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お金・お家のこと

老後の一人暮らしにかかる生活費はいくら?毎月の必要額と内訳を持ち家・賃貸の場合に分けて解説

老後の一人暮らしにかかる生活費はいくら?毎月の必要額と内訳を持ち家・賃貸の場合に分けて解説

老後の一人暮らしにかかる生活費がどのくらいか知っていますか?夫婦で暮らす場合には二人分の年金がありますが、一人暮らしの場合には年金も一人分だけになります。必要な生活費の金額を知って年金だけでは不足する分を事前に準備しておきましょう。本記事では、老後の一人暮らしでかかる生活費について、毎月の必要額とその内訳、準備する方法を説明します。

監修者 SUPERVISOR
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士 森本 由紀

神戸大学法学部卒業。鉄鋼メーカー、特許事務所、法律事務所で勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所を設立し独立。メインは離婚業務。離婚を考える人に手続きの仕方やお金のことまで幅広いサポートを提供。法律・マネー系サイトでの執筆・監修業務も幅広く担当。

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老後の一人暮らし(おひとりさま)の割合が増えている

日本の人口は戦後増え続けていましたが、2010年(平成22年)の1億2,806万人をピークに減少傾向に転じています。一方で、高齢者の割合は増えている現状があります。

内閣府がまとめた「令和5年版高齢社会白書」によると、2022年(令和4年)10月1日現在の日本の総人口は1億2,495万人、うち65歳以上の人口は3,624万人となっています。総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は29.0%で、国民の3割近くが高齢者という状況です。

また高齢化率は1950年(昭和25年)には4.9%でしたが、上昇の一途をたどっています。1985年(昭和60年)には10%を超え、2005年(平成17年)には20%を超えました。2030年(令和12年)には30%を超えることが予想されています。

「令和5年版高齢社会白書」(内閣府)

65歳以上の一人暮らしが増加しているのも特徴です。1980年(昭和55年)には、65歳以上のうち一人暮らしをしている人の割合は男性4.3%、女性11.2%でした。2020年(令和2年)には一人暮らしの人の割合が男性15.0%、女性22.1%まで上昇しています。

「令和5年版高齢社会白書」(内閣府)

一人暮らしをしている高齢者の中には、ずっと独身の人もいれば、離婚や死別を経験して一人暮らし、子供と別居しているという人もいるでしょう。今結婚している人や家族がいる人も、いずれ一人になるかもしれません。老後の一人暮らしが想定されるなら、年金額やかかる生活費、出費の内訳を知って早い段階から必要な準備をしておくのがおすすめです。

老後の一人暮らしにかかる毎月の生活費

老後に一人暮らしする場合、生活費としてどれくらい出費があるのか、イメージできない人も多いのではないでしょうか?

ここからは総務省が公表している「家計調査報告(2022年)」から、一人暮らしの高齢者(65歳以上の単身無職世帯)の平均的な生活費の金額、毎月の収入を紹介します。

老後の一人暮らしの生活費は平均15.5万円

65歳以上の単身無職世帯の平均支出は、消費支出、非消費支出(税金・社会保険料等)を合わせて15万5,495円です。老後の一人暮らしには、年間で約186万円の生活費がかかることになります。

老後の平均収入や年金の額は?

65歳以上の単身無職世帯の実収入は、13万4,915円となっています。このうち、12万1,496円が社会保障給付(主に公的年金)です。

「家計調査報告(家計収支編)」2022年(令和4年)平均結果の概要(総務省)

老後の支出と収入を照らし合わせると、毎月2万580円が不足します。年間の赤字額は約24.7万円です。一人暮らしで老後30年間平均的な生活を送ると仮定すると、年金以外に約740万円の老後資金を準備しておかなければなりません。ゆとりのある生活を送りたい場合は、さらに資金が必要になります。

老後に一人暮らしする場合の生活費の内訳

老後の一人暮らしにかかる生活費は、実際どのような項目があるのでしょうか?

