お墓に造花をお供えしてもいいって本当?供える際の注意点や造花のメリット・デメリットを解説
お墓に造花をお供えすると枯れずに長持ちし、管理の手間を減らせます。しかし、本当にお供え物に造花を用いてよいのか、疑問に感じる方も多いでしょう。そこで本記事では、お墓に造花をお供えする際のメリット・デメリットや注意点について解説します。
お墓にお花を供えると管理が大変
お墓参りをする際、生花をお供えする方も多いのではないでしょうか?
お墓に生花をお供えする理由には諸説ありますが、花の香りを仏様の食事とみなす宗派の考え方や、故人の成仏を願う意図などがあります。さらに、お釈迦様が修行をしていた頃、仏様を供養するために花をお供えしたことが起源とする説もあります。
しかし、生花のお供えは維持や管理に手間がかかってしまいます。結果、お墓参りに行く時間を確保できず生花を枯らしてしまうと、墓地の景観を損ないかねません。
こうした背景から最近では、造花をお墓にお供えすることもみられるようになりました。
お墓に造花をお供えしても大丈夫?
そもそも、お墓のお供えに造花を用いてもよいのでしょうか?結論として、お墓に造花をお供えすることに問題はありません。
お墓に花をお供えする目的は、故人への供養です。つまり、大切なのは生花か造花かという点ではなく、故人を偲ぶ気持ちと捉えられます。
また霊園や寺院によっては、管理者が常駐していないことや、立地・気候などを理由に造花のお供えを推奨しているところもあります。このような場合、施設の方針を確認した上で、生花と造花のどちらをお供えするか選んでもよいでしょう。
また、造花をお供えする場合は宗教・宗派や地域の慣習に配慮するとよいでしょう。
お墓に造花をお供えするメリット・デメリット
お墓へのお供え物には、生花ではなく造花を用いても問題ありません。ここでは、お墓に造花をお供えするメリットとデメリットについて、詳しくみていきましょう。
造花のメリット
お供えの花が枯れない
お墓に造花をお供えする大きなメリットは、花が枯れない点です。
生花は、時間が経つにつれて枯れてしまいます。枯れた生花の花びらなどがお墓の周辺に落ちると、自分の家のお墓だけでなく、他家のお墓まで汚してしまう恐れがあります。
霊園や寺院の管理者が枯れた生花を処理してくれる場合もありますが、全ての施設がそうとは限りません。
造花ならきれいな状態で長持ちし、掃除や水やりの手間を省くことができます。枯れた花が落ちて周辺を汚すこともないため、お墓の掃除に行く時間があまりとれない方でも安心です。
生花と比べてお供えの費用を抑えられる
造花は、生花と比べて費用を抑えられる点もメリットの一つです。
お墓にお供えする生花(仏花)の相場は、300~千円程度とされていますが、お盆やお彼岸など特定の期間には、仏花の値段が高騰する傾向にあります。お墓参りの度に仏花を購入するのは、金銭面での負担が大きいといえるでしょう。
一方で長持ちする造花は、千~3千円ほどで売られており、買い換えの頻度も少なくすむため、結果的に費用削減につながります。仏花の代わりに造花をお供えするという方法は、お墓参りにかかる費用を見直したい方にもおすすめです。
造花のデメリット
香りや質感が生花と異なる
造花を用いるデメリットは、香りや質感が生花と異なるという点です。
造花は、基本的にポリエステルやポリエチレンなど化学繊維で作られています。そのため、生花よりも色や質感が人工的に見え、人によっては違和感を感じるかもしれません。また、ブリザーブドフラワーや造花には香りがない点も、生花との大きな違いです。
花の香りを仏様の食事として扱う宗派の場合、香りのない造花やプリザーブドフラワーのお供えは敬遠される場合もあります。メリットを優先して造花をお供えした結果、親族や霊園とトラブルにならないように注意しましょう。
周囲への配慮が必要
造花をお供えする場合、周囲への配慮が必要不可欠です。
長持ちする造花は管理する手間や費用を削減できる一方で、生花特有の香りや美しさはありません。もし宗派の考え方や霊園・寺院の方針に合わないのであれば、造花のお供えは避けた方がよいでしょう。
また、お供え物に関する親族の意向を確認し、地域の慣習を守りながら故人を供養できるように努めることが大切です。
お墓に造花をお供えする際の注意点
ここではお墓に造花をお供えする際に踏まえるべき4つの注意点について解説します。
事前に相談・確認する
お墓に造花をお供えする際は、関係各所に事前に相談・確認しましょう。
特にこれまで生花をお供えしていた家が造花に切り替える場合は、親族としっかり話し合いましょう。無断で造花をお供えしてしまうと、お墓参りや法事の場で親族間のトラブルにつながる恐れがあります。
故人を心安らかに供養するためにも、墓主だけでなく、親族の気持ちも尊重した上で、造花をお供えしましょう。
また、宗派や地域によっては生花を推奨している場合もあります。事前に地域の慣習を調べたり、霊園や寺院の管理者に確認することが重要です。
