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遺言書と遺書の違いとは?作成目的によって書き分け相続トラブルを防ごう

遺言書と遺書の違いとは?作成目的によって書き分け相続トラブルを防ごう

遺言書と遺書の違いをご存知でしょうか?両者は間違いやすい言葉ですが、書き方や内容、保管方法が異なり、作成する目的に応じて使い分ける必要があります。本記事で両者の違いについて理解を深め、死後の相続トラブルを回避しましょう。

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遺言書と遺書の主な違い

遺言書と遺書は共通した漢字を使っているため混同されやすいですが、違うものを指します。ここでは遺言書と遺書の大きな違いや、それぞれの言葉の定義を確認しましょう。

遺言書と遺書の大きな違いは法的効力の有無

遺言書と遺書の違いは、法的な効力があるか否かです。遺言書は法的効力のある法律文書ですが、遺書には法律上の効力がありません。遺言書に法的効力を持たせるためには、書き方や内容、手続きの仕方に関して法律上の規定に従う必要があります。

遺言書の定義

遺言書は、被相続人の財産に関する最終の意思表示です。遺言書の目的は自分の死後の遺産分割や財産の処分方法、子の認知などに関して意思表示をすることであり、規定に従って作成された遺言書は法的効力を有します。遺言書の具体的な法的効力は以下の通りです。

遺言書の法的効力

  • 遺産の分割方法の指定
  • 推定相続人(相続人になる予定の人)の指定・排除
  • 遺産分割の禁止
  • 財産の処分に関すること
  • 生命保険金の受取人の変更
  • 非嫡出子の認知
  • 未成年後見人の指定
  • 遺言執行者の指定

遺書の定義

遺書とは、死後に家族や友人に読んでもらう言葉を綴った手紙のことです。遺言書と違い、目的は生前の想いを伝えることにあります。そのため、遺書に遺産相続のことを記しても基本的に法的効力はありません。ただし法律上必要な要件を満たせば、遺言書と同様に扱われる場合もあります。

遺言書を作成するメリット・デメリット

遺言書の作成には、メリットとデメリットの両方があります。

遺言書のメリット

遺言書を残すことのメリットは、相続に関するトラブルを避けて遺産分割の手続きを円滑に進められることです。財産に関する情報を整理・把握でき、本来は相続人全員で行う「遺産分割協議」が不要となります。

遺言書のデメリット

遺言書は、作成する手間と種類によっては費用がかかることがデメリットです。指定された書式に従って書かれていない遺言書は法的効力を持ちません。そのため、書き方を理解して注意しながら作成しなければなりません。

遺言書の作成方法・書き方

遺書と違い、遺言書の書き方にはルールがあり、規定に基づいた作成が必要です。また遺言書にはいくつかの種類があり、作成方法は種類ごとに違います。

遺言書には普通方式と特別方式がある

遺言は「普通方式」と「特別方式」に分けられます。違いは特別な事情があるかという点です。通常作成されるのは普通方式ですが、病気で死期が迫り遺言書を作成できないときなどには特別方式を利用できます。また、普通方式の遺言書はさらに三種類に分けられます。

普通方式の三種類の遺言書

  • 自筆証書遺言:本人が作成する遺言書
  • 公正証書遺言:証人の立会いのもとで作成する遺言書
  • 秘密証書遺言:内容は秘密のまま、存在のみを公証役場で認証する遺言書

普通方式の遺言書の作成方法・書き方

普通方式の三種類の遺言書は、作成方法や書き方において大きな違いがあります。

自筆証書遺言

一般的には内容・日付・署名を全て自筆します。自筆証書遺言は、作成場所や時期を選ばないメリットがある一方で、たとえ一ヶ所でも規定に反していると遺言書が無効になる恐れもあるため注意しましょう。

