香典帳とは香典の管理リストのこと!具体的な書き方や記載例を紹介
香典帳は葬儀やお通夜のあとに活用する帳簿のことですが、具体的にどのようなものかをご存知でしょうか。香典帳の作成方法や書き方、活用の手順を理解しておくと、香典返しを円滑に準備できます。本記事では香典帳の作成ポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
香典帳とは
香典帳の書き方や作成方法の詳細を知る前に、香典帳とはどのようなものなのかを把握しましょう。
香典帳とはどのようなもの?
香典帳とは、葬儀やお通夜の喪主が誰からいくら香典をいただいたのかを記録・管理する帳簿のことです。香典返しや挨拶状の作成には参列者の正確な情報が不可欠なため、香典帳の作成は喪主の重要な役割の一つといえるでしょう。
芳名帳との違い
香典帳と似た言葉に、芳名帳があります。芳名帳とは参列者が自身の情報を記載するものです。芳名帳と香典帳は氏名・住所・電話番号を記入する点が共通していますが、以下のような点が異なります。
記載内容 |
記入者 |
記入のタイミング |
|
---|---|---|---|
香典帳 |
氏名・連絡先・金額・その他 |
喪主側 |
式典終了後 |
芳名帳 |
氏名・連絡先 |
参列者 |
式典の受付時 |
香典帳は葬儀やお通夜の終了後に喪主によって作成され、参列者の氏名から香典の金額、お供えの品物の内容までさまざまな情報を記録するものです。一方、参列者が受付で香典を渡すときに記入するのが芳名帳で、記載内容は香典帳よりも少なくなります。
香典帳を作成する目的
香典帳を作成すると、どのようなことに活用できるのか解説します。
香典返しのリストとして活用する
香典帳を作成する最大の目的は、滞りなく香典返しを行うことです。喪主はいただいた額に応じて香典返しを行うため、誰からいくらいただいたのかを正確に把握する必要があります。
葬儀全体の収支を計算する
香典帳には、葬儀全体のお金の動きを可視化する役割もあります。葬儀にはまとまった金額が必要となるため、いただいた香典の金額や香典返しに必要な金額の整理・把握が不可欠です。費用のやりくりに困ることがないように、収支をしっかりと管理しましょう。
法要の案内リストとして役立てる
香典帳は、四十九日や一周忌、三回忌などの法要の案内状を出すときにも利用可能です。身内には電話連絡で問題ありません。しかし故人が生前お世話になった方には、きちんと案内状を送った方がよいでしょう。案内リストがあれば送り先が一目で分かり、漏れなくご案内できます。
冠婚葬祭の金額の参考にする
葬儀に参列してくださった方の冠婚葬祭に出席する際、香典帳はご祝儀や香典の金額を決める際に参考にすることができます。いただいた金額が分かるとお渡しする金額に差が出る心配がありません。
香典帳の作成方法
初めて香典帳を利用する場合、どこで買うのか疑問に思われるでしょう。実は、香典帳は簡単に自作できます。作成方法として以下のような方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分にあった方法を選びましょう。
手書きで作成する
香典帳を手軽に作成したいときは、市販のノートや葬儀社が準備した香典リストへ手書きで記入しましょう。手書きの香典帳はパソコンが苦手な方にも作成しやすく、手にとっていつでも確認できます。
手書き作成は手軽さが魅力ですが、参列者が多いときは住所の記入や金額の計算に手間がかかるというデメリットもあります。また急いで記録すると文字が乱れ、読み返したときに内容を判別できないこともあるでしょう。負担が大きいと感じたら、手書きよりも下記で紹介する方法がおすすめです。
エクセルなどの表計算ソフトで作成する
エクセルなどの表計算ソフトを使い慣れている方には、パソコンを使った香典帳の作成方法がおすすめです。計算式を使って香典返しの金額を自動計算できるようにしたり、金額順に並べ替えられるようにしたりすると便利に使えるでしょう。
表計算ソフトのデメリットは、ソフトの扱いに不慣れな方にとって負担になることと、パソコン上だけで管理するとパソコンに不具合が生じた際にデータが消える可能性があることです。念の為、ハードディスクなどにバックアップをとっておきましょう。
テンプレートをダウンロードして作成する
香典帳の書き方に迷ったら、インターネットで配布されているテンプレートをダウンロードする方法をおすすめします。枠線があらかじめ用意されているため書き方が分かりやすく、初めてでも簡単に作成できるでしょう。エクセルのテンプレートの場合は、金額の計算も簡単です。
ただし、パソコンの操作が苦手な方にとっては、難しく感じることもあります。やはり手書きがよいという場合は、テンプレートをプリントアウトして使用しましょう。
【記載例あり】香典帳の書き方
香典帳に決まった書き方はありませんが、記載しておいた方がよい項目はあります。例えば、次のような内容です。
氏名 |
住所 |
電話番号 |
金額 |
供花・弔電 |
香典返し |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
◯◯◯ |
東京都△△12-345 |
