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健康・カラダのこと

介護疲れに効果的な対策とは?ストレスの原因や負担軽減の方法、活用できるサービスを紹介

介護疲れに効果的な対策とは?ストレスの原因や負担軽減の方法、活用できるサービスを紹介

介護は長期間にわたるため、ストレスやさまざまな負担で疲れを感じる方は非常に多いです。放っておくと最悪の場合、共倒れしてしまうため、効果的な対策が必要になります。本記事では、介護疲れの原因となるストレス解消の方法や負担軽減の方法、活用できるサービスについて紹介します。

監修者 SUPERVISOR
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級 池田 正樹

東北公益文科大学卒業。その後、介護保険や障害者総合支援法に関する様々な在宅サービスや資格講座の講師を担当した。現在は社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの生活相談員として、入居に関する相談に対応している。在宅・施設双方の業務に加えて実際に家族を介護した経験もある。高齢者介護分野のみならず、障がい者支援に関する制度にも明るい。

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介護に疲れたと感じる理由

日々の介護で感じる疲れの原因は、大きく以下の4種類です。

介護疲れの原因

  • 介護の動きによる身体的負担
  • ストレスや不安などによる精神的負担
  • 経済的負担
  • 介護者自身の生活に関する負担

介護疲れの原因を見つめ直すことは、改善の第一歩です。まずは、介護疲れの原因を詳しく確認していきましょう。

①介護の動きによる身体的負担

介護は肉体労働です。例え体重が軽い高齢者でも、体に負荷がかかる姿勢で何十kgもある人を動かすのですから、体にかかる負担は想像に難くないでしょう。特に以下のような身体介助は疲れの原因になります。

身体的負担の原因になる主な介助

  • 移動や乗り移りの介助
  • 寝返り・起き上がり・立ち上がり・臥床(がしょう)の介助
  • 衣類着脱の介助
  • 排泄介助
  • 入浴介助

身体に負担が溜まると、関節痛の原因になります。身体介護の方法を学んだ介護職員でさえ痛みに悩んでいるのですから、一般の方ならなおさらでしょう。

②ストレスや不安などによる精神的負担

精神的負担も、介護疲れの原因です。特にコミュニケーションが困難な認知症への対応や、高齢者本人と介護者の意見が合わず問題が発生した場合にストレスを感じる方が多いです。また、介護サービスを利用する際のケアマネジャーやサービス事業所との連絡調整がストレスになる人もいます。

③経済的負担

経済的負担も介護疲れの間接的な要因の一つです。特に年金や貯蓄が少ない高齢者の場合は、介護をしている家族が補填しなければ必要なサービスを利用できない場合もあります。介護による身体的・精神的な負担で体の痛みや病気になってしまえば自身の治療費もかかるため、さらに経済的負担が増えてしまいます。

④介護者自身の生活に関する負担

介護で私生活の大半を費やしてしまうと、介護者自身の生活にも支障をきたします。特に心配なのは、以下のような理由で社会的に孤立してしまうという問題です。

高齢者の介護によって生じる社会的な問題の例

  • 介護離職
  • 友人等と交流する時間の欠如
  • 地域からの孤立
  • ワンオペ介護
  • 育児とのダブルケア

介護の時間が生活の大半を占めると、自身の生活が成り立たなくなる恐れが生じます。社会的孤立は上記の身体的・精神的・経済的負担に拍車をかける危険性も秘めています。

特に、介護離職はできるだけ避けましょう。仕事を辞めると介護者の社会とのつながりや人間関係の一部が断たれてしまい、心の逃げ場がなくなってしまうためです。収入減少で経済的にも困窮してしまうのもリスクの一つです。

介護のために仕事を辞めるのではなく、自身の生活を維持するためにも介護と仕事を両立する方法を考えることをおすすめします。

介護疲れによって生じるリスク

介護疲れが進むと、以下のような事態に発展する恐れがあります。

介護疲れによって生じるリスク

  • 介護者が体調を崩して共倒れになる
  • 介護者の生活が破綻する
  • 要介護者に対して虐待してしまう
  • 最悪の場合は事件に発展する

介護疲れによる具体的なリスクについて紹介します。

介護者が体調を崩して共倒れになる

疲れの蓄積を予防しないと介護者が心身の健康を崩し、病気になったり精神的に落ち込んでしまったりします。世話をする方が病気で体調を崩してしまえば、在宅介護が成り立たなくなってしまいます。無理をすればするだけ悪循環となり、最悪共倒れになってしまいます。