なお近年の相続法の改正により、遺言書に添付する財産の目録に限っては、パソコンで作成した文書や通帳のコピーなどが利用できるようになりました。

自筆証書遺言を作成する流れ

  1. 遺言内容を手書きする
  2. 作成日を手書きする
  3. 署名押印をする
  4. 封筒に入れて封印し、印鑑を押す

公正証書遺言

遺言者が公証役場に出向き、二人以上の証人の立ち会いのもと遺言の内容を伝え、公証人が記録します。記録した文書は遺言者や証人と読み合わせて確認し、署名・押印すれば完成です。公正証書遺言は、証人が関与することで相続のトラブルに発展しにくいというメリットがあります。

証人になるために特別な資格は不要ですが、未成年者や利害関係のある者(推定相続人とその配偶者、公証人の配偶者など)は証人になれません。

公正証書遺言を作成する流れ

  1. 遺言書の原案を作成する
  2. 二人以上に証人を依頼する
  3. 証人と公証役場へ行く
  4. 公正証書遺言を作成する
  5. 遺言書の原本が公証役場に保管される

秘密証書遺言

自分で作成した遺言書を公証役場に持参し、手続きを踏んで自ら書いた遺言書であることを証明してもらいます。自筆証書遺言との違いは、署名と押印を自筆で行えば、それ以外の本文・日付をパソコンでの作成や代筆が許されることと、公証人と二人の証人が必要なことです。

必ずしも自筆である必要がない点は便利でしょう。しかし内容が秘密であるがゆえに不備があっても気付けず、原本は紛失しないように自己管理しなければならないといったデメリットもあります。

秘密証書遺言を作成する流れ

  1. 手書きまたはパソコンで遺言書を作成する
  2. 二人以上に証人を依頼する
  3. 証人と公証役場へ行く
  4. 遺言者と証人が遺言書に署名押印する
  5. 公証役場に遺言書を作成した記録が残る

特別方式の遺言書の作成方法・書き方

特別方式の遺言書は、状況によって作成方法が違います。特別方式は、通常の遺言書を作成できない事態において作成されるものであるためです。例えば、次のような作成方法があります。

状況

方法

一般臨終遺言

病で死期が迫っている

三人以上の証人の立ち会いのもと、遺言者が口頭で内容を伝える

一般隔絶地遺言

伝染病で隔離されている

警察官と証人の立ち会いのもと、遺言者が遺言書を作成する

難船臨終遺言

船の中で死期が迫っている

証人二人以上の立ち会いのもと、口頭で内容を伝える

遺書を作成するメリット・デメリット

遺書は遺言書と違うため、メリットやデメリットも異なります。

遺書のメリット

遺書は大切な人へ自分の想いを伝えられるだけでなく、自分のこれまでの人生を見つめ直すきっかけにもなります。なぜなら紙に書き出すことで考え方が整理され、これまでの生き方について考える時間ができるためです。また、身近な人の存在の大きさや日々の大切さに気付くきっかけにもなるでしょう。

遺書のデメリット

遺書はあくまで希望を伝えるものにすぎず、相続について記載されていたとしても、自筆での日付や氏名の記載、押印があるなどの法律上の要件を満たしていなければ法的効力はありません。遺書は遺言書と違い、法的効力のない自由な手紙であるためです。

遺書の作成方法・書き方

遺書と遺言書は作成目的に違いがあるため、書き方も変わってきます。

遺書の作成方法・書き方に決まりはない

遺言書と違い、遺書の作成方法や書き方に決まりはなく、自由に記載できます。遺書は法的効力を持たせるものではなく、遺された家族や友人へのプライベートなメッセージです。相手との関係に応じて、丁寧な表現やカジュアルな表現など文章を変えて読みやすくしましょう。

ただ書き方に決まりがないからこそ、どのように書けばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、自分の想いを上手く伝えたい方におすすめの書き方を紹介します。

おすすめの遺書の書き方

遺書を書く前に、誰に何を伝えたいかを考えた上で、構成を決めるのがおすすめです。遺書を渡す相手を明確にすることで記載する内容を決めやすくなり、構成を考えることで読みやすい文章になります。

