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葬儀のあと

過去帳の書き方ガイド|自分で書く場合の記入例や注意点を解説

過去帳の書き方ガイド|自分で書く場合の記入例や注意点を解説

過去帳は位牌と同様に重要な仏具の一つであるため、宗派に沿った書き方をしなければなりません。本記事では、過去帳の書き方について宗派別に解説していきます。具体的な記入例や注意点も紹介しているため、作成時の参考にしてみてください。

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過去帳とは

過去帳は仏教において重要な仏具の一つであり、宗派によって書き方が異なりますが、もともと過去帳とはどのような仏具なのでしょうか。まずは、過去帳とは何かについて解説します。

命日・法要で覚書として使われる帳面

過去帳とは、故人の命日や法要の日に用いられる覚書としての役割を持つ折本です。過去帳には、宗派ごとの書き方に沿って故人一人ひとりの戒名や俗名、没年月日、亡くなった年齢などの情報が記録されています。

法要の際には、僧侶が過去帳の中から供養する故人の情報が記録されたページを開いて手を合わせることで、法要の対象となる故人を正しく供養します。

家族の系譜を知ることができるものでもある

過去帳は、故人のさまざまな情報が記載されているため、家族の系譜を知りたいときの手がかりにもなります。帳面の書き方にもよりますが、過去帳の各ページには、故人の法名や亡くなったときの年齢だけでなく、没年月日や続柄なども記載されています。

過去帳の記録を確認することで、ご先祖がどのような人だったか、どのような続柄・職業だったのかなども分かるため、家系図としての役割もあるといえるでしょう。

宗派によっては位牌の代わりとして用いられる

宗派によっては、過去帳が位牌の代わりとして用いられる場合もあります。仏教の中でも浄土真宗は「死後の魂は位牌に宿らずに極楽浄土へ至る」という考え方から、葬儀の際や仏壇に位牌を飾らないことが一般的です。

また、過去帳は一冊に多くの故人の記録を残せるため、位牌を作る宗派であっても、多数の位牌の情報をまとめて管理したいときに活用されます。法要の際に正しい書き方で位牌の内容を過去帳へ書き写すことで、仏壇のスペースを圧迫することなく、故人の記録を保管しやすくなるでしょう。

過去帳に記録する主な内容

過去帳は宗派によって書くタイミングや細かい書き方などの違いこそあるものの、記載される情報はほとんど変わりません。ここからは、一般的に過去帳に記録する主な内容とその書き方について解説します。

家の名字

過去帳の表装には、家の名字を記載するのが一般的です。多くの仏教系の宗派では「〇〇家先祖代々之霊」や「〇〇家過去帳」などの書き方を採用しますが、家庭によっては表装に名字を記載せずに「過去帳」という書き方をしている場合もあります。

戒名または法名

故人の戒名または法名を記載します。戒名や法名とは、仏様の弟子となった証として授けられる名前のことで、宗派によって呼び名・書き方が異なります。

特に浄土真宗では、阿弥陀如来を深く信じることで誰でも極楽浄土へ行けるという「他力本願」の考え方に基づいており、他の宗派のように修行を行うという考え方がありません。ゆえに、浄土真宗では戒名ではなく、法名という呼び方・書き方が採用されています。

故人の命日

戒名・法名の傍には故人の没年月も記載します。過去帳のレイアウトや宗派ごとに採用されている書き方にもよりますが、ページ上部に日付欄がある場合には命日のページに没年月まで記載することが一般的です。日付欄がない過去帳の場合は、すでに書かれているご先祖の記録の隣に命日を含む情報を記入します。

故人の俗名

戒名・法名の左隣には、故人の俗名を記載します。俗名とは故人の生前の名前のことです。葬儀や法要では戒名・法名が用いられますが、俗名は過去帳を見たときにご先祖の本名を確認したり、慣れ親しんだ生前の名前を見て故人を思い出したりする際に活用されます。

