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健康・カラダのこと

親が認知症になったらやるべきこと5つ。必要な相続対策や手続き、介護支援制度も紹介

親が認知症になったらやるべきこと5つ。必要な相続対策や手続き、介護支援制度も紹介

親が認知症になったらやるべきことは何か知っていますか?本記事では、親が認知症になった場合に起こる問題や、認知症になったらやるべきことを紹介します。親の行動が最近おかしいと感じていたり、親に認知症の疑いがある人は、ぜひ参考にしてください。

監修者 SUPERVISOR
社会福祉士/介護福祉士/ケアマネジャー/福祉住環境コーディネーター2級 長谷部 宏依

介護職員として介護老人保健施設に勤務。
ケアマネジャー取得後は、在宅で生活する高齢者や家族をサポートする。
現在はWebライターとして、介護分野に関する記事を中心に執筆している。

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そもそも認知症とは?

認知症とは、単に物忘れが激しい状態を指すわけではありません。脳の病気によって記憶力や判断力、言語能力などが低下し、日常生活に支障をきたす症状のことを指します。進行性の病気であり、一度低下した機能は元に戻ることはほとんどありません。
認知症の種類はさまざまですが、その中で最も多いのは以下の3つです。

認知症の種類

  • アルツハイマー病:脳内の神経細胞が徐々に減少していく病気。認知症全体の約60~70%を占める。
  • 脳血管性認知症:脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起こる認知症。認知症全体の約20%を占める。
  • レビー小体型認知症: 脳内にレビー小体という異常なたんぱく質の塊ができる病気。幻視や妄想などの症状が現れることが特徴。

令和5年 政府広報オンライン (内閣府)

認知症の症状は、認知症の種類や進行度によってさまざまですが、主な症状は以下の通りです。

認知症の症状

  • 記憶障害:最近の出来事を忘れる、約束や予定を忘れる
  • 見当識障害:時間や場所、人物などが分からなくなる
  • 判断力・思考力の低下:簡単な計算や判断が難しくなる
  • 失語:言葉を話すことが困難になる
  • 失行:服の着方や道具の使い方が分からなくなる
  • 性格や行動の変化:怒りっぽくなる、不安になる、徘徊する

認知症の症状が見られた場合にやるべきなのは、医師の診察を受けることです。問診では、本人や家族に症状について聞き、記憶力や判断力などの認知機能を検査します。状況に応じて、血液検査や脳の画像検査なども行われます。

親が認知症になったら起こりえること

親が認知症になったら、次のようなことが起こる可能性があります。ここからは、親が認知症になったら起こるかもしれないことと、その対策について解説します。

徘徊する

認知症になると、徘徊(はいかい)の症状が出る可能性があります。徘徊とは、認知症の方が一人で外出してしまい歩き回る行動を取る症状のことです。認知症の進行に伴い、自分がどこにいるのか、どこに行きたいのか分からなくなってしまいます。

徘徊は周りから見たら目的もなく歩いているように見えます。しかし本人は過去の記憶に基づいて行動しており、昔のように会社に行こうとしたり子供の送り迎えに行こうとしたりします。

徘徊をするとそのまま行方不明になったり交通事故に遭ったりする可能性もあるため、外出しようとしたら一緒についていくなどの対策が必要です。

やけどなどの怪我が多くなる

親が認知症になったら、火の取り扱いや調理には注意が必要です。

火の取り扱いなどで起こりえること

  • やかんでお湯を沸かしたまま忘れてしまう
  • 煮物を作っている途中に違うことに気が向いてしまい、鍋を焦がしてしまう
  • 適切な対応ができなくなり、やけどをしたり包丁で指を切ったりしてしまう

誰にでも失敗することはありますが、認知症になると危険なものに対する認識が弱くなってしまうため、怪我しやすくなります。

生活習慣病にかかりやすくなる

親が認知症になったら、食生活の乱れや運動不足が原因で、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症しやすくなります。健康管理のため、適度に外出の機会を作ることが重要です。また、多くの食材を使用したバランスのよい食事が摂れるように心がけましょう。

