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【ひとたび編集部が選ぶシニアが活躍する映画10選04】佐賀のがばいばあちゃん〜心まで貧しくなるな〜

【ひとたび編集部が選ぶシニアが活躍する映画10選04】佐賀のがばいばあちゃん〜心まで貧しくなるな〜

ひとたびの「シニアが活躍する映画10選」では、シニア世代が主役として活躍する映画を紹介します。今回は、超のつくほどの貧乏でありながら前向きに明るく苦難を乗り越える知恵を持つおばあちゃんと、それを見て幼少期を過ごす孫の生活を、温かく描いたヒューマンドラマです。楽しく生きる知恵、活力を貰える生涯のバイブルとなり得る良作です。

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第4回は「佐賀のがばいばあちゃん」です。
こちらは2006年に公開された作品です。原作は400万部を超えるベストセラー小説で、作者は漫才ブームの火付け役であるB&Bの島田洋七です。島田さんが幼少期に過ごした佐賀でのでき事を描いた自伝的作品で、本作以外にもドラマやゲーム、漫画、舞台と多くメディア化され、一大ブームとなりました。映画は単館系でありながら、6億円を超える興行収入を記録しています。

おばあちゃんを演じるのは多くの映画やドラマで活躍されている名女優吉行和子、主人公の明広は3世代を3人の少年が演じ分けており、成人時代を三宅裕司が演じています。
他にも、明広の母親を工藤夕貴が、学生時代の先生を山本太郎などが演じています。

あらすじ

※本記事にはネタバレ内容を含みます。あらかじめご了承の上、お読みください。

戦後の広島で暮らす昭広は、母親に女手ひとつで育てられていました。母親は夜の繁華街で働いており、昭広は度々家を抜け出し母親の職場まで遊びに行っていました。
ある時、おばちゃんが佐賀から昭広の母親に会いに来ました。そして、おばちゃんが佐賀へ帰る際に母親と昭広は駅まで見送りに行きましたが、母親に強引に列車に乗せられてしまいます。昭広はおばちゃんから「しばらく佐賀のおばあちゃんの家で暮らすのよ」と告げられておばちゃんが自分を引き取りに来たことを知り、号泣するしかありませんでした。

佐賀に着き、連れてこられた場所はとても古くさい家でした。着いていきなりおばあちゃんから米の炊き方を教わり、「自分で何でもできるようになりなさい」と言われます。「鉄くずは高く売れるから捨てるものはちゃんと選べ」と言われたり、川で野菜を一緒に洗い、「変な形の野菜も切ってしまえば味は一緒だ」など生活の知恵を教えてくれました。

おばあちゃんの家で暮らすようになって2年経っても、昭広は未だに広島に帰ることができません。母親に会いたいと言っても、さまざまな帰れない理由を告げられます。
剣道がしたい昭広でしたが、道具が必要ということでおばあちゃんに断られます。道着だけでできる柔道がしたいとも話しましたがおばあちゃんに断られ、スポーツがしたいならランニングをしろと言われます。おばあちゃんに言われたとおりランニングをしていましたが、靴を履いて走ってることを知って呆れるおばあちゃん。靴底が減るから裸足で走れと言われます。さらには、腹が減るから一生懸命走るなとまで言われます。貧乏ならではの節約術でした。

ある日、怪我をした昭広は病院に行きました。そこでは治療代を無料にしてもらったばかりか、帰りのバス代までもらいました。しかし、「人様の世話にはなるな」とおばあちゃんは怒ります。
その夜寝るときに昭広は「お金持ちならよかった」というと、「世の中には2つの貧乏がいる。暗い貧乏と明るい貧乏だ。うちは明るい貧乏だからいい。先祖代々貧乏だから自信を持て」とまで言われます。その後もポジティブに貧乏のよさを説くのでした。

運動会の日は昼食は家族でお弁当を食べますが、おばあちゃんが仕事でいないため昭広は一人で食べることに。昭広が教室で食べていると、先生が弁当を替えてくれと言いました。先生のお弁当は、大きなエビフライが2本ものっている豪華なものでした。昭広がそれを嬉しそうにおばあちゃんに話すと「それは先生の優しさ。人に気づかれないようにやるのが本当の優しさだ」と言ったのです。

ある日、おばあちゃん宛と昭広宛に母親からそれぞれ手紙が届きました。昭広はたまたまおばあちゃん宛の手紙を読んでしまい、実は母親が病気だったことを知ります。昭広はショックを受け、ご飯も食べずに外に出てしまいます。家に戻ると、おにぎりと「ご飯位いっぱい食べなさい」とおばあちゃんから手紙が残されてました。