没年齢

俗名の下には、故人の没年齢も記載します。没年齢については、作成をお願いするお寺やこれまでのご先祖の記録の仕方によって書き方が異なるため、注意が必要です。一般的には「行年」または「享年」のどちらかの表記が用いられます。

「行年」とは、この世に生まれて何歳まで生きたかを表すときの書き方であり、満年齢で記載されます。対する「享年」は、天から享けた年を意味するときの書き方であり、数え年で記載します。自分で過去帳を書くときは、それまでの書き方に合わせることが大切です。

続柄・故人の功績など

過去帳のレイアウトや書き方によっては、故人の続柄や関係、故人の功績などを記載する場合もあります。功績とは、どのような職業に就いていたかや生前の偉業などが挙げられます。故人の生い立ちや経歴が記載されていれば、ご先祖についてより深く知ることができるでしょう。

自分で過去帳を書く場合の記入例

過去帳は、宗派ごとの書き方を押さえておけば自分で書いても問題ありません。ここからは、自分で過去帳を作成する場合の記入例を宗派別に紹介します。

浄土宗の場合

浄土宗における過去帳の書き方の特徴は、限られた人にのみ戒名の前に「誉号(よごう)」を記載する点です。「誉号」とは、宗派の思想を学んだ上で受戒する儀式である「五重相伝会」を受けた人のみに与えられる称号を意味します。

浄土宗の場合、過去帳に戒名を記載するときには、院号(下記の例における「◇◇院」の部分)・道号や誉号(例における「誠岳譽」や「優室」)・戒名(例における△△の部分)・位号(戒名のランクのことで例における「信士」や「大姉」の部分)の順番が正しい書き方です。

一例として、戒名のランクが居士の場合だと、誉号がある場合の戒名は「譽〇〇居士」といった書き方になります。誉号がない人は道号の後ろに「〇〇居士」と過去帳に記載することが一般的です。

【浄土宗】過去帳の書き方の例(※実際には縦書きで書く)

  • 昭和〇年〇月 ◇◇院 誠岳譽△△信士 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 行年八十歳(誉号がある場合)
  • 昭和〇年〇月 ◇◇院 優室△△大姉 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 享年七十九歳(誉号がない場合)

浄土真宗の場合

浄土真宗の過去帳の書き方は、院号・釈号に続いて法名を記入します。釈号とは法名の一番上に記載する文字のことで、故人が男性の場合は「釈(釋)」、女性の場合は「釈尼(釋尼)」と記載することが一般的です。

【浄土真宗】過去帳の書き方の例

  • 昭和〇年〇月 法名 釋△△ 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 享年八十歳(男性の場合)
  • 昭和〇年〇月 法名 釋尼△△ 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 行年七十九歳(女性の場合)

日蓮宗の場合

日蓮宗の書き方では、戒名ではなく法号という言葉を用います。法号には日蓮宗の開祖である日蓮聖人にならい、日の文字を冠した「日号」という文字を記載する点も特徴です。日号は、故人が男性の場合は「日」、女性の場合は「妙」と書き方が変わる点は注意しましょう。

【日蓮宗】過去帳の書き方の例

  • 昭和〇年〇月◇◇院×日△△居士 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 享年八十歳(男性の場合)
  • 昭和〇年〇月◇◇院×妙△△大姉 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 享年八十歳(女性の場合)

真言宗・天台宗・臨済宗・曹洞宗の場合

真言宗・天台宗・臨済宗・曹洞宗の4つの宗派の過去帳の書き方はほとんど一緒で、院号・道号・戒名・位号の順番に記載します。

天台宗については、戒名の前に大日如来を表す文字である「梵字」を入れることがあります。梵字の書き方やどれを使えばよいか分からない場合は、菩提寺の僧侶に相談しましょう。

【真言宗・天台宗・臨済宗・曹洞宗】過去帳の書き方の例

  • 昭和〇年〇月◇◇院△△居士 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 享年八十歳
  • 昭和〇年〇月◇◇院×日△△大姉 俗名 ◻︎◻︎◻︎◻︎ 享年八十歳