123-4567-8900 |
2万円 |
供花 |
済 |
叔母 |
では、具体的な書き方について見ていきましょう。
氏名
香典帳には、香典を持参した方の姓と名前を記入します。名前まで書くのは、同姓の方がいた場合に混同を避けるためです。参列者が会社や団体の代表の場合、会社や団体の名称・所在地・参列者の氏名を正しく記載しましょう。
住所・電話番号
参列者の住所や電話番号は、香典帳に欠かせない項目です。香典返しや法事などの案内状は、連絡先が分からなければ送れません。記入するときは、数字の間違いがないように注意しましょう。
香典の金額
いただいた香典の金額は、香典帳に必須の記載事項です。金額がはっきりと分かれば、香典返しの金額を決めやすく、事前に予算を立てやすくなります。
供花・弔電について
香典帳には、供花や弔電を記載する項目を用意しておきましょう。供花や弔電をいただいたかどうかを把握しておくと、後日送付する挨拶状にてお礼の気持ちを伝えられます。
お返しの未・済チェック欄
香典帳には、香典返しを送ったかどうかを記載する欄も設けておきましょう。同じ方に何度も送ってしまったり、送り忘れたりするのを防ぐためです。
備考欄
香典帳を作成するときは、最後に備考欄も加えておきましょう。葬儀やお通夜に参列された方の故人との関係性や、お供えとしていただいた品物の内容などを記載します。詳細が分かるとリストを管理しやすくなり、香典返しを滞りなく行えるでしょう。
香典帳作成から香典返しまでの流れ
香典帳を作成して香典返しを行うまでの流れを押さえ、いざというときに対応できるようにしましょう。
①葬儀で会葬カードに記入してもらう
まず、葬儀の受付で参列者に会葬カードを渡し、記入をお願いします。会葬カードとは、名前や住所、お供えの有無などを記入するものです。香典袋にも名前や住所が記載されていますが、記入漏れがある可能性があります。会葬カードがあれば、必要な情報を揃えやすくなるでしょう。
なお、受付は基本的に葬儀社のスタッフではなく、喪主が依頼した方が行います。打ち合わせの際に、受付で参列者へ会葬カードを渡して記入していただくように伝えておきましょう。
②葬儀のあとに香典帳を作成する
香典帳は、葬儀やお通夜が終わって一旦落ち着いてから作成しましょう。葬儀当日は慌ただしくなるため、香典帳を作成する時間がなかなか取れません。
③リストと香典袋を突き合わせて確認する
香典帳を作成したら、香典袋と突き合わせてデータを確認しましょう。香典帳に名前はないのに香典袋があるときは、記入漏れの可能性があります。また、金額の記載ミスが起こることがあるため、香典袋に記載された金額と照らし合わせて確認するのが大切です。
④品物や挨拶状を用意する
香典帳が完成したら、リストを参考にしてお返しの品物や事前に送る挨拶状を用意しましょう。香典返しは本来直接手渡しするものですが、郵送で届ける場合はお礼の気持ちを伝えるために挨拶状が必要です。
⑤香典返しを渡す・送る
忌明けから1ヵ月以内を目安に、香典返しを直接渡すか挨拶状を添えて郵送しましょう。香典返しの時期が決まっているのは、無事に法要がすんだことを報告する意味も込められているためです。ただし、忌明けの時期は宗教によって異なります。
香典帳を作成するときのポイント
香典帳を実際に作成することになったら、以下の二つのポイントを意識しましょう。
香典返しが終わるまで香典袋をとっておく
香典を取り出した後、香典返しが終わるまでは香典袋を捨てないように注意してください。氏名や金額が記載された香典袋を保管しておくと香典帳を円滑に作成でき、香典袋を見ながら記載内容を確認できます。香典袋はそのままだとばらばらになってしまうため、輪ゴムで束ねて箱に入れて管理しましょう。
リストに記載する順番を工夫する
香典帳に記載する順番は、喪主自身が見やすい方法を採用しましょう。リストの順番を工夫すると、香典返しや挨拶状の送付がスムーズになります。例えば、以下のような並べ方がおすすめです。
リストの順序例
- 氏名の五十音順
- 関係順
- 金額順
氏名の五十音順は、リストから名前を探しやすいメリットがあります。例えば連絡先を知りたいときは、名前が分かっていればリストから住所や電話番号を探すのが簡単です。また、冠婚葬祭のご祝儀や香典を用意するとき、リストから名前を探して金額を参照できます。
金額順は香典返しをするときに便利です。高額な香典返しが必要な方がいるかどうかをすぐに把握できます。法要の案内状を出しやすいのは関係順です。四十九日以降の法要は親族だけで行うことが多くなるため、関係順にすると誰を呼ぶべきかが分かりやすくなります。
香典帳を活用して香典を適切に管理しましょう
この記事のまとめ
- 香典帳は、参列者の情報や香典金額を記録する帳簿である
- 香典帳は、香典返しのリストや法事の案内リストなどに活用できる
- 香典帳は自作可能で、手書きとパソコンを使う作成方法がある
- 会葬カードがあると、香典帳が作成しやすくなる
- 香典袋は香典返しが終わるまで捨てないようにする
香典帳を作成することで、参列者の情報や金額を正しく把握できるようになり、段取りよく香典返しを行えます。負担にならない作成方法を選んで香典帳を作成し、香典を適切に管理できるようにしましょう。