昭広は中学生になり、野球やバイトに打ち込んでいました。学生最後のマラソン大会に母親が見に来ると手紙が届きました。そして、マラソン大会の当日には、沿道でおばあちゃんと母親が声援を送ってくれていました。走りながら号泣する昭広はいつも以上に力が出て、大会新記録で優勝したのです。

中学生卒業とともに広島に戻ることとなり、おばあちゃんに最後の挨拶をします。何を言っても「はよ行け」としか言わなかったおばあちゃんですが、昭広がいなくなると「昭広、行くな〜」と声を大にして叫びました。その声はしっかりと昭広に届き、笑みを浮かべ走り出しました。

みどころ

貧しい中でのマインドの持ち方

おばあちゃんは超が付くほどの貧乏ですが、それを恥じることなく誇りにすら思っています。「うちの家は明るい貧乏だ。急に貧乏になった訳ではなく、先祖代々貧乏だから自信を持て!」と喝を入れられるほどです。

ここで大切なのは、貧しいからといって心まで貧しくなることはないという強いメッセージです。貧しいことを理由に暗くなったり、蔑む必要はありません。例え貧しくても、心が明るければ人生を楽しめるキッカケがあることでしょう。どうすれば楽しくなるか、どうすれば生活が楽になるかなどを自分なりに考えるべきです。

例えば、節約で目標を決めて、どこまで節約できるかをゲーム感覚で楽しむことや、スーパーで割引されてる商品を買い、1日でどれだけ得をしたか計算するなどはすぐにでもできる節約術でしょう。また、副業や投資を始める、資格を取ってスキルアップをすれば、収入面の底上げが期待できます。お金持ちにはなれないかもしれませんが、そういった工夫の一つ一つが心を豊かにするヒントになるかもしれません。

人情の大切さ

この映画には悪い人は一切出てこず、むしろ、いい人しか出てきません。皆が優しく、貧乏な昭広を陰ながら支えてくれます。

例えば、運動会で皆が立派な弁当を家族と食べるのに対し、昭広は貧相なお弁当しか用意されません。それを見かねた先生が「お腹が痛いから弁当を交換してくれ」と無理矢理嘘をついてお弁当を渡してくれます。それが毎年の運動会で起こるので昭広は不思議がっておばあちゃんに話すのですが、「人に気づかれないようにやるのが本当の優しさだ」と教えてくれました。この映画きっての名シーンです。

「やらない善よりやる偽善」という言葉もある通り、困ってる人に対して優しく接することができれば、それだけで相手も自分もいい気分になれると思います。さらにそれが相手に気付かれないさりげない優しさだと、気を遣わせないという面で優しさが詰まった行為といえるでしょう。

祖母を思い出す

この映画最大の魅力は「がばいばあちゃん」そのものです。とにかく明るく前向きで、いつだってグイグイ引っ張ってくれる強い女性として描かれています。昭広への言葉一つ一つが心に残る名言で、まるで自分に言われているかのように感じることでしょう。

「さみしいときも辛いときも笑顔で生きんしゃい」「辛い話は夜にするな。どんな辛い話も昼にすれば大したことない」は特に心に残る言葉です。ただ、いつも強いわけではなく、昭広が小学校に初登校した日、教室までついて行ったら年を取った母親だと勘違いされ、クラスメイトにバカにされた昭広に申し訳なさを感じ教室をさっさと去るなど、真っ直ぐさだけでなく人への気遣いも忘れていません。そういった人物像が、多くの人には自分の祖母と重なっていくのではないでしょうか。

多くの人が自分の祖母に言われているかのように激励されたことで、一大ブームを巻き起こしたともいえるでしょう。「自分の祖母にはこう言われたな」「自分の祖母はこんな事言わないだろうな」など、しばらく思い出していなかった祖母との思い出を振り返らせてくれるキッカケになった人も多かったのかもしれません。

まとめ

忙しい現代で希望を持てるメッセージを言ってくれるがばいばあちゃんに、背中を押される人も多いと思います。「お金がないとしても心は貧しくなるな!」という言葉は、2001年に小説が発行されたときよりも、今の時代のほうがより心に響くメッセージかもしれません。

そして、心が洗われる映画のため、疲れた週末に見ればデトックス効果があるかもしれません。前を向きたい人や疲れた人にこそ、鑑賞してほしい作品です。

公開年

2006年

監督

倉内均

キャスト

吉行和子

浅田美代子

工藤夕貴

山本太郎

緒形拳

三宅裕司

 

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