家族葬の費用を安く抑える方法6つ。お得なプランの選び方や活用できる補助金制度も解説
故人の希望に沿った葬儀で丁寧にお見送りしたいものの、費用負担が気になる人は多いでしょう。親族を中心に小規模で行う家族葬は、一般葬に比べて費用を安く抑えられるとされています。本記事では、家族葬の費用を安く抑える方法を紹介します。家族葬で実際にかかる費用も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
家族葬にかかる費用の相場はどれくらい?
家族葬とは、親族をはじめとした近親者のみで執り行われる葬儀形式のひとつです。幅広い関係者が参列する一般葬と違い、故人のご遺族や生前に関わりの深かった人などを中心に少人数で行われます。
地縁の希薄化や高齢化に伴って葬儀に参列する方が減ったことや、費用が安く抑えられるなどの理由により、家族葬は一般葬と並んで選ばれている形式となっています。
家族葬の実際の費用は平均50万円~150万円です。地域や葬儀会社によって差はあるものの、お葬式の規模を小さくすませられるため、一般葬に比べると費用自体は安く抑えられるでしょう。
家族葬にかかる費用の内訳
一般葬に比べて費用を安く抑えやすい家族葬ですが、実際にはどのような費用が発生するのでしょうか。ここからは、費用を安く抑える上で知っておきたい、家族葬を執り行う際にかかる具体的な費用について解説します。
葬儀にかかる費用
家族葬にかかる費用において、最も多くを占めている部分が「葬儀にかかる費用」です。葬儀社のプランによって内容は異なるものの、具体的には以下のような葬儀場の準備から受付対応・進行に関する費用全般を指します。
家族葬の葬儀にかかる費用内訳(一部) | |||
---|---|---|---|
内訳 | 内容・金額相場 | ||
ご遺体の運搬費用 | 故人のご遺体を自宅や葬儀場の安置室へ搬送する費用。10km以内で1万5千円~2万円程度かかるが、搬送距離によっては安く抑えられる。 | ||
祭壇費 | 葬儀に必要な祭壇の準備費用。規模により異なるが20万円~80万円程度かかる。 | ||
御棺費 | 遺体を納める棺の準備費用。10万円前後を中心に、材質や種類によってさらに安く抑えられる。 | ||
火葬費用 | 遺体の火葬手続き・儀式に必要な費用で5万円~20万円程度かかる。 |
接待にかかる費用
家族葬において、参列者への接待にかかる費用があります。葬儀の間の飲食や香典返し用の返礼品の準備費用が含まれており、10~20名程度の規模の場合、費用は平均20万円~30万円が目安です。葬儀の規模が小さく、一般葬に比べて参列者が少ない家族葬だからこそ、費用を安く抑えやすい部分といえます。
宗教者へのお礼にかかる費用
家族葬では、宗教者やスタッフへのお礼にかかる費用も必要です。読経や戒名授与などの儀式を行う僧侶へ感謝の気持ちとして渡すお布施や御膳料・お車代などが含まれます。
家族葬のお布施の相場は、平均約23万円、御膳料やお車代はそれぞれ5千円~1万円程度が目安になります。なお、この費用は、見積もりの際には料金に含まれないことがあるため注意しましょう。
家族葬の費用を安く抑える方法6つ
一般葬に比べて安くできるとはいえ、実際に家族葬を行う際にはさまざまな費用がかかります。ここからは、家族葬の費用をより安く抑える方法を解説します。
①複数の葬儀社で見積もりをする
費用を安く抑えるためには、可能な限り、複数の葬儀社で見積もりを取るようにしましょう。同じ条件の家族葬でも、葬儀社によって利用できるプラン内容や具体的な金額が異なります。
複数の葬儀社の見積もりを見比べることで、同条件でより安く抑えられるプランを探しやすくなります。また、プランに不要なサービスは含まれていないかをチェックし、必要なものが分かりやすくなるのもメリットです。故人の希望を尊重しつつ、費用を安く抑えられるでしょう。