ここからは、総務省の「家計調査(2022年)」をもとに、老後の一人暮らし(65歳以上の単身世帯)の生活費の内訳をみてみます。

持ち家か賃貸かで住居費が変わる

生活費の中で重要度が高い支出として、住居費が挙げられます。ただし、住居費は持ち家か賃貸かで大きく変わってきます。持ち家の場合には家賃がかかりませんが、賃貸では毎月の家賃負担が発生するためです。

老後の一人暮らしの項目別支出

65歳以上単身無職世帯の月間項目別支出の内訳は、次のとおりです。

項目

平均支出

食料

3万7,485円

住居

1万2,746円

光熱・水道

1万4,704円

家具・家事用品

5,956円

被服及び履物

3,150円

保険医療

8,128円

交通・通信

1万4,625円

教養娯楽

1万4,473円

その他の消費支出

3万1,872円

非消費支出

1万2,356円

合計

15万5,495円

それぞれの項目を単体で見ると、支出はそれほど多くないことが分かります。しかし、合計すると月に15万円以上の生活費がかかってしまいます。なお、持ち家がない人は、家賃分を考慮してシミュレーションしておかなければなりません。家賃を払うとなると住居費として毎月の支出が増えてしまい、さらに生活費がかかります。

高齢者の持ち家率はどれくらい?

持ち家があるかどうかで、住居費の金額は大きく変わります。ここで、高齢者の持ち家率がどれくらいかを詳しくみてみましょう。

内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者がいる世帯の持ち家率は82.1%となっており、8割以上の人が持ち家に住んでいることが分かります。ただし、単身者に限っては66.2%と、持ち家率が低くなっているのが現状です。よって、高齢者の中でも一人暮らしの場合は、賃貸住宅に住む人が多く住居費がかかるため、生活費が高くなる可能性があります。

「令和3年版高齢社会白書」(内閣府)

老後一人暮らしの家賃の平均は?

持ち家がない場合、賃貸住宅に住むことが多いでしょう。賃貸住宅に住む場合には、家賃が発生します。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」より、65歳以上の単身世帯の家賃の平均(家賃0円を含まない)をみてみましょう。

住宅の種類 家賃の平均
公営の借家 1万7,834
都市再生機構(UR)・公社の借家 5万8,104円
民営借家 4万9,970円
給与住宅 4万3,678円
借家(専用住宅)の平均 4万1,750円

「平成30年住宅・土地統計調査(第97表)」(総務省)

老後の一人暮らしで公営住宅に住む場合、家賃負担を抑えられますが、民間住宅等に住む場合は、平均で月4~5万円の家賃が発生します。

老後の一人暮らしに必要な貯蓄額や準備

老後の収入は年金のみという人もいるかもしれませんが、年金だけでは生活費が不足してしまうでしょう。ゆとりのある生活を送るために、老後資金はできるだけ多い方が安心です。

ここからは、老後の一人暮らしに備えていくら貯蓄しておいたらよいのか、資金準備の方法を説明します。

毎月の赤字額から必要な資金を計算

老後に支給される年金の額は、人によって異なります。かかる生活費の金額や内訳も、持ち家の有無などにより変わってきます。自分の場合にはいくら必要なのかをシミュレーションしてみましょう。

収入に関しては、公的年金の額を確認する必要があります。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」をみれば、もらえる年金額の目安が分かります。また「ねんきんネット」を利用して、年金見込額をシミュレーションすることもできます。私的年金に加入している場合には、私的年金から受け取れる金額も確認してみましょう。

支出に関しては、家計調査のデータを参考にシミュレーションが可能です。持ち家がない場合には、家賃分を上乗せして毎月の出費を見積りましょう。毎月の収入と支出が分かれば、赤字がどれくらいになるか計算ができます。

月の不足額(赤字)の計算方法

  • 支出(生活費)−収入(公的年金で支給される額)=月の不足額(赤字)

