初七日までしてはいけないことって?そもそもの意味や過ごし方を解説

初七日とは、故人が亡くなってから7日目のことです。故人が亡くなってすぐにやってきますが、してはいけないことがあるかどうか気になる方も多いでしょう。本記事では、初七日までしてはいけないことに加えて、初七日の意味や具体的な過ごし方まで分かりやすく解説します。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
初七日とは

仏教特有の考え方である初七日ですが、その意味や具体的な期間についてよく分からないという方も多いでしょう。ここでは、初七日の意味や期間、初七日までの過ごし方について解説します。
初七日の意味・期間
初七日とは、故人が亡くなって7日目のことを言います。数え方は地域によって異なることもありますが、亡くなった日を1日目として数えるのが一般的です。
浄土真宗以外の仏教では、故人が亡くなってから四十九日まで、7日ごとに故人が極楽浄土に向かえるかどうかについて、閻魔様をはじめとする仏様に審判されると考えられています。初七日は、審判を下される最初の7日目であり、三途の川の流れが激しい場所を渡るか、緩やかな場所を渡るかなどといった渡り方を審査される日です。
7日ごとの審判で故人がよい評価を下されるよう、僧侶を招いて法要(中陰法要)を行います。
中陰法要の種類
- 初七日
- 二七日
- 三七日
- 四七日
- 五七日(三十五日)
- 六七日
- 七七日(四十九日)
中陰法要を全てを行うのは難しく、初七日法要と四十九日法要のみを行うのが一般的です。
また浄土真宗では故人は亡くなってすぐ極楽浄土に向かうとされているため、上述のような考え方は持っていません。だからといって、初七日などの中陰法要をしてはいけない儀式と捉えているわけではなく、遺族から要望があれば形式的に初七日法要や四十九日法要を行うことがあります。
初七日法要までの過ごし方
初七日法要までの過ごし方に厳密な決まりはありませんが、故人の死を悼んで慎ましく過ごす期間と考えられています。祭壇に線香をお供えしたり、手を合わせたりして静かに過ごすのがよいでしょう。
その他、葬儀で香典をいただいた方の名前や住所を記録したり、香典返しの準備を進めたりするのもおすすめです。香典返しは四十九日以降にお渡しするのが一般的なため、それまでにゆっくり準備を進めることができます。
初七日までしてはいけないことはある?

初七日は、故人が亡くなってまだ間もないときに訪れます。そのため、初七日を迎えるまでにしてはいけないことがあるのではないかと不安に思う方も多いでしょう。ここでは、初七日までにしてはいけないことについて解説します。
初七日までしてはいけないことは厳密にはない
昔は、初七日まで「家を空けては(出ては)いけない」「生ものを食べてはいけない」などの考えがありました。しかし現代において、初七日までしてはいけないことは厳密にはありません。
初七日までは故人が亡くなって数日しか経っていないため、大切な人を失った深い悲しみの中にいる人が多くいるでしょう。してはいけないことについて過度に気にせず、故人を偲びながら心を休めて日々を過ごして問題ありません。
それでも心配な場合には、菩提寺の僧侶に「初七日までしてはいけないことはありますか」と尋ねると安心です。
忌中・喪中にしてはいけないことに注意する
初七日までしてはいけないことは厳密にはありませんが、忌中や喪中にしてはいけないことには注意する必要があります。忌中は故人が亡くなってから四十九日までの期間(四十九日法要まで)、喪中は故人が亡くなってから1年間(一周忌法要まで)です。
忌中にしてはいけないこと

先述した通り、故人が亡くなってから四十九日法要までの期間を忌中といいます。忌中が明けるまでは、故人の二親等までを対象に、してはいけないとされることがいくつかあります。
二親等までの人
- 故人の配偶者
- 故人の両親
- 故人の子供
- 故人の祖父母
- 故人の孫
それでは、忌中にしてはいけないことを詳しく解説します。
お祝い事の開催及び参加
忌中の期間は、結婚式や七五三、地鎮祭、新築祝いなどをはじめとするお祝い事(慶事)の開催や参加はしてはいけないこととされています。
忌中の期間に結婚式に招かれ、欠席連絡をする場合、「祖父が亡くなり忌中のため」などと理由を詳細に伝える必要はありません。「やむを得ない事情により」などと連絡をするのがおすすめです。
とはいえ、故人が亡くなるよりも前に日が決まっていてキャンセル料などがかかる場合など、避けることが難しい場合もあるでしょう。
特に結婚式の場合は、両家に関わることでありキャンセル料も高額になることから、延期やキャンセルが難しいことも多くあります。その場合の判断は、両家とよく話し合って決断することが大切です。
神社参拝
忌中において、神社参拝はしてはいけないこととされています。神道では死を穢れ(けがれ)と捉えており、忌中の対象にある人が神社を参拝すると、神社に穢れを持ち込むことになってしまうためです。
神社に参拝する習慣がある人は、できるだけ喪に服す期間が明けるまで避けるようにしましょう。一方、仏教においては死を穢れと捉えていないため、お寺へのお参りは問題ありません。
新年の挨拶
「明けましておめでとうございます」などといった新年の挨拶は、忌中にしてはいけないことの一つです。どうしても新年の挨拶をしなければならないときには「本年もよろしくお願いいたします」と挨拶するようにしましょう。
新年の挨拶だけでなく、年賀状の送付も忌中にしてはいけないことです。忌中が明けるまでは、寒中見舞いや喪中はがきなどで対応するとよいでしょう。
正月飾り
門松やしめ縄、鏡餅などといった正月飾りやおせち料理を食べることも、忌中にはしてはいけないこととされています。毎年正月飾りをすることが習慣になっている場合でも、その年は何も飾らないようにしましょう。
お中元・お歳暮
夏に贈るお中元及び年末に贈るお歳暮は、忌中の期間には贈らないのが一般的です。忌中の間にお中元やお歳暮を贈ると、香典返しと勘違いされることもあります。お中元・お歳暮の発送はやめるか、忌中が明けてから贈りましょう。
旅行
忌中には、娯楽である旅行はしてはいけないとされています。不参加が難しい社員旅行や、予定が迫っている旅行の場合は話し合って対応を決めるとよいでしょう。また、仕事の出張や遠足、修学旅行などは行っても問題ないとされています。
引っ越し
意外と忘れられがちですが、引っ越しも忌中にはしてはいけないこととされています。
故人の魂は、亡くなってから四十九日までこの世にとどまると考えられており、忌中に引っ越しをしてしまうとこの世にいる故人の魂が迷ってしまうという考えがあるためです。引っ越しを予定している場合は、忌中明け以降に延期することも視野に入れましょう。
喪中にしてはいけないこと