風に飛ばされないようにする
お墓に造花をお供えする際、風に飛ばされないように注意しましょう。生花にはある程度重みがあり、水を入れた花立てに飾ることで安定します。
しかし化学繊維でできた造花は非常に軽く、花立ての水も不要であるため、風に飛ばされやすくなっています。造花が風に飛ばされてしまうと、霊園や他家のお墓に迷惑をかける恐れがあります。
造花をお供えする場合、下部に重りを付けたり紐で固定すると安定します。また、重くて底の深い容器に造花を入れるのもよいでしょう。
色や大きさのバランスを意識する
造花のお供えは、生花と同じく色や大きさのバランスを意識することが大切です。
お墓には一対のお花を供えるため、花同士の色や大きさにばらつきがあると、見栄えがよくありません。複数の造花を組み合わせる場合には、バランスのよい配色を心がけましょう。また、造花の大きさやボリュームにも注意し、きちんと花立てに収まるように生けるのがバランスよくおしゃれに仕上げるコツです。
節目の行事では生花を供える
通常のお墓参りでは造花をお供えする場合でも、お盆やお正月といった節目の行事では生花をお供えしましょう。
特に法要では親族の参列者が多くなる分、造花を敬遠される方がいる場合もあるため、造花ではなく生花をお供えするのがおすすめです。
お墓参りが終わった後には生花を持ち帰り造花をお供えすれば、お墓周辺を汚さずにすみます。このように「お墓参りの最中は生花をお供えしてそれ以外は造花をお供えする」といった方法も覚えておくとよいでしょう。
お供えの造花を購入する方法
お墓に造花をお供えする場合、どのように購入すればよいのでしょうか?ここでは、お供え用の造花を購入する方法について解説します。
お供え用の造花を購入できる場所
お供え用の造花は仏具店やホームセンター、大型スーパーで購入できます。場所によっては生花のようにデザインした造花も販売されています。
また、近年では100円均一ショップでも造花が売られています。100円均一ショップで複数の造花を購入し、お供え用にアレンジしてもよいでしょう。仏花を作る場合、白・黄・紫の3色か、赤とピンクを加えた5色を組み合わせ、3・5・7本など奇数でまとめるのが望ましいといわれています。
実店舗での購入が難しければ、インターネット通販を利用するのもよいでしょう。
お供え用の造花の相場
造花で花束を作る際の相場は、1束あたり千~3千円です。安価な造花なら1本あたり100円ほどですが、高級なものだと1万円以上することもあります。また、造花を要望に合わせてオーダーする場合も高価になりやすいです。
一見高く見えますが、長く使用できることを考えれば、出費は少ないといえます。とはいえ。高い造花を購入して費用がかさんでしまわないように、予算や入手方法をしっかり決めておくとよいでしょう。
お供えの造花を管理するポイント
造花のメリットは時間が経っても枯れないところですが、より長持ちさせるためには管理方法が重要です。ここでは、お供え用の造花を管理するポイントについて解説します。
退色や汚れの度合いで交換する
造花は枯れる心配こそないものの、時間の経過とともに劣化してしまいます。長く墓前に置かれて日光や風雨にさらされるうちに、表面が色あせたり、ひび割れや破れが生じたりします。
お墓の環境や天候条件によって劣化しやすさは変わりますが、退色や汚れの度合いを見て交換するようにしてください。また、故人の命日や節目の行事も、造花を交換するのにおすすめのタイミングです。
長持ちするように工夫する
お墓に造花をお供えするなら、長持ちするように工夫してみてください。造花に付着した汚れやほこりは、タオルで取り除くとよいでしょう。
また、雨に濡れた造花をそのまま放置していると、カビが生える恐れもあります。雨が降った日の翌日は、水分を拭き取っておくことをおすすめします。
供え方や管理に注意して造花を活用しよう
この記事のまとめ
- お墓に造花をお供えすることに問題はない
- 造花のメリットは、花が枯れないことと生花と比べて費用を抑えられること
- 造花のデメリットは、生花とは質感や香りが異なること
- お墓に造花をお供えする場合、親族や霊園に事前に相談・確認する
- 造花が風に飛ばされない工夫や、色・大きさのバランスが大切
- 普段は造花を用い、節目の行事では生花を供えるのがおすすめ
- お供え用の造花は退色や汚れの度合いをみて交換し、長持ちするよう手入れする
日本には、故人への供養としてお墓に生花を供える慣習があります。しかし近年では、管理の大変さから造花をお供えする場合もあります。基本的に、お墓に造花をお供えしても問題ありませんが、宗教・宗派や地域の慣習に合わせる必要があります。
普段は造花で、節目の行事には生花をお供えするように使い分けるのがおすすめです。故人のお墓をいつもきれいに保てるように、便利な造花を活用してみましょう。