過去帳の書くときの注意点

過去帳には、書く内容以外にも使う筆記具やレイアウトなどについてのマナーがあります。ここからは、過去帳の書き方に関する注意点を解説しますので、自分で過去帳を書く人は特に注目してください。

過去帳は筆と墨を使った書き方が一般的

過去帳は、筆と墨を使った書き方が一般的です。墨で書かれた文字は長い年月を経ても残るため、子孫に代々引き継がれていく過去帳にふさわしいとされているからです。

実際に筆と墨で書き込む際には、文字が潰れて読めなくなるのを防ぐために、少し細めの筆を使うことをおすすめします。

近年では墨を使って書くという意識は薄れているため、墨や筆を用意するのが難しい場合や筆文字が苦手な場合は、筆ペンやボールペンなどで記入しても問題はありません。

過去帳のレイアウトは二行または三行で書く

過去帳は、縦に二行または三行で故人の情報を記録することが一般的です。三行タイプの過去帳はひとりあたりの記入スペースが広いため、一行目に没年月、二行目に戒名、三行目に俗名・没年齢を記載します。

二行タイプの過去帳の場合は、一行目に戒名または法名を記載し、二行目に没年月と俗名・没年齢を書きましょう。二行目を書くときは文字が潰れやすいため、スペースを縦半分に分けてから書き始めることが書き方のポイントです。

下書きをするときは鉛筆で薄く書く

筆を使用しての文字の手書きに慣れておらず事前に下書きをする際には、鉛筆で薄く書きましょう。鉛筆で強く書いてしまうと消す際に紙を傷めてしまうため、力を抜いて薄く書いてください。

書き方を間違えたら上から紙を貼って書き直す

過去帳の表装やページに書く際に、書き間違えてしまったら上から紙を貼って書き直しましょう。しかし、書き損じた部分を完全に隠せるわけではないため、実際に自分で過去帳を書く場合は間違いがないよう慎重に書き始めるとよいでしょう。

書き方に悩んだらお寺・仏壇店で書いてもらう

過去帳の書き方に悩んだら、菩提寺の住職や仏壇店のスタッフにお願いして書いてもらいましょう。住職や仏壇店であれば、各宗派の書き方に合わせて過去帳を作成してもらえるだけでなく、自分で書くときに分からない所があれば相談もできます。

法要とは関係なく過去帳への記入を住職に依頼する場合は、お布施を用意しましょう。お布施の相場は5千円〜1万円ほどです。

過去帳を扱うときの注意点

過去帳は先祖代々受け継がれていくものだからこそ、丁寧に扱うことが大切です。ここからは、過去帳を保管・使用するときなどの扱い方や注意点を紹介します。

過去帳は開きっぱなしにしない

仏壇などに過去帳を飾っておく際には、ページを開きっぱなしにしないようにしましょう。開きっぱなしにしていると太陽光や空気に触れて紙が劣化し、開いていた部分だけ黄色く変色してしまいます。過去帳を保管する際には閉じた状態で飾るようにしましょう。

過去帳がお供えの水や花に触れないようにする

過去帳がお供えの水や花に触れないようにしてください。過去帳は和紙で作られているものが多く、水に触れると文字がにじんだり、破れてしまったりすることもあります。

湿気が多い時期は、過去帳を乾燥剤と一緒に仏壇の引き出しの中に収納しておくとよいでしょう。

宗派に合った過去帳の書き方をしましょう

この記事のまとめ

  • 過去帳とは、命日・法要の際に使われる覚書のこと
  • 過去帳には一般的に戒名・没年月・俗名・没年齢を記載する
  • 過去帳の書き方は宗派によって異なる
  • 過去帳を書く際は、筆と墨を使い三行または二行で故人ひとりの情報をまとめる
  • 過去帳に下書きをする際は鉛筆で薄く書き、訂正する場合は上から紙を貼る

過去帳は故人の情報をまとめるものとしてだけでなく、故人一人ひとりを丁寧に供養したり、自分の家族の系譜を振り返ったりするときにも使われる大切な仏具です。過去帳を作成する際は、各宗派における書き方を理解しましょう。

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