忌中と同じく、喪中(故人が亡くなってから1年間)が明けるまでしてはいけないこともいくつかあります。忌中の期間と比べて厳しい決まりはありませんが、以下のことは避けて生活するのがよいとされています。
神社での参拝
忌中と同じく、喪中における神社参拝もしてはいけないこととされています。神社参拝を避ける理由は、忌中の際と同じく神社に穢れを持ち込まないようにするためです。
しかし、神社参拝を避けるのは忌中のみであり喪中は気にしなくてもよいという考えもあります。心配な場合は、参拝する神社に確認すると安心です。
正月のお祝い
忌中に引き続き、正月のお祝いは喪中にしてはいけないことの一つでもあります。「明けましておめでとうございます」の挨拶は避け「本年もよろしくお願いいたします」といった言葉を使いましょう。
門松やしめ縄、鏡餅といった正月飾りについても、忌中同様に避けます。正月はしてはいけないことが多く窮屈に感じるかもしれませんが、家族で故人を偲び、静かに過ごしましょう。
結婚式の開催・出席
喪中の期間の結婚式の開催・出席についても、忌中と同様、喪中にしてはいけないこととされています。結婚式の開催は延期やキャンセルが難しいこともあるため、両家にしっかり話をして了承をもらってから開催・出席するようにしましょう。
新築の購入やリフォーム
喪中の間は、新築の購入やリフォームはしてはいけないこととされることがあります。理由は、喪中は故人の供養を優先するべきため、お祝い事を避けるためなどさまざまです。
ただし、喪中に新築の購入やリフォームを行っても問題ないという意見もあります。心配な場合は、菩提寺の僧侶に相談するのも一つの方法です。
初七日法要の種類とそれぞれの流れ

初七日法要は、お通夜や葬儀などと比べて参列の機会が少ない法要です。そのため、どのようなことをするか分からないという方も多くいるでしょう。ここでは、初七日法要の種類とそれぞれの流れについて解説します。
本来の初七日法要
本来の初七日法要は、故人が亡くなった日を1日目とし7日目に行う法要です。遺族や親族が参列し、僧侶を招いて行います。初七日法要の一般的な流れは以下の通りとなります。
本来の初七日法要の流れ
- 僧侶入場
- 喪主挨拶
- 僧侶による読経
- 参列者による焼香
- 僧侶退場
- 喪主挨拶
- 精進落とし
初七日法要に参列する際には、お通夜や葬儀と同じく香典を用意するのが一般的です。ただし、遺族が香典を辞退している場合は、無理に渡さないよう注意しましょう。
繰り上げ初七日法要
本来の初七日法要は、故人が亡くなってから7日目に行います。しかしその場合、葬儀が終わってからすぐに再度集まる必要があり、遠方に住む親族などに負担がかかるでしょう。
そのため、葬儀と同日に初七日法要を行う「繰り上げ初七日法要」を取り入れる傾向が増えています。
戻り初七日
戻り初七日とは、葬儀・火葬が終わった後に再び斎場に戻り、初七日法要を行うことです。本来の初七日法要と違う点は、葬儀と同日に初七日法要を行うという点であり、法要の内容に大きな違いはありません。なお、具体的な流れは以下の通りとなっています。
戻り初七日の流れ
- 葬儀
- 火葬
- 戻り初七日(僧侶による読経や参列者による焼香など)
- 精進落とし
葬儀までは友人なども参列しますが、火葬は遺族や親族のみが参列するのが一般的です。したがって、火葬の後に行われる戻り初七日においては友人は参列しないことが多い傾向にあります。
式中初七日法要
式中初七日法要とは、葬儀の中に初七日法要を組み込むことを言います。この段階では火葬を行っていないため、遺骨ではなく位牌を前にして供養をするのが特徴です。また、葬儀中に式中初七日法要を行うため、友人などの参列者も初七日法要に参列できます。
式中初七日法要の流れ
- 葬儀
- 式中初七日法要(僧侶による読経や参列者による焼香など)
- 火葬
- 精進落とし
初七日までしてはいけないことは忌中・喪中にしてはいけないことと同じ

この記事のまとめ
- 初七日は故人が亡くなってから7日目のこと
- 初七日までの期間は故人の死を悼んで慎ましく過ごす
- 初七日までしてはいけないことは厳密にはない
- 初七日までは、忌中・喪中にしてはいけないことを意識する
- 初七日法要には本来の初七日に加えて戻り初七日や式中初七日などがある
初七日法要は、故人が亡くなった日を1日目とする数え方で7日目に行う仏教儀式で、初七日までしてはいけないことというのは厳密にはありません。
初七日までの過ごし方に不安がある方は、忌中(四十九日法要まで)や喪中(一周忌法要まで)にしてはいけないことに注意して過ごすとよいでしょう。