②葬儀の規模を小さくする
葬儀の規模は、費用の高さに直結します。より小規模な葬儀場で行うことで、葬儀の準備や対応にかかる費用を安く抑えられるのです。さらに、参列者を少なくすれば接待にかかる費用を安くできます。
参列者の関係性・人数の線引きは難しいですが、故人の希望がない場合には葬儀自体は遺族のみで執り行い、親戚や故人の友人には連絡のみで留めるのもよいでしょう。
③自宅で家族葬をする
少人数または遺族だけの家族葬であれば、葬儀場ではなく自宅で葬儀を執り行うのも、費用を安く抑える方法といえます。自宅での家族葬であれば、葬儀場の利用費がかかりません。慣れ親しんだ場所である自宅から故人を送り出せるのもメリットでしょう。
しかし、自宅で家族葬を行う場合、読経や木魚の音、焼香のにおいなどで近隣トラブルにつながる恐れもあります。実際に自宅で執り行う場合は、事前に近所の人へ挨拶をしておきましょう。
④一日葬のみの家族葬にする
葬儀の形式にこだわりがなければ、一日葬を活用するだけでも費用を安く抑えられます。一日葬とは、通常の葬儀では執り行うお通夜がなく、葬儀式と火葬のみを行う形式のことです。
お通夜がないため、通夜振る舞いをはじめとした参列者への対応に必要な費用を安く抑えられます。さらに、葬儀にかかる時間が短くなることから、遺族や参列者の体力的な負担を軽減できるのもメリットの一つです。
⑤あらかじめ葬儀社の会員になっておく
生前にできる家族葬の費用を安く抑えられる方法として、あらかじめ葬儀社の会員になるのもよいでしょう。葬儀社によって具体的な内容は異なりますが、会員になっておけば、葬儀費用が安くなる割引特典を利用できることが多いです。
さらに、家族葬の手配・手続きの悩みもスタッフに相談できます。費用を安く抑えられるだけでなく、もしものときに必要な手続きをスムーズに進めやすくなります。各社の特典を事前に確認し、より費用が安くて手続き等の負担が少ない葬儀社の会員になるとよいでしょう。
⑥補助金制度を活用する
家族葬を終えた後にはなりますが、各自治体で用意されている補助金制度を活用するのも、費用を安く抑える方法です。詳しくは後述しますが、各自治体へ届け出ることで、葬儀に関するさまざまな補助金を支給してもらえます。
家族葬を安く抑える補助金制度とは
家族葬の費用を安く抑える方法の一つである「補助金制度」ですが、初めて知ったという人もいるでしょう。ここからは、補助金制度について詳しく解説していきます。
葬儀・埋葬の補助金・給付金制度が活用できる
補助金制度は、葬儀や埋葬に伴う喪主の費用負担を軽減するために支給されるものです。一般的に故人が加入していた健康保険によって、葬祭費または埋葬料・埋葬費が補助され、補助・給付される内容や金額が異なります。
一定の条件・手続きによって活用できる
補助金制度を利用する場合、一定の条件や手続きが必要になります。正しく手続きを行うことで家族葬の費用を安くできるため、事前に確認しておきましょう。
国民健康保険に加入している人
国民健康保険に加入している人が亡くなった場合には、葬祭費として5万円前後が支給される地域が多いです。しかし、ほかの健康保険から給付が受けられる場合、地域によっては国民健康保険からは支給されないことがある点に注意しましょう。
制度を利用する際には、故人が生前住んでいた市区町村の保険年金課の窓口または郵送で喪主が手続きを行います。手続きには、必要事項を記入した葬祭費の支給申請書の提出が必要です。申請書は各自治体のホームページからダウンロードできます。
自治体によっては、申請書とあわせて手続きに以下の書類が必要になるため、忘れずに用意しましょう。
【国民健康保険に加入している人】補助金制度の利用に必要なもの(一例)
- 故人の保険証
- 死亡の事実が確認できる書類(埋葬・火葬許可書 など)
- 葬祭を行ったことが確認できる書類(申請者の名前が記載された埋葬・火葬許可書、葬祭費用の領収書 など)