遺言書と遺書の保管方法の違い

遺言書と遺書は作成方法や内容が異なるため、保管方法も違います。

遺言書の保管方法

遺言書は、以下の五つの方法で保管されます。

遺言書の五つの保管方法

  1. 自分で保管する
  2. 相続人などに預ける
  3. 弁護士に預ける
  4. 「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局に預ける
  5. 公証役場に預ける

どの方法で保管できるのかは遺言書の種類によって違います。一つずつ確認していきましょう。

自筆証書遺言の場合

先述した1〜4のどの方法でも保管できます。公正証書遺言や秘密証書遺言と違い、証人を立てる必要がない自筆証書遺言は保管方法の選択肢が多いです。

ただし、保管方法の選び方には注意が必要です。自己保管や相続人への依頼は費用がかからないメリットがある一方で、紛失・破棄・隠匿といったトラブルを招く危険性もあります。確実な方法を選ぶなら法務局または弁護士に預ける方法がおすすめです。

公正証書遺言の場合

公正証書遺言は他の遺言書と違い、必ず公証役場で保管されるといった決まりがあります。公正証書遺言は安全かつ確実に遺言を残すための方法です。仮に本人以外が閲覧を請求したとしても応じられることはなく、遺言内容の秘密が守られます。公正証書遺言を作成したら、相続人に公証役場の場所を伝えておきましょう。

秘密証書遺言の場合

秘密証書遺言は、先述した1〜3のいずれかの方法で保管できます。自筆証書遺言と違い、法務局に預けられないのは「自筆証書遺言書保管制度」が自筆証書遺言の紛失リスクを解消するためのものだからです。

遺書の保管方法

遺言書と違い、遺書の保管方法に特別な決まりはありません。遺書は法的効力を持つものではないため、自由に保管できます。とはいえ、遺された人への大切なメッセージです。見つけてもらえる場所に保管しておきましょう。

遺言書と遺書の違いに関するQ&A

最後に遺言書と遺書の費用の違いや、遺書とエンディングノートの違いについて、Q&A形式で紹介します。

Q. 遺言書と遺書の費用の違いは?

A. 遺言書は作成方法によって費用が必要な場合がありますが、遺書は基本的に費用が発生しません。遺言書は作成や保管に費用が発生することがありますが、遺書は遺言書と違い、書き方から保管方法まで決まりがないものです。

自筆証書遺言は基本的に費用はかかりません。ただし、法務局が遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」を利用すると、3,900円の費用がかかります。

公正証書遺言を作成するときは、公正証書作成手数料や証人の日当などが必要です。手数料は相続財産によって違うため、事前に調べておきましょう。秘密証書遺言は、1万1千円の手数料と証人の日当が発生します。

自筆証書遺言書保管制度について(法務省)

公証事務(日本公証人連合会)

Q. 遺書とエンディングノートの違いは?

A.遺書とよく似たものとしてエンディングノートがあります。両者は法的効力がないという点で共通していますが、作成者本人が日常的に使用するかどうかという点が違います。

遺書は、お世話になった人に感謝や想いを伝える手紙で、作成後は封筒などに入れて保管するのが一般的です。これに対し、エンディングノートは終活のためのアイテムです。定期購入の有無や葬儀の希望といった死後の手続きに関すること、人生の振り返りを書いて定期的に更新します。

両者の内容に決まりはありません。例えば、遺書にスマートフォンのパスワードなど手続きに必要な情報を書くこともあれば、エンディングノートに家族への感謝を書くことも可能です。ただ、エンディングノートは、家族だけでなく自分が生きている間にも活用するという点が違います。

遺言書と遺書の違いを理解し目的に応じて使い分けましょう

この記事のまとめ

  • 遺言書と遺書の大きな違いは法的効力の有無である
  • 遺言書の作成方法・保管方法・費用は、遺言書の種類によって異なる
  • 遺書は遺言書と違い、書き方や保管方法に決まりはない
  • エンディングノートは生き方や希望を綴った終活アイテムである

遺言書と遺書は間違えやすい言葉ですが、内容や書き方、保管方法が全く違います。相続トラブルを避けるためにも、遺言書と遺書の違いをきちんと理解し、目的に合わせて活用しましょう。

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