介護者の生活が破綻する

親が80代になり介護が必要になる可能性が高い頃、その子供は40〜50代の働き盛りです。そのような時期に介護で日常生活の時間が奪われることになると、精神的に追い詰められていき、仕事を辞めざるを得なくなったり夫婦間のすれ違いで離婚に発展してしまう恐れがあります。

また、親の介護費用を子供世代が補填することが続くと経済的にも厳しくなり、介護する人の生活に影を落とすことになるでしょう。

要介護者を虐待してしまう

疲れの蓄積でストレスが溜まると、知らず知らずのうちに対応が乱暴になり、しだいに高齢者虐待に発展してしまうリスクがあります。叩く、無視する、強い言葉でののしるといった直接的な行為だけが虐待ではありません。例えば失禁した状態で放置する、親のお金を使い込む、部屋に閉じ込めるなどの行為も虐待に該当します。

最悪の場合は事件に発展する場合も

虐待が常態化した場合はもちろんですが、カッとなって殴ってしまった、精神的に追い詰められて気づいたら手にかけていた等のことがあれば、事件に発展してしまいます。介護疲れから殺人事件に発展してしまったという悲しい事件も多く報道されています。

このような悲劇にならないよう、予防と対策が非常に重要です。

介護疲れに効果的な対策

介護疲れによる心身の疲労蓄積を予防するためには、介護環境の改善を図ることが重要です。では、具体的にはどうすればよいのでしょうか?

特にお勧めしたい対策は、以下の五つです。

介護疲れに効果的な対策

  • 専門家に相談して、介護保険サービスを利用する
  • 介護施設の利用を検討する
  • 近親者や地域に協力をお願いする
  • 介護休業制度を利用する
  • 介護に関する知識やスキルを身につける

介護疲れを改善するための対策について、詳しく紹介します。

専門家に相談して、介護保険サービスを利用する

介護のことで困ったら、まずは住民票のある市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センター等の専門家に相談するのが一番の解決方法です。彼らに相談して、介護保険サービスや行政の支援につなげてもらいましょう。適切な支援を受けられれば、介護の疲れを大きく軽減できるでしょう。

介護施設の利用を検討する

在宅介護が限界だと感じたら、介護疲れのサインです。介護施設への入所を検討しましょう。24時間介護を受けられる施設なら、安心して介護を任せられます。要介護者が自宅にいると関係が悪化することもありますが、物理的に距離をとって心にゆとりが生まれれば、関係が改善する場合もあります。

近親者や地域に協力をお願いする

近親者や近所の方に協力をお願いすることで、負担の軽減を図ることもできます。例えば自分が仕事に行っている時間帯は本人の友人から安否確認を兼ねて声がけやお茶に来てもらったり、近親者に受診に連れて行ってもらったりと、可能な範囲で協力してもらえないか相談してみるとよいでしょう。

介護休業制度を利用する

厚生労働省では、「育児・介護休業法」等によって各企業が介護休業制度を整備するように定めています。勤務先の介護休業制度などを適切に利用して、介護による離職を防ぎましょう。例えば介護休暇の取得や短時間勤務、時間外労働や深夜業の制限などの制度があります。

まずは自身の職場の就業規則等を確認し、仕事と介護を両立する方法を検討してみてはいかがでしょうか。

介護に関する知識やスキルを身につける

介護の方法が分からずに困っている場合は、介護の知識やスキルを身につけることで改善する可能性があります。なぜなら、非効率的な介護は疲れの蓄積や介護中の事故に発展する可能性があるためです。例えば「介護職員初任者研修」は16歳以上であれば誰でも受講できるため、実際に近親者の介護をしている方も受講しています。

介護の正しい知識や技術を身につけることは、介護疲れの予防と生活改善が強く期待できる方法です。

介護疲れによる負担を軽減する方法

実際に疲れが溜まっていると感じたら、以下の方法を試して疲労の蓄積を軽減しましょう。

介護疲れを軽減する方法

  • 認知症カフェや介護者の会に参加してみる
  • 趣味やストレス解消の時間を作る
  • 第三者に介護の悩みを相談する
  • 悩まないような心構えを持つ

それでは、介護疲れの軽減対策を詳しく解説します。

認知症カフェや介護者の会に参加してみる

認知症カフェや介護者の会は、主に市区町村や最寄りの地域包括支援センター、介護施設などが企画運営しています。介護に関する勉強会や茶話会、相談会等を通じて専門職の人とつながることもできるため、思わぬ問題解決の方法が見つかるかもしれません。

