夕方から夜間にかけての症状は夜間せん妄と呼ばれる)

対処方法

本人の気持ちに寄り添う

処置、治療、環境の改善

症状の期間

継続

一過性

具体例として、せん妄の状態では、突然「部屋の中に誰かがいる」と騒ぎ出し、数時間後にはそのことを全く覚えていないということがあります。一方、見当識障害では、日常的に「ここはどこ?」と混乱し続ける状態が続きます。

見当識障害の予防方法

では、見当識障害になる前に、対策できることはあるのでしょうか。ここからは、見当識障害の予防方法を紹介します。

①睡眠を十分とる

十分な睡眠をとることで脳の疲労が回復し、見当識障害の予防につながります。睡眠不足は認知機能に悪影響を与えるため、規則正しい生活リズムを保ち、夜間にしっかりと休息を取ることが大切です。

睡眠を十分とる方法とは

  • 毎日決まった時間に寝起きする
  • 寝る前にリラックスする時間を作る
  • 朝は太陽の光を浴びる

毎日決まった時間に寝起きし、規則正しい生活リズムを保ちましょう。夜はテレビやスマートフォンの使用を控え、読書や静かな音楽を聴くことで、質のよい睡眠を確保できます。日中の昼寝は脳によい影響を与えると言いますが、30分程度に抑えましょう。長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げることにつながります。

②バランスのよい食事を摂取する

バランスのよい食事は、脳の老化を防ぎ見当識障害の予防に役立ちます。栄養素をバランスよく摂取し、特に抗酸化作用のある食品やDHA・EPAを含む食品を意識して取り入れましょう。

摂取した方がよい食品とは

  • サンマやアジなどの青魚
  • レバーや牛乳、卵
  • 野菜や果物
  • 緑茶

魚の中でも、サンマやアジなどの青魚にはDHAやEPAが多く含まれています。毎日取り入れるのが大変な場合は、しらすや缶詰などで手軽に摂取することがおすすめです。またレバーや牛乳には、ビタミンB12が多く含まれています。ビタミンB12は脳神経の機能維持に関わっているため、積極的に摂取していきましょう。

さらに野菜や果物には、葉酸が含まれています。葉酸が不足すると認知症の進行を早めると言われており、注意が必要です。

③人とコミュニケーションを取る

社会的な交流やコミュニケーションを取ることで、脳が活性化し、見当識障害の予防になります。家族や友人との定期的な会話や地域の活動に積極的に参加して、認知機能を刺激し続けることが大切です。

人とコミュニケーションを取る方法とは

  • 近所の人と会話をする
  • 週に一度は家族や友人と食事をする
  • 地域のサークルやボランティア活動に参加する

人と会話をすることで、相手の気持ちを考えたりどのような会話をしようか考えたりと、脳を使うことになります。脳に刺激を与えることで、見当識障害の予防につながります。

④医療機関を受診する

定期的に医療機関を受診し、健康状態をチェックすることも重要です。初期に異常を発見し適切な治療を受けることで、見当識障害の進行を遅らせることができます。一年に一度は健康診断を受けましょう。

「もしかしたら認知症かも?」と思った場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。認知症の初期段階で治療を始めると、症状の進行が抑えられたり緩やかになったりします。少しでも気になる症状があれば、早めに専門医を受診しましょう。

見当識障害で起こる問題

見当識障害が起こった場合、徘徊と脱水症状といった問題が発生する可能性があります。身近な人が見当識障害になった場合に備え、問題の具体例と対策を確認しておきましょう。

徘徊する可能性がある

見当識障害によって、自分がどこにいるのか分からなくなり、徘徊することがあります。自宅を出て「家に帰ろう」と思っても、方向が分からず迷子になってしまうことや、事故に巻き込まれる危険もあります。家族や介護者は、外出時に付き添うなどの対策が必要です。

徘徊によって危険な目に遭わないために、以下の対策を検討しましょう。

徘徊から身を守る方法とは

  • 自宅の玄関に警報装置を設置する
  • GPS機能付きの見守りタグを持たせる
  • 近所の人や近くの交番に、本人の状態を知らせておく

脱水症状を起こす可能性がある

見当識障害では時間の感覚が鈍くなるため、定期的な水分摂取を忘れることがあります。一日中水を飲まないで過ごし、気づかないうちに脱水症状を引き起こすことも多いです。家族や介護者は、定期的に水分を摂取するように促しましょう。

毎食後や決まった時間に水やお茶を提供し、「一緒にお茶を飲みましょう」と声をかけることで、水分摂取を習慣づけることができます。

見当識障害への家族の対応方法

見当識障害になると、本人は混乱し不安になります。近くにいる家族も戸惑うことが多いでしょう。ここからは、見当識障害の種類別に、一般的な対応方法を解説します。

時間の見当識障害の場合

時間の見当識障害がある場合、日常生活での混乱を防ぐために以下の対応が有効です。

時間の見当識障害の対応方法

  • カレンダーや時計を見やすい場所に置く
  • 一日のスケジュールを分かりやすく掲示する
  • 重要な日付や予定を目立つように書き込む

カレンダーは数字の大きなもの、時計は時間が分かりやすいデジタル式がおすすめです。また一日のスケジュールを毎朝決まった時間に伝えるなど、習慣化するとよいでしょう。

場所の見当識障害の場合

場所の見当識障害がある場合、安心して生活できるように以下の対応を検討しましょう。

場所の見当識障害の対応方法

  • 家の中や周辺に目印を付ける
  • トイレや寝室など重要な場所の表示を明確にする
  • 外出時には付き添う

場所の見当識障害では、住み慣れた自宅のトイレや浴室などの場所も忘れてしまいます。例えばトイレの場所を示すなら、廊下には「トイレはこちら」と矢印を書いた紙を貼り、トイレの扉には「トイレ」と分かりやすく貼っておくとよいでしょう。

人の見当識障害の場合

人の見当識障害がある場合、家族や友人との関係を保つために以下の対応をしていきましょう。

人の見当識障害の対応方法

  • 写真や名前を一緒に掲示する
  • 定期的に家族や友人と会話をする
  • 思い出話を共有し、脳に刺激を与える

家族写真を飾り、その下に名前を書いたカードを貼ります。アルバムを見ながら「この写真は〇〇さんだよ」と話しかけることで、脳を刺激することができます。

見当識障害とは時間や場所が分からなくなる症状のこと

この記事のまとめ

  • 見当識障害とは、時間や場所、人を正しく認識できなくなる症状
  • 見当識障害とせん妄は、発症の仕方や症状が異なる
  • 見当識障害を予防するには、生活習慣を整えることと初期の発見が大事
  • 見当識障害があると、徘徊や脱水症状を起こす危険性がある
  • 見当識障害への家族の対応は、時計などを見やすい位置に置いたり、外出時には付き添ったり、思い出話をして脳を刺激するなどがる

見当識障害とは、時間や場所、人間関係の認識が難しくなる症状であり、日常生活に大きな影響を与えます。家族や介護者は、見当識障害の症状を理解し、適切な対応をすることが大切です。

見当識障害の予防方法を実践し、初期での発見と対応を心がけることで、見当識障害の進行を遅らせることが可能です。家族と共に、安心して過ごせる環境を整えましょう。

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