詐欺にあう危険性が高まる

親が認知症になって正常な判断ができなくなっている場合、大きな金額をだまし取られるなど詐欺に遭う危険性があります。お金の管理は子供が行うなど、詐欺被害に遭わない対策をしていくことが重要です。

お金の管理が適切にできなくなる

親が認知症になったら、次第にお金の管理が困難になります。支払いを忘れたり無駄遣いをしたりすることが増え、家計に大きな影響を与えることも少なくありません。

親が認知症になったら、定期的な支払いは銀行引き落としを活用しましょう。多額の現金は持たせないようにすれば無駄遣いは防止できます。

家族でも親の資産管理ができなくなる

親が認知症になったら、子供が資産管理をしようとしても、銀行から預金を引き出せなくなる可能性があります。親が認知症になる前に成年後見制度や家族信託など手続きを行っておくとよいでしょう。

新たな契約が結べない

親が認知症になり、意思決定能力が失われていると判断された場合、新たな契約を結ぶことができません。

親が認知症になったらやるべきことは、司法書士や税理士など専門家に相談することです。どのように対応して手続きを取ったらよいか分からない場合は自分で考え込まず、すぐに相談するとよいでしょう。

親が認知症になったらやるべきこと5つ

認知症の親をサポートするためには、認知症に対する知識や準備が必要です。親が認知症になったらやるべきことを知っておけば、すぐに行動できるでしょう。ここでは、親が認知症になったら家族がやるべきことを6つ紹介します。何をやるべきなのか、きちんと把握しておきましょう。

家族が認知症について理解する

親が認知症になったらやるべきことは、家族が認知症について正しく理解して対応することです。認知症の種類や症状、進行過程を知ることで、親への適切なサポートが可能になります。

知識不足で誤った対応をしてしまうと、親の尊厳を傷つけたり大きな事故につながったりする可能性もあるため注意が必要です。

医療機関を受診する

親に認知症の疑いが出たときにやるべきなのは、速やかに医療機関を受診することです。専門の医師による迅速な診断と治療が、症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させる大切なポイントとなります。専門の医療機関が分からない場合、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。

地域包括支援センターを利用する

親が認知症になったらやるべき行動の一つは、ひとりで抱え込まないために、地域包括支援センターを利用することです。地域包括支援センターは、地域の認知症の人とその家族をサポートしてくれます。

要介護認定を受ける

親が認知症になった場合、要介護認定を受けましょう。介護保険でデイサービスやショートステイなどが利用できるようになり、親の認知症進行防止や、介護負担の軽減にもつながります。地域包括支援センターでも申請の代行をしているため、相談してみるとよいでしょう。

資産を確認する

親が認知症になったらやるべき項目として、資産状況を把握し、適切に管理することが挙げられます。

認知症が軽度のうちなら、預金通帳や自宅の権利書などを保管してある場所も覚えているかもしれません。どのような種類の資産がいくらあるのか把握しておきましょう。

相続対策について確認する

親が認知症になったらやるべきことの一つは、早めの相続対策です。成年後見制度の利用や遺言書の作成、家族信託などの方法があります。

認知症が進行していき判断能力がないと判定されると、遺言書の作成等できない相続対策もあります。手続き以前に介護や通院など、やるべきことがたくさんあり大変かもしれません。しかし親が認知症になったら、迅速に税理士や司法書士など専門家と相談しながら、解決するために最適なプランを立てることが肝心です。

親が認知症になったらすぐにやるべき相続対策

親が認知症になったらやるべき大きな項目として、相続対策があります。認知症になると、財産管理や意思決定が難しくなるため、早期に適切な対策を立てることが必要です。どのような対策が考えられるのか、詳しく説明します。

成年後見制度

親が認知症になったらやるべきこととして、お金の管理方法を考えることが挙げられます。一般的に子供が管理することが多くなりますが、親が認知症になっていると銀行が判断した場合、子供でも預金の引き出しができなくなります。

本人の意思確認ができない状態で継続的に預金を引き出す場合、銀行は成年後見制度の利用を勧めています。

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な人を保護し、支援するための制度です。後見人になった人が親の資産管理をすることになります。誰が後見人になるのかは地域の家庭裁判所が決定するため、必ず子供が後見人になれるわけではない点をあらかじめ認識しておきましょう。

