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葬儀を知る

湯灌師とはどんな職業?仕事内容や収入、依頼する場合の費用などまとめて解説

湯灌師とはどんな職業?仕事内容や収入、依頼する場合の費用などまとめて解説

葬儀を執り行うにあたって、古くから重要な役割を担っているのが「湯灌師(ゆかんし)」です。湯灌師の存在は知っていても、どのような職業なのか詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。本記事では、湯灌師という職業について、仕事内容や収入、依頼に必要な費用や湯灌師のなり方などを詳しく解説します。

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湯灌師とは

ここでは、湯灌師とはどのような職業なのか解説します。

故人のご遺体の身づくろいをする職業

湯灌師の主な業務は、故人のご遺体の身づくろいをして棺に納めることです。ご遺体を清めたり、着替え・化粧を行ったりなどといった故人の旅立ちの準備を行い、ご遺族に穏やかな気持ちでお別れをしてもらうことを目的としています。

なお、ご遺体を棺に納めることを専門とするのは本来「納棺師」の仕事です。しかし呼び名や役割に明確な規定がなく、葬儀社のスタッフが湯灌師の業務の一環として、納棺を行うことが多くあります。

宗教的な視点において大切にされている

湯灌師は、ご遺体の汚れを落とすといった衛生的観点だけでなく、宗教的な観点からも大切にされている仕事です。湯灌の儀式には、故人の生前の苦しみや煩悩を洗い流す意味も含まれています。故人が成仏できるように、煩悩を洗い流す業務を担う湯灌師は、重要でやりがいのある職業といえるでしょう。

多死社会で湯灌師の需要が高まっている

日本は高齢化に伴う「多死社会」の状況にあることから、葬儀に関する職業である湯灌師・納棺師の需要は増加傾向です。厚生労働省が発表した『令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、75歳以上の高齢者の死亡数は昭和50年代後半から増加傾向にあります。

多死社会化が進むことが予測される今後は、ますます日本での湯灌師・納棺師の需要が高くなるでしょう。

引用元
『令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況』(厚生労働省)

湯灌師の仕事の内容

湯灌師はご遺体を清めることが主な仕事ですが、厳密にはご遺体を洗うだけではありません。ここでは、湯灌師の具体的な業務内容について、仕事の流れに沿って解説します。

①浴槽の準備

はじめに葬儀を行う式場の湯灌設備を使って浴槽の準備を行います。湯灌の儀式で使用するお湯は「逆さ水」と呼ばれており、水に熱湯を加えて温度調節をしたものです。葬儀を行う会場が故人の自宅の場合は、湯灌師が湯灌に必要な道具や専用の浴槽を持参して自宅を訪問します。

②ご遺体のマッサージ・移動

湯灌の儀式の準備ができたら、お清めや納棺がしやすいように湯灌師がご遺体のマッサージを行います。時間が経過したご遺体は硬直が始まっているため、脚や腕の関節を伸ばして身体をしっかりほぐします。マッサージが終わったら、ご遺体にタオルを掛けて身体を隠し、湯灌用の浴槽を準備した部屋へ搬送します。

③口上

湯灌の儀式を執り行う前に、湯灌師が口上を述べます。口上の内容は湯灌の儀式についての説明です。口上が終わると、湯灌の儀式が始まります。

④ご遺体のお清め

続いて、湯灌師が逆さ水で遺体をお清めします。お清めは「逆さ水」で行い、足元から順番にお湯をかけていくのが習わしです。逆さ水は、物事を通常とは反対で行う「逆さごと」という生前の日常と死後を区別する所作に基づいています。お清めの儀式は湯灌師だけでなく、ご遺族が参加する場合もあります。

⑤顔や髪のお手入れ

ご遺体のお清めが終わったら、顔・髪のお手入れです。洗顔・洗髪とともに、男性であれば顔の髭剃りも行います。洗い終わったら顔をやさしく拭き、髪の毛もドライヤーで乾かします。