何歳まで生きるのかを考えて合計の赤字額を計算すれば、準備が必要な額が分かります。日本人の平均寿命は男性・女性ともに80歳を超えているため、少なくとも65歳から20年分の生活費は用意しておいた方が安心でしょう。できれば、ゆとりを持って30年分用意しておくのがおすすめです。

持ち家のメンテナンス費用や介護費用にも備えておく

トイレ、洗面所、浴室、キッチンなどの水回りは、年数が経過すれば劣化するものです。また、外壁を塗り替えなければ、見た目が悪いだけでなく風雨に弱くなってしまいます。持ち家の場合は定期的な修繕は欠かせないため、メンテナンス費用も計算しておきましょう。毎年かかる固定資産税も考慮しておかなければなりません。

老後に介護が必要になったときには、介護費用がかかることも知っておきましょう。要支援・要介護認定を受けていれば介護保険の適用が受けられますが、ある程度の自己負担は発生します。住宅のバリアフリーリフォームや介護ベッドの購入のために、一時的に費用がかかることもあります。

公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護のために月々支払っている費用の平均は8.3万円(介護保険適用後の自己負担額)です。介護期間の平均は61.1ヶ月となっているため、合計で500万円程度がかかることが予想されます。

「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)174ページ 

さらに、住宅改造や介護用ベッドの購入などで一時的にかかった費用の平均は、74万円となっています。月々にかかる費用と一時費用を合わせると、600万円程度の介護費用がかかる可能性があるでしょう。介護が必要になった場合のことも考えて、生活費以外に介護資金も準備しておくと安心です。

iDeCoやNISAを活用して資金準備

老後には公的年金がもらえますが、年金だけではゆとりのある生活はできないでしょう。また、平均的な生活をするにも資金が不足する可能性もあるため、老後資金は計画的に貯蓄しておくことが大切です。預貯金だけでなく、老後資金の準備には「iDeCo」や「NISA」という投資も活用して資産形成することがおすすめです。

資産運用で得られた利益には通常20.315%の税金がかかりますが、iDeCoやNISAを利用するとこの税金を非課税にできます。税金の分を再投資できるため、通常の投資よりも効率よくお金を増やせるのです。

iDeCoとは

iDeCoは、公的年金に上乗せする老後資金を準備するための私的年金制度です。毎月掛金を拠出し、積み立て投資をして運用します。iDeCoの資産は60歳になるまで引き出しができないため、着実に老後資金が貯められます。iDeCoに加入している間は、掛金が全額所得控除の対象になるというメリットもあります。

NISAとは

NISAは一定額までの投資で得られた利益について、非課税となる制度です。2024年1月から従来のNISAのメリットを拡充した新NISAがスタートしました。つみたて投資枠として年間120万円、成長投資枠として年間240万円の非課税枠が設けられており、最大1800万円までの投資を非課税にできます。

一人暮らしの生活費をシミュレーションして老後に向けて準備しましょう

この記事のまとめ

  • 日本人の65歳以上の人口は国民の3割近くを占める
  • 65歳以上で一人暮らしの人の割合も増えており、男性の1割以上、女性の2割以上が単身者
  • 経済産業省の調査によると、老後の一人暮らしにかかる生活費は平均月15.5万円
  • 65歳以上の単身者の平均的な収入は月13.5万円で、平均的な生活でも月2万円の赤字がでる
  • 老後の一人暮らしの住居費の平均は約1.3万円だが、賃貸住宅に住む場合にはさらにかかることが予想される
  • 老後に安心して暮らすには、毎月の生活費以外に持ち家のメンテナンス費用や介護費用も用意しておく
  • 老後資金の準備にはiDeCoやNISAを活用するのがおすすめ

老後の生活費として、一人暮らしする場合でも約15.5万円がかかります。年金だけでは毎月の生活費をまかなえない可能性があります。持ち家か賃貸か、ゆとりのある生活をしたいかによっても用意すべき金額は異なります。本記事を参考に、老後の一人暮らしの生活費をシミュレーションして必要な資金を計画的に準備しましょう。 

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