- 申請者の本人確認ができる書類(マイナンバーカード、運転免許書 など)
- 申請者の金融機関の口座通帳・印鑑
社会保険・共済組合に加入している人
社会保険・共済組合に加入している人が業務外の理由で亡くなった場合には、勤務先もしくは組合から埋葬料または埋葬費として5万円が支給されます。埋葬料とは、被保険者に生計の一部でも維持されていた家族が埋葬を行った場合に支給される補助金のことです。埋葬費は、被保険者に家族がいない場合に埋葬を行った人へ支給される補助金のことです。
補助金制度の利用手続きは、加入している健康保険組合または共済組合で行います。その際、組合のホームページでダウンロードできる申請書や、以下の書類などが必要になるため忘れず用意しておきましょう。
【社会保険・共済組合に加入している人】補助金制度の利用に必要なもの(一例)
- 死亡の事実が確認できる書類(死亡診断書のコピー など)
- 埋葬許可証
- 葬祭を行ったことが確認できる書類(申請者の名前が記載された埋葬・火葬許可書、葬祭費用の領収書 など)
申請期限に注意が必要
必要な手続きを行うことで家族葬の費用を安く抑えられる補助金制度ですが、申請には期限がある点に注意してください。また、補助金の種類によって申請期限は異なります。
健康保険の種類による申請期限の違い
- 葬祭費の場合:葬祭を行った日の翌日から2年以内
- 埋葬料の場合:死亡した日の翌日から2年以内
- 埋葬費の場合:埋葬を行った日の翌日から2年以内
葬儀後はやることが多く慌ただしくなりがちですが、忘れずに手続きを行いましょう。
家族葬の費用を安く抑えたいときの注意点
少し工夫することで費用を安く抑えやすい家族葬ですが、安く抑えることだけを考えていると思わぬトラブルにつながる恐れがあります。ここからは、家族葬の費用を安く抑えたいときの注意点を紹介します。
プラン内容をしっかり確認する
家族葬のプランを選ぶときには、必ず内容をしっかり確認しましょう。金額のみに注目して選んでしまうと必要なサービスを受けられず、安く抑えるどころか思わぬ出費につながる恐れがあります。
安く抑えられるかどうかだけでなく、費用や故人の希望に沿ったサービス内容かどうかもチェックした上でプランを選ぶことが大切です。
参列する人数に合ったプランを選ぶ
費用を安く抑えるために家族葬の規模を小さくする場合は、遺族間で参列する人数を把握しておくことが大切です。同じ家族葬でも、プランによって参列者の目安人数が異なります。
たとえ費用が安くても、選んだプランで想定されている参列人数と実際の参列人数に大きな差があると、当日の対応が難しくなります。思わぬトラブルを防ぐためにも、参列者の人数を明確にした上でぴったりのプランを選ぶようにしましょう。
香典の総額が少ないことを理解しておく
費用を安く抑えるために、家族葬の参列者を限定する場合には、香典が少ないことを理解しておきましょう。香典の総額は参列者の人数によって大きく変わります。会場の費用や接待にかかる費用は安くできますが、香典による収入を考慮している場合には注意しましょう。
家族葬の費用を安く抑えて、費用負担が少ない葬儀にしよう
この記事のまとめ
- 家族葬にかかる費用は平均50万円~150万円
- 家族葬には大きく分けて、葬儀・接待・宗教者へのお礼の3つの費用がかかる
- 家族葬の費用を安く抑えるには、複数の葬儀社で見積もりを取る・葬儀の規模を小さくするなどの方法がある
- 葬儀や埋葬の給付金制度を活用できる
- 家族葬の費用を安く抑えたい場合の注意点は、プラン内容をしっかり確認する、参列人数に合ったプランを選ぶ、香典の総額が少なくなることを理解しておくこと、などがある
一般葬よりも小規模で執り行われる家族葬は、工夫一つで費用を安く抑えられます。今回紹介した方法も参考にしながら、故人の希望に沿った家族葬を検討してみてください。