⑥故人の着付け・死化粧

ご遺体のお清めが全て完了したら、死装束の着付け・死化粧を施します。装束の着付けも「逆さごと」です。着物の合わせは左前にして着付けます。故人が冥土へ旅立つために必要とされる手甲(てこう)と脚絆(きゃはん)、足袋(たび)や草鞋(わらじ)、頭陀袋(ずだぶくろ)なども身に付けていきます。

死装束といえば白装束が一般的です。しかし近年ではエンディングドレスをはじめ、故人やご遺族の意向に沿って、自由な服装でお見送りする遺族もいます。着付けが完了したら男女問わず化粧を施します。

⑦ご遺体の納棺

最後にご遺体の納棺を行います。納棺は、湯灌師や葬儀社スタッフが行うのが一般的です。

納棺の際には、ご遺体に三途の川の渡し賃になる六文銭と数珠を持たせます。六文銭にはもともと本物のお金が使われていました。しかし火葬が一般的になった現代では、六文銭を印刷した紙や木などを使用することもあります。

湯灌師の収入はいくら?

湯灌師は葬儀においてご遺体をお清めするという重要な役割がある職業です。将来的な需要も高い仕事ですが、湯灌師の収入は実際いくらなのでしょうか。ここでは、湯灌師の収入について紹介します。

平均年収は300万円~400万円程度

湯灌師の平均年収は就職する地域にもよりますが、300万円~400万円程度です。厚生労働省が公開している『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、葬儀業が含まれる「その他生活関連サービス業」における平均年収は、企業規模計千人以上で33万8千円とされています。

しかし「その他生活関連サービス業」には葬儀業以外にも、火葬・墓地管理業や結婚式場業などの年収も含まれており、実際の収入は異なる可能性があるため、あくまでも参考として認識しておきましょう。

就職する葬儀社・経験年数などによって収入は異なる

湯灌師の収入は、就職する葬儀社や湯灌の仕事に携わってきた経験年数の長さによって変わる場合もあります。また、湯灌師は葬儀社に勤めるだけでなく、湯灌専門業者に勤めたり個人事業主といったさまざまな形態があります。そのため、同じ湯灌師でも実際の収入は異なります。

エンバーミング・納棺師の資格があると収入が上がることも

湯灌師としてのスキルだけでなく、エンバーミングや納棺師の資格や経験があると収入が上がる場合もあります。エンバーミングとは、湯灌師が行う着付け・死化粧に加えて、専門技術を用いてご遺体の消毒・防腐処理などを行うことです。

エンバーミングを行うエンバーマーの資格は、湯灌師に必要なスキルに加えて、ご遺体をより生前の姿に近い状態に保つ技術も持っていることを示します。より業務レベルが高い湯灌師としてアピールできるでしょう。

また、湯灌師が納棺の仕事を兼任することも多いです。そのため、納棺の技術を持つことの証明になる納棺師(納棺士)の資格があれば、収入が上がる可能性があるでしょう。

湯灌師になるにはどうすればよい?

湯灌師は将来的にも高い需要が見込まれる職業ですが、どのようにすればなれるのでしょうか。ここでは、湯灌師になるにはどうすればよいのか紹介します。

未経験で葬儀社や専門業者へ就職する

湯灌師になるための特別な資格は必要ありません。未経験で葬儀社や湯灌の専門業者へ就職することもできますが、経験者に比べると就職時の収入は低くなる可能性があります。しかし、湯灌の儀式に関する所作を一から教わりスキルを身に付けることで、収入が上がる可能性はあります。