趣味やストレス解消の時間を作る

趣味を楽しんだり、時には遊びに行ったりしてストレスを解消する時間を作るのも疲れを取るのに有効です。特に精神的な疲れは長期にわたる介護生活の問題となるため、意識してリフレッシュする時間を持ちましょう。

第三者に介護の悩みを相談する

自身と同じように介護をしている近所の人、介護の仕事をしている知人などに介護疲れの原因になっている悩みを相談するのもよいでしょう。実際の解決にはつながらなくても、話を聞いてくれる人がいるだけで心強さを感じるはずです。疲れを感じる原因を言葉にして表現することで、気持ちの整理にもつながります。

悩まないような心構えを持つ

「介護は終わりが見えない」とよくいいます。最初から最後まで完璧を求めていたら、疲れは溜まる一方です。ただ、介護生活はいずれ必ず終わります。それまでは完璧を求めず、困ったら周囲に相談したり協力を求めたりして抱え込まないようにする心構えが大切です。自分ができる範囲で、気楽に・気軽に臨めばよいのです。

介護が必要な人が活用できるサービス・制度

最後に、介護が必要な人が活用できるサービスや制度を紹介します。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、地域の高齢者を支える総合相談窓口です。おおむね中学校区ごとに市区町村が設置しています。社会福祉士・主任介護支援専門員・保健師(看護師)等の専門職が配置されていて、専門性に応じて連携しながら各種相談に対応しています。介護予防教室や認知症カフェ等も開催しています。

地域包括支援センターは要介護認定や行政福祉サービスの申請窓口としての機能もあるため、困ったらまず地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

公的介護保険制度

公的介護保険制度は、原則65歳以上の高齢者が利用できます。65歳に満たない方でも、所定の要件を満たすと利用可能です。収入に応じて、1~3割の自己負担額でさまざまな介護サービスを受けられます。介護者の負担を軽減するために必須のサービスといえるでしょう。

民間介護保険

民間介護保険は、生命保険や自動車保険のように任意加入する保険商品です。「公的介護保険連動型」と「独自基準型」があり、要件を満たすことで保険金を受け取ることができます。民間介護保険を併用することで資金的なゆとりが生まれるため、公的介護保険との併用もおすすめです。

行政の福祉サービス

各市区町村では、公的介護保険サービス以外にも以下のような福祉サービスを整備しています。

行政の福祉サービスの例

  • 介護保険サービス自己負担額の減免制度
  • 認知症見守りサービス
  • 配食サービス
  • オムツ支給
  • 介護タクシー券の給付

市区町村によって実施しているサービスや利用条件が異なる場合があるため、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。

民間のサービス

民間企業が独自に行っているサービスにも、介護の手助けになるものがあります。例えば、以下のようなサービスが役立つでしょう。

民間のサービスの例

  • 移動販売・通信販売
  • 灯油や米等の配達
  • 民間の介護タクシー
  • 有償ボランティア

上記以外にも、普段生活していて便利だと感じるものであれば工夫次第で介護の役に立つでしょう。

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近親者や地域の協力

近親者や地域住民は、身近で頼りになる存在です。ちょっとした見守りや日々の話し相手、受診の付き添いや服薬時間の声かけ等、身近な関係ならではの協力方法があります。

負担軽減策や各種サービスを有効活用し、無理のない介護をしましょう

この記事のまとめ

  • 介護疲れの主な原因は、身体的・精神的・経済的負担や介護者自身の生活への不安
  • 介護疲れは共倒れや生活破綻のリスクになる
  • 介護疲れ対策として、介護保険や民間サービスの活用などが挙げられる
  • 介護疲れの解消方法を見つけ、持続的に介護できる環境を整えることが重要
  • 介護疲れを感じたら地域包括支援センターに相談する

介護による疲れやストレスを解消することは、日々の暮らしを営む上で非常に重要な課題です。公的介護保険はもちろん、行政の福祉サービスや民間企業の各種事業を活用することが、無理のない介護につながります。疲れを感じたら、まずは最寄りの地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談してみましょう。

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