家族信託

親が認知症になったらやるべきこととして、家族信託があります。家族信託とは、親の財産を信頼できる家族に託し、その家族が受託者となって、親のために財産の管理や運用をする仕組みです。

「親の預金が引き出せない」「不動産の売却ができない」といった問題も、家族信託の契約をして、権限を子供に移しておけば解決します。認知症の症状が軽度であれば、家族信託の契約ができる可能性があるでしょう。

契約の判断基準を決めるのは、医師ではなく公証人です。親が契約内容を理解できていると判断されれば、家族信託の契約ができます。

遺言書作成

親が認知症になったらやるべきこととして、遺言書作成の催促があります。認知症が軽度で判断能力が残っている状態なら、遺言書が認められる場合もあるためです。

正式な遺言書は公証役場で手続きして作成します。認知症の症状が出ている場合まずやるべきなのは、認知症専門医に診断書を作成してもらい「遺言作成能力に問題がない」と記載してもらうことです。

しかし、遺言能力は法的に判断されるものです。診断書があっても公証人が認めないこともあるため、覚えておきましょう。

生前贈与

親が認知症になったらやるべきこととして、生前贈与があります。やるべきは、親の意思や判断能力について主治医の先生と面談し、贈与ができるかどうかの意見を聞くことです。問題ないと診断された場合は後からトラブルにならないようにカルテに記載してもらいましょう。

贈与については口約束でも有効ですが、書面にしておくのがおすすめです。きちんと書類として残しておいた方が、家族間のトラブルを避けられます。

親が要介護認定を受けたら活用できる介護保険制度

親が認知症になったらやるべき手続きの一つは、要介護認定を受けることです。家族にとって介護保険制度の利用は、身体的・精神的に大きな支えです。ここでは、要介護認定の受け方と、介護保険制度を利用した介護サービスについて解説します。

要介護認定を受ける方法

親が認知症になったらやるべきことの一つが、要介護認定の手続きです。市区町村の窓口に「介護保険被保険者証」を持参し「介護保険要介護・要支援認定申請書」を提出しましょう。

その後、市区町村の職員やケアマネジャーが自宅を訪問し、本人の心身状況や日常生活の状況について聞き取り調査を行います。主治医が作成した「主治医意見書」と調査結果に基づき、コンピューターによる一次判定と、介護認定審査会による二次判定を経て、要介護度が決定されるのが一連の流れです。

申請から約1ヶ月後に判定結果が通知され、利用できる介護サービスの種類と回数などが決まります。

介護保険制度で活用できる介護サービス一覧

介護サービス

  • 在宅介護サービス:訪問介護や訪問看護、デイサービス、ショートステイなど、家での生活を支えるサービス
  • 施設サービス:特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、介護の必要な高齢者が入所できる施設でのサービス
  • 介護予防サービス:要支援の認定を受けた人が利用できる、介護が必要になるリスクを下げるためのサービス

親が認知症になったら、介護サービスを適切に利用することで、親の生活の質を高めるとともに介護する家族の負担を軽減できます。介護保険制度を最大限に活用し、家族で支えあって問題を解決していきましょう。介護サービスを利用したい場合は、地域包括支援センターに相談するのを忘れないでおきましょう。

親が認知症になったら介護や相続について早めに対策をしましょう

この記事のまとめ

  • 親が認知症になったら、怪我をしたり徘徊して行方不明になったりするリスクが増える
  • 親が認知症になったら、認知症について学び、医療機関を受診する
  • 親が認知症になったら、家族で資産の管理をする
  • 親の認知症が軽いうちに、相続対策をしておくことが重要
  • できれば親が健康なうちに、成年後見制度や家族信託などの手続きをしておく
  • 介護負担を軽減して家族関係を良好に保つに介護サービスを利用する

親が認知症になったら、介護や相続は避けて通れない課題です。やるべきなのは認知症の病気について正しい知識を身につけることです。親が認知症になったら、相続対策や介護保険の申請など、早めに対処して問題を解決しましょう。

特に両親ともに認知症の場合、早めに子供たちが話し合い、両親をどのように支えていくのかをきちんと決めましょう。

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