湯灌師の専門学校卒業後に葬儀社などに就職する

就職前に湯灌・葬儀に関する一通りの知識や流れを学んでおきたいなら、専門学校を卒業後に湯灌師として就職するのもよいでしょう。

葬儀に関する技術を学べる専門学校は日本全国でも限られていますが、実際の式場で実習を受けられたり、就職サポートを受けられたりする点は大きなメリットです。

湯灌師の仕事において必要なこと

湯灌師はやりがいのある仕事ですが「人の死」に直接関係する仕事である以上、人によって向き不向きがあります。ここでは、湯灌師の仕事において大切なこと、心得ておくべきことを紹介します。

ご遺体を前にして冷静でいられるか

前提として、どのような状態のご遺体を前にしても冷静でいられる精神的な強さが湯灌師には必要です。ご遺体の汚れを落とし、身づくろいを行うという業務上、ときには状態の悪いご遺体をお清めする場合もあります。

湯灌の儀式にご遺族も参加する場合、ご遺族が動揺してしまうこともあるでしょう。どのような環境・状態のご遺体でも、湯灌師は動揺することなく冷静に対応しなくてはなりません。

ご遺体に抵抗なく触れるかどうか

ご遺体を直接マッサージしたりお清めをしたりすることから、ご遺体に抵抗なく触れるかどうかも向き不向きを左右するポイントといえます。ご遺体に触れるか否かは、実際に湯灌師として働いてみないと分からない点です。本当にご遺体に触れる覚悟があるかどうか、あらかじめしっかり考えておくことが大切です。

体力に自信があるか

湯灌師はご遺体の移動・納棺はもちろん、湯灌の儀式に必要な浴槽や設備を運搬することもあるため、体力に自信があるかどうかも重要なポイントとなるでしょう。一日に複数の湯灌を担当する場合もあります。湯灌師を目指すなら、かなりの力仕事になることを覚悟しておきましょう。

車の運転ができるか

湯灌師は一日にさまざまなエリアの自宅・式場で湯灌を行う場合もあります。移動の際には就職先の葬儀社・業者の車両を使うこともあるでしょう。運転免許を取得しておけば、就職活動の際に有利になる可能性があります。

湯灌師へ湯灌を依頼する場合の費用

故人の旅支度を行う湯灌師ですが、葬儀社や専門業者に依頼した場合の費用はどれくらいになるのでしょうか。ここでは、湯灌を依頼する場合の費用相場について解説します。

費用は5万円~10万円前後が目安

湯灌を依頼した場合の費用は、5万円~10万円前後が相場といわれています。なお、葬儀において湯灌は必ずしも必要なものではありません。葬儀のプランによっては湯灌がオプション料金として用意されている場合もあるため、葬儀の見積もりを取る際にはチェックしておきましょう。

サービス内容によって具体的な費用が異なる

湯灌にかかる費用は、サービス内容によっても変化するものです。例えば、自宅で湯灌を行う場合、専用の浴槽を用意・運搬しなければなりません。湯灌の設備がある式場で行う場合に比べて、費用が高くなる傾向があるため注意が必要です。

また、洗体・洗髪を行うか清拭のみにするかなど細かいサービス内容の違いでも、実際の費用に差が出ます。湯灌のサービス内容は、家族で話し合って選ぶことが大切です。

湯灌師とは故人の旅立ちをお手伝いする大切な職業のこと

この記事のまとめ

  • 湯灌師はご遺体の身づくろいをし、故人の旅立ちをお手伝いする仕事
  • 湯灌師の業務内容は洗体・洗髪・着付け・死化粧など
  • 湯灌師の平均年収は300万円~400万円程度
  • 湯灌師は専門的な資格が必要なく、未経験でもなれる
  • 湯灌を依頼する場合の費用は5万円~10万円前後が目安

湯灌師は故人の旅立ちをお手伝いし、故人とご遺族の最期のお別れをサポートする仕事です。大きなやりがいがある分、実際に湯灌師として働く際には覚悟しておくべき点も多い職業といえるでしょう。今回紹介した仕事の流れや、心得ておくべきことなどを踏まえて、この機会に湯灌師の仕事について考えてみてください。

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